MS Operative Theory
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
内部図解
ノーマルスーツ②
——パイロット用に開発された究極のノーマルスーツ——
ノーマルスーツには軽装宇宙服と重装宇宙服という、二つのカテゴリーが存在する。基本的にはパイロット用のスリムなモデルが軽装宇宙服、それ以外のノーマルスーツが重装宇宙服に分類される。此処では、軽装宇宙服を例に取り、その特性と変遷を紹介していく。
ノーマルスーツはヘルメット、スーツ、バックパック(軽装宇宙服にバックパックが標準装備されたのは一年戦争終結後になってからである)の3つから構成されており、これはU.C.0150年代までの共通した構成要素である。
スーツは複数の異なる素材が何層にも重なった多重構造になっており、耐宇宙環境層や気密層、冷却・吸汗層などから成っている。吸汗層があるために着用時に特別なインナーは必要なく、極端に言えば裸で着ても問題はない。また、一年戦争後のスーツはサイズに余裕があるため、通常の軍服の上に着用することも可能であった。女性パイロットへの配慮からかロングスリーブのインナーが用意されていたようだが、男性パイロットはTシャツやタンクトップをインナー代わりに着用するものも多かったようだ。
——ノーマルスーツの各部解説——
ノーマルスーツは、宇宙服として最高の機能を有している。此処では、ノーマルスーツの各部がどのような機能を持っているかを解説していく。此処で取り上げるノーマルスーツは連邦軍がU.C.0093頃に使用していたものだが、搭載されている機能や装備については一年戦争時には完成していたと考えられる。
■構造
様々な素材を用いた多層構造と生命維持システムにより、温度管理、与圧、気密化、酸素供給、吸汗等を行う。これらは全て、ノーマルスーツ単体が持つ機能である。僅かな破損であれば、補修キットで簡単に補修できる。例外的に、潜水服として使われることもあった。
■ヘルメット
頭部を保護するパーツ。金属よりも樹脂や炭素系素材が使用されることが多く、軽量で耐久性も高い。バイザーには金属塗装が施される場合も有る。通信機が内臓されている。
■バックパック
外装式の生命維持システム。ランドムーパーのマウントも兼ねるが、中には小柄ムーパーと一体化したモデルもある。一年戦争期の軽装宇宙服ではオプションとして装備されることが多かった。
■ベルト
ノーマルスーツはワンピース型が多いため、ホルスターやポーチ類のためのマウントも兼ねていた。U.C.0150年代のノーマルスーツでは、ランドムーバーのコントローラーが設置されていた。
■グローブ
MSの操縦や銃器の操作を阻害しないように(感覚を低下させないため)、柔軟な素材が用いられているほか、ヒーターも内蔵している模様。リスト部分に時間やエア残量を示すモニターが設置されているモデルもある。
■ホルスター
軍用ノーマルスーツ(特にパイロット用)には、拳銃用ホルスターが装備されている。装備する箇所は時代によって異なるが、ほとんどが腰か脚に装備される。
■ブーツ
ソールにはマグネットや粘着テープ、負圧式の吸盤などが設置されており、宇宙でも甲板や壁面に「立つ」ことが可能であった。グローブのように保温機能ももつと思われる。脚部に小型のポケットがあるタイプもあった。
——各時代を代表する、地球連邦軍のパイロット用ノーマルスーツの特徴と変遷——
■U.C.0079頃:地球連邦軍
一年戦争期まで使用されていた、連邦軍の軽装宇宙服。動きやすさを重視しているため、極めて薄い素材を使用しているが、強度や保温性は高い(酸素供給や二酸化炭素除去機能は、ヘルメットに内蔵されていた模様)。バックパックは標準装備ではなかったようだ。
■U.C.0083頃:地球連邦軍
一年戦争期方型の改良タイプ。コックピット内でのパイロット保護機能のため、肩パッドが採用されるなど、全体的にボリュームアップしている。この時期から、パイロットの生存性を向上させるためにバックパックが標準装備されるようになった。
