| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

激戦のロドリグ星②

 
前書き
なんとあの二人組が転移してきました。
G弾の爆発に巻き込まれましたが、実はこんなことになっています。 

 
エレミア歴1033年8月12日‐恒星標準時14時51分  2機の不知火

2機の不知火は背中合わせに出来るだけ死角を無くして周囲の敵に機銃を掃射している。
「いきなり暗くなって何も見えなくなったけど、一体なんだったんだ?アレ?」
「わかんねーよ!警告していた米軍の新型兵器かもな!でも相変わらずBETAのど真ん中にいる事だけは確かだ。」
二人は会話しながらも間断なく突撃砲で周囲のBETAへ劣化ウラン弾を叩き込んで屍体を積み重ねていた。

「―――ッ!36mm残弾200切った!」
「こっちも300無いよ!」
「デリング08よりCP!応答してくれ、繰り返す、デリング08よりCP!・・・・・・・・・」
「いよいよやばいな・・・・。HQも全く繋がらないし・・・・・碓氷中尉達も近くにいないみたいだ・・・・撤退命令無視した報いだな・・・・・先に言っとくぞ、慎二、今までありがとうな!」
「・・・・バーカ!孝之、そういうのは生き残って帰ってから、水月と遥に言え!」
「それが出来たら苦労しないって!くっ!弾切れだ。」そう言って孝之は弾切れの突撃砲を敵に投げつけ、背中にホールドしていた長刀を背中の担架からパージして右腕に構え、近づく要撃級の感覚器を斬りつける。程なくして僚機も弾切れとなり、同じく長刀を手に戦い続ける。

「だめだ!キリがねぇ、ハァハァッ・・・・」二人は戦闘開始より既に主観時間で2時間以上は戦い続けており、疲労困憊していた。
次から次へと沸いてくるかのように周囲を要撃級に囲まれ、切り払うのが精いっぱいであった。
段々隙だらけになっていき、そして一瞬の隙に、そのモース硬度15以上の爪がまさに振り下ろされようとした―――――――――その時、爆音がして目前の要撃級が爆発、そして周囲のBETAが次々と弾け、ひしゃげ、どんどん撃ち平らげられていく。
「やった!!援軍だ!!!助かったな、慎二!」
「ああ、どうやらそうみたいだな・・・・・・」二人はほっと胸をなで下ろす。

やがて周囲を囲むように機体が降りてくる。2機、4機、8機――――13機、一個中隊くらいだ。
警戒の為か、突撃砲のようなものをこちらに向けている。
「おいおい、同じ人類に向かって銃口なんか向けないでくれよ?」孝之がボヤいた。
だが―――「「?!」」「あれ?孝之、初めて見る機体だな。米軍の新型機かな?」
「いや、俺も見たことないなー。でもなんだか米軍の系統とはまた違うような気もする・・・。」

そして、遠い周波数から徐々にチューニングを合わせるように通信が入ってくる。
が、聞き取れない。「○×○は、ど%&▲た&※か?」「?え?」「何言っているのかわかんないよ。慎二、俺の機の通信機壊れているのかな?」「うん、こっちもまるっきりわかんないね。ん?・・・・・・いや、故障か??」
二人は、自分たちの置かれている状況がまったくつかめなかった。

エレミア歴1033年8月12日‐恒星標準時16時42分 アントワープ

「一体どうなっているの?彼らにはこちらの音声も映像も入ってないみたい?」
「よくわかりませんが、通信周波が極微弱ですし、様子が変ですね。通信機の故障でしょうか?」と中隊長のランディール中尉が応える。
続けて「一度艦船からスキャンをかけて、向こうの機体の通信機へハッキングを仕掛けてみてはいかがでしょうか?もしかしたらバックアップ機能があるかも知れませんし、そうすればデータ参照してソースを取り込む事によって、現状の周波数が特定出来るかも知れません。」

「このような状態になったのも経緯は不明だけど、そうね・・・・ランディール中尉の言うとおりね。ロアーヌ01よりCP(コマンドポスト~司令部指揮所)、応答してください」
「こちらCP、ロアーヌ01どうぞ」
「今私たちがコンタクトしている未確認機だけど、通信機へハッキングをかけて調べてみて!もしつながる周波数があるなら、こちらとつなげてください!」「こちらCP、ロアーヌ01へ、了解しました。」

そして、1分もしないうちに再びCPから通信が入る。
「・・・・・・・・・・・こちらCP、ロアーヌ01どうぞ」
「ロアーヌ01です」「未確認機の機体通信機へのハッキング、データの互換制御完了しました!」CPのオペレーターはハッキングして即座にCPUとデータベースを発見、ダウンロードして素早くソースを取り込んだ。「CP、了解!素早い対応に感謝します。」
「どういたしまして中佐、でも実は・・・・驚いたことに、あの機体のCPUはとても古めかしくジュニアスクール低学年の生徒が授業で作るものより簡単なものでした。」CPの将校は本当に信じられないといった感じで返事をした。

