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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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全力だね

 
前書き
いやぁ、やっとできた。
シリル「ちょっと燃え尽きかけてたでしょ?」
少しね。
レオン「無理するからだな」
ソフィア「たかが十日で?」
シリル「しかもお休みだったんでしょ?」
う・・・うるさいなぁ・・・二人に着せる水着が決まらなかったんだよ!!
「「!!」」
ソフィア「それ聞いてテンション上がった!!どんな水着か楽しみぃ!!」 

 
お店の開店まで後一時間、私たちが人魚の踵(マーメイドヒール)に来てから二時間が経過しました。

「遅いね」
「うん。時間かかりすぎだよね」

すでに着替えを済ませた私とシェリアが更衣室にかけられている時計を見ながら二人の少年が来るのを待っています。

「シリルもレオンも、一週間も女装したくないから決められないのよ」
「きっと可愛い水着を選んでくるよ~」
「露出がやっぱり多いのかな?」

以前シリルと一緒にソフィアに着せられた紺のスクール水着を着ているシャルルと、お花の柄のついたワンピース型水着を着ているセシリー、そして、唯一女装する必要がないので、青い海パンにTシャツを着ているラウルが二人がどんな水着を着てくるのか想像しながら語り合っていました。

「せっかくウェンディがくれた水着着たから早く見せたいのになぁ」

そう言ってピンクのトップチューブのビキニを着ているシェリアは水着が乱れていないか確認しています。

「シェリアすごい似合ってるもん!!レオンもイチコロだよ!!」
「えぇ!?そうかな!?」

シリルと一緒に選んだこともあって、彼女がこの水着を着てくれるのを楽しみにしていた私は、その姿を一番に見ることができてすごくうれしいです。シェリアもまんざらでも無さそうだし、喜んでもらえてよかったぁ。

「ウェンディも可愛いよ!!」
「えへへ/////ありがと」

じっくりと彼女の水着姿を観察していると、シェリアが私の方を見ながらそう言います。
私は緑色の、トップが三角ビキニでボトムが一段だけフリルがついたものを穿いているんですが、これはシェリアが水着をくれたお礼にとプレゼントしてくれたものなので、初めて来たんですよね。

「ちょっと派手じゃないかな?」

リュウゼツランドの時も似たようなビキニを着てましたけど、あれは色合いが子供っぽかったからまだ大丈夫だったんだけど、今回のは大人っぽいし露出もほんの少しだけだけどある気がするし、似合ってるか不安です。

「全然!!ウェンディならそれくらい余裕だよ!!」

だけど、友達にそう言われると本当にそんな気がして、自信が出てきます。私も恥ずかしがらないで、シリルにこの姿を見せないとね!!

「みんか可愛いなぁ♪目の保養になるね!!」

私たちの背後から現れたのは、シェリアと同い年で人魚の踵(マーメイドヒール)で人気も実力もトップクラスのソフィアでした。見た目は本当にお人形みたいで綺麗なんだけど、彼女は人の体をベタベタ触ってくるから、距離を置いておきたい人物なんですよね・・・

「二人とも頑張って一位になってね!!そしたらシリルちゃんたちの水着二人に選ばせてあげるから!!」

今回私たちが持参した水着を着ているのは、今ソフィアがいった言葉が理由なんです。人魚の踵(マーメイドヒール)でお手伝いを終えた後、ここの近くにビーチがあるって話だったので、そこでこの水着をお披露目しようと思ってたんですが、カグラさんからそんな提案をされ、二人に可愛らしい水着を着せたくなった私たちはここで新しく買った水着を披露することにしたんです。
ギルドに用意されている水着も可愛かったけど、シェリアが私のために選んでくれたものだから、こっちの方がいい気がしたんだよね。

「私たちには関係ないけどね」
「楽しければなんでもいいよ~」
「ラウは厨房に隠れてるから」

やる気満々の私たちとは違い、シャルルたちはどうでもよさそうな反応。三人から見たら、シリルとレオンがどんな格好してても気にしないだろうから、誰が一位でもいいんだよね。

「えぇ?シャルルもセシリーも本気出せばいいところまで行けるのに」

勝つ気などさらさらない二人を見て不満そうに頬を膨らませるソフィア。私も二人が頑張れば人気出ると思うけど、シリルたちからすればライバルは少ない方がいいから、何も言わないでおこっと。

