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MS Operative Theory

作者:ユリス
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内部図解
  ノーマルスーツ①

——宇宙進出初期の理想を実現した軽量・多機能型「宇宙服」——

 モビルスーツの出現以降、「スーツ」という言葉の重複を避けるために、人間用の宇宙服に付けられたとされる呼称——これがノーマルスーツの一般的な解釈である(実際にはノーマルスーツは純粋な「宇宙服」ではないが、これについては後述する)。現在、連邦軍で使用されている軽装宇宙服は、軽量かつタイトルなシルエットの中に、生命維持装置は当然のことながら、動作を妨げない柔軟な構造、生存性を高めるバックパックと一体型のランドムーバーなどを併せ持った、オールインワン仕様のスーツとなっている。つまり、これを着れば、すぐにでも宇宙空間に飛び出て行ける訳だ。もっとも、機能の優劣は別にして、ほぼ全てノーマルスーツは(ランドムーパーやワイヤーガンこそオプションとなっているが)、基本的には単体で宇宙に出られるオールインワン仕様となっている。「宇宙服なのだからオールインワンなのは当たり前」と思われがちだが、これは革新的なことだった。

 旧世界に行われた、スペースシャトル計画で使用されていた「宇宙服」は、船外活動ユニット(EMU=Extravehicular Mobility Unit)と呼ばれていたが、これは現在我々が知る「宇宙服」、つまりノーマルスーツとは異なるものであった。EMUは機密服である「宇宙服アセンブリ」(SSA=Space Suit Assembly)と生命維持システム(LSS=Life Support System)そして、その他の補助装備を装着することで初めて「宇宙服」として機能した。この他にも冷却水や酸素を循環させるパイプと一体化した冷却用インナー、通信用のヘッドセットなども着用しなければならず、その重量は200kgにもなった。これに対して、現在のノーマルスーツはかつてのEMU以上の機能を最初から持つだけでなく、遥かに軽く作られている。上述の通り、これだけの機能を完備しているからこそ、ノーマルスーツは「着るだけで」宇宙へと出て行ける装備となっているのだ。

 ここまでは「宇宙服」としてのノーマルスーツを紹介してきたが、これはノーマルスーツの一面のみを語ったものである。なぜならパイロット用軽装宇宙服(上述のSS-61Pは代表的な軽装宇宙服である)に代表されるハイエンド・ノーマルスーツは、宇宙空間だけで使われる被服ではないからだ。軽装宇宙服はコックピット内でのパイロットの保護や動きやすさを追及したモデルで、そのコストは一般的な重装宇宙服の3倍に達するとも言われている。だが、パイロットの動きを阻害しない柔軟な構造や軽量さが評価され、一年戦争時には宇宙軍のみならず地上部隊にも支給されていた(公国軍では、軽量宇宙服を事実上の全領域戦闘服として使用していた)。この結果「宇宙服」であるはずの軽装宇宙服は、パイロットスーツのスタンダードとして認知されるようになり、ノーマルスーツはこれまでの「宇宙服」の概念を超えた存在となった。




補足事項

——カスタマイズされたパイロットスーツ——

■機能

 ノーマルスーツの中には、カスタマイズと言うよりも完全に規格(形状)が異なるモデルが存在している。こうした特殊スーツは、機密性よりも耐G能力を重視した地上用や、一般用との明確な区別を必要とするテストパイロット用などのように、任務によって使い分けられる場合が多い。その中でももっとも特殊な仕様がニュータイプ用で、ヘルメットやスーツにサイコミュ端末が内蔵されているなど、システムの一部として機能されていることもあった。

■デザイン

 軍用で使用されるノーマルスーツは、軍服の一種であるため、通常では勝手な改造は許されない(部隊章やネームプレートなどは問題にならない)。だが、軍隊によっては、殊勲を挙げた将兵にノーマルスーツのカスタマイズを許可する場合がある。デザインや彩色の変更によるこうしたカスタマイズは、一年戦争におけるジオン公国軍において顕著に見られた。しかし、ジオン公国軍以降はこうしたノーマルスーツのカスタマイズは見られなくなり、カラーリングの変更がクロスボーン・バンガードで行われたことが確認されているだけに留まる。
 
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