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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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水着DAY

 
前書き
高校野球もオリンピックもお盆休みも終わっちゃうよぉぉぉぉぉぉぉ!!
シリル「お盆休みをその二つと同等に扱うんじゃねぇよ」
何言ってんだ!!むしろお盆休みが何よりも重要だろうが!!
レオン「それは人それぞれでしょ」
シリル「てかあんた高校野球もオリンピックもほとんど見てないじゃん」
ぐっ!! 

 
翌日・・・

人魚の踵(マーメイドヒール)行きの船があるなんて知らなかったね」
「うん!!こういうのって羨ましいよね!!」

現在俺たちは人魚の踵(マーメイドヒール)にお手伝いという名目で罰則を受けにきている。本当は俺とレオンだけが行く予定だったんだけど、ウェンディとシェリア、それにラウルと人間に変身することができるようになったシャルルとセシリーも付いてきている。

「別にシェリアたちは付いて来なくてよかったのに」
「いいじゃん!!カグラにも久々に会いたいし!!」
「ソフィアに挨拶しておかないとね!!」

レオンが隣に座るシェリアたちにそう言うと、彼女たちは楽しそうに答えている。たぶんカグラさんに会いたいというのは建前で、本当はレオンに付いて行きたかっただけなんだろうなぁ。

「私たちはこの姿を色んな人に見せてみたいしね」
「どんな反応するか楽しみ~!!」

一方のシャルルたちは、ラウルと同様に変身魔法を覚えたことがよほど嬉しいようで、皆に見せて回りたいみたいだ。ただ、この格好で人魚の踵(マーメイドヒール)に行ったら、ソフィアの餌食になるってわからないのかな?いや、俺たちへの被害が減るからその方がいいんだけどさ。

「お嬢ちゃんたち、着いたよ」

雑談をしていると、船の動きが徐々に遅くなっていき、やがて陸に接するところで止まると、船長が俺たちに向かってそう言う。

「オオッ!!」
「ここが人魚の踵(マーメイドヒール)か」

建物の隣にテラスがついており、そこにはテーブルとイス、そして日陰を作るためのパラソルが並べられいるのが見える。

「懐かしいね!!ここに来るの」
「ウェイトレス結構楽しかったよね!!」
「あんたの場合ウェイターなんじゃないの?」
「ここ女の子限定のギルドだから~」

交換留学の時に訪れたことのあるシェリアとラウルがその時の思い出話をしながら最初に船から降りていく。その彼女たちの後シャルルとセシリー、俺とウェンディ、そしてレオンと全員が陸地に上陸する。

「ハァ、気分乗らないなぁ」

一番後ろを歩いている金髪の少年がため息を漏らす。彼はよほど留学の時に嫌な思いをしたのか、はたまた昨日の今日だからなのか、やる気のなさがにじみ出ていた。

「仕方ないよ、マーメイドの皆さんに迷惑かけちゃったんだし」
「そうだけどさ・・・」

横目でレオンの方を見ながら宥めようとするが、彼は納得できていないようで、頭をボリボリと掻いていた。

「あんな映像見せられたら、誰だって失神するわよ」
「うん、かなりグロかったもんね~」

ソフィアたちに見せたドッキリ映像を昨日の夜にみんなにも見てもらったんだけど、かなりエグかったようで途中からほとんどの人が視線を外していた。俺たちも完成した時は嬉しくて中身を確認してなかったんだけど、よく見てみると気持ち悪かったよね、あれ。

「グラシアンが手を貸したのは意外だったけどね」
「それよりもミネルバさんでしょ。ドッキリに協力するなんて思わなかったなぁ」

この映像は俺たちよりもむしろグラシアンさんとミネルバさんが作り上げたといっても過言ではない。
ミネルバさんが脚本を立ててグラシアンさんが魔法でそれを実現する。ミネルバさんがあまりにも暴走してて、スティングさんやローグさんがなんとかなだめてあのレベルに納めたけど、あのままやってたらもしかしたら精神が崩壊するぐらいエゲツナイ作品ができたかもしれない。

