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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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クォータージャンプ

 
前書き
忘れかけてたけど、元々シリルって大食い設定だったんだね。
レオン「え?そうなの?」
ソフィア「初めて知った!!」
序盤はよく物を食べてたのに、いつしかそんな描写なくなり、レオンという大食漢が出てきたからね。
いつかこれを利用したシリルがダイエットする話でも作るか・・・
シリル「つまり俺太るのか!?」
そういうこと。
シリル( ; ゜Д゜) 

 
シリルside

前に集合した両チームのプレイヤー。うちからは藍色の髪をツインテールにしている美少女。そして相手からはセミロングの髪と頭に猫耳をつけている水着のような衣装の上からマントを羽織っている女性。両チームともジャンプ系の競技ということで、比較的適していそうな、身が軽い二人を選出したというところだろうか。

『それではゲームの説明に入る前に・・・サブの皆さんはこちらから一人一つずつボールを引いてください』

そう言うと、俺たちの目の前に魔法陣が現れてその中央から中くらいの箱が出現する。その上部には手が入るくらいの穴が開いていることから、ここからボールを引き抜くことができるのだと判断できる。

「俺から引いていい?」
「「「どうぞ」」」

相手側にも似たような箱が出ているので、各チーム目の前の箱からそれぞれ引くのだと考え、レオンたちの許可を得てからボールを取り出す。

「あれ?何も書いてない」

引いてみた赤いボールを見るが、何も書いていないように見える。小さく書いてあるのかと思い見落とさないように回しながら見てみるが、何も書いてあるようには見えないんだけど・・・

「ん?こっちも何も書いてないぞ?」

続いて引いたレオンも自分のボールを見ながらそう言葉を漏らす。俺も彼と見比べようと思い歩み寄ると、一つだけ大きな違いがあることに気付いた。

「あれ?色が違うね」

俺のは赤いボールだったのに、レオンが持っているのは青いボールだ。その後に引いたシェリアとソフィアのボールも見てみると二人はレオンと同じ青いボールを持っている。

「シリル仲間外れじゃん!!」
「そんなこと言うな!!」

何か文字が書いてあるのではなく、ボールのカラーが何かしらの意味を持っていたらしい。その中で、一人だけ違う色のボールを引いてしまっていたため、ソフィアからそんなことを言われて睨み付ける。

『サブの方の()()が決定いたしました!!これよりフィールドの準備を行いますので、もうしばらくお待ちください』

一回戦同様体が宙に浮くのかと心の準備をしていると、今度はその予想を裏切って目の前にステージが作られていき、ちょっとだけガッカリ。あの浮いてる感じ、好きだったから、もう一度味わいたかったなぁ・・・

「なんだ?このフィールド」

一人残念そうにしていると、目の前に現れた競技場を見て氷の神が訝しげな表情を浮かべる。その声を聞いて前を向くと、中央に五メートル四方程度の大きさのステージと、それを囲むように四つの離れ島のようなステージが作られている。後ろを振り向いて見ると全く同じものがリオンさんたちの方にも作られており、ますます思考が追い付かなくなっていく。

「あれ?ウェンディは?」
「ミリアーナさんもいないね」

出来上がっていくフィールドに視線を向けていると、少女組が何かに気付き、レオンと共に彼女たちと同じ方向を向く。

「ホントだ」
「さっきまであそこにいたよね?」

二人が集められていたはずの場所には、現在司会者が立っているだけでウェンディたちの姿は見えない。どこかに連れていかれた?でも何のために?

『フィールドが完成しました!!それでは、皆さんを所定の位置に転送します』

その言葉と同時に目の前の景色が切り替わる。ただ、言うほど景色が変わったわけではない。足元や周囲を見回すと、そこがたった今作られたフィールドの、中央のそれを囲む四つの島の一つなのだと理解できた。

「ん?なんでシリルがそこに?」
「オオーン?」
「え?」

しかし、他の三つの離れ島に立っている人たちを見て目を見開いた。右にはリオンさん、正面にはユウカさん、そして左にはトビーさんと、なぜか敵である人たちがいるのだ。

「おい!!転送場所間違ってんじゃないのか?」

仲間たちの間に一人だけ敵。それはどう考えても運営が送る場所を間違えてしまったのだと思ったユウカさんが司会者に伝える。別ステージの方を見ると、レオン、シェリア、ソフィアの中にカグラさんがおり、あちらもこちらと同じように不思議そうな顔をしていた。

『いいえ。間違いはありません。クォータージャンプはこの形で進行させていただきます』

俺たちの疑念はあっさりと振り払われる。この形で進めていくゲームって・・・どういうことだ?チーム対抗にしても人数が合ってないと勝負にならないでしょ?

