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STARDUST∮FLAMEHAZE

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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#5
  TOWER OF GREY~Illegal Needle~

【1】

 成田新東京国際空港。
 巨大な機体の大轟音が相も変わらず交錯し、
多種雑多な人々が行き交う空港ロビー。 
 通常有名芸能人の渡航や海外の映画俳優、
ミュージシャン、アスリートの訪日など特別な事例以外では
他者の存在を余り意識はしないが今現在、
空港内の一角で異様に人目を惹きつける一団が在った。
 女性のように細い躰のラインに密着(フィット)した、
裾の長いまるでバレルコートのような学生服を着た中性的な風貌の美男子。
 近年ハリウッドでリメイクされた、某アドベンチャー映画の冒険家を想わせる
服装にその鍛え上げられた肉体を包んだ初老の男性。
 その小柄で可憐な風貌には不釣り合いな、黒寂びた色彩の黒衣を身に纏った
凛々しき双眸の美少女。
 そして、マキシコートのような特製の学生服の襟元に長い黄金の鎖を垂れ下げ、
その勇壮なライトグリーンの瞳に強い意志の光を宿らせる、
これまで訪日したどの海外スターにも勝り得る、
桁外れの美貌を携えた無頼の貴公子。
 その4者(正確には5)の圧倒的な存在感。
 行き交う人々の群も、己の意志に関わらず想わず見遣ってしまう。
 その黙していても異様に目立つ特異な雰囲気の一団は、
現在初老の男性が若者達に何かを説明をしているようだった。
「取りあえずはまず、君達に “コレ” を渡しておこう」
 エジプト・カイロ行きの搭乗手続きを済ませ、
発着時間まで時間を潰すコトとなった一行は
空港に備え付けのソファーに腰を下ろし各々の佇みでジョセフの言葉を聞く。
 ジョセフが年季の入った大型の旅行鞄から取り出したモノ。
 ソレは様々な色彩の「携 帯 電 話(スマート・フォン)」だった。
 予備も兼ねてのコトなのか、随分沢山ある。 
「コレからは、いつDIOからの刺客が襲ってくるかわからん。
故に、可能な限り一人で行動するのはさけ、
自分がいま、どこにいるのか、
定期的に連絡を取り合い互いの位置を常に把握しておく必要がある」
 穏やかだが重い威厳を含んだ声で、ジョセフは目の前に座る若者達にそう告げる。
「まぁ、いいけどよ。常に懐に入れてると、
戦いの時にブッ壊れねーか? コレ」
 ジョセフの言葉に応じながら、無頼の貴公子は何となく摘み上げた
ミッドナイト・ブルーのスマホをしげしげと眺める。
 その孫の問いに対し、実の祖父はフフンと誇らしげに鼻を鳴らす。
「その点は心配いらん。
“コレ” はSPW財団情報技術部が総力を挙げて鋭意開発したモノ。
財団独自の特殊技術に加え軍の最新鋭の機器も組み込んである特別製だ。
故にその強度は折り紙付きで例え装甲車が轢いても壊れンし、
防水性も完璧。しかも人工衛星を介してこの世界のどこにいても
互いの位置の探査が可能という優れモノだ」
 胸の前でその年齢には似つかわしくない逞しい腕を組みながら、
ジョセフはまるで自分が開発したかのように尊大な態度で言う。
「ソレはスゴイけど、でも、 “封絶” の中じゃ役に立たないでしょ?コレ」
 承太郎と同じようにスマホを手にし、
慣れない手つきでボディをタッチしていたシャナがジョセフに問う。
「“その点” も心配はいらん。
実はSPW財団超常特務機関では
石仮面、波紋、スタンドと平行としてシャナ、
永年君の追ってきた “紅世の徒” に対する研究も進んでおってな。
調査に赴いた 『スタンド使い』 を通して既に
何人かの「協力者」を得るまでになっている。
彼等の協力で通常の科学技術の外に在る理念を盛り込むコトに拠り、
“封絶” の中でも使用するのが可能となったのじゃ」
「――!」
 ジョセフの想わぬ発言に、少女は想わず息を呑む。
「財団に、 “フレイムヘイズ” がいるの?
しかも研究員の人達に協力してるって。
ソレじゃ、一種の 「宝具」 ね。コレ」
 そう言って少女は、自分の手の中にある真新しいスマホを注視する。
“紅世の宝具” は、紅世の徒同士は勿論だが、
人間との協力に拠っても産み出されるコトが確認されている。
 自分の愛刀、渦巻く紅蓮の討滅刃 “贄殿遮那” もその一種だ。
 それとは少しケースが違うが、この携帯電話はその再現と言っていいだろう。
 現代に於ける最先端の情報機器に、
紅世の徒のチカラが使われているのは少し妙なカンジではあるが。
「まぁよーするに、とんでもなく頑丈で
フーゼツの中でも使えるケータイってこったろ。
小難しい御託はどーでもいいぜ」
 スマホの詳細には興味が無いらしく、
無頼の貴公子は腕を後ろに組んで
革張りのソファーに背を預ける。
「……」
 思慮深くみえて、実は結構大雑把でぶっきらぼうな所がある実孫を
ジョセフは仏頂面で見据える。
 携帯電話と言えば、若者が最も好奇心をそそられるモノの一つの筈。
 なのにこの孫はソレに関心がないらしい。
 遠く離れていてもコレならいつでも会話が出来るというので、
操作方法を夜の目も見ずに必死で覚えたというのに。
“このような旅” でもなければ、
自分に一生孫から電話はかかってこないかもしれない、
という空恐ろしいコトをジョセフは想い描き即座に打ち消した。
「さて、それぞれ色は違うが中の機能は全て一緒じゃ。
そこで問題はどの 「色」 を選ぶかというところだが、
まぁ、ここは公平にジャンケンで」
 気を取り直し笑顔でそう言って目の前の若者達に握ったグーを差し向けた
ジョセフの視線の先で、
「オレはコレにしとくか」
「じゃあ私はコレね」
「ボクは、やっぱりコレかな」
 彼等はジョセフの言葉を(まるで)聞いてなかったらしく各々勝手に
旅行鞄の中から自分のスマホを手にし始めていた。
「おい、花京院。レーザー回線で番号送っとけよ」
「私の番号、メールのアドレスと合わせて送っといたわ。
花京院のと合わせておまえの番号こっちに送って」
「他にも色々と機能があるみたいだね。
チュートリアルが付いてるけど
全て把握するには骨が折れそうだな」
 承太郎は怜悧なメタリック・プラチナ、シャナは眼にも鮮やかなクリムゾン・レッド、
花京院は森厳な色彩のディープ・グリーンのスマホをそれぞれ手にし、
互いに喧しく情報交換を行っている。
「オイ、どーでもいいがアドレスの一番上にもう
ジジイの番号入ってやがるぜ。顔付きで」
「ホント。私のにも」
「ボクのもだ」
「……」
 自分なりのサプライズのつもりだったが、
何故か若者達の反 応(リアクション)は想っていた以上に薄い。
「気持ち悪ぃな。こんなモン削除だ、削除」
「かける頻度が高い順に並べ替えた方が合理的よね。
私は3番目位にしておくわ」
「まぁ、ボクは、このままで」
(……)
 必死に勉強して、画像のアイコン作成まで覚えたというのに。
 何故か誠実な青年にフォローじみたコトまで言われる始末。
 ソコに無情に流れる、館内アナウンス。
「ン? もう 「時間」 か。行こうぜ」
「他の機能は飛行機の中で覚えればいいわね」
「機内では電源落とさないとダメだよ。シャナ」
 自分の存在に気づかないのか、知っていてわざと無視しているのか、
それもコレが「世 代 の違 い(ジョネレーション・ギャップ)」とかいうヤツなのか、
離れていく若者達を見送りながらジョセフはそのまま棒立ちとなる。
盟友(とも)よ……)
 小さくなっていく彼の姿に対し、異世界の友人が心中で呟いた愁いの声が届いたか否か。
 何故か視界が滲んで劣化していく中、ジョセフは最後までグーを出したままだった。




