八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十六話 吸血鬼のお茶会その八
「そのことからね」
「キジムナーはいる」
「そう考えれているのね」
「日菜子さんに聞いてもわかると思うよ」
沖縄出身のあの人にだ。
「これはね」
「はっきりとしたなの」
「キジムナーがいる証拠なの」
「そうなんだ」
まさにだ。
「これはね、ただ姿はね」
「見せてくれない」
「そうなのね」
「多分妖怪はね」
僕が思うことをだ、二人にさらに話した。
「人が自分達を見ようとしていることを察したりね」
「他にもなのね」
「あるのね」
「うん、人の死角に常にいるんだ」
「それで見えない」
「そうなのね」
「同じ場所にいても」
それこそ身近にだ。
「真後ろにいたら見えないよね」
「それだけでね」
詩織さんもその通りとだ、僕に答えてくれた。
「見えなくなるわね」
「そうだよね」
「同じ部屋にいても」
それでもだ。
「机の下とかテレビの裏とか」
「そうした場所にいられるとね」
「見えないわ」
「妖怪はそうだと思うんだ」
幽霊もだ。
「だから僕達には見えないんだよ」
「そうなのね」
「こうしてね」
歩いていてもだ、学園の中を。
「歩いていてもね」
「それでもなのね」
「妖怪はいると思うよ」
「私達の傍に」
「それで僕達を見ていると思うけれど」
「私達の死角にいるから」
「見えないんだ、けれど妖怪の方がうっかりして」
要するに僕達の気配を感じ損ねたり見える場所にいたりしてだ。
「見える時があるんだ」
「そしてその時が」
「僕達が妖怪を観る時なんだろうね」
「まさになのね」
「そうだと思うよ」
こう詩織さんに話した、勿論友奈さんにもだ。
「そこはね」
「そうなのね」
「そう、たまに見たって話があるけれど」
「それは」
「妖怪がうっかりしていた時なんだよ、若しくは」
妖怪の立場になって考えながらだ、僕はこうも話した。
「向こうが自分達を見せたいと思った」
「その時はなの」
「そう、僕達も見るんだよ」
「そうした時は」
「悪い妖怪だと人を襲う時だね」
何となく牛鬼や濡れ女といった妖怪を思い出した、どっちも海や川にいてそのうえで人を襲ってくる怖い妖怪だ。
「そうした時だね」
「鬼婆ね」
友奈さんは人を襲う妖怪と聞いてこの妖怪を出した。
「例えば」
「ああ、安達ケ原の」
「あの妖怪は人を襲っていたわね」
「そうだったね」
言い伝えによればだ。
「人を襲って食べる」
「そうしていたわね」
「あの妖怪は素性を隠しているけれど」
「隠れていると言えるかしら」
「そうなるかもね、山姥もね」
鬼婆と聞いてこの妖怪も思い出した。
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