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嘘をつくから

作者:夢叶
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要らないならもう

今私はこうやって、夜を過ごしている
何年か前の私は、泣きながら、こんなの望んでないのと言う
でも、その子は間違いなく私だから、抱きしめることもできない
その時の私は、そういう事を嫌がるから

塾に行き始めたころの私だった
どれだけ教えてもらっても、次の日になると解けなくなった
恥ずかしい、と私は泣き止まない
一人でプリントの問題を解こうとすると、最初に何をすればいいのかが
分からなかった
逃げ出したい気持ちと、解けない口惜しさと、やめられない使命感から
足元からぞわぞわと、崩れそうになっていた

中学校、いけるかな

あぁそうだ、死にたくなるほど不安だった
明日が来るのを、初めて怖いと思った夜の私を今、見ているのだ
眠ったら、今日覚えたことがまたわからなくなってしまう

でも、お母さんがちゃんと復習すればできるって言うから

母にできないことを話すと、叱られた
皆より遅れているのだから、ここで頑張らなくちゃ
小さい私は、それを信じる事しかできなかった
私は何もできない
自分を、いい子だと思っちゃいけない
頭が悪くて、努力もできなくて、遊んでいていいわけがなくて

この時の私を見ていると、今の私も泣く
どうして誰にも助けてもらわなかったの
あぁ、そうかこのとき覚えちゃったのね、
自分が誰かの邪魔で、助けてもらえるはずなんてない
そういう考え方
まだ、小学生なのに
いらない事ばかり頭に残って、そいつらが居座るから
この小さい頭にはほかの事が入らない

昔の私を、今の私は簡単に救える
どうしてほしかったのかを、私は覚えているから 
絶対的な味方が表れて、自分の代わりに闘う
受験とも、お母さんとも
そして、私に勉強を教えてくれる
その人は完璧だから、その人に教えてもらえば、忘れない

私が、それになってしまえば、この時の私は、明日を怖がらなくなる
今手を伸ばして、引っ張ってしまえば

私は、消えた
また、私は私を、救えなかった
手を伸ばそうとするたび、今の私は何かに、後ろに引かれる

それは、未来の私

その私と、あなたがいなくちゃあ、この私は、今日死んでしまうわ
今の私と少しも変わらない

それは、明日の私
 
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