【2】


 紆余曲折在ってようやく入った航空機内。
 ファースト・クラスなのでリクライニング・シートはゆったりとしていて
座り心地は良い。
 10:30に離陸した成田発エジプト航空965便は途中幾つかの国の空港を経由し、
速ければ翌日の3:00には目的地であるカイロに着陸する。
 シーズン外の平日、しかも午前中なので空席が目立ち
旅行客らしき者も殆どいないので周囲の人の気配は閑散としている。
 スーツ姿の人間が多くその大部分が時差惚け対策の為に浅い眠りについていた。
 無論ソレはジョセフ達一行も例外ではなく、特に承太郎とシャナは昨晩
ロクに睡眠を取っていないので動く旅客機内独特の雰囲気にその身を委ね離陸して早々、
まるで互いの魂を交換するかのように共に眠りの世界へと誘われている。
 静寂のキャビンに間断なく鳴り響くジェット・エンジンの噴射音。
 その中に突如来訪する、ごく限られた者にだけ感知できる異質な(ノイズ)が在った。
「!!」
 最初に異変に気づいたのは、承太郎。
 即座に傍で深い眠りへと堕ちている少女に呼びかける。
「オイ、起きろ」
 周囲の乗客に気取られないよう、青年は出来るだけ抑えた声で少女の肩を揺すり起こす。
「……ふ……ぇ……? な、に……? もう……着いた、の……?」
 完全に熟睡していたらしくトロンとした寝惚け眼を擦りながら、
少女はフワフワした声で脇の青年に問いかける。
「違う。だが今、妙なカンジが背筋を走った。“いやがるぞ” もうこの機内に、
新手の 『スタンド使い』 が」
「何ですってッ!?」
 しきりに下へと落下していた瞼が、一気に上へと跳ね上がる。
 その少女の声に合わせて、ジョセフと花京院が同時に目を覚ました。
「……“いる……!”  間違いない……!」
「早くもDIOの刺客が襲ってきたか……!」
 両者の声に合わせるように、突如キャビン内に姿を現す、異質な物体。
 本来ソコにいる筈のないモノ。
 ソレは、不気味な羽音を立てて縦横無尽に空間を飛び回る 『奇虫』 の姿。
 怪異なる紋様の浮かぶ硬質な上翅を水平に拡げ、
血液の循環作用で赤みがかった半透明の後翅を展開して、
何かを模索するように機内を旋回し続けている。
「か……かぶと……いいえ、クワガタ虫ッ!?」
 黒髪の少女がその姿を認め指差した瞬間、
奇虫は空間に鋭角の軌道を描きリクライニング・シートの陰に入る。
「むうぅ、座席の陰に隠れたぞ……!」
「機内にクワガタ、普通じゃあねぇな」
 祖父とその孫がそれぞれ声をあげ、姿を消した奇虫の存在に神経を研ぎ澄ます。
「封絶ッ!」
 威風堂々と前を向いたまま、鋭い声で無頼の青年がそう叫び、
自分の脇にいる少女に 『能力』 の発動を促す。
 しかし。
「ダ、ダメ……!」
 返ってきた声は、焦燥を孕んだ一言。
「出来ねーのか?」
 咎めるような色はなく、青年は眼前に注意を払ったまま細い流し目で
脇の少女に視線を送る。
「そうじゃないけど、リスクが高い。普通の平野だったら大丈夫だけど、
今みたいに 『上空を常に高速で動いているような特殊な空間』 だと、
封絶の範囲指定が難しいの。無理に展開してもし因果の切り離しをミスったら、
最悪この機が墜ちるわ」
「 “やり直し” は考えるなってコトか」
 告げられた事実から少女のサポートは期待できないと瞬時に割り切った
青年は、より鋭い眼光で前方の空間を凝視する。
「 “幽波紋” か?花京院」
 少女の胸元のペンダントからあがる、荘厳な声。
「在り得ます…… “虫” のカタチをした 『スタンド』 」
 男の声に少女の背後に座っていた、中性的な美男子が応じる。
 その次の刹那。
 無頼の青年の超近距離で響き渡る、奇虫の耳障りな羽音の唸り。
「承太郎ッ! おまえの顔の横!!」
 少女の叫ぶような声と同時に己の左方へ視線を向けた美貌の青年の眼前に、
おぞましき奇虫の裏面が蠢いていた。
 世界最大のクワガタ、ギラファ・ノコギリ・クワガタすらも
遙かに凌駕する奇虫のサイズ。
 巨大な顎を暴虐的にガギガギと何度も交差させ、
その下唇肢から淀んだ灰色の体液を断続的に滴らし、
更にその内部から節くれ立った階層状の “触針” を剥き出しにする、
生命の幻 像(ビジョン)
 荒廃した「本体」の精神をそのまま具現化したかのような、
醜貌なるスタンドの姿。
(気味悪ィな……)
 眼前の超至近距離で迫った奇虫に対し、眉一つ顰めず無頼の貴公子が
心中で想った感想はソレ。
そして青年は鋭い視線でそのおぞましきスタンドを睨め付け、
即座に戦闘体勢へと移行する。
「ここはオレに任せろ。ジジイもシャナも手出しは無用だ」
 醜悪極まる姿をしているとはいえ、
あくまで戦闘の基本は正々堂々一対一。
 その矜持の許ゆらりと奇虫に向き直った青年は、
己がスタンドを繰り出す為に精神を集中する。
「気をつけるんだ。スタンドだとしたら、“人の舌を好んで喰い千切るスタンド使い”
がいるという話を昔聞いたコトがある」
「……」
 背後から告げられた花京院の言葉をしかと耳に留めながら、
青年は軽く立てた左手の親指をそのまま鋭く己の美貌の側面へと掲げる。
星 の 白 金(スター・プラチナ)ッ!』
 勇壮なる叫び。
 空間の歪むような異質な音と共に、突如青年の右腕からもう一つの屈強な腕が出現し、
瞬時に彼の背後に現れた勇猛なる人型のスタンドが鋼鉄すらも容易く両断する、
峻烈なる手刀を音速で奇虫に繰り出す。
 しかし。
 ソレが触れるよりも遙かに疾く、奇虫は空間に残像を遺して眼前から消え去る。
「!」
「!?」
「!!」
 頭上で、再び耳障りなスタンドの羽音。
 奇虫は淀んだ体液に塗れた剥き出しの触針をスタープラチナに向けながら、
スタンドの死角の位置で変わらぬ挙動のまま佇んでいた。 
「躱した……!? 信じられないッ! 
目の前で発射された弾丸さえも掴み取れるスピードが在る
スタープラチナよりも、更に(はや)いッ!」
 眼前で刹那に繰り広げられた驚愕の音速攻防に、少女はその双眸を見開く。
「このスピード、そしてこの幻 像(ビジョン)、間違いない。
やはり “ヤツ” だ。タロットでの 「塔のカード」 破壊と災害。
そして旅の中止の暗示を持つスタンド……」
 その眼前で耳障りな羽音を響かせ暗い灰色の燐光を空間に撒き散らす
蟲型スタンドの全容が、翡翠の奏者の口を衝いて出る。



灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)ッッ!!』
本体名-不明
能力-『近距離パワー型』、スタープラチナすらも上廻る超高速のスピード。
そして同じ超高速の触針で対象の舌を突き挿し、引き千切る。
破壊力-B スピード-A 射程距離-C
持続力-B 精密動作性-A 成長性-D




「うわさには聞いていたがコイツがDIOの配下になっていたとは……
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は事故や災害に見せかけて
大量殺戮を繰り返す 『スタンド』
飛行機事故、列車事故、ビル火災等はこいつにとってはお手の物。
昨年イギリスで起こった死傷者が300名以上と言われている飛行機墜落事故は、
実はコイツの仕業だと 『スタンド使い』 の間で目されている」
 椅子一つ挟んだ距離で己を語る翡翠の美男子の姿を認めた奇虫のスタンドは、
やがてその怖気の走るような下唇(クチ)を蠢かせて喋る。
『ククククククククク……ご紹介に預かり光栄だな。
まぁ、今言ったコトは概ね本当だと認めておこう。
余りに手広く墜とし過ぎてどこの飛行機のどの便か迄は忘れたがね……』
「テメェ……ッ!」
 奇虫が過去行ってきた残虐なる悪行に、無頼の青年はその口元を軋らせる。
『ククククククク……空条 承太郎。貴様だけは何をおいても真っ先に 「始末」 しろと
エンヤ殿から厳命を受けているのでな。
カワイソーだが今すぐにその舌を引き千切らせてもらうぞ』
「やれるもんならやってみやがれッッ!!」
 眼前で耳障りな羽音を鳴り響かせ悪意に充ちた宣告をつげるスタンドに向かい、
青年は一歩も怯むコトなく吼える。
『クククク……言われずとも、殺ってやるさッッ!!』
 そうスタンドが叫ぶと同時に奇虫の下唇が陰惨なる牙を無数覗かせながら裂け、
ソコから淀んだ体液に塗れた階層状の触針が超高速で飛び出して来る。
「!」 
 予想を遙かに超える速度。
 しかし承太郎は己の精神を鋭く研ぎ澄ませ、
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 の口中から射出されるスタンド攻撃を迎え撃つ。
 その再び音速のスタンド戦を繰り広げようとする両者の死角から突如舞い降りる影、
否、炎の人 影(シルエット)が在った。
(ッ!)
(!!)
 その紅い流星のように飛来する、灼熱の存在に両者は同時に気づく。
 紅蓮の火の粉を振り撒きながら空間に舞い踊る深紅の髪。
 その裡に熾烈なる炎の(ともしび)を宿した真紅の瞳。
 跳躍とほぼ同時に全身を覆っていた黒衣を気流に靡かせながら、
手にした戦慄の美を流す大刀を振り挙げて構える少女の姿を。
(一つ “貸し” よ。承太郎ッ!)
 心中で鮮やかにそう叫びながら、少女はそのまま 『スタンド』 に向け
右斜め方向から高速の正面斬りを撃ち降ろす。
“手を出すな” とは言われたが、相手が承太郎に攻撃を仕掛けてくるのなら話は別。
 この躰は抑えられない。
 この心は止められない。
 しかし。
(!?)
 次の瞬間、そのスタンドは少女の眼前から完全に消え去っていた。
 振り降ろされた大太刀はそのまま後に遺されたスタンドの残像を
透き抜けるのみ。
(そんな!? 私よりも疾いッ!?)
「後ろだッッ!!」
(!!)
 少女が胸中でそう認識したのと胸元でアラストールが声をあげたのはほぼ同時。
 咄嗟に振り向いた先、もう既にシャナの背後でスタンドが口を開け、
超高速の触針をその宝珠のような口唇に向けて撃ち放っていた。
(間に合わ、)
 もう既に躱すのは不可能だと解した少女は、
己に迫るおぞましき触針を直視する以外術がなくなる。
 ズァッッッッッグゥゥゥゥゥゥゥゥ――――――――――!!!!!!!!
(――ッ!)
 想わず眼と耳を塞ぎたくなるような、生の肉が抉れる貫突音。
 しかしソレと同時にやってくる筈の、軋るような激痛が襲ってこない。
 眼前の事態を認識した次の刹那。
 少女のその真紅の双眸が大きく見開かれた。
「グ……ウゥ……!」
 漏れる苦悶と共にスタープラチナの巨大な()が、自分の眼前を覆うように伸びていた。
 伸縮するスタンドの触針はスタープラチナの右手を貫通して
完全に手の甲側を突き破り、そこで直進の動きを止められたまま
本体はその口から淀んだ灰色の体液を周囲に撒き散らしている。
「承太郎ッ!?」
 庇ってくれた。 
 そのコトを認識するより後か先か、しかし少女が青ざめた表情で叫んだ瞬間、
スタンドの法則により本体である承太郎の右手にも向こう側が覗ける程の傷穴が穿たれ、
ソコから多量の鮮血が噴き騰がるように飛び出す。
(――ッッ!?)
 少女が想わず悲鳴じみた声をあげそうになる最中、
承太郎はその怖気がするような苦痛に微塵も怯むコトなく、
即座にスタンドを操作して次の行動に移らせる。
 音速で閉じるスタープラチナの掌握。
 しかしスタンド、 『タワー・オブ・グレー』 の触手は
“ソレよりも疾く” 収縮してスタープラチナの傷穴から抜きいで、
音速の捕獲から余裕で逃れる。
「チッ、針を掴んでソコから蜜蜂のように(はらわた)
引き吊り出してやろうかと思ったが、
やれやれ、なかなかすばしっこい 『スタンド』 だぜ」
 口元を苦々しく結びながら、承太郎は自分の右斜めの位置に廻り込み
耳障りな羽音を立てる奇虫のスタンドを睨む。
 奇虫は次の襲撃の機会を窺うように、静止した空中から一㎜も動かず
野生の甲虫そのままの挙動で佇む。
(……)
 瞬時に青年の裡で起動し始める、鋭い洞察力と深い判断力に裏打ちされた「戦闘の思考」
 その刹那。
「じょ、承太郎」
 自分の左隣から、切迫した少女の声。
 その声に対し承太郎はスタンドに攻撃態勢を執らせたまま、
細めた流し目で一瞥する。
「……」
 己のすぐ傍で、火の粉舞い散る紅髪の美少女がしきりに
オロオロとした表情で自分をみている。
 今自分の胸中で渦巻いている感情を、自分でもどう扱ったらいいか
解らないとでも言うように。
(……)
 何か敵の 「弱点」 でも掴んだのかと想ったが、
どうもそうではないらしいと解した承太郎は少女から視線を切り
再び眼前に向き直る。 
「大したこたァねー。舐めときゃ治る」
 刺突痕が開き全面血塗れになった右手を無造作にズボンのポケットに突っ込み、
ぶっきらぼうにそう告げながら。
「で、でも、でもッ!」
 しかしそれでも少女は、変わらぬ狼狽した表情で自分に潤んだ視線を向けてくる。
 そんな少女に対し裾の長い学生服に身を包んだ青年は、
「オレのコトより周囲の警戒を怠るな。
余計なコトに気ィ回すと、マジで舌根っこ引っこ抜かれるぜ」
感情を込めず端的にそう告げて、彼女の数歩先へと歩み出た。
 その広く大きな背中を見つめながら、少女は心中で呟く。
(『余計なコト』 ……なんかじゃない……)
 いいながらも心中でざわめく、自分でも理解不能の感情。
(今の私のこの気持ちは…… 『余計なコト』 なんかじゃない……ッ!)
 半ば逆ギレにも近い心情で、少女は自分に背を向けた青年に叫ぶ。
「さぁ、て」
 背後から少女の灼け付くような視線を感じたが、
今は自分の成すべきコトをするだけだと振り切った無頼の貴公子は、
スタープラチナに音速の多重連撃を繰り出させる為、