■U.C.0080年代後半:地球連邦軍/ティターンズ/エゥーゴ
U.C.0085に行われた軍用重装宇宙服のモデルチェンジと同時期に、軽装宇宙服もリニューアルされた。形状こそ異なるが、腰のポーチやゆったりとしたシルエットは、U.C.0083頃のモデルから受け継がれている。最大の変更点は、ヘルメットのバイザーが二重になったことである。
■U.C.0090~U.C.0110年代?:地球連邦軍
U.C.0090年代のモデルで、アナハイム・エレクトロニクス社(AE)製。肩から胸に掛けてのパッドが大型化されたほか、ランドムーバーと一体になったバックパックが採用されるなど、機能性の向上が図られた。内襟に「ヘルメットブーツ」と言うヘルメット固定具が設置された。
■U.C.0120~:地球連邦軍
サナリィのテストパイロット用を、連邦軍が正式採用したタイプ。胸部に生命維持システムを兼ねる半硬質ラバー製プロテクターを、背部にはバックパック一体型のランドムーバーを装備する。ヘルメットはSHP-61、スーツはSS-61Pと言う型式番号が付けられている。
■U.C.0153頃:リガ・ミリティア
民間の反ザンスカール帝国組織リガ・ミリティアが、独自に調達した軽装宇宙服。調達を容易にするためか、U.C.0080年代のモデルに似たシンプルな仕様となっている。バックアップ下にはヘルメット、または既製品のランドムーバー(エアガン)を装備可能である。
——パイロット用以外のノーマルスーツ——
主にパイロット用として使用されている軽装宇宙服のほかにも、比較的安価で広範に使用されている民間用や、これから発展した一般将兵用の重装宇宙服等、ノーマルスーツには数多くのバリエーションが存在する。これらのスーツは軽装宇宙服とは異なり、重力下では殆ど使われない。サイズが大きく、動きづらいため、軽装宇宙服と比べて性能の優劣がはっきりしていることもその理由といえるだろう。しかし、重装タイプのほうがベーシックな仕様であり、流通量も多い。
■軍用
連邦軍が、一般将兵用としてU.C.0075に採用したMN-2やU.C.0085に採用され、グリプス戦役期の代表的なノーマルスーツとなったAE製のMN-4(民間にも流通)が知られる。重装宇宙服とも呼ばれる。軽装宇宙服ほどタイトに設計されていないため、比較的安価なのが特徴である。
「重装」の名に反し、防弾性に優れているわけではないが、宇宙服としての性能は軽装宇宙服と同等である。公国軍は非戦闘員にも軽装宇宙服を供与することが多く、重装宇宙服の普及には不熱心だったが、公国軍残党は資金難からか重装宇宙服も使用していた。
■整備兵用
一年戦争期~U.C.0080年代前半の連邦軍で見られた、メカニック(整備兵)用のノーマルスーツ。長時間の作業における疲労の緩和や、手先の動きを邪魔しないために、パイロット用と同じ軽装タイプが採用された。また、パイロット用と同様に、重力下でも使用されることが多かった。
パイロットとの識別のため形状が異なるほか、MSが搬入されるデッキ等で目立ちやすいように(事故防止のため)オレンジやイエロー系で彩色されていた。だが、コストが高かったためか、U.C.0080年代後半には整備兵用も重装宇宙服に統一されたようだ。
■民間用
民間に流通しているノーマルスーツと、軍用の重装宇宙服との性能差は殆どなく(民間用が軍用に、逆に軍用が民間用に転用されることも多い)、十分な生存性や機能性を持っている。民間用とはいえ船外やコロニー外壁での作業が前提となっているため、軍用と同等以上の性能が求められた。
グリプス戦役期には、民間でも軍用と同じ重装宇宙服MN-4が普及していた。またU.C.0120年代に入ると、民間用と軍用がはっきりと区別されるようになった。上はフロンティア・サイドにおける建設作業員が着用していたタイプである。
後書き
次回 コックピット
ページ上へ戻る