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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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・・・あれ?

 
前書き
変な時間に寝たせいで眠れない・・・
シリル「あるあるだね」
レオン「俺はいつでも寝れるぞ?」
それはレオンがアホだからだよ
レオン(o゚Д゚ノ)ノ 

 
左腕にはめたリングを外れないようにより太い部分へと突き上げていく。俺の腕が細いのか、リングの輪が大きいのかわからないけど、それは上腕のところまでスッと入っていき、一番太いところでようやく止まる。

(これならそう簡単には奪われないだろう)

手首に付けていると、トレジャーハンターのスキル力で持っていかれるかもしれないけど、ここまで上げているといくらなんでも奪うことは難しいはず。おまけに向こうは手首よりも上には上げれないみたいだし、これはこっちが有利。

(それに、向こうはたったの一人!!なんとかなるはず!!)

相手側が一人ずつ分散するのか、はたまた数人のチームを作るのかは予測することができなかったけど、今の段階だと相手はたったの一人。例え身体能力で劣っていても、数の関係でこちら側が攻めやすいのは言うまでもない。

「シリル、気を抜いたらダメだからね」
「わかってるよ」

だけど、油断は禁物だ。なぜならこれだけ有利な点がこちらにあるのに、相手は逃亡して他のリングを探そうとする気配がないからだ。自分の力に自信があるのか、味方が近くに隠れているかはわからないけど・・・気を抜くのは絶対にしてはいけない!!

「・・・」

対する敵は、口を真一文字に結び瞬き一つせずこちらを見据えている。それにより場の緊張感が次第に高まってきて、こちら側も口数が減っていく。

(あれ?)

しかし、ここまで来てあることに気がついた。これって・・・どうやって奪い取ればいいのかな?

「行くよ!!」
「あ!!シェリア!!」

魔法が使えないので、どうやってリングを奪い取ればいいのか迷いが生じた。だが、その瞬間にシェリアが飛び出してしまい、遅れまいと大急ぎで付いていく。

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

いつもの感覚で高くジャンプをして拳を降り下ろす天神。しかし、魔法を使えないとあってスピードがいつもよりも乗っておらず、あっさりと交わされてしまう。

「そこだ!!」
「!!」

だが、トレジャーハンターが避けた先に俺が先回り。おおよそ直感的なものだったけど、運良く目の前に来てくれたため、左手首につけられたリングへと腕を伸ばす。

「甘いな!!」

敵のリングに伸ばした右腕。しかし、敵はあえて狙われているその腕を伸ばしてくる。その行動は予想していなかったため、俺の奇襲は空振りに終わり、あろうことかトレジャーハンターの伸ばした腕が、俺の上腕につけられているリングを掴んだ。

「しまった!!」

完全にしてやられた。まさかあえて立ち向かってくるとは想定していなかったため、自分のリングを守ることに意識を全く向けていなかった。そのため、相手にいとも容易くそれを掴まれてしまい、引き離すことに必死になっている。

「とおっ!!」
「うおっ!!」

リングを持っている相手の手首を掴み、なんとか離そうと奮闘していると、後ろから味方である少女が飛び蹴りを噛ましてくれたため、トレジャーハンターは体勢を崩してその場に倒れる。

「ぎゃっ!!」

だが、それでも向こうは腕を離してくれなかったため、俺も一緒になって倒れていたが。

「シリルから手を離しなさいって!!」
「断る!!」

倒れたままなおも俺のリングを奪い取ろうとしてくる男の腕を掴み、引き離そうとしてくれるシェリア。しかし、ここは意地でも負けるわけには行かないと男も腕を掴む手により力を入れており、俺が一番被害を被っているかもしれない。

ザワザワ

すると、俺たちの周りにたくさんの人たちが集まってくる。そりゃそうか、こんな子供と大の大人が掴み合っていたら、心配になって見に来るのは当たり前である。

「ゲーム大会だから!!競技中だから!!」

周囲から冷ややかな目で見られているのを感じ取ったトレジャーハンターは大慌てで弁明する。それを聞いた街の人たちは納得したように返事をすると、バトル競技と勘違いしているらしく、自分の好きな方を応援し始める。

「頑張れシェリア!!」
「ユウガ負けるな!!」
「シリルちゃん可愛い!!」
「結婚して!!」

なんか明らかにおかしな声が聞こえたような気がしたが、聞こえなかったことにしてその場を乗り切る。目の前のトレジャーハンターさんはユウガさんと言うらしい。まぁ、名前がわかったからどうこうできる問題でもないんだけど・・・

「くっ・・・」
「そうだ!!」

さすがに大人と子供では力に差があり、逃げ切ることができそうにない。その時、シェリアがあることを思い付き、自身の手をあるところへと伸ばす。

「チッ!!」

その刹那、ユウガさんが舌打ちをしながら意地でも離さなかった手を離し距離を取る。なぜそのような行動を取ったのかわからなかった観衆は、不思議なものを見るようにユウガさんの方を見ていた。