己の裡でその高潔な精神を高める。
 スタンドの 「原動力」 は、人間の精神力。
 故にその本体の精神が高ぶれば昴ぶる程。
 スタンドはより疾くより強力に機動(うご)く。
 熱く、激しく、燃え尽きるほどに。
「オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!」
 まるで壮烈なる光竜の息吹のように、承太郎の口唇から発せられる鬨の声。
 それと同時にスタンド、スタープラチナの全身から立ち昇る、気高き白金の燐光。
 その二つの波長が、完全に一致したその刹那。
『!!』
 突如散大する、スタープラチナの双眸。
 そして。
「ォォォォォォォォォォォラオラオオラオラオララオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ―――――――――――――!!!!!!!!!!!!!」
 けたたましいスタンドの咆吼と共に夥しい数の拳撃の嵐が、
山と積まれた散弾式廻転重火器が爆裂一斉総射されたかの如く、
狂乱の超弾幕が白金の迸りと共に眼前を埋め尽くす。
(ス、スゴイッッ!!)
 青年の背後にした少女も、心中の蟠りも一瞬忘れて魅入る程の拳嵐。
 正確に視て取れるのは半分に充たず、数えられるのは更にその半分に充たない。
 今まで共にした戦いの中で、その力量を充分に認めてはいたが
まさかコレ程だったとは。
 否。
 明らかに以前よりも遙かにその威力(チカラ)向上(あが)っている。
 数多の戦いと幾多の訓練を通して、確かにこの青年は 「成長」 している。
 自由自在、(ほしいまま) に銀河と星雲とを翔け巡る、
白色の彗星で在るかの如く。
 だ、が。
 その白金に輝く乱撃の超弾幕はスベテ、昏い灰色の燐光を放つ蟲型の飛行スタンド、
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 を擦り抜け虚空の彼方へと消え去る。
 触れ得たのは残像、或いは常軌を逸した超スピードが生み出す幻影。
 目標であるスタンド本体には掠りもせず、
その異形なる外殻にも半透明の羽根にも擦り傷一つ付いていない。
 スベテは刹那の間。
 一秒にも充たない時の中。
 ソレにも関わらず。
「か、躱された……片手ではなく両手のラッシュのスピードさえも……
なんという凄まじいスピードのスタンドだ……!」
 背後にいたジョセフがその驚愕を抑えるコトもなく声を漏らす。
『ククク……例えここから一センチメートルの距離より、
100丁の拳銃で一斉に弾丸を発射したとしても、
弾丸はオレに触れるコトさえ出きん。
最も、弾丸で 『スタンド』 は殺せぬがな』
 まるで機械合成音のような、ノイズを伴う無機質な声で、
スタンド、『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』は傲然とそう告げる。
(ス、 『幽波紋(スタンド)』 って、こんなに強かったの……!?
今まで私が討滅してきた遣い手とは、明らかに次元が違う……ッ!)
 青年の背後でその真紅の瞳を見開く少女の様子を
目敏く見据えていた蟲型のスタンドが、耳障りな羽音共にシャナへ告げる。
『クククククク……3流どころの能力者を、10人かそこら
倒してきただけでイイ気になるなよ? “マジシャンズ”
お前が今まで倒してきた “スタンド使いだと想っていた者” は、
エンヤ殿が 『ある方法』 を遣い生み出された、いわば即席のスタンド能力者。
モノを知らぬ幼子のような者。故にその経験も技術も我等には遠く及ばん。
DIO様の側近足る我等は、その全てが 『生まれついてのスタンド能力者』
云わば神に選ばれしスタンドのエリート。
貴様が今まで倒してきた「スタンド使い(もど)き」とはその格が天と地ほども違うのだ』
「……ッ!」
 想定していなかった事実に対する驚き、
しかしソレに対する気丈な反抗心を瞳に宿らせて、少女は奇虫を睨み返す。
(どこだ……?どこにいる……!?)
 スタンド、 『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 が傲然とした態度と口調で
少女にそう語り続けているその間にも、ジョセフは言葉を耳に留めながら
己の周囲に警戒心を張り巡らせていた。
(アレだけのスピード、そして精密動作性。
スタンドのタイプは間違いなく 『近距離パワー型』
ソレを操っている 「本体」 は間違いなくワシらのすぐ近くにいる!
この周囲の乗客の中にきっとッ!)
 周囲の乗客はその殆どが浅い眠りに就いているが、
ソレでも寝息やほんの些細な仕草から 「不自然さ」 を発見しようと
ジョセフはその長年の戦いの年季で培われた神経を研ぎ澄ます。
 しかしそんな彼の行動を嘲笑うように。
「例えば……“このようになぁッッ!!” 」
 瞬きよりも短い時間、まるで空間と空間とを飛び越えるように
スタンド、 『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は
承太郎達の眼前に灰色の残像を遺し、ソコから遙か遠方の後部座席へと移動する。
(!!)
「また移動したッッ!!」
 承太郎が瞬間移動したスタンドに視線を向けるのとシャナが声を上げて
ソレを指差したのはほぼ同時。
 だが、その一秒後。
『ククククク……』
 後方の悪意の塊の接近に気づかず安らかな眠りに落ちている乗客に向け、
奇虫のスタンド 『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は、
『KEEEEEEEEEEEEEEEEAEEEEEEEEEEEEEEE
EEEEEEEEEEEE――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!』 
普通の人間には決して聴こえない、磨き込まれた硝子の板を
鉤爪で掻き毟るような奇声を上げ音速で突っ込んだ。
 ズァッッッッッギュアアアアアアアアアアアアア―――――――――――――!!!!!!!!!!
 刹那の間もなく一列20シート以上の最後部から突貫した蟲型スタンドは、
一秒もかからずに最前列に座る若い男性の口中から出現し、
その節くれ立った硬質な全身に鮮血を纏い空間に赤い弧を描きながら上方へと翔け昇る。
 シートごと肉を抉り、後方の頭蓋骨が穿たれた音が耳に入ったのは、
“その遙か後”
(!)
(!?)
(!!)
(…!)
(ッ!)
 何も出来ず止めるコトも叶わず、遠間にスタンドを見つめる5人は
その存在を認識するだけ精一杯だった。
 その5名の視線が釘付けになっているモノ。
 ソレはスタンド 「本体」 ではなく伸縮自在の鋭利な触針に突き刺さった、
微かに湯気を上げて血に塗れる赤い肉塊。
 その者達を再び嘲笑うように、奇虫のスタンドは針に突き刺した
赤い肉塊をまるで戦利品のようにビラビラと見せつけ
残虐に陶酔した狂暴な声を上げる。
塔 針(タワー・ニードル)!!” 「舌」 を引き千切ったッッ!!
そしてオレの 「目的」 は!!!!』
 そう叫び高速で大きく旋回した蟲型スタンドは、
長い触針の間に連ねられた無数の人間の舌を機内の壁面に擦り付け
何度も軌道を変えながら鮮血を塗りたくる。
 その後に遺された赤い痕跡が示すモノは。