『続いて!!プレイヤーのお二人をフィールドに転送します』

中央のステージに紫色の魔法陣が現れたかと思うと、下から見覚えのある艶々の藍髪が見えてくる。どうやら俺たちのフィールドにはウェンディが送られてきたらしい。とりあえず、一人だけで何かするわけじゃなくてひとあんし――――

「ブフッ!?」

ひと安心なんかできなかった。魔法陣から完全にその身を見せた恋人を見て目玉が飛び出しそうになる。なぜなら、彼女はアイマスクをして、耳にはヘッドフォンを着けていたからだ。これで椅子に縛られていたら完全に拉致された人質になってしまう。幼気な少女に何してんだ!!

『準備が整いましたので、決勝戦第二戦!!《クォータージャンプ》のルール説明を行います!!プレイヤーの二人にはヘッドフォンからこの会場の音声が伝えられていますので、サブの皆さんは第一戦と変わらず質問をしていただいて構いません』

この声が聞こえるなら、なぜウェンディたちはヘッドフォンをする必要があるのだろうか?いや、そもそもアイマスクは何のため?視覚と聴覚を塞ぐゲームってこと?

『現在皆さんの前には味方、もしくは敵のプレイヤーが中央のステージにいます。人数の割合はプレイヤーに対し味方1:敵3です』

言われてみると、ウェンディと同じチームなのは俺だけで他は敵チーム。向こうのフィールドもミリアーナさんの仲間はカグラさんで、後はこちらのチーム。1:3の割合になっているね。

『プレイヤーのお二人には、ゲームが開始しましたらできるだけ早く一人だけいる味方のステージに飛び移ってもらいます』
「「「「「!!」」」」」

その説明が聞こえた瞬間、一斉に全員が司会者の方を向いた。その後、ウェンディがいるステージと俺がいるステージとの距離を目測で測ってみる。しかし、じっくり見てみるとそこまで大きく離れているわけではない。精々一メートル・・・いや、それよりも短いかな?

『ゲーム開始と同時にヘッドフォンは外してもらいます。なので、サブの方には声で自分の方に仲間を呼び寄せてもらう役目を担うことになります』

アイマスクはゲーム終了までつけっぱなし・・・ヘッドフォンはゲーム時は外されて俺たちの声を聞いてその方向へとやって来る。四人の中から一人だけいる仲間を選んでその元へとジャンプする・・・だから1/4(クォーター)ジャンプか・・・

「そのルールだと声で味方か敵かわかるんじゃないか?」

ルール説明で素朴な疑問を感じたリオンさんが司会者に質問をぶつける。彼の言う通り、そのルールだと俺とカグラさんが仲間を呼び寄せるだけ。他のサブの必要性がないような・・・

『その心配はございません。皆さんのいるステージには特殊な魔法をかけており、声が全員同じに聞こえるようにされております。さらにはフィールド外からの声が聞こえないように、術式も展開し対応しています』

全員の声が統一されているなら、敵サブたちは味方のフリをしてプレイヤーを自分たちのところに呼び寄せ、失格にさせる役割か。
さらには観客席の声や別フィールドの声も聞こえないとなると、味方はどれだけ早く信用してもらうか、敵はいかに騙すかが勝負の焦点になってくる。

「仮に二人とも間違ったらどうするんだ?」

別フィールドのカグラさんが手をあげて質問を投げ掛ける。彼女の言う通り、敵サブが二人を完全に騙しており、味方の元に飛べなくすることだってできる。でもそれだと、このゲームは両チームとも失敗しているから勝敗をつけることができない。
その場合はどうなるのだろうか?

