八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十二話 羊はどっちかその十二
「海で好きなだけ遊べ」
「わかりました、じゃあ泳ぎます」
「一キロ行ってきます」
「そうします」
皆先生の夕食の言葉に乗ってだった、そのうえで。
熱心に準備体操をしてから海に入った、僕も八条荘の皆もその中にいた。そして一キロの遠泳をはじめるとだった。
意外と進めてだ、僕は一緒に泳ぐバスケ部の皆に言った。
「結構いけるね」
「思ったよりもな」
「進めるな」
「泳ぐの楽だな」
「プールで泳ぐよりも」
皆もこう言う。
「これなら一キロいけるか?」
「最初聞いてそんなの無理だって思ったけれどな」
「これがな」
「いいな」
「結構いけるな」
「そうだね」
僕は平泳ぎをしつつ皆に言った。
「先生の言った通りだね」
「だよな、海で泳ぐのってな」
「これまでこんな真剣に泳いだことないけれどな」
「意外と楽だな」
「プールで泳ぐよりも」
「学校にいたら」
僕達の八条学園、神戸にあるあの学校にいると。
「プールで泳ぐからね」
「そうそう、どうしてもな」
「近くに海水浴場あってもな」
「授業だとプールで」
「遊びに行ったら遠泳しないしな」
例え海に行ってもだ、今の季節に。
「遊んでばかりで」
「まともに泳がないぜ」
「けれど泳ぐとなるとな」
「案外楽で」
「進めるな」
「だから先生も一キロって言ったんだね」
僕はここで納得がいった、先生は嘘を言っていなかった。海水はプールの水よりも浮力がついて泳ぐのが楽だ。
「いけるからって」
「そういうことか」
「そこら辺り考えてくれてるんだな」
「俺達がちゃんと一キロ泳げる」
「大丈夫だって」
「しかもボートも出して」
そこに先生達がいる、そのうえで皆を見守ってくれている。
「いざって時にも備えてるね」
「だよな、しっかりと」
「棄権したりした時の為にか」
「あと足がつったりした時の救助」
「ちゃんとついてきてくれてるんだな」
「有り難いね」
僕はその先生達を見て言った。
「ああしていてくれてると」
「鮫が出たら」
一年の子が言って来た。
「その時も」
「鮫だね」
「ここ出ますよね」
「うん、実際にそうした事件も起こったしね」
昔の話だ、僕も答えた。
「騒動になったよ」
「そうですよね」
「その時は海自さんも遠泳なかったそうだよ」
「海に出られないから」
「それこそね」
鮫のいる海で泳ぐとだ。
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