Massacre(皆殺し)!”




 赤い雫が生々しく滴り、スペルの 「M」 の部分が猟奇的に跳ね上がった、
殺戮の血のオブジェ。
「ヤロウッッ!!」
「このォッッ!!」
 己の能力(チカラ)をただ誇示する為 “だけに”
罪の無い何十人もの人間の生命を奪ったスタンドに、
怒髪天を衝く勢いで承太郎とシャナが同時に猛る。 
「さっきのは全力じゃなかった……今度こそ全開のラッシュでブッ潰すッッ!!」
「跡形も無く焼き尽くしてやるッッ!! フレイムヘイズの焔儀で!!」
 片やスタンドの全身から白金の燐光を迸らせ、
片や右手に炎を不可思議な紋字と共に纏わせながら、
『スタンド使い』 の青年と “フレイムヘイズ” の少女は
同時に殺戮のスタンド、 『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 へと挑みかかる。
 そこに。
「待てッ! 待つんだ!! 空条!! シャナ!!」
 花京院が清廉な声で猛る両者を制する。
 その翡翠の美男子が視線を向けた先。
「う、う~ん、今、何時じゃ?なんだか、騒がしいのぉ~」
 簡素な服を着た初老の男性が、寝惚け眼を擦りながら身を起こそうとしていた。
「……」
 瞬時に老人の傍へと移動していた花京院が、
その首筋に完璧な角度とタイミングで当て身の手刀を入れる。
「失礼……」
 意識を断たれ再び深い眠りへと落ちていった老人の身体を丁重に支え、
リクライニング・シートにゆっくりと伏せた花京院はそのまま
承太郎とシャナへと向き直る。
「今はまだ大丈夫だが、他の乗客が気づくのは時間の問題でしょう。
そうなったらパニック状態になるのは必至、その前にヤツを倒さなければなりません」
 冷然とした口調で端的にそう告げながら、花京院は二人の傍へと歩み寄る。
「シャナ、君の炎はソレがエンジンにでも引火すればこの旅客機を爆発させかねないし、
空条、君のパワーも機体壁に大穴を開けでもしたら大惨事だ」
「……」
「……」
 あくまで冷静な花京院の忠告に、
承太郎とシャナは不承不承振り上げた拳を降ろす。
「ここはボクの静なるスタンド、
法 皇 の 緑(ハイエロファント・グリーン)』こそが
ヤツを始末するのに相応しい」
 そう花京院が言い終わるのとほぼ同時に、
背後から空間を歪めるような異質な音を伴って彼のスタンドが出現する。
 宇宙人、或いは未来人のような特異なフォルムを高貴なエメラルドの燐光で包まれた
“遠隔操作型スタンド” 『法 皇 の 緑(ハイエロファント・グリーン)』 が。
 その姿を認めた蟲型スタンドは、
再び無機質な声を耳障りな羽音に絡ませながら、
その翡翠の奏者へと語りかける。
『花京院 典明か? DIO様とエンヤ殿から聞いてよーく知っているぞ。
アノ最強のスタンド使い 『亜空の瘴気』 ヴァニラ・アイスにも随分と眼をかけられて
いたそうじゃあないか? 組織での将来が約束されているにも関わらず
その全てを捨て、敵側に寝返るとは理解に苦しむな』
「黙れ……」
 花京院はその怜悧な風貌にやや陰を落とし、空中で停止するスタンドに告げる。
 両者の間に立ち込めるその険難な雰囲気を敏感に感じ取った少女が、
脇にいる承太郎の制服を引く。
「大丈夫……なの……? やっぱりあいつ、元居た組織に未練があるんじゃ……」
「そう想うか?」
 問いかけられた無頼の貴公子は、疑惑も危機感もその表情に微塵も現さず、
寧ろ余裕すら感じさせる態度で少女にそう返した。
「……想わない」
 その彼に当てられたのか、少女は一言そう告げ眼前に視線を戻す。
『フッ……何なら、このオレからエンヤ殿に取り直してやっても良いのだぞ?
お前ほどの 『スタンド使い』 ここで殺すには惜しい。
それにわざわざ負けの決まった相手に付くコトもなかろう?
賢いお前なら理解出来るな。ン? 二人でこいつらを皆殺しにしようじゃないか』
「黙れと言っているんだッッ!!」
 己の過去を断ち切るかのように、花京院は清廉な声で叫んだ。
「ボクは自分の 「意志」 でDIOを斃すと決めたんだ!!
誰に強制されたわけでも請われたからでもない!!
余計な御託はここまでだ!! さあッ! かかってこい!!
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)ッッ!!』 臆したのか!!」
 凛としたその声に、 奇虫はやや興が削がれたかのように一度沈黙し
やがて口を開く。
「フッ、もう少し頭の良い男だと思っていたが。失望したぞ、花京院 典明。
自分のスタンドが「静」だと解っているならオレには挑むまい……
スタープラチナに劣る貴様のスピードでは、このオレを捉えるコトは絶対にできん」
「さて、ソレは、どうかな」
 奇虫のその宣告に対し花京院は、
流麗な動作で左手を右肩口、そして右手を左脇腹の位置に置き、
厳粛なスタンド操作の構えを執る。
 その両者の対峙を灼けつくような瞳に映しながら、
少女はその外見からは想像もつかない鋭敏な頭脳で状況の分析にかかる。
(正直、花京院に 「勝ち目」 は無い。それはあいつが弱いからとかじゃなくて、
戦闘の 「相性」 が悪過ぎる。スタープラチナにも私にも遙かに劣る
あのスピードじゃ……間違いなくアノ 『幽波紋(スタンド)』 の餌食になるッ!)
 その少女の懸念を余所に、花京院は眼前のスタンド戦の火蓋を切る。
「エメラルド……ッ!」
 犀利な声でそう呟くと同時に、スタンド、
法 皇 の 緑(ハイエロファント・グリーン)』の掌中で深い緑色の液体が
瞬時に浮き上がり、そしてうねるように攪拌され集束していく。
 そし、て
「スプラッシュッッッッッ!!!!!」
 やがて硬質な翡翠の「結晶」と化したスタンドパワーは、眩い輝きを以て一斉に弾ける。
「フッ……」 
 眼前から迫る無数の翡翠徹光弾の嵐を前に、
奇虫のスタンド 『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は微塵の焦りもなく
ソレを見据える。
 そしてその光弾の最初の一つが微かに大形に伸びた顎に触れた瞬間。
『KEEEEEEEEEEEEAEEEEEEEEEEEEEEEEEE
EEEEEE―――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!』
 他の者には聴こえない空間の罅割れるような奇声を発し、
ブレる残像と共にソコから消え去る。
