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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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強き竜

 
前書き
あけましておめでとうございます!!
今年は運動不足を解消しようかと思い年越しランニングなんてやってみました。
これを機に少しずつ痩せれるといいなぁ・・・

尻「頑張れカビ○ン!!」
変態「シリルはお胸に脂肪がつけば・・・」
冷温「それ以上は言わない方がいい」
尻「あれ?俺ディスられてる?」 

 
サクラside

「すごい魔力・・・」

目の前に立つ変貌した少女の姿に目を疑う。いつものおっとりとした目はキリッと鋭く開き、彼女から発せられる魔力で肌がビリビリと痺れる。

「ほう。まだそんな奥の手が」

それを見て一番驚いているのは、イネスって人かもしれない。さっきまで表情一つ変えずに戦っていた彼は、あまりのウェンディさんの変貌に目が大きく見開いていた。

「サクラ、下がって」
「は!!はい!!」

さっきまでのウェンディさんと全然迫力が違ったから、呆然としていたらいつもよりも1トーン低い声でそう言われ、思わずビクッと身を震わせてから草むらの方へとかけていく。

「それがお前の本気か?」
「そうです。これであなたを倒します」

優しげな雰囲気だった彼女の面影はそこにはなく、ただただ敵を滅するため、小さき竜がそこにいるような錯覚に襲われます。

「確かに強くはなっているんだろうが、お前のスピードでは俺には勝てない」

そう言って大鎌でウェンディさんに斬りかかるイネス。しかし、彼の攻撃は空振りに終わります。その理由は、彼の目の前にいたはずの少女がいなくなっていたからです。

「消えた?いや・・・」

振り切った勢いを活かして体を反転させる。彼の読みは当たっており、視界からいなくなった少女は彼の後ろへと回り込んでいました。

「ハァッ!!」
「ぐっ」

風を纏った小さな拳が大男の腹部に突き刺さります。読み切っていたはずの攻撃を防げなかった彼は、自分の何分の一かというほど小さい竜からの攻撃だったのに、まるで戦車から放たれた砲撃のように飛ばされていきます。

「なっ・・・」

森の木々を幾本も薙ぎ倒してようやく止まったイネスは信じられないものを見るような目で自分が通ってきた道に目をやります。

バッ

「!?」

しかし、そんな余裕は微塵もなかった。大鎌を用いて立ち上がろうとした彼の前に突如として現れる小さき影。その正体は今しがた彼を殴り飛ばした天空の巫女でした。

「天竜の・・・翼撃!!」

敵に一切の猶予を与えることなく魔法を放つウェンディさん。イネスはそれを大きな武器を体の前に突き出して凌ぐので精一杯。

「天竜の・・・」

それでも凌いだからには反撃に転じたい彼を嘲笑うかのように後ろから覚えのある声が聞こえる。そちらを振り向こうとイネスは体を反転させようとするが、それよりも早く・・・

「咆哮!!」

ウェンディさんのブレスが敵の体へと突き刺さる。

「ぐああああああ!!」

今まで全く届かなかったはずの攻撃が次々に決まっていく。咆哮を受けた彼は地面を転がり、少女はまるで格の違いを見せつけるかのようにそれを見送っています。

「すごい!!すごいですウェンディさん!!」

あんな力を秘めていたなんて知らなかったから、その姿を見てどんどん興奮が増していく。シリル先輩やレオンさんもすごいし、ウェンディさんもシェリアさんも強い。本当にこんな人たちを間近で見れて毎日楽しいと感じます!!

「うっ!!」

しかし、圧倒していたはずの彼女が突然膝を付きます。その理由が一瞬わかりませんでしたが、彼女が押さえている部位を見てすぐに心当たりがあることに気が付きました。

「もしかしてさっきの・・・」

大鎌から手を離し、拳を腹部へと突き付けてきたあの一撃。その時のダメージが、まだ残っているんだ。

「ぐふっ・・・」

しかし、対する彼にも大きなダメージが与えられていました。口から咳き込む度に赤いものが溢れていることから、相当のダメージが与えられていることが想像できます。

「ウェンディさん!!」
「大丈夫!!」

両者とも大きな傷を負っている。そんな中ただ見ているだけでいいのかわからない。でも割り込んでいく勇気もない。だから判断を仰ごうとウェンディさんに声をかけますが、彼女は痛む体にムチを打ち立ち上がります。

