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STARDUST∮FLAMEHAZE

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第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#16
  戦慄の暗殺者Ⅱ ~a Red Magician's Girl~

【1】

 スタンド、スタープラチナに垂直の軌道で真上に投擲されたシャナは、
まるで獲物に襲いかかる隼のように双眸はただ一点のみを凝視していた。
 全身に掛かる重力を振り切る、絶息の空間疾走。 
『オメーは 「上」 だッッ!!』
 先刻の言葉。
 シャナはその言葉にもう一度だけ心の中で頷いた。
(ウン。 「下」 はおまえに任せた。だから、 “こっち” は任せて……!)
 屋上全域に張り巡らされたフェンスを抜けたシャナはそこで黒衣を
翻して軽やか反転、尚も直上に向かおうとする力の矛先を換え
華麗に宙返りを打って屋上の路面に手をついて着地した。
 真新しいコンクリート、遠間にたくさんの空調機器や大型の給水タンク。
 その、開けた空間の先。
 自分の3倍以上の規模と密度を誇る巨大な “封絶” の中心部に、
長身細身の男が白い存在のオーラを靡かせながら片膝を抱え
純白の長衣を気流に揺らしながら悠然と宙に浮いていた。
「こんにちは。お嬢さん」
 甘い耽美的微笑をその口元に浮かべ、
今目覚めたかのように気怠い瞳と口調で男はシャナに言った。
「初めまして、だね。アラストールのフレイムヘイズ “炎髪灼眼の討ち手”
私は紅世の王、その真名 “狩人” フリアグネ。以後御見知り於きを」
 フリアグネと名乗った純白スーツの美男子は、
幾重も躰に巻き付いた長衣の裾を静かに揺らしながら
屋上の路面へと軽やかに舞い降り、
相も変わらずの気怠げな表情と幻想的な雰囲気のまま、
パールグレーの頭髪を緩やかに靡かせシャナの方へと歩み寄る。
「……」
 周囲を警戒する事を忘れずに、同じようにフリアグネへ歩み寄ったシャナが
その男の声とはまた対極の凛とした声で訊き返す。
「おまえが、王? 2日前私たちにチョッカイを出してきた、燐子達の主?」
「その通りだよ」
 純白の貴公子は悪びれもせずにそう言って肩を竦め、そして厳かに瞳を閉じる。
「私の、この世で何よりも大切な “マリアンヌ” に、
随分酷い事をしてくれたらしいね? 全くどう(くび)り殺してくれようか?
この討滅の道具が……ッ!」 
 再び見開かれたそのパールグレーの瞳の中に、
険難な光を宿らせてフリアグネは殺気だった言葉をブツける。
「……ッ!」
 そのフリアグネに対し胸元のアラストールが、
わずかに声を低くして言葉を漏らす。
「フリアグネ……そしてマリアンヌか……音に聞いた名だな……」
「知ってるの? アラストール?」
 アラストールの呟きにシャナが緊張感を崩さない口調で訊き返す。
「うむ。数百年の永きに渡り、数多のフレイムヘイズをたったの一人で討滅してきた
『フレイムヘイズ殺し専門』 の “狩人” だ。
加えて燐子創りの鬼才としてもその名は王達の間に鳴り響いている。
意志を持つ人形、 “マリアンヌ” は彼奴(きやつ)が創造した燐子の中でも最高傑作の一つだ。
しかし、その者がまさか、彼の者の軍門に降っていたとはな」
 アラストールの言葉にフリアグネは口唇を笑みの形に曲げた。
「君と逢うのは初めてだね? 荘厳なる紅世の王 “天壌の劫火” アラストール。
しかし、初対面の君に “殺しの方” でそう呼ばれるのは少々心外だな?」
数多(あまた)のフレイムヘイズを灰燼に帰しておきながら何を言う」
 アラストールとフリアグネ。
 紅世にその名を轟かせる二人の王が、白い封絶で囲まれた学園屋上で対峙する。
「フッ……まぁいいさ。最早 “狩人” の真名など、私にとってはどうでも良い存在だ。
本来の意、紅世の宝を集める狩猟者としての意も含めて、ね」
 そう言うとフリアグネは、純白の長衣を閃撃のように鋭く翻した。
 それだけで、今までの気怠げな雰囲気が一気に吹き飛ぶ。
「貴様……それは一体どういう意味だ?」
 シャナの胸元から発せられるアラストールの問いに、
フリアグネは猛々しく名乗りを上げた。
「聞いての通りの意味さッッ!! “私は人間ではないがアノ方に忠誠を誓ったッッ!!”
