八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十四話 軍港その四
「ですから」
「塹壕の中で着ていたのですね」
「塹壕の中で雨や泥、寒さを防ぐ為の服でした」
「だからトレンチコートなのですね」
「塹壕のコートでした」
「そうでしたね」
「さっき言いましたけれど詰襟もブレザーも」
もう一度こちらの服の話をした。
「詰襟はドイツ軍とかの軍服でブレザーは海軍でも着ていて」
「そこからですね」
「制服になりましたから」
「学校の制服は軍服からですね」
「軍服を否定しましたら」
それこそだ。
「制服は着られないです」
「そうなりますね、ただ」
「ただ?」
「応援団の制服は」
早百合さんはここでこちらの特別な制服を話に出してきた。
「あの長ランらボンタンは」
「他には短ランとかありますね」
「はい、ああした服は」
「うちの学校じゃ規定の制服にもありますけれど」
本当にあるのが八条学園の凄いところだ、他の学園だと違反になるような制服でもちゃんと規定されて着ることが出来るのだ。
「あれは不良の人達のアレンジで」
「特別ですか」
「はい、ズボンの方も」
そのボンタンもだ、他にはスリムやドカンもある。
「普通です、昔は超長ランとか着てる人多かったらしいですね」
「物凄く長い学生服ですね」
「丈がくるぶしまである」
車田正美先生の風魔の小次郎に出て来るみたいなだ。
「あの動きにくそうな制服も」
「今は着ている人が少ないですね」
「けれど昔はです」
大体四十年位前だろうか、一九七〇年代後半から八十年代前半だ。
「そうした服多かったらしいです」
「昔はですか」
「どうやら」
「何かです」
「何か?」
「ああした服は動きにくそうですね」
「実際そうだと思います」
足にまとわりついてだ。
「昔はあの服着た忍者とか漫画で出てましたけれど」
「忍者であの服ですか」
「はい」
その風魔の小次郎だ、漫画としてはかなり面白い。
「週刊少年チャンピオンの不良漫画でもあったらしいです」
「あっ、チャンピオンですね」
「はい、あの雑誌で」
思えばかなり古い雑誌だ、チャンピオンも。
「そうしたキャラも多かったそうです」
「超長ランを着ている」
「あくまで昔のチャンピオンですが」
今は流石にない。
「あの雑誌昔は番長とか好きでして」
「番長って何?」
ラブポーンさんはその存在自体に首を傾げさせた。
「はじめて聞く言葉だけれど」
「不良グループのリーダーだよ」
「それが番長なの」
「ちょっと前まである野球選手がそう言われて得意になってたけれどね」
正直かなり頭がよくないと思う、ああなってしまったのも当然の結末だったんじゃないだろうかと僕は思っている。
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