八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十三話 最後の一日その十
「昔に比べるとかなり減ったそうです」
「あっ、そうなの」
「もうヤクザ屋さんも減りました」
「それはいいことね」
「色々と対策が法的に成立しまして」
暴力団新法が大きかったらしい、この政策が施行されてからヤクザ屋さんの数が飛躍的に減ったとのことだ。
「もう今ではです」
「呉にもなのね」
「然程いないです」
「それは何よりね」
「そして自衛隊の基地に行きますが」
「自衛隊の人達は紳士だから」
「何も怖がることはないです」
少なくとも戦争をしている相手でも限りだ、これから日本が戦争をするかどうかという問題があるけれどそれはここでは関係のないことだ。
「別に」
「そうよね、江田島でもそうだったし」
「穏やかに礼儀正しく接してくれます」
「ヤクザ屋さんとは正反対に」
「そうです」
むしろ自衛官の人達がヤクザ屋さんみたいだと怖い。
「どの方も紳士です」
「タイ軍よりも」
「タイ軍は紳士ではないのですか?」
「というか親しみやすい?」
それがタイ軍だというのだ。
「むしろ」
「タイ軍は親しみやすいですか」
「うん、妙にね」
「それはタイ人の気質では」
「ううん、そうかしら」
「タイ人は明るく人懐っこい感じがします」
確かに僕もそうしたイメージがある、誰もがそうでないことは当然だけれどタイ人の国民性はそんな風だと僕も思う。
「ですからタイ軍もです」
「そのタイ人の軍隊だから」
「そうではないでしょうか」
「時々クーデターやるのよ」
タイ名物だとラブポーンさんとは別の留学生の子に言われたことがある。
「これがね」
「時々ですか」
「その時一緒に記念撮影撮るわね」
「親しみやすいからですか」
「クーデター起こしてもね」
それでもというのだ。
「誰も死なないし」
「無血クーデターですね」
「それがいつもだから」
しかもクーデターを起こして少し経ったら民政に戻るらしい、何かこんなクーデターも聞いていてタイらしいと思う。
「怖くないわよ」
「不思議な軍隊ですね」
「自衛隊はクーデターとは無縁よね」
「戦前は別ですが」
五・一五事件と二・二六事件だ、この二つの事件はまさにクーデターだった。
「今はないですね」
「そうよね」
「至って平和で落ち着いた」
「それが自衛隊ね」
「そして装備はです」
それはというと。
「かなりのものです」
「強いのね」
「実戦経験はないですが」
「それじゃあその装備をね」
ラブポーンさんは僕に笑顔で言った。
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