「こっちが裏口だよ」
「そっちから入らないといけないんだ」

一度来たとあって勝手がわかっているシェリアとラウルが道案内もしてくれる。俺たちだけだったらたぶん正面から入ろうとしてただろうな、その方がわかりやすいから。

「「「お邪魔しま~す」」」
「「失礼しま~す」」
「入るわよ」
「今来ました」

ノックをすることなく扉を開けるシェリアを先頭にゾロゾロとギルドの中に入っていく。

「!!早かったな」

そこでは人魚の踵(マーメイドヒール)のエースとして知られているカグラさんが出迎えてくれた。下着姿の。

「ごめんなさい!!」
「失礼」
「見てないから怒らないで!!」

予想外の格好で目の前に現れた女性に動揺して男性人はすぐさま目を両手で隠し謝罪する。たぶんウェンディとシェリアが怖い目で俺たちを見ているのが想像できるので、許可が出るまで顔を上げることができないでいる。

「フフッ♪シリルちゃん無防備で可愛いよ」

すると、突然耳元で聞き覚えのある少女の声が囁きかけてくる。それを聞いた瞬間、全身に鳥肌が立ったのがわかった。

「ゲッ!!」

さっきまでの状況が頭からすべて抜け落ち、目を覆っていた両手を外して声が聞こえた方を向く。そこには予想通り、セクハラ娘がニヤニヤとこちらを見つめていた。下着姿の。

「ちょっ!!なんでお前も下着なんだよ!!」

やむなく再び無防備な姿勢に逆戻り。その際目がいいため彼女の後ろの様子も見えたのだが、ほとんどの人が下着姿だったような気がする。もしかしてここって更衣室だったのか!?シェリアたちも教えてくれればよかったのに!!

「そうそう、そのままソフィアに色々されちゃおうねぇ」

顔を上げることができない俺にいいように触ってくる変態娘。逃げたいけど、顔を上げるわけにもいかないしすでに捕まって動けないし、どうすればいいのこれ?

「シリル!!顔あげて大丈夫だよ!!」
「みんなが着てるの水着だから!!」
「へっ?」

もう泣きそうになりながらされるがままになっていると、ウェンディとシェリアからそんなことを言われ目を開けてみる。そこから見えた人たちの姿を確認すると、青や黄色といった色とりどりの水着を着た女性たちの姿が目に入った。

「うわぁ!!二人とも教えちゃダメだよ!!」
「ソフィアの好きにはさせられないもん!!」
「ねぇ」

後ろから抱き付いてきていた銀髪の少女が二人の天空の魔導士にそう言うが、少女たちは互いに顔を見合わせて悪びれることなく話をしている。ありがとう、本当に助かったわ。

「とりゃあ!!」
「きゃああ!!」

ソフィアの腕を掴み一本背負いで前方へと投げ出す。抱き付いていた彼女はなす統べなく投げ飛ばされ、倒れ込むように転がっていた。

「いった~、シリルちゃん容赦無さすぎぃ」

完全に着地に失敗し、受け身を取ることもできていなかったはずなのに、ケガをした様子もなく上体を起こす。体が柔らかいって言ってたから、それがケガ予防に繋がってるんだろうか。

「ケガしちゃったらどうす・・・」

頭を抑えながら立ち上がったソフィア。文句をいい続けていた少女はある少女たちの姿を見ると、発し続けていた言葉を止める。

「あら?久しぶりね」
「僕たちの事わかる~?」

その少女たちとは人の姿になっているシャルルとセシリー。彼女たちは初めて見るその姿に彼女がどんな反応をするのかを今か今かと待っているようだった。

「何この子たち可愛いぃ!!」
「「きゃあああああ!!」」

だが、ソフィアの反応は皆が予想したものそのままだった。つり目の美少女とタレ目の美少女がいるとなると、こいつならすぐに飛び付くだろう。シャルルとセシリーは被害にあったことがなかったから、予想できなかったんだろうな。可哀想に。でもありがとう、できることならそのまま彼女の餌食になってくれ。

「コラ!!離しなさい!!」
「ソフィアの手つきエロすぎ~!!」

お尻やら胸やらを揉みしだいている少女を引き剥がそうと奮闘する白髪っ子と茶髪っ子だが、さすがはソフィア。抵抗する相手の扱いにも慣れており、全然離される気配がない。

「遠目から見るとすごいね、こいつ」
「シャルルとセシリーも大変だね」

さっきのウェンディとシェリアの声が聞こえていたようで、隠していた目を解放してシャルルとセシリーが触られているのを見ているレオンとラウル。ウェンディとシェリアも彼女たちがされるがままなのを見ているが、助けようとは決してしない。だって彼女たちも助けてくれたことがないから。

