| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十六話 吸血鬼のお茶会その五

「実際にね」
「やっぱりそうよね」
「形は問題ないと思うけれど」
「けれど農業科としてはね」
「アウトなのね」
「そう言うのよ」
「多少の形位は」
 それこそとも言う友奈さんだった。
「問題ないんじゃ」
「それが少しでも悪いと」
「売れないのね」
「そうみたいよ」
「厳しいというかね」 
 友奈さんは呆れた感じでこう言った。
「過剰ね」
「ちょっとした形まで気にすることは」
「多少以上に形が悪くても」
「大蒜は大蒜だから」
「いいと思うわ」
「言われてみればそうね」
 詩織さんも友奈さんのその言葉に頷いた。
「それ位はね」
「そう思うわね、詩織も」
「別に腐ってる訳でも栄養が足りない訳でもないし」
「味もね」
「問題ない筈だから」
 それでというのだ。
「特にね」
「そうよね、気にするまでもないわね」
「そう思うわ」
「売ればいいのに」
「まあ農家でそういうのはね」
「自主規制するの」
「そうみたいだし」
 どうもその辺りは事情が複雑らしい、農家の人達の方で自主規制するとなるともうこれでどうしようもなくなる。
「難しいのよ」
「農業も難しい問題が多いわね」
「みたいね、とにかくね」
「その大蒜もなのね」
「持って行くから」
 用心に用心を重ねてというのだ。
「安心してね」
「それじゃあ」
「行きましょう、今から」 
 詩織さんは僕と友奈さんに言った。
「ガーデンまでね」
「それじゃあね」
「本当に出るかしら」
「ううん、どうかな」
 そう聞かれるとだ、僕にしても。
 はっきりと言えなくてだ、こう詩織さんに言った。
「それは」
「出ないかもっていうのね」
「見ようと思ったら出ないみたいだからね」
「妖怪は」
「向こうで気付くのかな」
 自分達を見に来た人達の存在にだ。
「それで隠れるのかな」
「そうするの」
「そうかもね、妖怪は」
「じゃあ私達も」
「見られないかもね」
「そうなのね」
「まあひょっとしたらだよ」
 このことはだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