 そしてそのまま一切のバランスを崩さず攻撃照準は標的にピタリと位置したまま、
凄まじい音速でフレキシブルに機動(うご)き、
まるで光の反射のような直線の軌跡を空間に描いて
放たれた華麗なる流法 “エメラルド・スプラッシュ”の結晶光騨スベテを完全回避する。
(!!) 
 己の懸念が現実のモノとなった事に、少女はその紅い双眸を一際大きく見開く。
(やっぱりあのスピードに躱された……! このままじゃ……ッ!)
 輝く翡翠光弾の群れが背後に翔け抜け消えた刹那、
ソレを躱したスタンドも即座に反撃へ移る。
「喰らえィ!! “塔 針(タワー・ニードル)ッッ!!”」
 再び奇虫の口腔から撃ち出された悪魔の触針が
花京院のスタンド、 『法 皇 の 緑(ハイエロファント・グリーン)』 の致命点へと襲いかかる。
“スタンドへのダメージは、そのまま 「本体」 へと還る”
 故にその致命点を完全に突かれれば花京院の絶命は必至。
 だが撃ち放たれた “塔 針(タワー・ニードル)” とほぼ同時に
身を翻していた 『法 皇 の 緑(ハイエロファント・グリーン)』 は、
躱す事こそ不可能だったが何とか急所を撃ち抜かせるコトだけは
かろうじて阻止する。
「ぐっ!!」
 スタープラチナをも超える音速で伸びた触針は、
スタンドの肩を鋭く穿ち、人間の肩胛骨に当たる部分を突き破って貫通し、
背後のシートにメリ込む。
 法則により花京院の女性のように細い肩口にも穿孔が現れ、
ソコから生温かい鮮血が勢いよく水流のように飛び出す。
 本体が大きく体勢を崩しスタンドとスタンドとが繋がった状態で、
眼前の悪意の塊、『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は感心したように声を漏らす。
「ほう? なかなか良い反応だな。予め自分の攻撃(E・S)が
避けられると予測して動かなければ無理な反応だ。
視てから避けたのではもう遅すぎる。
だが、同じ躱し方が二度通用するとは思わないコトだ。
我が『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』のMAXスピードはこんなモノではない。
次はこの“塔 針(タワー・ニードル)”をお前の舌に突き挿して引き千切ると予告しよう。
今度は外さないようによ~く狙ってな。ソレでも良いと言うなら再び攻撃を仕掛けてくるが良い」
法 皇 の 緑((ハイエロファント・グリーン)』 の肩口から
血を現す 「生命の映像(スタンド・パワー)」 に塗れた触針を引き抜きながら、
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は傲然と残虐なる結末を言い放つ。
(やっぱり花京院じゃ勝てない。ここは私が……!)
 左肩から血を流しその部分の止血点を押さえながら立ち上がる
中性的な美男子の無惨なる姿を認めた少女が、
纏った黒衣を揺らしながら血気盛んに前へ出る。
 そこに。
「待ちな」
 自分の脇に位置する無頼の貴公子がクールな声でソレを制する。
「承太郎ッ! でも!」
 敵も次は本気だ。
 本気で 「殺し」 にかかる。
 永年の経験則から、そんなコトはもう気配で解る。
 しかしそんな少女の抗議の声にも隣の青年は変わらぬ声調で、
「いいから見てな」
ただ一言そう言った。
(!?)
 その時の。
 彼の淡いライトグリーンの瞳に映った色。
 絶望的な状況なのに。
 もう次の刹那に死んでしまうかもしれないのに。
 彼が花京院を視る眼はその何れでもない。
 何というか、温かな。
 信じて見護っているような。
(なんか、違う……)
 最初はほんの微かな違和感だったが、
次第次第にザワザワと不明瞭な感情が胸の中に広がっていく。
 不安なような、不快なような。
 そして何か。
 嫌なカンジで熱い。
(私を視る眼と、花京院(あいつ)を視るコイツの眼は、何か違う)
 最早眼前の死闘は意識の外に追いやられ、
少女の視線は傍にただ青年に釘付けとなる。
 その彼の気高きライトグリーンの瞳に映る、
血に塗れた姿の翡翠の奏者。
 痛みで引きつる肩を無理に動かして再び流法の構えを執り、
スタンドの掌中で眩いエメラルドの光が集束していく。
 その彼の視線に気づいているのかいないのか、
翡翠の奏者は先刻以上の清廉なる声で、己がスタンドの
流法名を高々と発する。
「エメラルド・スプラッシュッッッッッ!!!!!」
 再び光が眼前で弾け、遍く翡翠の結晶光弾が煌めきの洪水共に
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 へと向かっていく。
『クハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!
バカの一つ覚えのように再び “エメラルド・スプラッシュ” とは!!
最早万策尽きたようだなッッ!! ならば死ねィ!! 花京院ッッ!!』
 奇虫はそう叫んで再び先刻の場面をトレースするように、
空間にジグザグのスタンド光跡を遺して光弾の海を躱す。
(!!)
 そして花京院の端麗な風貌の前に姿を現した奇虫は、
そのおぞましき外貌を剥き出しにし躙り寄るようにして叫ぶ。
『オレのスタンドに舌を引き千切られると狂い悶えるンだぞ!!
クハハハハハハハハハハハハハハ!! 苦しみでなァ!!
貴様のその美しい貌が苦悶で一体どのように醜く歪むか!?
今から愉しみだぞッッ!!
ファァァァァァァァハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!』
 そう叫びながら己自身が殺戮の快楽で身悶える蟲型スタンド、
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)
「むう。やはり “アノ(わざ)” は躱されたか」
 少女の代わりに眼前の死闘をその漆黒の珠に映していた紅世の王が、
一切の起伏もない荘厳な声でそう言った。
『くたばれ!! 花京院ンンンンッッッッ!!!!』
 狂声を発しながら、花京院の女性のように艶めいた口唇に射出される
悪意の棘、“塔 針(タワー・ニードル)
 しかし。
“ソレよりも前に” 既に花京院の口唇は動き、声を発していた。
「何?引き千切られると、狂い悶える?」
 その刹那。
 奇虫の頭上から撓るように降りかかる、
まるで深緑の樹木を想わせるような、無数のスタンドの触手の群。
『何ッ!?』
