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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十二話 羊はどっちかその十五

「それは外せない」
「どうしてもだね」
「そう、絶対に」
「何か羊は」
「引けない」
 絶対にという言葉だった。
「ジョーンでも」
「やっぱりそう言うんだ」
「羊で負けたら終わり」
「終わりって」
「オーストラリアは羊の国だから」
 それ故にというのだ。
「そこは負けない」
「あくまでなんだね」
「悪魔にも負けない」 
 エルザさんは日本語の駄洒落で返してきた。
「羊のことは」
「そうなんだね」
「そう、だからそこは別」
「羊だけは」
「海蛇はいいけれど」
「どうしてそこで海蛇なのかな」
「オーストラリアの海には多いから」
 その海蛇もというのだ。
「毒があるから噛まれたら死ぬ」
「海蛇の毒って強いらしいね」
「だから噛まれたら死ぬ」
 確実にアウトという言葉だった。
「それならあげる」
「いや、蛸とそれはいいから」
 僕はエルザさんにすぐに断りの言葉を入れた。
「あと鮫もね」
「そうなの」
「どれもいて欲しくないから」
 僕はエルザさんに冗談三分そして本気を七分入れて答えた、そうしたやり取りをしつつ泳いでいくとすぐにだった。
 ゴールに着いた、皆砂浜に上がっていささか拍子抜けして言った。
「あれっ、泳げたな」
「ああ、普通にな」
「思った以上に楽にな」
「一キロ泳げたな」
「それも一時間位か」
「そんなにかかってないぜ」
「言っただろ、海で一キロ位はな」
 先生がここでまた僕達に言ってきた。
「泳げるものだよ」
「そうなんですね」
「思った以上に簡単に」
「出来るんですね」
「ああ、だから泳がせたんだ」
 今日こうしてというのだ。
「トレーニングがてらな、じゃあ後はな」
「はい、自由時間ですね」
「海の」
「そうだ、遊べ」
 思いきりそうしろという言葉だった。
「整理体操の後でな」
「よし、じゃあ遊ぶか」
「飯食ったし泳いだし」
「それならな」
「後は遊びだ」
「海で思いきり遊んでやる」
 皆、僕も含めて先生の言葉に待ってましたとばかりに声をあげた。そして海での楽しい時間をさらに楽しく過ごすことにした。
 だがここでだ、先生は僕達にこうも言った。
「海に入ってもいいがあまり深い場所に行くなよ」
「あとこの海水浴場の中だけですね」
「そうだ、くれぐれも言うが海を侮るな」
 こう言うのだった。
「侮ったら死ぬぞ」
「わかりました」
「俺達も死にたくないですから」
 皆も先生の言葉に応えた、そのうえで楽しい時間をさらに過ごすことにした。


第八十二話   完


                        2016・3・1 
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