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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十五話 学園にも戻ってその十一

「お塩も持って行った方がいいね」
「わかったわ、じゃあ夕方ね」
「行くんだね」
「そうしてみるわ」
「僕も行くから」
 詩織さんにまたこう話した。
「安心してね」
「それじゃあね」
「しかし、この学園妖怪の話が本当に多いよ」
 僕はしみじみとして言った。
「謎も多いしね」
「怪談話が滅茶苦茶多いわよね」
「七不思議どころじゃないから」
 もうそれこそだ、学園全体で。
「保育園から大学まで含めると百はあるよ」
「動物園とか植物園にもそうしたお話あるわよね」
「あるよ、学園内の施設にもね」
 博物館にも美術館にもだ。
「大学には仙人みたいな教授さんもいるし」
「悪魔博士?」
「悪魔教授ともいうね」
 勿論仇名だ、こうした本名は流石にない。何歳か誰も知らないことと名前が亜隈というのでこの仇名になったらしい。
「あの人もね」
「あの人文学部の先生よね」
「そうだけれど何でも知ってるよ」
 医学部の教授だったこともあるらしい、物理学や生物学、機械工学の権威でもあると聞いたことがある。
「噂だと魔術とか錬金術とか」
「オカルトにも造詣があるの」
「変な噂にはこと欠かない人だよ」
 犯罪を犯す様な人ではないけれどだ。
「百五十歳って噂もあるし」
「百五十歳なの」
「この学園が出来た時からおられるっていうし」
「百五十歳って幕末生まれよね」
「そうなるね」
 大政奉還が一八六七年だ、そこから考えるとそうなる。
「信じられない話だけれど」
「実際に幾つかしら」
「それは誰も知らないかもね」
 ひょっとしたら理事長もかも知れない、僕も知っている八条家の人でとてもしっかりした器の大きい人だ。
「この学園のね」
「そんな人なの」
「親父も言ってたよ」
 あの破天荒な親父もだ。
「あの人は何歳だろうかって」
「あの人もそう言ってたの」
「うん、少なくとも百歳は超えてるけれどってね」
「百歳ね」
「普通は百歳までもね」
 長生きは出来ない。
「昔は七十で滅多にだったから」
「古稀っていうわね」
「うん、そう言われてた頃からの人かな」
 本当によくわからない、この辺りは。
「そんな人だから」
「謎なのね」
「何があってもおかしくないよ」
 あの教授についてはだ。
「研究室も異様に広いらしいし」
「研究室も?」
「そう、あの人のね」
 そのお部屋もだ。
「相当な種類の本があって」
「しかもなのね」
「蔵書以外にも持ってるみたいだし」
 それこ楔形文字が書かれた粘土板なりパピルスなりをだ。
「謎だらけの人だよ」
「そうした人もいて」
「他にも謎が多いよ」
 本当にそうした学園だ。
「何かとね」
「そうした大学ね」
「そうだよ」
 まさにだ。 
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