『両者ともに失敗の場合はゲーム不成立。再試合となります。その場合はもう一度サブの皆さんの配置を決め直しますので、くじ引き、転送、ゲームの順番になります』

プレイヤーだけは最初に決めた人物からは変えられない。しかし、サブの配置も同じままで延長戦になると、プレイヤーが誰が味方かわかった状態でやることになるかもしれず、あっさり成功で勝敗つかず、なんてことが起きるかもしれない。サブの配置が変わればプレイヤーはまた始めから判断し直しとなり大変ではあるけど、はっきり白黒つけるにはそれが一番最適なんだろう。

「逆に両方とも成功した時は?」
『その場合は早く味方のいるステージに着地したプレイヤーの勝利となります。際どい場合はビジョンでゼロコンマまで判定しますので、両者成功の場合は基本的に1ゲームで終了することになります』

つまり勝負の鍵はいかに早く正確にジャンプできるかということか。でも確率だけでいえば25%・・・失敗する確率の方がはるかに高い。

「あれ?ちょっと待てよ?」

ルールを噛み砕いていると、一つだけある疑問が脳裏をよぎる。

「あの・・・」
『はい、どうぞ』

遠慮気味に手をあげると司会者から指名される。このゲームで感じた一つの疑問、それは――――

「これって踏み間違って落ちたらどうするんですか?」

プレイヤーは視覚が封じられている。そのため、声だけを頼りに動いていると斜めに歩いたりして危ないんじゃないだろうか?もちろんそれは俺たちが落ちないように指示すればいいんだろうけど、万一他の声に気を取られたり聞こえなかったりしたらあっさり失格、なんてことになりかねない。

『あ、その点についての説明を忘れていました』

だが、そういう事態についても運営はちゃんと考えていたらしい。ただ説明を忘れていたというのは少々ナンセンスだけど、人間だしこういうこともあるよ。

『プレイヤーのステージにのみ、このような点字ブロックが埋め込まれてあります』

ビジョンに映し出されるのは恐らくウェンディが立っていると思われるステージ。その足元をアップしていくと、彼女が立っている場所からそれぞれの離れ島に向かってデコボコとしたブロックが埋め込まれているのがわかる。そしてそれは、ステージの一番端がわかるようにと配慮してなのか、全体を囲むような形で四角形になっていた。

『こちらの点字ブロックを進みながら行くと、一直線に他のステージへと向かうことができ、ステージの終わり際も点字ブロックで囲ってありますので、感触を確かめながら歩いてもらえれば落ちる心配もありません』

ステージのギリギリで止まれるかはわからないけど、目的地に一直線に来れるようになっているのはありがたい。全く違うところに向かって歩いていき、落ちてしまっては情けなくて仕方がない。ウェンディはドジっ娘だから、そんなことをしてしまいそうな気がするんだよね。

「こういう対策があるってことは、落ちた場合は即失敗って考えでオッケ?」
『はい。そういう認識で結構です』

運営側としてはここまでやって落下してしまったら、それはプレイヤーのミスということにしていいとの判断なんだろう。まぁ、さすがに落ちることなんてないか。進むときはゆっくりゆっくりでいいし、誰が正解か見分けることでかかる時間とかを考慮すれば、さして影響もないだろう。

『他にご質問はございませんか?ゲームの性質上、競技開始以降は質問を一切受け付けられませんので、何か気になる方は今のうちにお願いします』

必然的に“言葉”が勝負の鍵となるこのゲーム。聞きたいこともおおよそ聞けたし、特に気になる点もないため、首を横に振る。他の皆さんもしばし頭の中でルールを整理した後、大丈夫だと判断して司会者に合図を送っていた。

『質問がないようですので、観客の皆さんの声が入らないようにする術式と、皆さんの声を変声する魔法陣を展開します。選手の声は皆さんにも聞こえますので、いつも通り振る舞っていただいて構いません』

観客たちとの境目の地面に文字がたくさん浮かび上がると、目には見えない壁が生成される。さらに、サブ全員の足元に魔法陣が現れ、しばらく光り輝くと頃合いを見計らってそれが消滅する。

『それでは!!決勝戦第二戦!!《クォータージャンプ》スタートです!!』








 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
今回はルール説明だけで一話使ったので少し短めです。
次回はシリルとウェンディが頑張ってくれる予定です。 
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