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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十六話 吸血鬼のお茶会その七

「そうだよ」
「そうなの」
「帰る途中にいてすれ違っただけだけれどね」
 その口裂け女らしき人とだ、校門のところに立っていた。
「そう思ってるよ」
「マスクしてたの」
「してたよ」
 それも実際にだった。
「ただ、声はかけられなかったよ」
「そうだったの」
「口裂け女っていうとね」
「そうそう、声かけてくるよね」
「奇麗?って聞いてくるわね」
「そうだね」
 あたし奇麗?と聞いてきていいえと答えると帰ってしまいはいと答えるとマスクを取ってその大きな口を見せて驚かせてくるという。
「そう言われてるね」
「聞かれなかったのね」
「声もかけられなかったよ」
「そうなの」
「だから確かには言えないんだ」
 その人が口裂け女かどうかだ。
「確かにはね」
「そうなの」
「けれどまずね」
 夏にコートだ、それに帽子だ。幾ら夕暮れでも暑くて仕方がない普通の人はまずしない格好なのは言うまでもない。
「そうだったと思うよ」
「口裂け女だったの」
「この学園にもある話だから、それに」
 僕は少し離れた場所にあるガジュマルの木も見て言った。
「あの木もね」
「ガジュマル?」
「あの木にも何かあるの」
「あの木はキジムナーの木でね」
 この妖怪の名前も出した。
「キジムナーが住んでいて」
「そのキジムナーもなの」
「この学園に出て来るの」
「そう言われているよ」
 これまた実際にだ。
「そうね」
「沖縄の妖怪も出るの」
「この学園には」
「そう言われてるよ」
 見た人もいる、けれどこの人も意識して見ようとしていなかった筈だ。
「あの木についても」
「そうなの」
「やっぱり」
「うん、キジムナーはね」
 二人にこの妖怪のことをさらに話した。
「魚の片目が好きで」
「その片目を食べるの」
「そうなの」
「食堂に仕入れるお魚の片目がよくなくなってるらしいんだ」
 それもかなり前からだ。
「だからね」
「キジムナーはいる」
「そうなの」
「食堂の人達はよくこう言ってるよ」
 僕も実際に言われたことだ。
「そうね」
「そうなの、魚の片目がなくなってるから」
「キジムナーはいるということね」
「そうなるのね」
「そのことから」
「結構な数のお魚の片目がなくなってるらしいから」
 それも毎日だ。 
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