「ウェンディ!!助けてよ!!」
「シリル~!!ヘルプ~!!」

体から力が抜けてきて崩れかけている猫耳少女たちは手を伸ばし、必死に助けを求めてくる。

「頑張れ!!お姉ちゃん!!」
「お姉ちゃんたちなら大丈夫だよ!!」
「ちょっとぉ!!」
「謝るから!!謝るから助けて~!!」

昨日身長のことでバカにされたので、仕返しを兼ねてそんなことを言ってみる。二人は見放されたことにショックを受け、泣きそうになりながらソフィアの激しすぎるボディタッチを受け続けていた。

「ソフィア、そのくらいにしておけ。仕事に入れなくなる」
「はぁい!!」

いつまで続くのか傍観者として見ていたが、カグラさんがこれ以上はダメだと判断して少女の暴走を止める。

「「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」」

ようやく解放された二人は着崩れた衣服を直しながら、乱れた呼吸を整えていた。

「すまなかったな、うちのが迷惑をかけて」
「ほ・・・ホントよ・・・」
「もうヤダ・・・」

倒れている二人に手をさしのべるカグラさんとその手を取り立ち上がるシャルルとセシリー。二人とも相当疲労しているみたいだな、セシリーの語尾が珍しく伸びてないもん。

「そういえばお前たちの連れてる猫はどうした?姿が見えないようだが」
「「そこにいます」」

カグラさんがシャルルとセシリーを立たせながら俺とウェンディに質問を問いかけてきた。なので、彼女の手を借りている二人をウェンディと共に指さし即答する。

「は?」
「え?」
「「「「「??」」」」」

何を言っているのかわからず目を点にしている人魚の踵(マーメイドヒール)の皆さん。しばしの沈黙の後、皆さんの目にお尻についた尻尾と頭についた猫耳が目に入り、驚愕の表情へと変化していく。

「お前たち人間だったのか!?」
「王子様!?王子様に助けられたの!?」
「魔法!?魔法で猫になってたの!?」

まさか変身魔法を修得したとは夢にも思わない女性たちは人の姿になっている彼女たちを取り囲む。二人は説明するにも息が上がっているので、俺たちから事情を話し納得してもらった。

「そうか、変身魔法か」
「いいね!!今日ミリアーナさんいないから猫耳っ娘いるとありがたいよ!!」

シャルルとセシリーの正体を聞いて感心するカグラさんと尻尾を猫に戻らないように優しく擦りながらそう言うソフィア。言われてみると猫好きなミリアーナさんがどこにもいない。アラーニャさんやリズリーさん、ベスさんといった大魔闘演武出場者の姿がない。

「ミリアーナはどうしたの?」
「仕事に行っている。店番はローテーションであいつらは今日はクエストに行く日になってるからな」

言われてみると納得だ。うちはミラさんやキナナさんがいたから飲食に来た街の人の対応は必要なかったけど、レストランを経営しているとなると話は変わってくる。日替わりで接客をする人と依頼をこなしていく人、双方をバランスよく別けないといけないわけか。

「ところで、カグラさんたちはなんで水着なの?」

話題が仕事の方に向かってきたところでレオンが気になっていたことを問いかけてみる。今ギルドにいる人魚の踵(マーメイドヒール)の魔導士は全員水着を着用している。カグラさんは黒の三角ビキニにソフィアは黄色のフリルがついたビキニ、他にもワンピース型の水着を着ている人やレオタード系の水着を着ている人がいて、嫌な予感が拭いきれない。

「今日は年に一度の水着DAYなんだ。ウェイトレスも厨房も皆水着を着てレストランを切り盛りすることになっている」
「「「「「へぇ~」」」」」

さすがは女性だけのギルド、サービス精神旺盛な日を設けているな。これは男性陣はもちろん嬉しいけど、カグラさんみたいに綺麗な人は女の子にも人気があるだろうし、繁盛すること間違いなしだろう。

「もちろん、お前たちにも着てもらうからな。レオン、シリル」
「「・・・はい?」」

一人どれくらいの集客があるのか勝手に想像していると、カグラさんに笑えないジョークを言われ現実世界に引き戻される。

「ハハッ、カグラさんは冗談が得意だね」
「うんうん。カグラさんはそんなこと言わないt・・・」

レオンと笑って済まそうとしたところ、目の前にいる女性の目が笑っていなかったため、思わず言葉を飲み込む。これはまずい、この目は本気だ。本気でこんなことを言ってるんだ。