 自分の死角からの予期せぬ深緑の襲来に、奇虫のスタンド、
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 はその超スピードを以て
束になったスタンドの触手の群の微かな隙間を、なんとかかいくぐって躱す。
 しかし。
 その第一陣、続く第二陣、第三陣を躱しても、既に “結界” は十重二十重(とえはたえ)
 幾ら避けても深緑の触手群は、まるで意志を持った森の牙のように
際限なく次々と湧き出て頭上から降り注ぐ。
 死に体だと想っていた者の、突如の叛逆。
 その深緑の色彩が司るモノは、正に樹海の異図。
「グエッ!?」
 やがて眼前、否、己の周囲全域を細い深緑の触手(スタンド)で取り巻かれ
回避空間を失った蟲型スタンド 『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 の、
その大顎(あご)に、その脛節(あし)に、その背板(むね)に、
その後翅(はね)に、その複眼()に、その触角(はな)に、
ザイル状になったスタンドが幾重にも絡み付いて完全に動作を封じ
空間に拘束する。
 身動きの取れなくなった超高速のスタンドは、唯一拘束を免れた下唇(くち)から
グジュグジュとおぞましき体液を吐き出しながらソコから抜け出ようと必死に藻掻く。
 しかし何層にも渡って巻き絡められた 『法 皇(ハイエロファント)』 の “結界” は、
そんな蟲ケラの無意味な抵抗などまるで意に介さない。
 そうして完全に戦力を無にされた殺戮のスタンドに向かい、
花京院は変わらぬ清廉な声で言い放つ。
「解らなかったのか? 既にリクライニング・シートの中や下に、
ハイエロファントの触手や触脚が延びていたのさ。
“エメラルド・スプラッシュ” はソレを覆い隠す為の迷 彩(カモフラージュ)
要はお前の飛行制空圏内全域をザイル状に引き延ばした
スタンドで蜘蛛の巣のように覆い尽くすコトが目的だったんだ。
ボクのハイエロファントの 「射程距離」 は最大50メートル。
ソレは同時にスタンドを糸のように細く引き延ばせば、
その全域にスタンドを潜ませるコトが可能というのも意味する。
「逃げ場」 を無くしてしまえば、幾らスピードが疾くても関係ないだろ? 
違うか? ン?」
 花京院はそう言って、自分を再び 「悪の道」 へと引きずり込もうとした
スタンドを睨め付ける。
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 の言ったコトは、
「ある意味」 では正しいと解される事象では在ったが、
今の彼に取ってソレは、自分自身の誇り対する許し難い侮辱でしかなかった。
「さて、待たせたな。空条」
 スタンドをスタンドで空間に拘束したままの状態で、
腰の位置で端整に両手を組んだまま花京院は承太郎の方へと向き直る。
「!」
 その中性的な美男子の、深いライトアンバーの瞳に映ったモノ。
(なるほど、な)
 承太郎はソレを視ただけで、彼の意図を察する。
 そう言えば、左手を撃ち抜かれたンだった。
 眼前のスタンド戦に集中する余りスッカリ忘れていたが。
(借りはキッチリ自分で返しとけってトコか?
なかなかイキな処が在る男だな。花京院) 
 心中でそう呟き、承太郎は一歩前に出る。
『くっ、うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――!!!!!!!!!』
 暗闇の中でスタープラチナの途轍もない存在感を感じた
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は、己の全身に巻き付いて引き絞る
スタンドの触手の束を何とか引き千切ろうと暗い灰色の燐光を
振りまきながら懸命に足掻く。
 ソコにまるで神の啓示のように、静かに降り注ぐ奏者の声。
「無駄だ。お前の 『能力』 は、そのスピードと精密動作性に
(スタンドの)エネルギーの大部分を費やすタイプのモノ。
だからその代償としてパワーが弱い。蟲型(そんなすがた)をしているのが良い証拠だ。
最後の最後で自慢のスピードに脚を掬われたな?」
(!!)
 満足に動かせない羽根と完全に拘束されている手足の先を震わせながら、
奇虫のスタンドは花京院のその恐るべき慧眼に息を呑む。
(試して、みるか……)
 その両者を遠巻きに見つめる無頼の貴公子は、
『近距離パワー型』 で在る己のスタンドの射程距離、
半径2メートル以内には踏み込まず有効射程圏内から遙かに離れた位置でスタンドを
出現させゆっくりと攻撃態勢を執らせる。
(何、する気?その位置じゃ、おまえの攻撃は相手に届かないわ)
 青年の特製の学生服で覆われた広い背中を見つめながら、
少女は彼の 『能力』 を知る者なら当然の疑問を心中で口に出す。
 その、次の瞬間。
(……)
 青年のスタンド、 『星 の 白 金(スター・プラチナ)』 の右掌が、
バラ手で胸の前に添えられていた手の甲側を滑るように撫でる。
 まるで熟練の奇術師のように、その手が滑った後の左手には
ソコに “本来在るべき筈のモノ” が無くなっている。
 ソレは。
 スタープラチナの両手に装着された、
鞣し革のような独特の質感を携える剥き身のベアナックル。
 その拳部分に無数穿たれた、紅世の刀剣すらも易々と破壊する鉄鋲。
 着脱可能だと知ったのは、実はごく最近のコト。
 いつかの少女の言葉を思い起こし、己のスタンドをより注意深く観察した結果。
 そしてスタープラチナは取り外した無数の鉄鋲を平に構えた右掌内で、
まるで投 石 機(スリング・ショット)のようにギリギリと牽き絞る。
 スタンド・パワーを集束すれば “贄殿遮那” にも匹敵する斬れ味を
生み出すスタープラチナの指先。
 その指先で以て撃ち出される、云わばスタンドの散弾。
 その威力は推して知るべしであろう。
 やがて、ライフルの高性能スコープにもまるで引けを取らない照準率を誇る
スタープラチナの眼が、空間に拘束された 「標的」 の着弾箇所を精密に
割り出す。
 ソレと同時に無頼の貴公子の口を衝いて出る、
新たなるスタンドの流法名。
 幽塵疾走。星貫の烈撃。
 流星の流法(モード)
流 星 群 烈 弾(スター・バレット)ッッッッッ!!!!!』
流法者名-空条 承太郎
破壊力-A スピード-A 射程距離-B(30メートル前後)
持続力-E(実質2発が限界) 精密動作性-B 成長性-C




