八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九十話 巨大な模型その八
「あの教団のことよ」
「ああ、あの」
「そう、あの教団を擁護めいたこと言ったりね」
「あそこはもう擁護出来ないんじゃ」
「そう思うけれどね」
僕はだ。
「けれどね」
「擁護してなの」
「変なこと言ってたしね」
調べてみるとだ、それで呆れたことがあった。
「そんなこと言うんだよね」
「戦前の日本や自衛隊は嫌いで」
「北朝鮮とかはいいんだよね、その教団も権力に反対するからいいって言って」
「よくないでしょ」
「そうよね」
詩織さんも香織さんも言うことだった。
「権力に反対するから人を殺していいとか」
「テロしていいとか」
「じゃあ殺された人どうなるのよ」
「何の関係もないのに殺されたこと我慢しろっていうの?」
「そうみたいだね」
その人の主張だとだ。
「権力に反対する人達がやったんだから受け入れろって」
「じゃあ自分が殺されたらってなるわよ」
「そんなこと言ったら」
二人共僕の言葉にかなり頭にきたみたいだった、言葉にそれが出ていた。
「そんなこと言えるのかって」
「自分が殺されてもね」
「殺された人の痛みとか考えないのね」
「その人達の家族のことも」
「一切考えないからそう言えるのね」
「権力に反対するのならいいって」
「こう言った人があるお店にいたらしいけれど」
中一の時の担任の先生の話だ。
「このお店この人雇って数年後に潰れたらしいよ」
「そうなったの」
「うん、どうやらね」
それこそだ、僕もこのことについて今はどう思う。
「そんな他人の痛みを一切理解しない馬鹿な人を雇ってるんだったら」
「他の店員さんもね」
「馬鹿な人かもね」
「そうした店員さんばかりだったから」
「お店潰れたのね」
「そうみたいだね、先生も言ってたよ」
二人が言ったことそのままだ。
「馬鹿な店員を雇った店は潰れるって」
「それはね」
「当然って言えば当然ね」
「そうした人が店員だとね」
「変なことをするから」
「そう思うよ」
実際にとだ、僕は二人に言った。
「それはね」
「それでその店員さんも自衛隊とか戦前の日本も」
「そう、普通にね」
それこそとだ、僕は詩織さんに答えた。
「嫌っててかなり言ってたらしいよ」
「それでそんなことも言ってたの」
「何でかそう言うんだよね」
「論理が滅茶苦茶っていうか」
「馬鹿だとしか思えないよね」
「普通に聞いててね」
詩織さんは眉をこれ以上はないまでに顰めさせて僕に答えた。
「有り得ないわ」
「そうだね」
「そんな人にはなりたくないわね」
心からの言葉だった、詩織さんはそう思っていたし実際にこう言った。
ページ上へ戻る