「まぁ、一位はソフィアだから気にしないけどね」

その瞬間、ソフィアの声のトーンが一つ下がったことに体がブルッと震えました。彼女の表情を見ようとそちらを向くと、そこには不敵な笑みを浮かべる少女がいました。

「あぁ・・・シリルちゃんとレオンにどんな格好させようかなぁ」

ソフィアの頭の中はすでに勝った時に明日から彼らに着せる水着のことでいっぱいの様子。彼女は完全に弄ぶつもりらしく、シリルたちの身に危険が迫っているような気がしてなりません。

「ソフィア?あまり際どいのはやめてあげてね?」
「レオンたち男の子ってこと忘れないでね?」

ソフィアならとんでもない水着を着せかねないと思い釘を打とうとしました。だけど、それを聞いたソフィアはニヤッと笑みをこぼします。

「ヤダ!!二人を守りたいならシェリアたちが頑張らないと!!」
「「!!」」

もっともなことを言われて何も言い返すことができません。彼女の言う通り、他人に頼るんじゃなくて私たちが頑張らないといけないんだよね。

「ソフィアには絶対負けないよ!!」
「レオンたちはあたしたちが守るもん!!」
「ふふん。ソフィアに勝てるように頑張ってね♪」

余裕綽々の表情のソフィアにちょっとムッときました。ここは意地でも、彼女に負けるわけにはいきません!!

「シリルたちを勝たせれば問題ないと思うんだけど・・・」
「ウェンディたちが頑張ったら人気が分散するんじゃ・・・」
「ソフィアの狙いってもしかしてそれ?」

私たちが燃えているとシャルルとセシリー、ラウルが影でそんな話をしていました。だけど、自分たちが勝つことを考えていた私とシェリアには、そんな言葉は聞こえませんでした。

「でも、シリルちゃんとレオンにも勝つ方法はあるんだけどねぇ」
「え!?」
「ホント!?」

どうやってソフィアたちに勝とうかと考えていると、ソフィアの口からそんな言葉が発せられ、驚きのあまりシェリアと共に彼女の元に詰め寄ります。

「何!?その方法!?」
「教えてよ!!ソフィア!!」

敵対しているはずなのに、こういう時に頼ってしまうのは図々しい気もしましたが、今はそんなこと言ってられません。シリルたちを彼女たちの魔の手から守れるなら、手段は選べませんよね?

「えぇ?どうしよっかなぁ」

私たちが聞くとソフィアはタダでは教えないと顔をそっぽを向けてしまいました。何か交換条件を提示しないといけないってわけですね、どうしよう・・・

「わかった!!ソフィアが一位だったらあたしたち全員好きな水着着せていいよ」
「「「「えぇ!?」」」」

私がどんな交換条件を出そうか迷っていると、即答と言わんばかりにシェリアがとんでもないことを提案しました。これには私もシャルルたちもびっくりです!!

「ホント!?なら教えてあげる!!」

すると、快くソフィアも了承してくれたようでした。だけど、それよりも先にやらなきゃいけないことがあるよね?

「ソフィア、ちょっと待ってね」
「うん!!いいよ」

彼女からシリルとレオンが勝つ手段を聞く前に、シェリアを連れて席を部屋から出ます。これにはもちろんシャルルたちも付いてきてくれました。

「シェリアなんて提案するの!?」
「負けたらどうなるかわかってるの!?」
「絶対恥ずかしい格好させられるよ!?」
「なんでラウまで巻き込まれてるの!?」

各々がさっきの交換条件について彼女に問い詰めます。それもそのはず、シリルたちも危ないのに、私たちまで賭けの対象にされたら、あの子が燃えないわけがない!!

「心配しすぎだよ、ソフィアが一位なんてなれるわけないじゃん」

大慌ての私たちとは違って、なぜか余裕の表情のシェリア。でもソフィアはカグラさんと並んで一位二位の人気があるんだよね?私たちで勝てるのかな?

「カグラさんは男にも女にも人気あるだろうけど、ソフィアは女の子に敬遠されるじゃん?だって指名したらジロジロ見られるしベタベタ触られるかもしれないから」
「あ!!そっか!!」

いくら人気が高くても、異性からしか指名がないなら限界があるはず。シェリアはそう考えたから、あんな提案をしたんだね。

「それにシリルかレオンが勝ってくれれば何にも問題ないもん。水着を選べないのは残念だけど」

多少のリスクには目を瞑るよと続けるシェリア。そうだよね、私たちも出来る限りを尽くして、シリルとレオンが頑張ればきっと勝てるよね?うん!!そうに違いないよ!!

