八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十話 巨大な模型その九
「何があっても」
「そうだね」
「むしろこの人達になりたいわ」
詩織さんは特攻隊の人達を見て言った。
「そうね」
「なりたいね」
「全くだよ、なれなくても」
それでもだった。
「目指したいね」
「目標ね」
「人ととしての」
「そうだね、間違ってもね」
本当にだ、このことは強く思う。
「権力がどうとかね、そんなこと言ってて何もわかってない人とか」
「北朝鮮はよくて戦前の日本は駄目とか」
「そうした人にはよね」
「なりたくないよ」
心から言った言葉だ。
「僕はね」
「私もね」
「私もやっぱり」
詩織さんも香織さんも言う。
「そうした人達にはなりたくないわ」
「何があっても」
「理想の相手と反面教師」
それこそだ、この二つは。
「はっきりしてるね」
「駄目だって思う人にはならない様に努力して」
詩織さんはまた言った。
「いいって思う人にはなる様に努力する」
「どちらにしても努力することね」
「その通りね」
「そうだね、じゃあさらにね」
「ええ、資料観ていきましょう」
「これからもね」
僕達はこうも話してだ、そのうえで。
資料館を観て回った、海軍の歴史だけじゃなくて戦前の日本の歴史の資料もあって貴重な勉強になった。それでだった。
詩織さんは見回るその中でだ、僕にこんなことを言った。
「海軍の軍艦ってハンモックで寝てたのね」
「そうらしいね」
「ベッドじゃなくて」
「中にいる人が多かったから」
「場所がなかったからなのね」
「ハンモックで寝てたんだ」
そうしていた、実際に。
「それで寝ていたんだよ」
「そうよね、けれどハンモックだと」
腕を組んでだ、詩織さんはこんなことも言った。
「腰に悪そうね」
「寝てたら?」
「ええ、寝相悪いと落ちそうだし」
「そういえばそうね」
一緒にいた香織さんもその話を聞いて言う。
「ハンモックってね」
「ええ、そうでしょ」
「落ちそうね」
「寝相が悪いとね」
「それに吊るされるからね、身体が」
「腰に悪そうでしょ」
「言われてみれば」
実際にとだ、香織さんは詩織さんに答えた。
「腰にも悪そうね」
「そうよね」
「あまり身体によくないわね」
「特に腰に」
「けれどね」
それでもとだ、僕は二人に話した。
「昔の軍艦は場所がなかったから」
「人が多くて」
「それでなのね」
「ハンモックで寝てたんだ」
艦内にハンモックを吊るしてだ。
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