八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十三話 海での午後その九
「仲がいいのか悪いのかわからないね」
「仲?いいわよ」
「そう思うけれど」
二人は僕に同時に答えた。
「別に喧嘩しないし」
「よく一緒にいるし」
「少なくとも私達はね」
「仲いいわよ」
「まあ国同士はね」
「お互いに言わないけれど」
ベトナムとタイの関係はというと。
「まあね」
「微妙なのは確かね」
「けれど喧嘩はしないから」
「そのことは確かよ」
実際にとだ、二人は僕にこのことも話した。
「戦争もしないわよ」
「絶対にね」
「観光で来たらおもてなしするし」
「お客さんとしてね」
「ちゃんとしてるわよ」
「何か大人で」
それでとだ、僕はまた言った。
「怖いものがある関係だね」
「こうした関係もあるrってことね」
「そういうことでいいんじゃない?」
二人は僕にあっさりと話した、それも明るく。
「まあ隣に国はあるから」
「極端に仲が悪くはないわよ」
「そういえばカンボジアから来てる子が言ってたよ」
この国から来ている子もだ、八条学園にいる。そして僕の同級生にもいるのだ。
「タイとベトナムの間にあって大変だって」
「今は何もしてないわよ、ベトナムは」
「ラオスにもね」
二人はこれまたあっさりと話した。
「昔は戦争もしたけれど」
「まあ国境で揉めることもあるけれど」
「基本的にはね」
「その二国には何もしてないわよ」
「いや、間にあるだけでね」
そのカンボジアから来た子が言うにはだ。
「大変だって」
「だから基本何もしないのに」
「何で大変なの?」
「だから気を使うから」
両国が何もしなくてもだ。
「それだけでね」
「辛いの」
「ストレスかかっているのね」
「うん、しかもベトナムとタイがお互いを意識してるから」
その間にある国々はだ、カンボジアだけでなくラオスも。
「辛いんだよ」
「別に何もしなくても」
「間にいるだけでなのね」
「そうした国や人は辛いよ」
僕は人のことも話に入れた。
「板挟みはね」
「義和はそうした経験あるの?」
ここでだ、ラブポーンさんは僕に問うた。
「ひょっとして」
「いや、ないけれどね」
「ないの」
「うん、親父が浮気ばかりしてもね」
それでもだ、そうした家庭の中にいたけれどだ。
「お袋急にいなくなったから」
「板挟みにはなのね」
「ならなかったよ」
両親の間のだ、よくある話であるけれどそれもなかった。
「別にね」
「そうなのね」
「本当にお袋はね」
今思い出してもだ、このことは。
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