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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十三話 最後の一日その三

「香りもいいし身体にもよくて」
「だからな」
「後で入りますか」
「サウナの後でな」
「それじゃあ僕達も」
「入るんだな、ワイン風呂の方も」
「そうします」
 僕だけでなく部屋の皆が答えた、そしてだった。
 僕達は水風呂もサウナも入って二日酔いを解消してワイン風呂にも入った、赤ワインの色がよく出ている奇麗なお風呂だった。
 そのお風呂に入ってだ、部屋の皆はそれぞれ言った。
「いやあ、いいな」
「こうしたお風呂もな」
「二日酔いも解消してな」
「もうすっきりしたけれどな」
「さらに風呂に入るのもな」
「いいな」
「そうだね、お酒も抜けて」
 僕も言う、そのすっかり回復した頭で。
「こうして薬湯にも入るのもね」
「いいよな」
「もうすっかり生き返ったぜ」
「じゃあ今日も頑張るか」
「最後の一日な」
「今日は軍港行くんだよね」
 呉のそこにだ。
「海上自衛隊のね」
「あの」
 ここでアーチェリー部の一年の子が言ってきた、見れば知っている顔だ。
「呉って今は潜水艦もありますよね」
「うん、そうだよ」 
 その通りだとだ、僕はその子に答えた。
「海自さんで潜水艦の港があるのは横須賀とね」
「呉なんですね」
「それであそこにはいつもなんだ」
「潜水艦もあるんですね」
「そうだよ」 
 その通りだとだ、僕は答えた。
「あそこにもね」
「横須賀にもあって」
「そうなんだ、ただ横須賀はね」
 その港のこともだ、僕は一年の娘に話した。
「アメリカ軍の基地にあるから」
「あっちにですか」
「ベースの方にね、海自さんの湊にはないんだ」
 同じ横須賀でも違う場所にあるのだ。
「しかも噂ではね」
「噂ですか」
「アメリカ軍の荒っぽい人が車沈めたりするそうだよ」
「車を!?」
「悪戯で海でね」
「それ本当ですか!?」 
 一年の子は僕のその話に怪訝な顔で聞いてきた、その子の横では主将が目を閉じてワイン風呂に浸かって楽しんでいる。
「無茶苦茶じゃないですか」
「そういうことがあったらしいよ」
「ううん、確かに荒っぽいですね」
「海軍の人は基本紳士だけれどね」 
 英語で挨拶をしたら笑って日本語でおはようと言ってきたりしてくれる、だから僕自身悪い印象はないけれどだ。
「中にはそうしたことをする人もいるから」
「注意が必要なんですね」
「自衛隊じゃないけれどね」
 こうしたことは絶対にない、確実に問題にもなる話だ。
「そんなことは」
「というか自衛隊でそんなことは」
 人の車を悪戯で海に放り込む様な真似はだ。
「想像出来ないですね」
「そうだよね」
「そこはアメリカ軍ですか」
「何か海兵隊の感じだけれど」
 僕の偏見かも知れないけれどこちらの方がずっと荒っぽい感じがするのでそう思ったのだ。 
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