FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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ほら!!柔らかいでしょ!?
前書き
前半はゆるゆると、後半はビシッと攻めるをテーマに作ってみた今回のお話。
安定の百合要素やらBL要素が盛り込まれてますので、苦手は方はご注意ください。
「オオーン!!やったぞぉ!!」
ゲームが終了したことにより、魔法で具現化されていたボックスが姿を消すと、中央の一つから高々と両手を上げて歓喜しているトビーが姿を現した。
「よくやった、トビー」
「まぁまぁだったな」
彼のもとに歩み寄る四つの影。その中で中心的人物である二人が、見事に勝利を掴み取った彼に声をかけている。
「まぁまぁってなんだよ!!」
「キレんなよ。てかなんだよあの回答」
カグラが素直に褒めてくれないので例によってキレるトビーだったが、そんな彼に的確に突っ込みをユウカが入れると、頭をポリポリと掻いて恥ずかしそうにしていた。
「腕に書いてあったから書いたんだよ!!」
「なんで今のでキレるんだよ」
トビーは右腕になぜか“さしみ”と書いてある。それがタトゥーなのかペンで書いたものかはわからないが、誰の目から見ても確かに書いてあることだけはわかる。サブのメンバーは皆勘違いしていたが、お題はあくまでも《大切なもの》。トビーは腕に書いてあるこの文字が大切なものだったらしく、そう書いていたらしい。
「ミャア・・・ごめんトビー・・・」
「オオーン?」
和気藹々としている雰囲気の中、一人だけ浮かない顔で頭の耳をシュンッとさせている人物がいた。彼女は顔をうつ向けたまま、トビーにか細い声で謝罪する。
「私・・・共感できる方で“仲間”の方に入れちゃった・・・」
ミリアーナは他のサブが気付いていたゲームの本質に一人だけ気付けていなかった。そのため、当初のルール説明通り、より共感できる方へと投票してしまったのだ。
「なんでそっちなんだよ!!」
「キレんなよ」
「ごめんなさい・・・」
尻尾まで萎れてしまっているミリアーナは申し訳なさそうに頭を下げる。しかし、リオンもカグラも、ルール通りだったら間違いなくシェリアの方に票を投じてしまっていたので、トビーに怒鳴られる彼女に同情していた。
「ミリアーナが向こうで他がこっちに投票した・・・ということは」
「相手チームに二人、こっち側に投票した奴がいるってことか」
自分たちから距離をおいているちびっ子たちの方に視線を向けるリオンとカグラ。彼らの視界に、一生懸命に頭を下げている二人の人物が見え、誰が誤った投票をしたのかすぐに判断することができた。
シリルside
「「大変申し訳ありませんでした!!」」
膝をつき、地面に額を擦り付けてビッグテールの少女に謝罪している。その隣で同様の体勢でいるのは、ポニーテールに髪型をいつの間にか変えている銀髪の少女だ。
「二人とも!!大丈夫だから!!頭上げて!!」
広場の真ん中でやっているだけに観客たちから物凄い視線を感じているのがわかる。だからシェリアも頭を上げるようにいうのだが、一度下げてしまった手前、上げるに上げられないのだ。
「一応聞くけど・・・なんで刺身にいれたんだ?」
いつまでも頭をあげない俺たちにレオンが優しく声をかけてくれる。なのでそのタイミングで顔を上げると、自分がトビーさんが選んだ方に入れてしまった理由を話す。
「宝物が刺身なんて・・・いくらトビーさんでも答えないと思って・・・」
「シェリアなら普通は愛って答えると思ってたから・・・」
正座したまま顔を俯けつつ理由を静かな声で言う。それを聞いた三人は、わからなくはないといった顔をしているので少しだけ頬を緩めてたりする。
「トビーさんの答えが不思議だったから仕方ないよ!!ね?」
「うん!!だから二人とも気にしないで!!」
ウェンディが慰めようとしてくれ、シェリアもそれに同意する。しかし、本当に申し訳ないことをしてしまった・・・3対5ということは、向こうで一人こちら側に投票していたんだから、悩まずに最初の考えを通していれば勝てていたのに・・・
「本当にごめんね!!シェリア!!」
「わかったから!!抱き付かないで!!」
申し訳なさを出そうとしているのか、はたまた単にセクハラしたいだけなのかはわからないが、シェリアに抱きついてシクシクと涙を見せているソフィア。しかし、それはシェリアにとっては迷惑以外の何物でもないため、引き離そうと躍起になっていた。
「あ!!そうだ!!」