今の私はアノ方の敵を抹殺する 『炎の暗殺者』 フリアグネ!!
身の程知らずにもアノ方を討滅しようと考える薄汚い“フレイムヘイズ”も!
そして『幽波紋使い』も! 一匹残らず探し出し全て残らず狩り殺すッッ!!」
 狂信者特有のギラギラした眼光を嫋やかな瞳に輝かせながら、
フリアグネは己の暗黒の決意をシャナとアラストールに向けて言い放った。
「そしてェェェッッ!! 『幽波紋使い狩り』!! フレイムヘイズ炎髪灼眼ッッ!!
貴様を斃してその真名をも頂戴し!
より完璧な 『暗殺者』 として私はアノ方に仕えよう!!
幽靈(ゆうりょう)劫炎(ごうえん)の簒奪者ッッ!!】
それがこの私の新たなる真名だッッ!!」
 フリアグネはそう叫んで獲物を狙う黒豹(クーガー)のような眼光でシャナを睨め付ける。
「やれるものならやってみろ!!」
 シャナは右腕を鋭く水平に薙ぎ払い、黒衣を翻らせるとその凛々しき灼眼で
フリアグネを睨み返し勇ましき鬨の声を上げた。
“狩られるのはおまえの方だッッ!!”
 真紅の双眸に宿る気高き光が何よりも強くそう訴えていた。
 自分の上で熱く猛るシャナとは裏腹に、
アラストールは冷静に眼前の状況を分析していた。
此奴(こやつ)の……この異常なまでの狂信振り……よもや……この者も……)
 重い沈黙が醸し出す、独特の雰囲気からアラストールの心情を察したのか
フリアグネはいきなりそのパールグレーの前髪をアラストールに向けて
(まく)り上げた。
「!」
 開けた額、そこには、“何も無かった”
「……」
 再度沈黙するアラストールに向け
フリアグネは不敵な笑みを浮かべて言う。
「無粋な勘繰りは止めて戴きたいものだな? アラストール?
“私は自らの 「意志」 で” アノ方に忠誠を誓ったのだ。
増長してアノ方に弓引くような愚か者でもなければ
その絶大なる存在に畏怖して “逃げ出すような” 臆病者でもない」
 明らかに「含み」のある言葉で、フリアグネはシャナではなく
胸元のアラストールに告げる。
 直接的にではなく間接的に心疵(トラウマ)(えぐ)った方が
効果は大きいというコトを熟知しての応答だった。
「なん、ですって……!」
 己の意志とは無関係に沸き上がる怒気と羞恥とを必死に抑えつけて、
シャナはフリアグネを鋭く睨み付ける。
 フリアグネはそんなシャナを無視し、小馬鹿にするようにアラストールへ告げた。
「それに君は、アノ方を幽血の統世 “王” 等と無礼極まる呼び方をしているが、
全く以てとんでもない思い上がりだ。まさか自分も “王” だからと言って
アノ方と「同格」の存在だとでも想っているのかね?
