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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十七話 帝国海軍その十二

「他の国にはないわ」
「他の国では、ですわね」
「それぞれの軍の士官学校を出て配属よ」
 すぐにそうなるというのだ。
「第二とかないの」
「そうですのね」
「というか」
 テレサさんは考える顔でこうも言った。
「そこでも四年いるの?」
「いえ、一年ですわ」
「候補生学校には」
「そうですわ」
 まさにというのだ。
「一年ですの」
「そうなの、四年じゃなくて」
「その一年の後半年遠洋航海ですわ」
 それに出るのだ、世界を一周する。
「ですから相当長いですわね」
「大学より長いわね」 
 その一年半も入れてだ、テレサさんも言う。
「というか大学院並じゃない」
「ですわね」
「それだけ長く教育受けたら」
 それこそとだ、テレサさんはまた言った。
「かなり軍人として立派になりそうね」
「私もそう思いますわ」
「そうよね、自衛隊は規律正しいっていうけれど」
「そのこともありますわね」
「そうね、いや本当に」
「本当にとは」
「私もそんなところに入ったら」
 自分に当てはめての言葉だった。
「軍人になるかしら」
「自衛官ですわね」
「うん、軍人にしか思えないけれど」
 それでもという返事だった、どうもこの辺り複雑な事情だった。
「自衛官ね」
「はい、そうですわ」
「立派な自衛官になるのかしら」
「五年半いますと」
「その間教育を受けたら」
 それこそというのだ。
「人間が変わるわね」
「実際に防衛大学で一般人から自衛官になった方が殆どですわ」
「本当に変わるのね」
「そうですの」
「成程、やっぱりね」
「ではテレサさんも」
「いや、私が入るのはフィリピン軍でしょ」 
 フィリピン人だからだ、軍人だからこのことは当然のことだ。
「そうでしょ」
「はい、確かに」
「だったらフィリピン軍人になるわね」
「そうなりますわね」
「まあ私は軍人になるつもりはないけれどね」
「そうですね、テレサさんは軍人向きではありませんわね」
 このことは円香さんが見てもだった、それにだ。
 僕もだ、こうテレサさんに言った。
「確かにテレサさんはね」
「軍人向きじゃないでしょ」
「というか生粋のメイドさんで」
「ええ、将来はメイド喫茶の経営者を考えてるわ」
 若しくはそういったタイプのお仕事をというのだ。
「そうね」
「それじゃあ」
「ええ、軍人には興味はないわ」
 最近はどの国でも女性の軍人さんがいるがだ。
「メイドよ、私はね」
「そうだよね」
「その私でも軍に入ったら」
「その時はやっぱり変わるよ」
「軍人に」
「五年半みっちりと教育を受けたらね」
 僕もこう言った、かく言う僕もそうだと思う。
「そうなるよ」
「そうよね」
「しかしね」
 ここでだ、僕はあらためて言った。 
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