八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十七話 蛍の光その十六
「絶対に、って思ってるから」
「ブラジルでもそうよ」
「やっぱりそうよね」
「そうした理由でね、アマゾンにいたらね」
「蛍どころじゃないのね」
「それこそね」
まさにというのだ。
「もっと注意しないといけないもの満載で」
「蛍よりも」
「あまり観賞出来ないわ」
「よくわかったわ」
ダオさんにしてもだ、こうした話もしてだった。
晩御飯を食べ終えた、すると。
デザートのマンゴーを食べ終えてだ、畑中さんはいよいよといった口調で僕達に言ってきた。本当に乗り気だった。
「それではです」
「皆でバスに乗ってですね」
「行きましょう」
是非にというのだった。
「そうしましょう」
「はい、それでは」
僕も畑中さんに応えた。
「今から行きましょう」
「待っていました」
畑中さんにしては珍しく前に前にという言葉だった。
「この時を」
「何か本当に、ですよね」
「楽しみです」
ご自身もこう言うのだった。
「蛍を観ることが」
「何ていうか」
ダオさんもその畑中さんを見て言う。
「畑中さんいつもと違うわね」
「どう見てもね」
モンセラさんも言う。
「蛍大好きなのがね」
「よくわかるわね」
「そうよね」
「そこまで蛍好きなんて」
「思わなかったわ」
「はい、蛍こそはです」
畑中さんは二人にも話した。
「夏の、です」
「風物詩の一つ」
「だからなのね」
「観たいのです、むしろその中で」
夏の風物詩の中でというのだ。
「最も素晴らしいものでしょう」
「海や花火よりも?」
「そうですね、花火は今では冬も観られますが」
スキー場等でだ。
「蛍は夏だけですので」
「だからなのね」
「蛍は最もです」
それこそというのだ。
「観たいです」
「夏に」
「そうしたものです」
こうダオさんにも話した。
「だからこそ行きましょう」
「じゃあ皆いいよね」
僕は畑中さんの言葉を受けて皆にも言った。
「今からバスに乗ってね」
「ええ、行きましょう」
「それで蛍観ましょう」
「皆で」
「そうしましょう」
皆で言ってだ、そしてだった。
僕達はバスに乗った、畑中さんはそれこそ真っ先に運転席に座ってそのうえで準備万端整えていた。僕達はそのバスに乗り込んで。
出発した、いよいよ皆で蛍を観に行った。
第九十七話 完
2016・6・25
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