わずかに目から涙がこぼれかけたところで、ソフィアの表情がパッと明るくなった。何かを閃いた彼女は、シェリアの手を取るととんでもない行動に出る。
「これで許して。ね?」
そう言って少女は、自分と同い年である少女の手を自らの胸へと押し当てた。
「「「「!?」」」」
これにはもちろん全員が驚いた。周りを囲って観戦している観客たちもにわかに騒ぎ出したところを見ると、この行動に注目が集まっていることを理解することができる。
「ちょっと!!ソフィアやめてよ!!」
「ダメ!!これぐらいしないと許してもらえないもん!!」
シェリアの手を掴む手にさらに力を入れて絶対に離れないようにしているソフィアだったが、こちらから見ている分にはその必要はないと思う。なぜなら少女は口ではやめてと言ってるが、実際には自分よりもわずかながらに大きなそれを優しく揉んでいるからだ。
「そ・・・ソフィア!!ダメだよそんなの!!」
顔を赤らめ二人の戯れを止めようとするウェンディ。しかし、彼女が二人に近寄ると、アワアワとしていた手をガッチリと掴まれ・・・
「ウェンディもいいよ」
シェリアの手がある方とは逆の胸にその手を押し当てた。
「きゃああああああああ!!」
止めようとしていたのにあっさりと巻き込まれたことに驚いて悲鳴をあげている。いつもは彼女から触られて悲鳴をあげるのに、今日は触って悲鳴をあげるというなんとも不思議な現象が起きており、どうすればいいのか頭が追い付かない。
「ほら!!柔らかいでしょ!?」
「た・・・確かに・・・」
「お・・・大きい・・・」
楽しそうに自身の胸を触らせるソフィアと照れながらそれを揉んでいるシェリアとウェンディ。最初は戸惑っていた彼女たちも、いつしか少女の柔らかなそれに少し興奮気味になっていた。
「お前は許しを乞わなくていいのか?」
華やかな光景を前に目のやり場に困っていると、後ろからレオンがそんなことを言ってくる。
「やった方がいいかな?」
「さぁ?あれはソフィアの自己満な気がするけど」
実際あそこまでのことをする必要があるのかと疑問になっているが、一人があれをやっていてもう一人がやらないのはそれはそれで心苦しい。
「仕方ない・・・」
ソフィアのせいで俺まで巻き込まれるのは納得いかないが、ミスしたのは俺なのだから文句は言えない。そう思いながら、俺はレオンの手を取り自分のお尻に回させる。
「!?」
その行動に少年の顔が驚愕の物へと変わった。俺もなぜよりによって少年の手を取ったのか今考えるとわからないが、ここまで来て後には引けないのでそのまま押し通すことにする。
「こ・・・これで許してくれる?」
少し背の高い少年を見上げながら許しを乞う。それを見た少年は意味不明なものを見るような目で見ているのに気付き、ちょっとずつ正気に戻ってきた俺は恥ずかしさで顔を赤くしていた。
「「「レオン!!」」」
すると、女の子だけで群れていた三人の少女が一斉に怒声をあげると、俺とレオンの間に割って入り、それぞれの幼馴染みに肩を掴まれる。
「レオン!!なんで!?なんであたしじゃなくてシリルなの!?」
「シリル!!レオンにお尻触らせるなんて何してるの!?」
首がガクガクとなるほどに揺らしてくる天空の神と竜。それにより気持ち悪くなりつつあるが、二人の剣幕があまりにも恐ろしくて止めるに止められない。
「レオン!!あたしの方が柔らかいよ!!ほら!!」
何を血迷ったのか、自分の胸を鷲掴みにさせている天神。それにはさすがのレオンも大慌て。急いで手を離そうとする。
「おい!!やめろシェリア!!」
「やだ!!シリルじゃなくてあたしの方がいいよ!!」
普通に考えればレオンの方が力が強いはずなのに、なぜか少女の手を引き離せない。積極的すぎるシェリアとあたふたするレオンの構図が面白くて、一人ニヤニヤとその姿を見ている。
「レオンにお尻触らせて何ニヤニヤしてるの!!」
「M!?シリルはやっぱりMだったの!?」
その表情を勘違いしているウェンディとソフィアが一歩迫ってくる。その圧力に押されて一歩下がるが、彼女たちが詰め寄ってくるから距離が開くことはない。
「レオンじゃなくてソフィアに触らせてよ!!」
「ぎゃあ!!」
抱き付くようにお尻に手を回してくるソフィアに悲鳴のような声が出る。元はといえばこいつがあんなことのが原因なんだが、こいつはそんなことを気にすることなくお尻を揉みしだいてくる。
「ダメ!!シリルは私の!!私のなの!!」
下半身にしがみつく少女と同じようにお尻に抱き付くウェンディ。二人が下半身にしがみついている格好なため、どうしても動くことができない。しかも二人とも女の子だから、力つくで引き剥がすのも気が引けるし・・・どうすればいいんだ?
