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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十三話 最後の一日その十一

「見たいわね」
「船をですね」
「中に入られなくてもね」
 それでもというのだ。
「見させてもらうわね」
「では」
「それじゃあいざ呉に」
 ラブポーンさんは笑って言った。
「そうしましょう」
「共に」
 小夜子さんもそのラブポーンさんに微笑んで応えた、そしてだった。
 僕達は朝御飯の後皆で江田島から呉に向かった、目と鼻の先にある筈だけれど海を渡る形で移動しないといけないので距離は感じた、この辺り島の困ったところか。
 そうしたことを思いながら呉に着いて海自さんの基地に入った、そこはというと。
 随分広くて充実した港で船も多い、その中にだ。
 潜水艦もあってだ、ラブポーンさんはその潜水艦を見て開口一番こう言った。
「小さいわね」
「そうなんだよね」 
 僕はラブポーンさんにすぐに答えた。
「実はね」
「他の船と比べるとね」
「全然違うよね」
「何か小舟みたいよ」
 そこまでというのだ。
「これじゃあね」
「僕中を見学させてもらったことあるけれど」
「狭いでしょ」
「かなりね」
 これが実際になのだ。
「椅子の中にジャガイモとか玉葱入れたり」
「場所がないから」
「そうしたこともしないといけないのね」
「そうなんだ、こう言えばわかるわね」
「本当に狭いのね」
「お部屋の数も少ないしね」
 正直居住環境はよくないと思った、見学させてもらって。
「それで潜行したら二週間位出ないらしいよ」
「ずっと海の中ね」
「そうらしいよ」
「きついわね、というかね」 
 ラブポーンさんは僕の説明を聞きつつ潜水艦を観ながら言った。
「私には無理ね」
「潜水艦は?」
「だって二週間箱詰めよね」
「海の中にね」
「そういうの無理よ」
 到底という言葉だった。
「私動けないとね」
「どうにもなんだ」
「狭い場所は苦手なのよ」
 それこそという返事だった。
「そこにずっとね」
「そうした人は最初から乗れないみたいだよ」
「合うか合わないか見られるんだ」
「適性検査ってあってね。あと乗りたくない人も多いらしいよ」 
 海自さんの人達の中でもだ。
「そうした場所だからね」
「私みたいな人多いのね」
「お給料はいいらしいけれどね」
 通常のそれにプラスで手当がつくらしい、それでお給料はかなりのものになるらしい。そちらでは満足出来るとのことだ。 
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