「まさか!まぁ今はいいでしょう。・・・・こちらはオルキス統合軍第14空間機動師団のアントワープ中佐です。貴官等の官姓名と所属を明らかにしてください。」アントワープはそんなバカな事があるはずが無いと考えながらも職務に忠実に誰何(すいか)を始める。

「おおー、慎二、何かわかんないけど通じるようになったな!」「バカ、孝之!オープン回線開いたまんまだぞ?」「え?!うあ!!」

軍人らしくない、たるんでる・・・アントワープの片眉がピクッと吊り上る。ひとつ大きな咳払いをしてから、ゆっくりと自分を落ち着かせるように大きく息を吐く「・・・・・・そちらの通信機能が回復したのはわかってもらえたようですが、先ほどからの当方の質問に答えてはもらえませんか?」
「あ、すみません、えっと・・・・・中佐殿!自分は国連太平洋方面第11軍練馬基地所属A-01連隊デリング中隊(第7中隊)の鳴海孝之少尉であります!」
「同じく平慎二少尉であります!」ソリヴィジョンに映った二人は揃って敬礼しながら応える。
「・・・・国連ですって?内惑星連合というならまだわかりますけど、そんな組織いつ出来たのですか?」アントワープは聞いた事のない組織名に混乱を覚えた。

「へ?あ、すみません、えっと第二次世界大戦が終わった1944年に出来たって習いました。??って内惑星連合って何ですか??あれ?中佐殿はEU連合軍なのかと思っていましたけど違うのですか??」
「第二次世界大戦?エレミア戦役ではなくて?1944年?それでは未来から来たことになるじゃないの?当方の暦では・・・・今はエレミア歴1033年ですよ。そして私達は貴官の言っているEU連合軍?などではありません。先ほども言ったようにオルキス統合軍です。」アントワープは頭を抱えた。
「エレミア歴??1033年?!・・・・・中佐殿、自分には何が何だか全くわかりません・・・・。」孝之がうなだれる。
「ナルミ少尉、それはこちらも同じ。貴官が狂言を行っていないのでしたら・・・ですけど。」ヤレヤレという表情でアントワープが応える。

オルフェーリア艦橋―ダイスケ

アントワープがデータベースに記録の無いスクワイエルっぽい人型兵器な何かを2機捕獲し、国連軍所属などと意味不明な言動をしている怪しいパイロットを2名保護したという連絡が入った。
思わずタケルちゃんと目が合って、彼も同じことを思ったみたいだ。
「いきなりフラグ立ったか?」勢いで思わず言ってしまった。
タケルちゃんも「たぶん、そうだと思うんですよね。」
よし、ここは司令にお願いしてパイロット達(衛士かな?)を情報部預かりにしてもらおう。
そしてディーに調査や尋問の必要があるので彼らを預かりたいということを説いたら、すぐにOKをもらえた。
さっそく通信を飛ばす―――――――
「アントワープ中佐、艦隊情報部のカミナガ中佐です。情報部要請で申し訳ありませんが、今中佐が尋問されている二人を至急オルフェーリアまで連行願いますか?」
「あ、カミナガ中佐!情報部要請ですって?・・・なるほど、連中は何か機密に抵触しているという事ですか?」
「それはまだこちらでヒアリングをしてみないと何とも言えません。もし手一杯でしたら、配下の中隊を迎えにやりますが?」隣に立っているタケルちゃんを見やりながら確認してみた。
「いや、その必要はありません。輸送隊随伴の警備中隊に護送させます。この状況では護衛に4個中隊は必要無さそうですからね。」
「了解しました!ご協力感謝いたします!」あざっす!
「ええ、貸しひとつね!この作戦が終わったらまた模擬戦、付き合ってくれればそれでいいわ!」アントワープは満面の笑みだ。うわー(汗
致し方あるまい・・・「了解しました!」

「あ、そうそうシロガネ中尉もね!」アントワープは俺の脇に立っているタケルちゃんにウインクしながらそう言って通信を切った。
「うげ、マジかよ・・・・・あの人のタフさハンパないんすよね。」タケルちゃんが、ウンザリの表情でそうつぶやいた。
「アントワープ中佐の実力は折り紙つきだからな。そして常に周囲の者たちの錬度も上げようと考えているのだろう。君たちも良い訓練になっているのではないかな?」ディーがニコニコしながら俺たちに話しかけてきた。
「・・・・そ、そうですね!」いちおうそう応えたけど、あれは単なる脳筋だけどな!楽しんでいるだけだって、絶対!いや、ほんとに。

