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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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両者の策

 
前書き
ハロウィンネタを考えてたのにもはやハロウィンにすら投稿できないという凡ミス・・・ら・・・来年にお預けだな(^^;

氷「来年まで覚えてないだろ」
変態「そもそもそこまでの話でもないと思う」 

 
カチッ

「え?」
「ソフィア固まった?」

突然すべての動作が停止したロボットのように動かなくなるソフィア。それから10秒ほど経つと、体の硬直が解けたようでゆっくりと動き始める。

「大丈夫?ソフィア」
「うん。なんとか・・・」

ウェンディが少女の体調を心配するが、別段顔色が悪いわけでもなく、特に影響は無さそうだ。

「ソフィア、スペルを当てられた感じ?」
「うん。もう移動できないみたい」

何度か瞬間場移動を試してみるが、やはり能力を封印されたようでこれ以上の使用はできないようだ。

「これってまずい?」
「どうかな?」

敵はこちらの居場所を知っているけど、こっちはどこら辺にいるのかイマイチ把握できてない。となるといつ襲われてもおかしくないから不利なような気もするけど、実際はそうでもない気がする。
その理由はこちらも待ち構える準備をすることができるからだ。しっかり準備さえできれば、向こうが攻めてきてもなんとか対応することができる。

「でもなんでこんなに早くソフィアのスペルが当てられたのかな?」
「そういえば・・・」

これからどう作戦を立てていこうかとしたところで、シェリアからもっともなことを言われてそちらに思考を傾ける。たぶん向こうはこちらが瞬間移動をできる能力を持っているのはわかっていたはず。だけど、ソフィアがいなくなってからそう時間は経っていなかった。なのに正解を当てられたということは・・・

「相手にスペルを見破る能力を持ってる人がいるってこと?」

相手の誰かがこちらのスペルを見破るスペルを持っていて、ソフィアのスペルが見えたから早々に当てられた。とも考えたけど、やっぱり違う気がする。

「それだとウェンディが無事だった理由がわからないか・・・」

もし相手に能力看破系のスペルを使う人がいたら、敵に真っ正面から向かっていったウェンディが先に硬直させられるはず。でも、それがなかったということはどういうことなんだろうか?

「あのスペルなら透視するスペルからも逃れられるってことなんじゃないの?」
「なるほど!!」

シェリアの言うことにも一理ある。つまり、向こうの誰かしらが使用してくるスペル看破の能力から、俺とウェンディは逃れることができるってことか。

「たぶんその能力・・・カグラさんが持ってると思うよ」

すると、なんとソフィアはその能力を持ってる人の目星がついているらしい・・・けど、なんで?

「カグラさんがウェンディのことずっと見てたから、スペルを透視しようとしてたんじゃないかなっと思って」

すぐ近くで見ていたからこそ得ることができた情報。これはおそらく信じていい情報だろう。

「他には誰がどんな能力かってわかる?」
「トビーさんは身体能力強化で、ユウカさんは何も変化なかったと思うけど・・・」

たぶんユウカさんがシェリアと文字が被った人なんだ。それだと説明がつくし、全員の能力が判明したことになる。

「でもスペルを透視なんてされたらヤバイよね?」
「そうかな?シリルとウェンディは大丈夫だし、ソフィアも当てられてるから心配ないし、シェリアはそもそも発動できてないから・・・」

そこまでソフィアが言うと、全員の視線が自然ととある人物へと集められた。彼もそれはよくわかっていたようで、どうしようかと首をかしげている。

「レオンのスペルは封じられても影響はないけど」
「あればすごく有利になれるよね」

レオンのスペルにはちょっとだけある仕掛けを隠してある。それを発動すれば負けにくくなるし、うまくいけば一気に勝負を決めることができるかも。だけど、カグラさんに彼の能力を言い当てられると非常に困ってしまう。なんとかできないものだろうか?