「サンキューシェリア」
「ううん。手、大丈夫?」
「うん、大丈夫」

助けてくれた少女にお礼を言いつつ、掴まれていた部分に視線を落とす。そこは相当強く握られていたらしく、ハッキリと手形が付いていた。

「くそっ・・・」

対して悔しそうに歯軋りをさせている青年は、手首から落ちそうになっていた腕を元の位置へと戻していく。シェリアが狙ったのは、彼が付けているリング。これに手を伸ばされたら当然逃げなければならないし、万一反応しなかったら奪い取って自分たちのポイントにしてしまえばいい。攻撃は最大の防御とは、よくいったものだ。

「これ行けそうだね」
「うん!!俺もそう思う」

互いに視線を交わし、一度大きくうなずく。相手のリングを奪い取りにかかれば、仮に向こうに奪われそうになってもカウンターでなんとか行けそうな気がする。それにこちらは二人もいるんだ。片方がリングを奪い取ってもう片方が守れば二つリングを得ることも可能なはず。

「フフッ、残念だったな」

しかし、距離を取ったトレジャーハンターはニヤリと笑みを浮かべている。その理由がなぜかわからなかったが、彼が広げた手の中に光るものを見て目を見開く。

「あれ!?リング!?」
「いつの間に!?」

彼の右手に乗っているのは金色に輝く腕輪サイズのリング。それにびっくりして腕を見ると、あるはずのリングがなくなっていることに気付く。

「い・・・いつの間に・・・」
「トレジャーハンターナメんなよ」

得意気な表情で手にしたリングをポンポンと弄んでいるユウガさん。こっちの優勢だったはずなのに、あっさりとリングを奪われてしまって最悪の事態だ。

「シリルの腕が細いからだよ!!」
「それ今言う!?」

確かにあんなところまでリングが上がっていったのは明らかにおかしいけど、それでもこんなに簡単に盗られてしまうのは情けない。もう少しでも体が大きければ、こんなことにならなかったかもしれないのに・・・

「奪い返すよ!!シェリア!!」
「もちろん!!やられっぱなしじゃ終われないよ!!」

相手はまだ腕にリングをはめていない。はめられると取るのが困難になってくるため、それをされる前にと突進していく。

「ほっ」

逃げられないようにと手を広げながら突っ込んでみるが、さすがに鍛えているだけあってジャンプ力が高い。俺の頭の高さまで容易く飛び上がり、頭に手を乗せながら乗り越えていく。

「おっ、悪い悪い。また小さくなっちゃうな」
「うるさいですよ!!」

地面に着地したユウガさんは俺の頭を押しながら飛び越えたので、その反動で背が低くなるとでも言いたげに挑発してくる。ここでカッとしたら向こうの思うつぼなんだけど、それでも背丈のことをバカにされるとついイラッとなってしまう。

「このぉ!!」
「っ!!」

地面を蹴り飛び蹴りを放つと、彼は着地のダメージを軽減させるために低い姿勢になっていたので、顔面にその攻撃を受けて倒れる。

フワッ

その際、彼が強く握り締めていたリングが宙へと浮いたのを誰も見逃さなかった。

「シェリア!!」
「任せて!!」
「うぷっ」

まるでスローモーションのように浮いている金の輪っか目掛けてジャンプする天空の少女。彼女はより高くジャンプするためにと起き上がろうとしていたトレジャーハンターを踏み出しにし、踏まれた彼はまたしても地面へと叩き付けられていた。

「いけ」

高々と宙に舞うリングと少女。金色の輪にシェリアの手が届こうとしたその時、

パシッ

脇から現れた人影がそれをかっさらっていく。

「え?」

リング目掛けて飛んでいたのは自分だけだったはず・・・そう思っていたシェリアは、突然現れた手の主にびっくり顔を晒しながらゆっくりと重力に従い落下してくる。

「え?」

俺の真上に。

ドスンッ

「きゃっ!!」
「イタッ!!」

胸から倒れるようにのし掛かってきた少女の重さに腰が砕けそうになった。別にシェリアが重いと言いたいわけではない。ただ、あれだけ高いところから落ちてきたら相当なダメージが与えられるのは言うまでもないだろう。

「ご・・・ごめんシリル・・・」
「そう思うなら早くどいて」

俺に乗っかったまましばらく倒れ込んだままの少女にそう言うと、彼女は地面に手をついて立ち上がる。押さえ付けるものがなくなったため、体の自由を手にいれた俺も彼女同様に立ち上がり、リングを奪い取った男の方へと視線を向ける。

「何やられてんだよ、ユウガ」
「悪い、タイガ」

空中に飛んでいたリングを握り締め、鼻血を出しているユウガさんに声をかけている大柄な男性。その人は背も高く、筋肉がガッチリとついており、エルフマンさんを思わせるような人物だった。

「待ってください~!!」
「逃げるなぁ!!」

増えた敵に向かい合っていると、後ろから慣れ親しんだ少女たちの声が聞こえてきたので、そちらに振り返る。曲がり角になっている場所から長い髪を乱しながらやって来たのは、別行動を取っていたウェンディとソフィアだった。