「イヤな予感がするわ」
「最悪の事態が起こりそ~」
「ラウは見てるしかできないのに・・・」

シェリアのこの説明を聞いても納得できない猫耳っ子たちをなんとか宥め、ギルドの中へと戻っていく私たち。そこではソフィアが足をブラブラさせて、私たちの帰りを待っていました。

「おっ!!おかえり!!」
「うん!!」
「ただいま!!」

何事もなかったかのように彼女の周りに集まる五人の蛇姫たち。その状況がハーレムとでも思ったのかな?ソフィアの顔が緩みっぱなしなんだけど。

「それで!?」
「レオンとシリルが勝つ方法って!?」
「お!!落ち着いてよ二人とも!!」

お店が開く時間までもうほとんどない。まだシリルたちは姿を見せていないけど、まもなくここにやってくるはず・・・その前にソフィアの案が有効かどうか、ちゃんと見極めないと。そう思い彼女にぐっと詰め寄ると、さすがの彼女も驚いたようで後退りしていました。

「ゴホンッ。二人が勝つなんて簡単だよ!!シリルちゃんとレオンが求められてるキャラを作ればいいだけ!!」
「求められてるキャラ?」
「何それ?」

咳払いをしてから話し出したソフィアでしたが、一体どういうことなのかさっぱりわかりません。なので首を傾げていると、彼女はその言葉の真意を説明してくれます。

「シリルちゃんは見た目妹系でしょ?だからちょっぴり甘えん坊な妹キャラをやればいいんだよ!!」

確かにシリルは見た目は完全に幼い少女。週刊ソーサラーの妹にしたい魔導士ランキングでは、男なのに一位に選ばれてた。だから、彼女の言うように妹キャラを演じていれば、お客さんから指名がたくさん来そうですね。

「レオンはこの間の留学でツンツンキャラだったでしょ?あれ、お客にすごいウケてたんだよねぇ。だからもう少し頑張ってツンデレキャラにでもなれば、案外一位になっちゃうかもね」

聞いたところによると、レオンは交換留学の際にやりたかった依頼ができずふてくされ、適当に接客してたらしいです。でも、それがお客さんたちに受け入れられて、次の日は彼目当ての人のたくさんいたんだとか。カグラさんから事情を聞かされてガッカリした人も数えきれないほどいたそうなので、今日そのキャラをやってくれれば、ウケること間違いなしだそうです。

「でもどうしてそんなこと教えてくれるの?」
「それやったらソフィアたち負けるかもしれないんだよね?」

ウソのアドバイスで騙そうとしているようにはとても見えなかった。なので率直に疑問をぶつけてみると、彼女はフフッと口角をあげてみせました。

「二人がそれをしてくれたらお店繁盛するもん!!そしたらしばらくは楽できるし、何より・・・
















頑張った二人を負かした方が、辱しめる時楽しいでしょ?」

まるで負ける可能性は微塵もないといった王者の雰囲気を醸し出す銀髪の少女。その自信に溢れた姿に、ちょっと不安な気持ちになってきました。

ガチャッ

みんなで話をしていると、不意にどこかの扉が開いた音がしました。なので、そちらを方角を向くと、そこはシリルたちが着替えることになっている部屋の扉でした。

チラッ

その扉の入口から水色の髪を頭の上で結って身長を盛っている少女・・・と見間違えてしまうほどに可愛らしい少年が顔を覗かせます。

「どうしたの?」
「早く出てきなよ」

水着に合わせたと考えれば不思議ではない髪型の彼は顔を扉から出しただけでいっこうに部屋に入ってきません。よく見ると顔が真っ赤だし、もしかして風邪?とかかな。

「その・・・決めたには決めたんだけど・・・」
「「「うん」」」
「恥ずかしくてさ・・・」

どうやら女の子の水着を着ているということが恥ずかしくて仕方ないらしく、こちらに出てこれないでいるらしい。それはそうだよね、だってシリル一応男の娘だし。

「大丈夫!!シリルなら似合ってると思うよ~!!」
「そうね。嬉しいかどうかはわかんないけど」
「とりあえず見せてみてよ!!」

なかなか踏ん切りの付かないシリルにシャルル、セシリー、ラウルがそう言います。こんなこと言っていいのかわからないけど、シリルだったらビキニくらいなら似合っちゃいそうで怖いですよね。ちょっと着せてみたいけど。

「でも・・・」

みんなの声を聞いてもまだ自分の水着姿を見せる決心がつかず躊躇っているシリル。もう時間もないんだし、早くしないと一週間女装水着でウェイトレスすることになっちゃうよ?
そのことを告げようかと迷っていると、彼の背中を押したのは違う人物でした。

「早く出ろシリル!!」
「どわぁぁぁ!!」

扉のところで躊躇している少年の背中を蹴り飛ばし、中に無理矢理入れたのは金色のセミロングをちょっとカールした女の子・・・って・・・え!?