その厚顔無恥と傲慢不遜さは万死に値するよ」
 そう言い捨てまるで道端のつまらないものでも見るかのような
侮蔑の視線でアラストールを見下ろす。
 途轍もない憤激がシャナの全身を駆け巡った。
「キ・サ・マ!!」
 怒号と共に炎髪が一迅鋭く舞い上がり、逆鱗に触れられた赤竜のように
大量の火の粉が空間を灼き焦がす。
「……」
 そしてその空間まで蠢くような途轍もない怒りのプレッシャーを
全身から放つシャナを、フリアグネは再び無視して再度アラストールに
侮蔑の言葉を投げつけた。
「まぁ、愚鈍な君にも名前を覚える位は出来るだろう。
次からはせいぜい 『悠血の統世神』 とでもあの方の御名を改め給え。
最大限の礼意と敬意を尽くしてな」
「……」
 きつく結ばれた可憐な口唇の中で、犬歯がギリッと軋んだ音を立てた。 
 アラストールがこのあからさまな嘲弄(ちょうろう)
眉 (?) 一つ動かす事無く梳き流したのとは逆に、
その上のシャナは今まさに噴火寸前の活火山のように怒り狂っていた。
 その強靭な意志と精神力とで何とか必死に抑えつけてはいるが、
血が滲むほど強く拳を握りしめ(俯いているためにその表情は伺えない)
きつく食いしばった細く小さな顎が憎悪の為に震えている。
 今にも戦慄の大太刀 “贄殿遮那” を黒衣の裾から抜き出し
真っ向から飛びかかりそうな危うさだった。
 ソレを実行しないのは「まだアラストールの質問が終わっていない」
ただそれだけの理由だった。
 そうでなかったら、こんなヤツの言葉に耳を貸す気などサラサラない。 
 かつて自分にこの上ない屈辱を与えた、
「アノ男」の軍門に堕ちた王の戯言等に。
「……」
 アラストールは少女の様子を(つぶさ)に感じ取りながらも、
敢えて私情を抑えフリアグネに問いただす。
「多く」とはいえ、果たして一体どれだけの紅世の徒が
アノ男の配下に加わっているのか?
 そして、如何なる「理由」から忠誠を誓っているのか?
明確に理解しておく必要があるという判断での行動だった。
 全ては、 アノ男を最後に 【討滅】 する為に。
「……フリアグネよ。いま一つだけ答えよ。
紅世の王足る貴様が、何故に彼の者の僕となった?」
 己の挑発を意に介さず、再び平静な声で発せられたアラストールの問いに
フリアグネは再度小馬鹿にしたような笑みを浮かべ
大袈裟に両腕広げヤレヤレと首を振った。
「一体何を訊くかと想えば……これはまた答える価値の無い愚かな質問だな?
アラストール? “天壌の劫火” の眼力も地に堕ちたものだ」
「おまえの主観なんか訊いてないッッ!!
黙ってアラストールの質問に答えろ!! 消し炭にするぞッッ!!」
 忍耐の限界超えたシャナがアラストールの上で激高する。
 フリアグネはその様子を愉しむようにみつめると、
少女とは対照的な口調で言葉を返す。
「フフフッ……威勢がいいね? お嬢さん……
でも、“果たして君にソレが出来るのかい?”
今まで紅世の徒も含めて我が同胞が何人も君に討滅されたが、
「斬殺」された者はいても “焼殺” された者はただの一人もいなかったよ 」
「!?」
 驚愕に真紅の双眸が見開かれる。
 ついで燃え盛っていた怒りも僅かにその火勢を弱め
冷静な思考がシャナの中に舞い戻った。
「イヤ、実に残念だ。灼炎の魔導士の華麗なる炎儀を愉しみしていたというのに、
まさかそれが “封絶” を知らない者の勘違いにしか過ぎなかったとは」
 フリアグネはそう言って淡い嘆息と共に長衣の裾をハタハタと振ってみせる。
 その仕草にカッとなったシャナが、即座に怒気の籠もった声で反論する。
「勝手な憶測は止めておくのね……ッ!
いつ、誰が、炎の 『自在法』 が苦手なんて言った……!?」
 努めて平静を装うシャナを、フリアグネは眼を細めて真正面から見据えた。
 その射るような視線は、一度標的にした獲物を執拗につけ狙う
“狩人” そのものだった。
「誰って……?  “それは君自身さ”
さっきから、 “君のその真紅の瞳がそう言ってる” じゃないか?」
(!?)
 予期せぬ言葉にシャナの瞳が更に遠くなる。
 一瞬、言っている意味が解らなかった。
 しかし、長い戦いの日々で磨き込まれた少女の鋭敏な頭脳と経験は、
すぐさまにフリアグネの言葉を理解した。
 論理(ロジック)ではなく感覚(フィーリング)で。
「だってそうだろう? 