「まさかただ手伝っただけで昨日のことを許されると思っているのか?」
「い・・・いえ・・・」
「決してそんなことは・・・」

禍禍しいオーラを放ちながら、こちらを睨み付けてくるお姫様カットの剣士に恐怖を覚えている。どうしよう・・・冷や汗が止まらないんだけど・・・

「昨日はいつもより客がいなかったからなんとかできたが、もし人が多かったら暴動が起きかねなかったんだ。お前たちはそれをわかっているのか?」
「「うぷっ!!」」

鬼の形相のまま、俺とレオンの頬を挟み持ち上げてくるカグラさん。まさかここまで怒っていたなんて・・・

「私たちは別に気にしてないんだけどね」
「カグラがこういうなら従うしかないよ」
「だよね」

後ろから彼女を信頼しているギルドの仲間たちがそう言う。全員が怒っているわけではないのがせめてもの救いか。むしろラミアとマーメイドの間に亀裂を生まなかったことが不思議でしょうがない。

「安心しろ、水着は自由に選ばせてやる。好きなものを選ぶといい」

二人の人間を持ち上げたままの女性がせめてもの慈悲とありがたいことを言ってくれる。なら体のラインが出にくいもので一日を穏便に過ごすしか・・・

「ただし!!今日一日限定でメニューにこんな項目を付け加えた!!」

いつになったら下ろしてくれるのか心配になりながら、ソフィアが持ってきたメニューに視線を落とす。

【メニューを持ってきてほしいウェイトレスを選んでください】

「「ふぁに?ほのほうほふ(何?この項目)」」

通常メニューには料理や飲み物のお品書きがあって、そこから食べたいもの飲みたいものを選択するだけのはず。それなのに、今見せられているものには見たこともない項目があり、頭が混乱している。

「お前たちにはこの料理を運ぶウェイトレスランキングで一位になってもらう。どちらが一位でも構わないぞ」

ソフィアからメニューを受け取るために俺とレオンを床に下ろすカグラさん。強く捕まれていた頬を擦りつつ、彼女の言葉に耳を傾ける。

「もしお前たちの両方が一位になれなかった場合、明日から一週間うちでウェイトレスとして働いてもらう。しかも水着でな」
「「!?」」

彼女の言葉を信じるなら、水着で接客するのは今日一日だけ。つまり、もし今日負けたら、俺たちだけ水着でお客の相手をする辱しめを受けるわけ!?

「さらに!!今日は私とソフィアも接客に回る!!人魚の踵(マーメイドヒール)売上一位二位の私たちがな」
「「ナニ!?」」

何かハンデでもくれるのかと思いきや、勝たせるつもりは微塵もない恐ろしき人魚。絶望的な状況に、顔から血の気がどんどん引いていく。

「そしてお前たちが負けた場合、一週間着る水着は私たちが決めさせてもらう」
「「えぇ!?」」

負けた場合、水着を恥ずかしくないものにすればとも頭を過ったが、その逃げ道すら封じられる。しかも向こうにはソフィアがいる。とんでもないものを選択されるのは火を見るより明らかだ。

「どんな水着を選んでもいいが、客の気を引けるものでなければ勝利はない。一週間二人だけ水着で働きたいならそれもありだがな」

完全に楽しんでいる表情の剣士を見て、体の震えが止まらない。鬼だ・・・そうじゃなければ悪魔だ・・・この人は。

「まぁ、精々頑張るんだな、二人とも」

まるで負ける可能性など皆無だと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべその場を立ち去る黒髪の人魚。残された俺たちは、体の震えを落ち着けながら、互いに視線を交わす。

「が・・・頑張ろ!!レオン!!」
「マジでヤバイ・・・これは本当に頑張んないと・・・」

バトル中でも見たことがないくらい青ざめているレオンと握手を交わし、勝利の鍵を握るであろう水着を選択するために、衣装が置かれている部屋に案内してもらうのだった。














ウェンディside

「あの・・・私たちは?」
「みんなは好きにやってくれていいよ♪勝負はあくまであの二人だけだから」
「ラウはどうすればいいの?」
「厨房でも招き猫でも何でも大丈夫。男だってバレないようにね」
「オッケー!!」

意地でも負けられない戦いのために衣装選びに向かったシリルたちを見送りながら、私たちも巻き込まれていないのかを確認しています。でも、今回の対象はあくまでシリルとレオンだけだったようなので、安心してお手伝いの準備に取り掛かったのでした。




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか?
やりたいと言っていた水着でのストーリーをここで入れてみました。
ちなみにカグラなら怒ったらこれくらいするんじゃないかと思いセリフやルールを決めさせてもらいました。
次はシリルとレオンが頑張りますよ、生きるために。 
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