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嘘をつくから

作者:夢叶
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隅でいいから

空は、見えなくなるほど暗い
部屋は、痛くなるほど明るい

暗い場所にいれば、私は明るさを求めて誰かに会う
明るい場所にいれば、私は暗さを求めて隅にうずくまる

自分の部屋のはずなのに、いつも隅の方にいってしまうのはどうしてなのだろう
椅子に座ればいいのに
クッションをもって来ればいいのに

わざわざ選ぶのはどうしてなのだろう

多くの人がいれば、真ん中に行って
一人になれば端に行く

ああ、そうか
誰もいない広い場所が、私は怖いんだ

自分の周りに人がいないことが、怖くて仕方ないんだ

だから隅によって
誰もいないんじゃない、私しかいれないんだって思わせているんだ

弱い弱い、弱い私だ

ああ、休日は怖い
知らない人ばかりの世界に、一人で出かけるなんて

ああ、電車は怖い
こんなにもたくさんの知らない人の中に、入っていかなければならないなんて

ああ、レストランは怖い
楽しそうな知らない人に、食べてるところを見られるなんて

怖い怖い
生きていくことが

誰もそばにいてくれなくなったらどうしよう

ずっと隅にいればいいのだろうか

そこが私の居場所になってくれるのか

私が隅にいるとき、誰か一緒に隅にいてくれないだろうか

そこまでして一緒にいたいと思われるような、人間なのだろうか私は

ああ、怖い怖い
怖いのに、明日も真ん中に行こうとしてしまう自分が怖い

どうか誰か、私と一緒に

隅にいてくれや、しないだろうか 
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