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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十五話 学園にも戻ってその十二

「学園全体がそうなんだよね」
「そうなのね、けれどね」
「博士が、だね」
「この学園の一番の謎かもね」
「そうかもね」 
 僕も否定せずにこう答えた。
「あの人はまた特別だよ」
「特別の謎ね」
「謎しかないって言っていい人だから」 
 幾つなのか、そして果たしてどんなものを持っているのかということがわからない。博士号も幾つ持っているかわからない。
「万能の学者と言われてるけれどね」
「長生きしてるだけあって」
「そうなんだ、不死って話もあるよ」
 不老ではないという意見が殆どだ、何しろ百歳を超えているのは確かで髪の毛は真っ白で顔中髪の毛と同じ色のお髭で覆われているからだ。
「実際にね」
「外見は確か」
「小さくてお髭だらけで」
 そのお髭の話もだ、僕は詩織さんにした。
「黒いスーツにマントの小柄な人だよ」
「その人見たわ」
「学園の中で」
「ええ、普通に歩いてたわ」
「百歳を超えてても元気なんだよね」
 矍鑠たるものと言っていい。
「流石に運動はしないけれどね」
「それでもなのね」
「普通に足腰はしっかりしているんだ」
「そうよね、ただ」
「ただ?」
「かなり小さい人よね」 
 小柄なこともだ、詩織さんは言って来た。
「あの人って」
「うん、百五十位かな」
「男の人にしては小さいわね」
「実はそのことからも言われてるんだ」
 無意識のうちに小声になってだ、僕は詩織さんに話した。
「江戸時代の人達って小柄だったじゃない」
「今の人達よりも」
「ずっとね」
 何でも幕末の成年男性の平均身長が一五四程だったらしい、今だと女の子でも小柄と言っていい位の身長だ。
「小さかったんだよね」
「それでなのね」
「あの博士の小柄さはね」
「江戸時代の背丈じゃないかっていうのね」
「そう言われてるんだ」
 本当にこうした説が出ている。
「日清、日露の頃の話普通にする人だし」
「もうどっちも百年以上前で」
「それでもなんだよね」
「普通にお話が出来るから」
「その背からも言われてるんだ」
「江戸時代の人じゃないかって」
「その頃から生きてるんじゃないかってね」
 これは流石に信じられないけれど二百歳なんて噂もある、ここまで来るともう仙人か何かにしてとても思えない。
「そうも言われてるよ」
「錬金術で不死になったのかしら」
 詩織さんもここまで聞いて首を傾げさせた。
「それじゃあ」
「そうかもね、多分僕達が大学に入って」
 そしてだ。
「卒業してもあの人いるよ」
「この学園に」
「死ぬ気がしないから」
「百歳は絶対に超えていても」
「死なないと思うからね」 
 だからこそだ。
「あの人についてはね」
「死なないでそのまま」
「研究室にいると思うよ」
「吸血鬼より凄いことかも」
 詩織さんは首を傾げさせてこうも言った。 
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