「レオンだけ隠れててもらう?」
「えぇ!!レオンにはいてもらった方がいいよぉ!!」

いかにしてレオンをカグラさんの魔の手から守るかを検討してみるが、いい方法が思い付かない。どうしようかと困り果てていると、ある名案が頭の中をよぎった。

「そうだ!!これならいけるかも!!」



















カグラside

「本当にこっちで合っているのか?」
「あぁ。大丈夫だ」

先程のレオンの絶叫を頼りに敵の捜索を進めている私たち。しかし、元々距離がかなり離れていたようで、シリルたちの姿がどこにも見当たらない。なので、先頭を進むリオンが道を間違えているのではないかとも考えたが、彼は何やら確信があるらしく足取りを一切緩めない。

(信じるしかないか)

私とトビー、そしてユウカはあまりにも急な叫びだったために声の位置を特定できなかった。そのため、今は彼の推測を頼りに敵を探すしか方法がない。

「リオン、そもそもシェリアたちが移動してるってことはないのか?」
「それはない。絶対にな」

私たちが攻めてくることは向こうも重々把握しているはず。それならば一度元の位置から離れるのが筋だと思うが、リオンいわくそれはありえないらしい。

「なぜだ?」
「あいつらは俺たちがいた場所をちゃんとはわかっていないはずだ。その状況で適当に動いて偶然遭遇するより、今いる場所で対策を練って待ち構えた方が利口だ」

言われてみると納得できるな。準備さえきちんとできれば、よほどの奇襲さえ仕掛けられない限りはやられることはまずないだろう。

「だけどよぉ、それならこっちも準備してから行くべきだったんじゃないか?」
「心配するな。数は向こうが有利だが、レオンもそんなに動けないし、何よりトビーが圧倒的に強化されている。油断さえしなければ今のままでも十分勝てるさ」

心配するユウカを落ち着けるように自信の根拠を語っていく氷の造形魔導士。こいつは本当に頭が回るな。私と戦った時も、ジュビアにうつつを抜かしていなければもっといい勝負になったんじゃないか?

「さて、そろそろ奴等のところに着くはずだ。気を引き閉めておけ」

声の聞こえた方向、大きさからおおよその位置を把握しているリオンがそう告げる。それを聞き、私たちの背筋がピンッと伸びる。

「シリルかシェリア、もしくはレオンのスペルをコールすればいいんだな?」
「そうだが・・・ギリギリまで耐えた方がいいかもしれんな」

相手の有効なスペルはおそらく二つはあるはず。それを誰が持っているかわかったらすぐに無効化しようと考えたが、リオンがなぜかそんなことを言う。その理由が一瞬わからなかったが、すぐに理解することができた。

「戦闘中に接近したタイミングで・・・か」
「あぁ」

相手が攻撃を仕掛けるために接近し、他のメンバーからの援護ができないタイミングでコールしてやれば、そいつを簡単に退場させることができる。それがシリルやレオンならなおさらだ。

「奴等に会ったら最初にスペルを全員に教えてくれ。いつでも硬直させれるようにな」
「わかった」

誰がピンチになっても一発逆転のチャンスを掴むことができる。ソフィアたちはそんなスペルを持っているのだろうか?
もし持っていないのなら、この勝負は私たちの勝ちだ。

「この角を曲がったところにいるはずだ」

ついに敵陣の目の前までやって来た。私はスペルのイメージを最大限に広げ、すぐに相手のスペルを看破できるようにしておく。

「準備はいいか?カグラ」
「あぁ」
「よし、行くぞ」

敵の死角になる場所からリオン、トビーを前衛に、後方にはユウカが奇襲に対応できるように並んでプレーヤーである私に攻撃できないようになっている。
万全の体制で直接対決へと臨んだ私たち。そして、敵の姿が完全に見えたと思った瞬間・・・

ビュッ

風を切り裂くような速度でトビーが何かに連れ去られていった。

「「「!?」」」

思わず振り向きその姿を確認しようとしたが、圧倒的な速度で移動していたそれはすでにどこにも姿がなくなっている。

「ハッ!!」

あまりのことに呆然と立ち尽くしていたが、ここは戦場。すぐに後ろに敵がいることを思い出し振り向く。

「天神の北風(ボレアス)!!」

振り向いたすぐ目の前には黒い風を右手に纏わせそれを振るう少女がおり、慌てて倒れるようにして攻撃から逃げる。

「なっ・・・」

だが、私の後衛として配置されていたユウカは魔法を放とうとする少女の声でようやく気付き、反応が遅れて回避することができなかった。

バキッ

その直後、響き渡る何かが割れる音。それは、ここに来る前にも一度聞いたことがあったため、私たちは思わず顔を歪めた。

『ユウカ選手!!弱点部位へのダメージにより退場です!!』
「すまねぇ、リオン、カグラ」

謝罪の言葉を残しフィールド外へと転送されるユウカ。彼に攻撃を加えた人物に視線を向けると、そこには四人の少女がこちらを真剣な眼差しで見据えていた。

「やはりあれはレオンだったか・・・」

苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている氷の魔導士。目の前にいるのはソフィア、シリル、ウェンディ、シェリアと女の子たちしかいないことから、さっきトビーを連れ去っていったのがレオンだったことがわかる。

