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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十三話 海での午後その六

「面白いわね」
「面白いんだ」
「そう、女の子だけじゃ面白くないでしょ」
「だからなんだね」
「男の子もいたら」
 それでというのだ。
「余計に賑やかになるわ」
「そういうことなんだね」
「ただ、日本の男の子って」 
 ダオさんは今度は所謂日本男児論を展開した。
「大人しいわね」
「よくそう言われるよ」
「そうよね、こうして一緒になっても」
「積極的だと思うけれど」
「そこで止まるから」
 それ以上はいかないからというのだ。
「残念よ」
「もっとなのね」
「そう、踏み込んでくれないと」
 こう言うのだった。
「ベトナム男には負けるわよ」
「ベトナムの男の人って積極的なんだ」
「結構ね」
 実際にという返事だった。
「だって女が強いから」
「ベトナムの女の人は」
「戦争になったら自分から銃取るのよ」
「ベトナム戦争とかで?」
「その前からよ」
 いざことがあればというのだ。
「象に乗って戦った十四歳と十三歳の姉妹もいたわ」
「十四歳と十三歳で」
「そう、徴姉妹ね」
「あっ、確かその姉妹って」
「聞いたことあるでしょ」
「中学から留学してる子が知り合いにいるんだ」
 中三からだ、明るくて気がいいそれでいて地道な努力が得意な子だ。
「その子が少しね」
「言ってたのね」
「その姉妹がベトナムの建国の姉妹だって」
「そうよ、独立戦争のね」
「確か二千年位前の」
「その時に象に乗って自ら民衆を率いて戦ったのよ」
 その十四歳と十三歳の姉妹達がだ。
「惜しくも敗れたけれど」
「その姉妹からなんだ」
「そう、ベトナムでは女も戦うの」
「だから男の人もなんだね」
「強いのよ、何しろベトナム女はね」
 ラブポーンさんも話に入って来た。
「最強だからね」
「あら、ラブポーンも知ってるの」
「これでもベトナムのことには詳しいのよ」
「お隣同士みたいなものだしね」
「そうそう」
「ああ、そういえばね」
 僕も二人の会話を聞いて頷いた。
「ベトナムとタイはね」
「そう、間にカンボジアとラオス挟んでるけれど」
「お隣同士みたいなものよ」
 その二人も答えてきた。
「これがね」
「だからお互いによく知ってるの」
「まあ表立っては言い合うことないけれど」
「ちょっとね」
 微妙な関係でもあるというのだ、学園内でもタイ人とベトナム人はお互い何も言わないけれど微妙にライバル関係を感じる。 
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