「これで、決めるから」

息が上がっているにも関わらず、目は一切輝きを失っていない。その凛々しさに、私は見惚れてしまいます。

「次はどう来る?」

その凛々しい竜のターゲットは、攻めに出ることができずに凌ぐことを最優先に考えているらしく、少女に全神経を集中させています。

シュパッ

「また消え・・・」

彼女の動きを全て見逃さないようにと注意していたはずなのに、 またしても姿を見失った彼はすぐさま真後ろを向き直ります。

「こっち・・・じゃない」

ありとあらゆる戦法を学んでいると言っていた彼は後ろから来るものと読んで振り向いたようですが、そこには誰もいなくすぐさま体を向き直ります。
右左と順番に視線を向けたイネスはそのどこにもウェンディさんがいなかったため、大鎌を握りそれを上空へと突き上げました。

「残るは・・・ここだろ?」

素早い動きで居場所を特定したかに思えたイネスさん。しかし、残された最後の場所である上からの攻撃も空振りに終わってしまう。

「・・・え?」

目をパチクリとさせて少女の姿がどこにもないことに驚きを隠せないでいる大男。そんな彼の後ろに、小さな影が現れたのを私は見逃しませんでした。

「時間差です!!」
「!!」

単純に攻めるのではなく、別のパターンを交えての攻撃を見せてきたウェンディさん。彼女はたぶん、彼が即座に対応してくるのを予想していたんだ。だからあえてタイミングをずらして姿を現したんだ。

「ハァッ!!」
「ガッ!!」

上に大鎌を振り上げていたイネスはもうウェンディさんに意識を戻すことはできなかった。背後を取った天空の巫女は大男の背中に全力の拳を突き立てる。

「くそっ」

強靭な肉体を持っているであろう彼でも覚醒した少女の重たい一撃に耐えることはできない。前に倒れ込み武器を勢いで手放した彼は、手を伸ばしても届かないところにいった相棒を見て思わず顔を俯ける。

「これで決めます」

腕を振るうと地面に伏している男性の周りを囲むように風が吹き荒れてくる。それを見た私は、以前見たことがあるそれに思わず頬が緩んでしまう。

「これって確か・・・」

大観衆の中で見せ付けられた彼女の最強の魔法。それをまた・・・しかもこんな間近で見ることができるなんて、嬉しくて仕方ない。

「滅竜奥義!!」

かつて世界を支配したと言われているドラゴンを滅するために生み出された滅竜魔法。その中でも最も竜を倒すのに適している究極の魔法。

「照破・天空穿!!」

台風のような風が少女の手から放たれる。風の結界により逃げ場を封じられ、武器も落としてしまったイネスに、それを防ぐ術はなかった。

「ぐあああああ!!」

空中に打ち上げられ、地面が沈み込むほどに叩き付けられる。ウェンディさんの最高の魔法を受けた彼は、そのまま口を開けて意識を失っていた。

「やったぁ!!ウェンディさんすごいです!!超かっこ良かったです!!」

ここまで相手に何もさせることなく勝利を納めたウェンディさんを見て興奮した私は両手を上げて走りよっていく。でも、普段の藍色の髪に戻った彼女は、フラフラとし始めると、地面に頭から落下していきそうになります。

