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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十二話 ホテルに帰ってその六

「危ないですから」
「それはしなかった」
「ひいお祖父様は生ものは召し上がられないです」
 円香さんはそうした人の話もした。
「今も」
「まだそういう人もいるんだね」
「はい、土地柄お豆腐もよく食べまして」
「京都もな」
 むしろお豆腐とそれ関係の料理は京都が本場だ、幕末の志士達も料亭でそうしたものを食べつつ会合を開いていたのだろうか。
「あとは鍋だな」
「牛肉も」
「まあね、ここはね」 
 この広島はだ。
「本場だからね、牡蠣の」
「だからだな」
「こうしてかなり出ますのね」
「そうなんだ、まあ当たることもないから」
 新鮮な牡蠣ばかりだからだ、しかも保存もいい。
「だからね」
「素直に味を楽しんで」
「食べればいいですわね」
「そう思うよ、けれどお豆腐もね」
 こちらのお料理のことを聞いてだ、僕は思わずこう言った。
「あれもいいよね」
「うむ、実にいい」 
 留美さんも応えてくれた。
「大好きだ」
「やっぱり京都だから」
「京都のお豆腐は最高だ」
「南禅寺の湯豆腐とか」
「一度南禅寺が仕入れているお店のものを買ったが」
「やっぱり美味しかった?」
「家族全員辺り一キロは食べただろうか」
 留美さんは何晏が得る顔で僕に言った、勿論円香さんにも。
「しかしまだ同じだけだ」
「食べられる感じだったんだ」
「不思議とな」
「普通お豆腐一キロは」
 聞くだけでもだ。
「あまり食べられないかな」
「そうだな」
「あれも結構お腹が膨れるから」
 凄く食べやすいのでどんどん、それこそお酒があると何切れでも食べてしまう様な食べものであるがそれでもだ。
「一キロはね」
「やはり相当だな」
「けれどそれだけ食べてもなんだ」
「まだ同じだけ食べられる気がした」
 もう一キロというのだ。
「不思議とな」
「確かに不思議だね」
「そうしたお豆腐もある」
「凄いね」
「あと京都の南座だが」
 今度は歌舞伎の話だと思ったけれど。それは違った。
 留美さんは僕達にだ、こうした話をしてくれた。
「あそこの食堂で食べるとだ」
「どうした感じですの?」
「味がない」
 こう円香さんに言った。
「これがだ」
「味がありませんの」
「丼を食べてもおうどんを食べてもな」
「それは美味しくないのでは」
「違う、食べた後でだ」
 その時には味がなくて驚いてもいうのだ。 
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