| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

148部分:幕が開きてその二


幕が開きてその二

                     幕が開きて
ーバーハラ城ー
「死ねっ、簒奪者!」
「何が皇帝だ、ヴェルトマーの悪魔め!」
「地獄へ落ちろ、十二聖戦士の裏切り者!」
 宮廷にまで罵声が響き渡る。宮殿に向けて石や汚物が投げ込まれ壁が蹴られる。元々バーハラにつけていた光騎士団の一員である宮殿の衛兵達は宮殿への侵入こそ許さないがその他の事に対しては見て見ぬふりを決め込みアルヴィスやヴェルトマーを罵る声が絶え間なく聞こえていた。
「全くよく続くな」
 赤と黒のヴェルトマーの軍服に身を包んだ背の高い黒人の男が窓から宮殿の外を見ながら言った。彼の名をオテロという。ヴェルトマー十一将の一人で『炎獅子』の通り名を持つ。軍にあっては主力騎士団を率いる。南方の大陸からユグドラルに流れ着き一兵卒から身を起こした叩き上げの勇将である。謹厳実直にして勇猛果敢な人物として知られている。
「無理もあるまい。先の大戦での我等の計画が全て白日の下に曝されたのだからな」
 同じくヴェルトマーの軍服に身を包んだ青い髪と瞳の男が言った。オテロと同じく十一将の一人フィエスコ、軽歩兵団を率い『炎狼』と称される。ヴェルトマーの誇る炎騎士団は皇帝アルヴィスの下彼等が統率している。その顔触れと配置、通り名は次のようになっている。

 僧兵団    炎梟  フェリペ
 近衛団    炎狐  アイーダ
 魔道騎士団  炎虎  ラダメス
 重騎士団   炎獅子 オテロ
 混成騎士団  炎豹  ロベルト
 軽歩兵団   炎狼  フィエスコ 
 重歩兵団   炎熊  ジェルモン
 弓兵団    炎鷲  マグダフ
 魔道師団   炎蛇  ザッカーリア
 混成歩兵団  炎鮫  シモン
 天騎士団   炎竜  フォード
 
 いずれもアルヴィスの股肱の臣であり彼がヴェルトマー公であった頃からの家臣達である。アルヴィスの信頼も厚く皇帝の行くところ常に彼等の姿がある。かってはアルヴィスの異母弟アゼルが副官としてあり『十二将』と呼ばれていたがシグルドを亡き者にしようとした兄に反発して行方をくらませた為現在は『十一将』と称されている。
「周辺の国々は全て叛徒共の手に落ちグランベル本国でもこの有様、宮廷に出て来るのはヴェルトマーの者ばかり、軍も脱走兵が続出、グランベル本国もお終いだな」
「フィエスコ殿、何を言われる。まだ炎騎士団がある。陛下のファラフレイムと我等がある限りグランベル帝国は決して倒れぬ」
「だったな。済まない、弱気になっていたようだ。とおろでイザーク、レンスター方面に討伐軍が派遣されると聞いたが誰が行くのだ?」
「シレジア総督であったムーサ殿とドズルのブリアン公子、兵はシレジア軍と斧騎士団、そしてシアルフィの軍だ。数は十二万程らしいな」
「シアルフィ軍か。もしやと思うがな」 
「だが残っている兵は出すしかあるまい。最早我等に残された兵は多くはない」
「うむ・・・・・・」
 城の外では民衆がアルヴィスを暗黒竜と呼びヴェルトマーの炎の紋章を踏み付け叩き壊している。二人はそれを見て腸が煮えくり返る程の怒りを覚えたがもうどうする事も出来ず部屋を後にした。破片となった炎の紋章は泥に汚れ輝きは失われていた。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