「ソフィア!!シリルを離して!!」
「いいじゃん!!二人で楽しもうよ!!」
体を使ってソフィアを引き離そうとしているが、彼女も負けじと押し合っており離れていく様子がない。
「二人ともやめて・・・ダレカタスケテー!!」
人の体を中心にしてよくわからない戦いを繰り広げている二人の少女を前に、遠目から見ている対戦相手たちに助けを求める。五人は何やってんだかという目で見ているが、このままだと先に進めないと考え、このカオス状態を何とかすべく救出へとやって来てくれたのだった。
『えー・・・それでは!!第二戦を開始します!!』
先程の妙な争いからようやく解放された俺とレオンは三人から距離を空けつつ次の競技の発表を待つ。あのあとはソフィアがカグラさんに飛び付いたり正気に戻ったシェリアが顔を赤くしてうずくまったり、ウェンディに至ってはあまりにも激しく行き過ぎたと考えて自分のお尻を触らせて相殺しようとしたり大変だった。タッチ程度に止めておこうと思ったけど、リオンさんから後でしろと止められたので正気を保ち、現在の落ち着いた状態に戻ったのだった。
『第二戦のゲームは・・・』
例によってボタンを押してまた押してを行う司会者。そして魔水晶ビジョンに映された競技は、またしても不思議なものだった。
『第二戦のゲームは《クォータージャンプ》です!!』
司会のお兄さんがボタンからこちらへと体を向け直し、マイクに向かって大声で叫ぶ。
『それでは!!ゲームが確定しましたので両チームはプレイヤーを一名選出してください!!』
バラバラになっていた五人が円陣を組むように円くなる。その中で、ビジョンが見える金髪の少年と赤紫髪の少女は、いまだにゲーム名を見て考えを巡らせていた。
「クォーター・・・1/4?」
「1/4のジャンプって何?」
話し合うために顔を合わせていた俺たちだったが、一度全員が同じ方向を向いて競技名を見る。ただ、見たところで深くまでわかるわけじゃないから、意味はないんだけどね。
「基準の1/4飛ぶってこと?」
「そうなの・・・かな?」
一番最初に予想されたのは、何かしらの基準があり、その1/4の距離までジャンプするというものだ。
「もしそうだったらレオンはダメだね」
「え?なんで?」
シェリアの声にレオンが不服そうなトーンでそう言う。大は小を兼ねるっていうし、運動性能でいけばレオンが一番向いていると思うのは俺だけだろうか?
「ねぇ、レオンならどれだけ遠くてもうまく飛べるんじゃないの?」
なので聞いてみることにしたが、シェリアは静かに首を振ると、レオンが向いていない理由を話す。
「レオンが手加減できた時ってある?」
「あぁ・・・」
そう言われると、記憶にない。こいつ的には手加減しているつもりなんだろうけど、そんなにできている印象はない。基本的には全力で戦っている気がするから、うまく加減することは難しいかもしれない。
「となると俺たち三人の中から選ぶのか・・・」
シェリアはもうここからのゲームにはプレイヤーとして参加することができない。なので残された候補は、俺、ウェンディ、ソフィアの三人だ。
「わかってると思うけど、慎重に選ぼうね」
「初戦を取られた後だからな」
最初のゲームで敗戦してしまった以上、このゲームは絶対に落としたくない。もし負けると残りの三戦全勝が必須になる。リオンさんとカグラさん、最低でも一人はプレイヤーの権利を残している状況でそうなると、ほとんど試合が決まったも同然だからな。
(となるとここは・・・)
自分でいうのもなんだが、このゲームは俺が適任なのではないだろうか?さっき予想した通りのゲームなら、俺の目で距離を推測することは可能だし、何より初戦の失態を挽回できる。これほどまでにいいタイミングはないかもしれない。
「私に行かせて!!」
一人決意を固めていると、その横から全員に聞こえるようにと大きな声で立候補するものが現れる。その声を聞いて、全員がそちらを一斉に向いた。
「う・・・ウェンディ?」
名乗り出たのはなんとウェンディだった。まさか彼女が名乗り出るとは思っていなかったので、呆気に取られてみんな言葉を発せられないでいる。
「いいよね?私が行っても」
みんなに承認を求めるべく視線を送る少女を見て、何か勝算があるのだと思った。
「うん、いいと思うよ」
自信がある人に任せた方がいい。そう思った俺は彼女が出ることに賛同する。
「俺もいいよ」
「ソフィアもそうもう」
「頑張ってね!!ウェンディ!!」
「うん!!任せて!!」
続くようにうなずくレオンとソフィアとシェリア。声援を送られた少女は気合いを入れるように体の前で両方の手を強く握り締めると、プレイヤー申請をするために前へと駆けていった。
ウェンディside
シリルたちから見送られて司会者の元へと駆けていきます。相手の方を見ると、向こうはまだ話し合っているようでプレイヤーの人が出てきていませんでした。
「誰が来ても、やることは変わらないよね」
相手が誰が出てくるかはわからないけど、私がやることは変わらない。このゲームはとても重要なんだから、絶対に負けるわけにはいきません。
「いいとこ見せなくちゃ」
一回戦も二回戦も私は全然活躍できませんでした。シリルやレオンが頑張ってくれたから大丈夫だっただけで、私だけだったらすぐに負けてました。
だから・・・シリルが失敗しちゃった分は私が助けるんだ!!頑張ろう!!
そう改めて決意して、気合いを入れるために片手で握り拳を作り気持ちを高めました。
後書き
いかがだったでしょうか。
第二戦はウェンディ登場です。ウェンディが頑張ってくれる予定なので、うまくできれば・・・いいなぁ(遠い目)
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