 輝く白金の閃光と共に、空間に一斉射出されるスタンドの散弾。
 ソレは目標着弾箇所から0,1㎜もズレず、
正確に奇虫の頭部、前胸背胸、小楯板、会合線に微塵のタイムラグも無く抉り込まれ、
更に右大顎と後翅、中脚、符節、股節、と順に千切り飛ばす。
 無論ハイエロファントの触手は避けたまま。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAGYEEEEEEEEEEEEEEEEE
EEEEEEEEEEEEEEEEEE―――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!』
 完全拘束状態により反射的な防衛動作も行えない状態で
流法(モード)の直撃を受けたスタンド、
灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 は無惨に哀切の叫びを上げるのみ。
 今まで、自分が死と絶望を与えてきた者と同じように。
 ソコに間髪入れず到来する、翡翠の奏者の静かな声。
 この世で最後の、別れ路の言葉。
「さっき、引き千切られると狂い悶えると言ったな?
ボクのハイエロファントは……」




“引き千切ると狂い悶えるんだ”




 その刹那。
 スタンドの触手が一度鋭く脈動し、
同時に 『灰 の 塔(タワー・オブ・グレー)』 の四肢を、
原型も留めない程に八ツ裂きにする。
「貴様のような悪党を……悦びでな……」
 閑かな声でそう呟く花京院の眼前に、
バラバラになった奇虫のスタンドの残骸が降り注ぐ。
 その結果を生み出した、若き二人の 『スタンド使い』 に拠る、新たなるスタンド能力。
 スタンド、 『法 皇 の 緑(ハイエロファント・グリーン)』 の特性を活かし、
創り上げた “結界” に拠って相手を封じ込め、必殺の一撃を確実に叩き込む融合技。
 ハイエロファントが目 標(ターゲット)を拘束している限り、
どんな攻撃でも100%当たり、尚かつ肉体を引き絞っている為
その衝 撃(ダメージ)は100%以上の効力を発揮する。
 しかも攻撃する側は存分に力を撓め、練る時間を有したまま。
 そして弱った相手を、ハイエロファント・グリーンが跡形もなく引き千切る。
卓越した高度な 『スタンド使い』 同士に拠って初めて可能な、
スタンド・コンビネーション。
幽 波 紋 双 流 法(ダブル・スタンド・モード)
 星法一体。星弾翠鎖の絶撃。
 流星聖法の双 流 法(ダブル・モード)
スターフロウド()エメラルド()スクリーム()
双流法者名-空条 承太郎&花京院 典明
破壊力-AAA スピード-AAA 射程距離-AAA
持続力-AAA 精密動作性-AAA 成長性-AAA




「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ
ァァァァァァァァァ―――――――――――――――!!!!!!!!!!!」
 突如空間を劈く絶叫。
 先刻、花京院の当て身でシートに伏した老人がこの世ならざる苦悶の表情をあげ、
その口から異常に長い舌を垂らして藻掻いている。
 同時に、その舌の表面に刻まれる、奇虫の斑紋。
 即座にソレは真っ二つに断ち割られ、頭部にも裂傷が走る。
 そして老人は、首から上のありとあらゆる穴から血汁を流出させ、息絶えた。
“スタンドのダメージはそのまま 「本体」 へと還る”
 何人たりとも決して逃れるコトは出来ない、 『運命』 の 「法則(ルール)
 その惨状を眼にし、肩を寄せ合うようにして屹立する若き二人の 『スタンド使い』 は、
「さっきのジジイが 「本体」 だったのか」
「おぞましい 『スタンド』 にはおぞましい 「本体」 がついているモノ、だね……」
勇壮且つ清廉な声で共にそう漏らすのみ。
「……ッ!」
 その二人の姿を遠間から紅い双眸に映したシャナは、
歯噛みするように黒衣の中で拳を握った。


←To Be Continued……












『後書き』



 はいどうもこんにちは。
 たまたまですが読書用のBGMを聴いていたらなんとなく
作品のカラーに合ったので紹介しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=_RvUOY5kp1Q&list=RD_RvUOY5kp1Q&t=2


 まぁこの方は結構古くから知ってるのですが歌が巧過ぎるので
往々にして作品の方が負けてしまう、
もしくは曲のテーマが原作を圧倒的に上回ってしまうという
逆転現象(デメリット)が発生してしまいますネ。
テーマのない作品など特にそうですガ、「こんな (キレイな) 話じゃねえよ!」
と想ってしまうコトも往々にして在るでしょう。
 無論歌ってる人もキャラの声優の方にも何の罪も無く(仕事ですからネ)
一番悪いのは主題歌に負けるような作品を造った作者本人です。
(アノ○○は死ぬほど嫌いですガ戦国無双4の大谷吉継は好きです)
 まず「逆」の例から紹介しますと、ジョジョは今から20年位前にも
一度OVAでアニメ化してるのですがソレが余りにも“アレ”だったので
絵柄や歌が悪いと肝心要の「ジョジョ原作」まで
つまらないように感じてしまうという恐ろしい事態が発生してしまうのです。
(昨今の『ベルセルク』にも同じコトが言えますが)
コレは一体どういう事かというと、裏を返せば“原作が如何につまらなくても”
歌や絵柄で誤魔化してパッケージしてしまうと一応それらしく「商品」として
通用してしまうというコトを意味します。
 無論ソレを行うアニメーターの方やスタッフの方を侮蔑するモノではありません。
 不味くて安い食材でもきちんとした料理に
仕上げるのが本職(プロ)というモノです。
 ただ一つ言える事は元が「悪い」と如何に誤魔化そうとしても
質の悪さは浮き彫りになるので作品と歌に「乖離」が生じ、
ソレに拠って凄まじいまでの違和感、不快感、滅裂した感覚が生じるのは
至極当たり前のコトなのです。
 だって上記の方は「それ使うから」と罪の無い人間を消耗品にしようとしたり
自覚の無いまま二股かけてそれで「なるべく誠実に答えたいんだ」とかぬかす
身勝手な少年少女の歌は歌ってませんよ。
 まぁ原作に忠実に曲造ったらソレはもう「歌」とは呼べない
罵詈讒謗(ばりざんぼう)の羅列に過ぎないので
嘘でもキレイに造らなければならないのは吝かでないのでしょうガ。
 兎に角「原作」も「アニメ」もいい加減な気持ちで造ったら
色々な人に迷惑がかかるのできちんと「責任感」は持って欲しいものだと
想った次第です。
 ソレでは。ノシ

  
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