「ウェンディ!!」
「え!?シリル!?」

まさかこんなところで会えるとは思ってなかったので驚きを隠せない。俺とシェリアの姿を見つけた彼女たちは、走っていた足を緩め、目の前に来るとそれを完全に止める。

「シリル!!シェリア!!あのデカイのにリング盗られちゃった!!」
「「え!?」」

俺とウェンディの間に割って入ってきた銀髪の少女が前を指さす。そちらを見ると、さっきタイガと呼ばれていた人物の腕に、たった今俺たちから奪ったものとは別のリングがはめられていた。

「せっかく見つけたのに盗まれちゃったの!!」
「しかも一瞬のうちに!!」

どうやら彼女たちも俺たちと同じようにトレジャーハンターとリングをかけて戦っていたらしい。そしてそこからの結末もほぼ同じ、気がついたら手にいれたはずのそれを彼らに奪われていたらしく、ここまで追い掛けてきたというわけだ。

「これでこっちは五つリングが揃ったぜ」

これ見よがしに不意をついて手にいれたリングを見せてくるトレジャーハンター。だけど、その言葉には一つ疑問が残った。

「え?三つしか持ってないじゃん」

ユウガさんの腕に元々はめられていたリングが一つ。それにウェンディたちと俺たちから入手したリングが一つずつ・・・つまり、この場にあるリングは三つだけだと思うんだけど・・・

「甘いな。俺たちはリングを三つ見つけてから別行動を取ったんだ」
「今頃、レオンと交戦してる三人に残りの二つを持たせてるわけ」

鼻血を拭い、何事もなかったかのように振る舞っているユウガさんと投げて遊んでいたリングをキャッチしてドヤ顔をするタイガさん。ここに三つリングがあって他にも二つリングを持っているんだから・・・

「あ!!本当に五つだ!!」
「ウソ~ん!!」
「二人とも・・・数くらいすぐにわかろうよ・・・」

こんな簡単な計算なのに指折り数えていたソフィアと俺を見て呆れ気味のウェンディとタメ息をついているシェリア。いや、いつもなら簡単に導き出せるよ?ただ状況が状況だけに、慌てていて頭の回転が追い付いてなかっただけなんだ。ウソじゃないから!!計算は得意だから!!

「と・・・とにかく!!あれを奪わないとヤバイよ!!」
「うん!!こんなところで負けちゃうよ!!」

レオンがどうなっているかはわからないけど、この場に二人しかいないということは、おそらく他の三人が彼に当たっているのだろう。そうなると、いくらレオンでも勝つのは困難だろう。となると、あのリングを腕に付けられた瞬間、ゲームが終わってしまう!!

「もうおせぇよ!!これで・・・」

俺たちが奪い取ろうと走り出そうとするよりも早く、最後のリングを手に持っていた男性がそれを腕にはめる。

「ゲーム終了だ!!」

ガチャッとすでに付けられていたリングとぶつかり音を立てる。それは、その腕輪が完全に向こうのポイントになったことを示していた。

「「「「あ・・・」」」」

これで相手は五ポイント・・・このフィールドには九つのリングがあり、過半数を取ればその瞬間ゲームが終了となる。よって、俺たちの戦いはここで終わ・・・

「「「「「・・・あれ?」」」」」

敗北を確信し肩を落としていた俺たち。しかし、いつまで経っても試合終了のコールがされない。さすがにおかしいと思い周囲を見回してみると、ウェンディやシェリアたちも不思議そうに首を傾げていた。

『Bフィールドで行われておりました【リング探し】ゲーム!!たった今人魚の鱗(マーメイドスケイル)が五つリングを集めました!!よって、人魚の鱗(マーメイドスケイル)は決勝進出となります』

勝負が決してもアナウンスやら念話やらが行われないのかと思ったら、別フィールドで行われていた二回戦の結果がアナウンスされる。それを聞いた限り、試合が終わったらちゃんとコールはされることになってるんだな。てかリオンさんたちあっさり決勝進出かよ!!番狂わせなんか起こり得なかったのか・・・

「盗られたリングをはめられてもコールがされない」
「ということは?」


















第三者side

「ふぅ」

空を見上げ、一つ大きく息をついている金髪をボサボサに伸ばした少年。彼のその目の前には、白目を向いて地面に伏せている三人組の男たちがいた。

「やれやれ、魔法なしだと大変だね」

そう言って彼は手に持っていた二つのリングを、何もはめられていない腕へとつける。これにより、少年の腕には四つのリングが装着されていた。

「これでもコールならないのか。シェリアもシリルも仕事してくれよ」

レオンはボサボサの髪を掻きながら愚痴をこぼしつつその場を離れていく。この時少年は知らなかった。自分が彼らからリングを奪い取ったことにより、小さき魔術師(リトルマジシャンズ)が敗戦の危機から逃れたということを。

これにより現在の獲得リング数、小さき魔術師(リトルマジシャンズ)四個。最強戦士(グレイティスト)三個。





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
魔法がなくてもレオンが大活躍ですね、そのシーンはカットされてますが。
次で二回戦は決着つける予定です。 
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