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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十三話 海での午後その八

「身体はあれよ」
「あれっていうと」
「全身傷だらけよ」
「お祖母さんも?」
「銃弾とか破片とかの傷でね」
「凄いんだ」
「枯葉剤の影響はないけれど」
 お話がどんどんヘビーになっていることがわかった、ベトナム戦争ではアメリカ軍はそうした兵器まで使っていたのだ。
「それでもね」
「お二人共身体中傷だらけなんだ」
「そうなの」
「それだけ凄い戦いの日々だったんだね」
「昔はね」
 その戦争の頃はというのだ。
「そうだったのよ」
「大変だったんだね」
「何かとね」
「それでお二人が生きていて」
「ダオも生まれたのよ」
 そうなったというのだ。
「そうなったのよ」
「ご両親が生まれて」
「そう、ダオもね」
「若しお二人のどちからが戦死していたら」
「お母さんが生まれたのは戦争の後よ」
 そのベトナムの、というのだ。
「中国との戦争が終わって」
「じゃあ」
「そう、本当にお祖父ちゃんかお祖母ちゃんが死んでたら」
 三国との長い戦争の中でだ。
「ダオいなかったわよ」
「戦争で」
「そう、本当にね」
 それこそというのだ、そうしたことを話してだった。
 ダオさんはあらためてだ、笑顔になって話をした。
「だから平和って大好きよ」
「ベトナムの人達は」
「余計にね」
 戦争が長かっただけにというのだ。
「好きなのよ」
「そしてダオさんも」
「そう、ダオは戦争は知らないけれど」
 実経験としてはというのだ。
「戦争は嫌いでね」
「平和がだね」
「大好きよ」 
 こう笑顔で言うのだった、僕達に。
「平和が一番よ」
「それで平和になったら」
 ラブポーンさんが笑顔で言った、ここで。
「もう凄いことになってるわね」
「経済がっていうのね」
「もうあっという間に色々な国と関係深めて」
 ダオさんにだ、ラブポーンさんは笑って言った。
「観光にグルメにって」
「そっちと一緒よ」
「そうなのよね、ベトナム料理って美味しいのよね」
「負けないわよ、タイ料理と」
「そこでそれが大言じゃないのがね」
 タイ側にしてもというのだ。
「困るのよ」
「タイからも来たらいいわ」
「そっちこそ何時でもよ」
 何か妙な張り合いになってきた。
「来てお金沢山置いていってね」
「そっちこそね」
「トムヤンクンも何でもあるから」
「生春巻きもね」
「何か話を聞いてたら」
 僕は僕を挟んで言い合う二人にだ、日本人として言った。 
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