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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十話 巨大な模型その五

「凄く頑張ってる先輩がいて」
「その人を見てなの」
「思ったんだ」
 その努力でその人が日に日に凄くなっていっているのを見てだ。
「その人部活も勉強も頑張ってて」
「どっちもなの」
「それで凄くいい人でね」
 人格的にも尊敬出来る人だった、本当に。
「その努力自体が大事だって思ったんだ」
「磨かれるってころね」 
 香織さんが言った、ここでまた。
「つまり」
「人間としてね」
「だから努力自体が大事ね」
「そういうことだろうね」
 考えてみればだ、切磋琢磨という言葉もあるけれど人間は努力してそのことからも次第に磨かれていくものだ。
「目標にする人を目指すその中でね」
「努力する」
「そのこと自体もいいことなのね」
「目指す人になれなくても」
 例えそうなれなくてもだ。
「努力してれば磨かれるからね」
「その努力自体が大事」
「人にとっては」
「そう、自分を時々でも振り返って」
 そうしてとだ、僕は思う。
「自分は、自分達は正しいことをしていると思ってる奴なんて」
「そんな努力もしない」
「それで駄目になるだけ」
「もっとも最初から駄目な奴だけれど」
「もっと駄目になるのね」
「そうだよ、本当にそんな奴は努力もしないし」
 そんな奴がする筈がない、正しいこれでいいと盲信していてそこから何かしようもっと立派になろうと思わないものだと思う。
「同じ様な奴とばかり付き合ってね」
「駄目になっていく、さらに」
「そして悪い風になるばかり」
「悪い奴が悪い奴と付き合って」
「そうなっていくのね」
「何ていうかね、自分達が暴走することもあるけれど正しいことをしているなんてね」 
 それこそだ。
「馬鹿な奴が思うことだよ」
「この人達はそんなことはね」
「負けるとわかっていてもだよ」 
 また軍服を見た、主が散華したその軍服を。
「例えね」
「それでも日本の為に命を捧げた」
「そうした人達なのね」
「そうだと思うよ、そんな連中とは違うよ」
 間違ってもだ。
「こうした人達になりたいしなろうって努力しないとね」
「それこそね」
「真面目にね」
「正しいって思うのはいいよ、けれど盲信したら」
 ましてや暴走してもいいとか思うとだ。
「やっぱり駄目でね、理想は高くかな」
「ううん、何かね」
「人って奇麗にもなれて醜くもなれる」
「ここに来てそういうことまでね」
「見られるなんてね」
「うん、あまりにも奇麗なものを見たら」
 それが人の心でもだ。
「かえって醜いものを意識したりするよね」
「時としてね」
「そうなるっていうのね」
「そうだね、けれどね」
 また言った僕だった。
「よくこんなことが出来たよ、自分から命を捧げることなんてね」
「特攻ね」
「神風特攻隊にしてもね」
「全てを捧げて死んだんだね」 
 自分自身の命、それ自体をだ。 
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