「「「「「レオン!?」」」」」

その少女の正体に全員の声がハモりました。赤色に紫のラインが入った三角ビキニに同色のボトムを隠すようにフリルのついたスカートを合わせて穿いている美少女。しかも頭にはサングラスをかけ、夏を思わせるようなお花を髪に刺しているその子は、床にお尻を突き出す形で沈んでいる少年を見下ろし腕を組んでいます。

「いい加減にしろ!!もうやるしかないんだから!!」

完全に割り切って女装をすることに抵抗が一切ないレオンを見て、唖然としています。まさかここまでの完成度を誇るなんて・・・見てみるまで想像もしてませんでした。

「ちょっと~!!レオンレベル高過ぎ~!!」
「なかなか可愛いじゃない」
「さすがレオン!!似合ってる!!」

どこからどうみても美少女にしか見えない彼に感嘆の声をかけるエクシードたち。それを聞いたレオンは、嬉しかったのか、頬を赤く染めています。

「べ・・・別に褒められても嬉しくないからな!!」
「ツンデレ!?」
「もう物にしてる!!」

ソフィアがシリルたちが勝つにはそれぞれがしっかりとキャラ作りをすることが大事って言ってたけど、レオンはそのキャラを完全に演じています。あれ?でも彼はさっきこの場にいなかったから、これはもしかして地なのかな?

「レオン・・・全力だね」
「勝たないとヤバイからな。色々と」

離れた場所から変貌した彼の姿にため息をついているシェリアがそう言います。それに答えた少年は、新しい水着を着ている少女の元に歩み寄ります。

「シェリアも可愛いじゃん、さすが」
「ちょっ!!ダメ!!並ばないで!!」

珍しく彼が褒めたから照れるかと思ってたけど、それ以上に彼のレベル高すぎな水着姿に比べられたくないとストップをかけるシェリア。拒絶されたと勘違いした氷の神は、謝罪した後後退りしてましたけど・・・

「レオンひでぇ・・・めっちゃ痛かった・・・」

蹴られた場所を擦りながら立ち上がった水髪の少年。金髪の少年からそちらに視線を移した私は、思わず口を押さえました。
白や黄色、黒や水色といったたくさんの色を使ったボーダー柄のトップスとボトム。お胸がないのに、それを感じさせない・・・むしろ生かすような可愛らしい色合いでした。

(か・・・可愛い/////)

大人な雰囲気のレオンとは異なり、幼い印象を与えつつもカバーするべき場所はカバーできている。しかも髪型も無理矢理身長を大きく見せようとわざとしているように見え、背伸びしている妹のような印象を与えます。

「!!」

私がじっくりと観察していると、その視線に気付いたシリルが体を隠します。彼的には自信がないのかも・・・やっぱり男だし。

「あ・・・あんまりジロジロ見ないで/////」
「えぇ!?可愛いからいいじゃん!!」

恥ずかしがる姿が妙にそそる・・・って!!これじゃあ変態みたいじゃないですか!!

「着替え終わったか?ならこっちに来てくれ。最後の打ち合わせをしておきたいからな」

騒いでいる声が聞こえたからなのか、厨房の方にいたカグラさんが部屋の扉を開け、短くそう告げるとまた向こうに行ってしまいました。

「頑張ろ!!シリル!!」
「や・・・やるしかないよね・・・」

私が体の前で両手を握り気合いを入れると、彼も腹をくくっていざ決戦に挑みます。

「シェリア手抜いてね?」
「ヤダ!!負けたら自信なくしちゃいそうだもん!!」

レオンができる限りライバルを減らそうとしていますが、シェリアも女の子としてのプライドがあるので全力で彼に勝とうと考えたらしく、気合いを入れていました。

「どうしよ・・・大見得切ったのに負けそうなんだけど・・・」

そんな中長い銀髪をツーサイドアップにしている少女は、必勝宣言をした後に現れた美少女(男だけど)の登場に、勝てるかどうか自信を喪失しているようでした。







 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
ちなみにレオンの水着はラブライブの真姫ちゃんでシリルのは凜ちゃんのをモデルに考えております。
次は水着でガチバトルです。接客だけどね。 
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