「今カグラさんすごい失礼なことを考えてませんでした?」
「??いや、そんなことはないが」

敵プレーヤーである少女が異様なまでに不機嫌そうな目をしてこちらを睨んでいるが、彼女の言っていることの意味がわからない。別にこいつをバカにするようなことをいった記憶はないんだが・・・

「カグラ、奴等のスペルは?」

一人考え事をしていると、隣に立つ青年からそう声をかけられる。

「待て、今見る」

私のスペルが発動するのはソフィアの件で実証済。なので、この中の誰がどんなスペルを持っているのかを確認しようとする。

「!?」

しかし、透視してみてあることが判明し、動揺を隠せない。

「誰もスペルを持っていない?」
「何!?」

能力を封印したソフィアと先程透視できなかったウェンディはもちろん、シリルとシェリアのスペルも見えない。

(ウェンディは特殊なスペルだから見てないのだろうが、シリルとシェリアは?まさか、ユウカと二人が被ったのか?)

最低でも一人のスペルは封じていることになるため、透視できないのはわかるが、二人とも被るなんてことがあるのか?いや、なくはないのだろうが、そんなスペルをプレーヤーであるシリルに持たせるか?

「まさか、シリルもウェンディのような特殊なスペルを持っているのか?」
「そう考えた方がいいかもしれんな」

これでウェンディがあそこまでの強いスペルを持っていた理由が判明した。シリルが同等のスペルを持っているのなら、彼女にも同レベルのスペルを持たせていてもおかしくはない。

(ただ、側近ならレオンの方が向いていると思うんだがな・・・)

二人は幼馴染みだという話だし、コンビネーションを考慮して彼女たちに強いスペルを持たせたと考えられるが、普通はレオンに持たせるんじゃないか?その方が護衛としての効力は強そうだし。

「しかし、スペルがわからん以上、実力で戦うしかないな」
「そうだな」

リオンのスペルは十中八九当てられることはない。私のスペルが少々不安だが、それでもここは戦うしかあるまい。

「レオンはトビーでなんとかできるだろう。俺たちはこいつらだけに集中だ」
「わかっている」

能力を強化しているトビーを今のレオンが止められるとは思えない。だが、仮にトビーが勝ってもここまで戻ってこれるとは限らない。こちらは二人で相手は四人・・・数的には不利だが、行くしかなかろう。

「遅れるなよ、リオン」
「わかっているさ」

鞘から刀を抜刀し、目の前の少女たちへと構える。しかし、隣に男がいるというのは、なんともやりにくいところがあるな・・・










シリルside

「あれ?カグラさんマジ?」
「不倶戴天抜刀したね」

鋭い視線でこちらを見据える二人の人物のうち、女性の方を見て思わず冷や汗が流れる。バトルとは言っても一応お祭りだし、抜刀することはないと思ってたんだけど、そんな甘い考えじゃいけなかったみたいだ。

「でも、スペルは見られなかったみたいだね」
「うん。そうみたい」

相手に気付かれないように小声で、さらには口元を隠しながら第一段階を乗り切ったことに安堵する。ソフィアから聞いた通りカグラさんがこちらをじっと見てたから、彼女がこちらのスペルを見破る能力を持っているんだろうけど・・・今回は相性が悪かったね。

「でも、安心してたらいけないよね」
「そうだね」

不意打ちでユウカさんを倒したとはいえ、相手は実力者二人・・・こちらは四人いるから数的には有利だけど、おそらく力自体は均衡していると思う。

「私とシリルのスペルが有効なうちなら大丈夫なはず・・・」
「はずじゃないよ。絶対大丈夫」

いくらリオンさんたちでもこのスペルを当てることは困難なはず。でも、長く戦えば戦うほど、敵に感付かれる可能性があることも確か・・・

「(決めるなら今が最大のチャンス!!)ここでカグラさんを仕留めるよ!!」
「「「オッケー!!」」」

最大の勝機を絶対に逃さない。決勝戦最終ゲーム、最大の山場が訪れた。









 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
ミリアーナに続きユウカも退場です。次からは四人の少女たちと二人の実力者の戦いがメインになると思います。

「少女じゃねぇよ!!」

なんかどっかから声が聞こえたけど・・・気のせいかな?あとレオンとリオンは女の子たちに囲まれてるシーンが多くて羨ましい・・・ 
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