「ヤッバ!!」

今の彼女は身体中に傷がたくさんある。そんなので倒れたら、本当に笑えない事態になりかねない。でも、距離を取っていたために私の脚力じゃとても間に合いそうにない。

「ウェンディさん!!」

もう顔が地面につくまでほんの少し。せっかく勝ったのに、こんなのって・・・

ガシッ

半ば諦めかけていたその時、落下していた少女の体が止まります。その理由は、同じくらいの身の丈の人物がそれを支えていたから。

「ウェンディ!?大丈夫!?」

その人物とはウェンディさんの彼女のシリル先輩。いいところで出てきてくれた彼を見て、ホッとしてその場に崩れ落ちます。

「シリル・・・」
「うん。大丈夫?」
「うん・・・平気・・・」

大好きな人の顔を見て、安堵の表情を溢したウェンディさんはそのまま眠ってしまいました。でも、傷だらけの恋人を見た彼女は心配で顔が真っ青です。

「シリル先輩!!すぐに治癒を・・・って!!先輩もすごい傷!?」

治癒の魔法を使えるシリル先輩にウェンディさんを治してもらおうとしたら、彼女もボロボロだったので思わず目が飛び出そうになる。

「俺は大丈夫。サクラは?」
「私も大丈夫であります!!」

傷はあるけど重症になり得るものは一つもない。どれも大きなダメージとは言いがたいものばかりだ。

「ウェンディさんはあばらがヤバイかもですけど」
「ウソッ!?」

ただ、彼女が支えている少女はまずい状況であることを伝えると、少女はすぐに彼女を下ろし治癒の魔法をかけ始めます。

「もしかしてあのデカイの・・・お前らでやっつけたのか?」

そんな中シリル先輩は白目を向いて倒れている大男を見てそう問いかけてきます。

「いえ!!ウェンディさんがやっつけちゃいました!!」
「ウェンディが!?」

私は一切攻撃を当てることができず、守ってばかりだった。もし一人だったら、間違いなく今ここに立っていないと思います。

「そっか。頑張ったんだ、ウェンディ」

一人で戦いきった少女の眠っている顔を見て頬を緩ませる少女。彼女は治癒を終えると、少女を背負い立ち上がります。

「シェリアとシャルルは?」
「別の悪いやつと戦闘中です!!」

近くに他の仲間がいなかったことで質問をしてきたので、とりあえず私がわかる範囲で回答します。

「まだいるのか。セシリーは帰ってきた?」
「いえ!!見てないです!!」

彼女と共に行動していたセシリーさんはこちらに向かっていたはずらしいんだけど、私たちは見ていない。もしかしたらシェリアさんたちと合流してるのかな?それだといいんだけどなぁ。

「仕方ない。そいつは縛ってその辺に捨てておこう。後で評議院を呼べばいいし」
「了解であります!!」

意識が戻った時に仕返しされないようにとイネスを縛り上げ、その辺に転がしておく。その後私たちは、気を失っているウェンディさんを一度村の人たちに預けようと彼らのもとに向かうことにしました。

「てか木がところどころ焼けてたんだけど・・・」
「あいつらが燃やしたであります!!」

その途中、彼女が帰ってくる道でイネスたちが放った火によって燃えた場所がいくつかあったらしい。運よくシリル先輩が消化してくれたらしいけど、火事になってること忘れてた・・・バトルに夢中すぎたのかな?



















シェリアside

「ありがとうセシリー。あたしもシャルルももう大丈夫」
「わかった~」

(エーラ)を出して敵を振り回しながら時間を稼いでくれていた女の子にお礼を言い、あたしたちの元へと戻ってきてもらう。体内に入り込んだ毒は自己回復で治したし、シャルルの傷もばっちり平気。あとは・・・

「あいつを倒すだけだね」
「うん」

セシリーにさんざん振り回されて額に汗を浮かべているマリキスを見据える。彼は自在に空を舞うことができるセシリーを捉えることができなかったが、その厄介な存在が下がってくれたことにどことなく安堵しているようだった。

「お前なら、楽に対処できそうだな」
「カッチン!!」

あたしを見た彼は余裕綽々といった表情を見せており、思わずキレそうになってしまう。でも、セシリーが後ろから肩を掴んで揺すってくれ、彼女の方を振り返ると落ち着いてと言葉をかけてくれた。

「僕はシャルルを守ってるから、お願いね~」
「うん。ありがとう」

傷を癒したと言っても、シャルルはまだダメージが大きくて目覚めることができない。セシリーも攪乱はできるけど、戦うとなると決め手に欠くからあまり前に出ることはできない。

「あたしが必ず、こいつを倒してみせる!!」

一対一。あたしの力を証明するには十分な条件。それに、さっきまで押されてしまっていたから、今度はそれをやり返さないと気が済まない。

「風よ風よ!!大地を抉り、空に踊らせよ!!」

両腕に風を纏わせ、敵に狙いを定める。相手は動きが機敏だ。だから極力ロスをなくして魔法を撃ち込まないと交わされちゃう。

「天神の舞!!」

まずは台風のような渦を巻き起こし動きを限定する。それからあたしの得意とする魔法を擁して相手を押していかないと。

「よっと」

予想通り最小限の動きで黒い風を回避するマリキス。その方向を見極めてから、次の攻めを放つ。

「天神の北風(ボレアス)!!」

逃げたばかりで追撃を浴びせる。相手の動きが機敏なのはわかっているけど、これなら当たることくらいはできるはず。

「チッ!!」

これまた狙い通り。相手は前後に揺さぶられて動きが限定され、あたしの攻めを逃げることができなかった。

「一気に押し切る!!」

このまま攻めまくれば勝つことができる。そう感じたあたしは前に出て技を繰り出すことにした。

「いい魔法だが、残念だったな」
「!!」

接近戦に持ち込もうとしたあたしを見てニヤリと笑みを溢しているマリキス。それを見てから気付いた。相手は攻撃を腕で受けることでダメージを最小限に抑えていたんだということを。

「ホラよ」
「うっ!!」

それに驚いて動きが遅くなったのを相手は見逃さなかった。ダメージを受けた腕ではなく足を脇腹を蹴ってくる。せっかくのチャンスを逃してしまったあたしはピンチに陥ってしまった。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
ウェンディが圧勝し、同時進行バトルも残すところシェリアとレオンだけとなりました。
次でシェリアも片をつけようと思ってます。レオンも一緒にケリをつけちゃおうかな? 
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