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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十八話 蛍光その一

                 第九十八話  蛍光
 僕達は皆で畑中さんが運転するマイクロバス、八条荘にあるそれに乗り込んだ。そして皆で出発しようとすると。
 外はもう夜だった、空には星がある。その星を観てだった。
 ダオさんは僕に対してだ、こんなことを言った。
「お空には光があってね」
「それでだね」
「ダオ達これからもう一つの光を観るのよね」
「夏の夜のね」
「そうだよね、今から」
 僕はこうダオさんに言った。
「植物園に行ってね、観るんだよね」
「楽しみにしてるわ」
 心からだ、ダオさんは僕に言った。
「これからね、ただね」
「ただ?」
「いえ、蚊はいないわよね」
「ああ、それはね」
「植物園の中だから」
「うん、いないよ」
 蛍、僕達が今から観に行く彼等はいてもだ。
「蚊はね」
「有り難いわね、それは」
「うん、蚊はね」
「夏の厄介者よ」
 ダオさんは蚊についてはこれ以上はないまでに忌々しげに言った。
「あれはいなくてもいいわ」
「そうそう、蚊はね」
 ラブポーンさんもいる、二人は僕の傍の席に並んで座っている。そのうえで今からの出発を待っているのだ。
「いらないわ」
「刺されたら痒いしね」
 それにだった。
「しかも病気まで持ってるから」
「マラリアをね」
「だからね」
 それこそだ。
「あんな嫌な生きものはいないな」
「虫の中でも最悪よ」
「全くよ、まあそれでもね」
 ダオさんは蚊についてこうも言った。
「日本の蚊はマラリア持ってないから」
「まだましね」
「刺されて痒いことは変わらないけれど」
「それでもね」
「そこは有り難いわ」
「そうそう」
 二人でこんなことを話していた、そして。
 畑中さんはバスを出発させた、僕達は蛍達が待っているその植物園に向かった。八条荘から学園までは近い。
 それですぐに着くと思っていたけれどだ、赤信号で停まってだった。ダオさんは僕にこんなことを言ってきた。
「日本の信号って働き者ね」
「そうかな」
「ええ、そう思うわ」 
 こう言ってきた。
「前から思っていたけれど」
「そうかな」
「私はそう思うわ」
「ううん、日本の信号は機械だから」
「いや、しょっちゅう赤になってるじゃない」
「えっ、そうかな」
「何かいつもね」
 ダオさんは口を尖らせて僕に言った。
「赤信号よ、バスの時も歩いていても」
「同じだよ」
 僕はこのことは断った。
「青になる割合もね」
「そう?」
「黄色は一瞬だけれど」
 こちらは警告だからだ、もうすぐ赤になるという。 
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