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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十二話 羊はどっちかその十四

「そうね」
「だよな、ミズダコって怖くないだろ」
「美味しいだよね」
「あんなの何処が怖いんだ」
「だから大蛸もね」
「ここで出てもか」
「すぐに捕まってね」
 生徒の誰かに絡みついたところでだ。
「食べられるよ」
「そうなるな」
「むしろその後が問題かな」
 捕まえたその後だ、その大蛸を。
「どうして食べるかでね」
「問題になるな」
「たこ焼きか酢だこか」
「刺身もいいな」
「茹でてもね」
 所謂茹で蛸である、これも美味しい。
「そのままお塩で焼いてもいいし」
「醤油で辛く焼いてもな」
「どうしても美味しいから」
「烏賊もな」
「それだけだよ」
 僕達、ここにいる大半の日本人にとってはだ。
「本当に」
「考えてみればそうだな」
「普通の蛸、大蛸も怖くないよ」
 僕はまた彼に言った。
「ヒョウモンダコでもないと」
「その蛸毒あるだろ」
「噛まれたら死ぬよ」
「あの蛸は要注意」
 エルザさんが僕の横に来て言って来た。
「あまりいないけれど見付けたら近寄らない」
「オーストラリアの方にいるんだよね」
「そう」
「こっちでもこの前見付かったけれど」 
 日本でもだ。
「主な分布はそっちだよね」
「こっちの海」
「それで噛まれたら死ぬんだよね」
「冗談抜きで危ない」
 その毒のせいでだ。
「だから近寄らない」
「それがいいね」
「さもないと死ぬ」
 本当にというのだ。
「若し噛まれたら」
「そういうことだね」
「ただ、蛸を食べることはしない」
「オーストラリアだとね」
「日本人大好きだけれど」
「たこ焼き食べたよね、エルザさんも」
「美味しい」
 これがエルザさんのたこ焼きへの評価だった。
「恐ろしいまでに」
「烏賊もだよね」
「不思議な位」
「だからヒョウモンダコには気をつけないと駄目だけれど」
「日本人は蛸や烏賊を怖がらない」
「美味しい海の幸だよ」
 本当にこうした様にしか思えない、僕達にしてみれば。
「大きくてもね」
「それも文化の違い」
「まさにね」
「わかった、あと私は鯨についても」 
 オーストラリアがとかく言うこの生きものを食べることについてもというのだ、このことについては僕はどうかと思っている。他の国の食べるものにあれこれ言うことについては。
「言わないから」
「そうだよね」
「食べることも文化」
 だからというのだ。
「他の国の文化には口を挟まない」
「尊重しているんだね」
「そう、けれど羊はオーストラリア」
 ここでもこう言うエルザさんだった。 
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