ロドリグ地上―アントワープ

「ナルミ少尉!事情を調べる必要があるので、どちらにしても、一旦後方に下がってもらいます。その後機を降りて、精密検査、精神鑑定、取り調べという流れになると思います。貴官らが本当の事を包み隠さず話せばすぐに楽になりますからね。心配は無用です。軍務規定という事もありますが、状況からすると、やむを得ない判断だと思って従ってもらいます。」

「は、はい・・・・。」孝之は慎二へ秘匿回線をつなげる。「慎二どうする??」問われた慎二も焦燥しきった表情だったが、やがて腹を括ったらしく「って言ったって、もう囲まれてるし、逃げようもないから従うしかないんじゃないか?」「そうだな・・・・。」
「会話の邪魔をしてごめんなさいね、これは秘匿回線のつもりかと思いますけど、全て丸聞こえですよ。まぁ、指示に従ってもらえるようですので、手間が省けます。警備班ディーツ中隊!この2機をオルフェーリアへ護送してください!CPへは通達しておきます。」
アントワープは随伴している補給大隊の警備中隊へ指示をする。
「ディーツ01了解!」ディーツ中尉は短く返答して、部下へは2機の不知火の両肩を掴んで運ぶよう命じた。
それを見届けてから、「では、ロアーヌ連隊全機!続け!このまま戦線を押し上げてさっさとあの薄気味悪い生物を掃除するよ!」全周囲警戒しながら待機していた連隊全機に告げる。「「「「「ラジャー」」」」」
次々とジグレータMk.4が飛び立ち、編隊を組んでハイヴへ向かって行く。

そして――――――――孝之の不知火は両肩を掴まれて運ばれている最中、網膜投影越しに見える緑の森や山々を眺めていた。
「なぁ慎二、ここはいったいどこだ?こんな広い森や山なんて横浜周辺には無かったぞ?」
「あぁ、そうだな。ほんとうに訳がわからないよ。」二人そろって困惑してうなだれる。

「ヨコハマってどこの事だ?ここはロドリグ星の首都であるガザノヴァ近郊だよ。試みに訊くが、貴官らはどこの惑星出身だい?」護送している中隊の隊長であるディーツ中尉が尋ねる。
「ロドリグ星???はい、中尉殿、もちろん地球であります・・・・・って地球以外に有人惑星なんて無い・・・・・と思っていました。地球以外の惑星にはBETAがはびこっているって聞いてましたし・・・。中尉殿は地球人ではないのですか?」
「地球?どこの星系惑星の事かな?少なくともこのエレミア星系には存在しない名前だな。私はオルキス人だ。ディーバという辺境の街の出身だ。」
「ん―――――ますます混乱してきた・・・・。いつの間に俺たちは地球を飛び出しちまったんだ???」
「たぶん、あのどす黒い爆発だろうな。それしか考えられない。」慎二が神妙な顔つきで応える。

「そういえば貴官らは、“BETAがはびこっている”と言っていたが、それはもしかしてあの異形の怪物の事なのか?貴官らの軍ではそう呼んでいるのか?」
「はい、中尉殿。自分たちはあいつらと30年近く戦争をしています。その30年で地球人類の人口は50億人から10億人にまで減少し、地表の約60%を占領されてしまいました。」

一惑星に50億人もいたのか・・・エレミア星系の3分の1に匹敵するな。しかし30年で損耗率75%とはな・・・。その割合で行くとあと10年で地球星の住民は滅亡してしまう計算になるな。あの異形の生物どもは想像以上にやっかいだな・・・。
「ん?そろそろオルフェーリアが見えてくる頃だ。」
「!でかい!?しかも浮いている?!空中要塞??」孝之は驚いた。慎二はあんぐりと口を開けて呆けている。
「・・・・少尉、あれは要塞なんかではなく、BB(バトルシップ)だ。そもそも貴官らはこの星までどうやって来たのだ??」
「戦艦ですか?!すげー!再突入型駆逐艦よりかなりデカいですね。」
駆逐艦に乗って来た?再突入?いや、それよりもほんとうにコイツらは何者なのだろう?・・・・ディーツは、オルフェーリアを見てはしゃいでいる孝之を見て何とも言えない自分たちとは違う異質なものを感じていた。

そして機動第1艦隊旗艦オルフェーリアが眼前にせまる。
「よし!着艦するぞ。全機着艦体制に入れ!」そして12機のジクレータと2機の不知火はオルフェーリアの下部艦載機発進ポートへ入って行った。
 
 

 
後書き
さて連行された二人はどうなるのでしょう。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