八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十二話 羊はどっちかその十三
「食べて下さいっていうものだからね」
「怖いですね、それって」
「暖かい海にはね」
聞いたところだとカリブ海とかはかなりらしい。
「出るよ」
「ここも暖かい海だから」
「出るよ」
僕ははっきりと答えた。
「実際にね」
「じゃあ先生達も」
「鮫にもね」
「海だからですね」
「海は危ないからね」
少なくともプールよりだ。
「先生達もああして見守ってくれてるんだよ」
「有り難いですね」
「あと変なことをしないか」
「監視ですね」
「変なことをしても危ないからね」
そうした意味でも危ない場所だ、海は。
「だからだよ」
「鮫以外にも」
「そうなんだよね」
「大蛸とか出るか?」
同級生の一人が笑って言って来た。
「ここに」
「いや、大蛸はね」
僕はその彼に笑って返した。
「出ないよ」
「そうだよな、やっぱり」
「というかそれ昔ハリウッド映画じゃ」
「ハリウッドっていうかB級か?」
「大蛸とか烏賊とかね」
烏賊の映画もあった、そういえば。
「そうしたのはね」
「出ないか」
「出ても怖いかな」
「いや、大蛸だとな」
どうかとだ、彼は笑いながらこう僕に言った。
「たこ焼きにしたら沢山出来そうだな」
「そうとしか思えないよね」
「烏賊もな」
「同じだよね」
「焼くなり煮るなり」
「揚げてもいいし」
「食えるな」
しかも美味しくだ、さっき先生が焼いてくれた焼きそばにしても烏賊が入っていた。しかも美味しかった。
「そっちも」
「日本人から見たらね」
それこそだった。
「どっちも怖くないよ」
「蛸も烏賊もな」
「むしろ捕まえてね」
「食うだけだな」
「ミズダコっているけれど」
僕は彼にこの種類の蛸の名前を出した。
「あれ三メートルあるから」
「でかいな」
「それで人襲って殺すことあるらしいけれど」
「ミズダコって食いものだろ」
彼はすぐにこう返してきた。
「酢だことかにしたら美味いよな」
「実際図鑑とかで何にしたら美味しいって書いてたよ」
僕が子供の頃呼んだ小学校の図書館にあった図鑑にはだ、大きさは書いてあったけれど人を襲うとかは全然書いていなかった。他の本で人を襲うこともあると読んだ。古本屋にあった学研の学習漫画だっただろうか。
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