先刻から君の 「視線の動き」 を少々注意して 「観察」 していたが、
君が行っているのは私の攻撃予備動作と自分の間合いとの確認。
気の勢とソレによって生じる心の虚への集中力の収斂。
後は精々目眩ましと隠し武器に対する警戒だけだ。
ソレは典型的な 「剣 闘 士(スレイヤー)」 或いは 「格 闘 士(ケンプファー)」 の瞳の動き。
もし君が炎の自在法を得意とする 「魔 導 士(ウィザード)」 なら
“そんな必要はないだろう?” 私が何を飛ばそうが己の躰へ着弾する前に
全て焼き尽くせば良いだけなのだから。
何よりいま現在に至るまで己の 「弱点」 である水や氷の宝具や自在法に対する
「結界」一枚すらも張っていない。
その(てい)たらくで私に 『炎 の 魔 術 師(フレイミング・ソーサレス)』 だと想え、
と言う方が無理な話だろう?」
(クッ!! コ、コイツ!? 一体何者!?)
 法王と読んでも何ら異和感のないフリアグネの、
そのあまりの洞察力の鋭さにシャナは白刃の切っ先を喉元へ
当てられたような寒気を感じた。
 淡く冷たい、今は人形のように無機質なパールグレーの瞳が
自分の「弱み」を正鵠に射抜いていた。
 今まで。
 特にここ一年ばかりの間は、戦い慣れた “紅世の徒” はともかく
最近その存在を知ったばかりの 『幽波紋(スタンド)使い』 相手の戦いには殆ど
王との契約によって得た人間を遙かに超越するフレイムヘイズの身体能力と
戦慄の大太刀 “贄殿遮那” との力のゴリ押しという戦形(カタチ)で何とか勝利を重ねてきた。
幽波紋(スタンド)』という驚異的な変異変則能力を持つ異能の戦闘者、
『スタンド使い』 には今までの経験で培い、そして磨き抜いてきた戦闘のマニュアルが
全く通用しない場合が実に多かった。
 その変幻自在の異形なる能力(チカラ)の前では、
一見した戦闘総力値が相手を上回っているという事などという事は、
文字通り気休めにもならない。
 最弱が突如最強に。
 極小が突如極大に。
 そんな全く予測の付かない、一筋の道標すらない混沌とした力場こそが
スタンド使いとの通常戦闘。
 更に 『スタンド使い』 相手の場合、その戦闘力はソレ固有の能 力(スペック)に合わせた
環境と使用法により、威力はありとあらゆる状況に合わせて文字通り千変万化する。
 戦闘の黄金律である筈の “如何に敵である者に致命的なダメージを与えるか?”
シャナの言葉で言えば “己の「殺し」を相手に刺し込むこと” 自体が
敵スタンドの特殊能力 『発動条件』 で有ったりした場合が何度も在った。
 相手の保持する能力如何によっては、
圧倒的に優位なフレイムヘイズの身体能力までもが足枷(あしかせ)となったり、
折角編み込んだ炎の自在法が逆に操られて自分に牙を剥いた事さえあった。
『幽血の統世王』
 DIOとの戦いによりその事を再認識したシャナは、
 直近(ちょっきん)では最初からフルスロットルで己の全戦闘能力を開放し、
相手の特殊能力を発動させる「前」に一気に大太刀の連撃の一斉総射を
スタンド本体に捻じ込んで、一挙に討滅してしまうという方式を執っていた。
 当然反撃のリスクもあるが、
“スタンド能力はソレを操る本体が倒されてしまえば解除される”
というジョセフからの言葉を認識した上での選択だった。
 攻撃の多種多様多彩性は距離を縮める事によって潰し、
逆に至近距離での乱打戦なら肉体の生命力、耐久力で遙かに勝る
フレイムヘイズの方が圧倒的に有利。
 そう見越して執ったシャナの戦闘方式は未知の敵、
『スタンド使い』相手にものの見事に(ハマ)った。
『幽血の統世王』 以外のスタンド使いは全て生身の人間、
故に本体への直接攻撃が他の何よりも効果がある。
 そうやってスタンド共通の弱点を突く戦いを続け、
(たお)したスタンド使いの数が10人を超えた頃、
幽 波 紋 使 い 狩 り(スタンド・ハンター)紅 の 魔 術 師(マジシャンズ・レッド)
というあまり有り難くないレッテルが自分に貼られていた。
 だから。
 それ故に存在の力を編み上げるのに大きな時間をロスする
“炎の戦闘自在法” は、最初から戦いの選択肢からは除外された。
 その能力の解らない 『スタンド使い』 に、
ましてや一撃必殺の能力を携えているかもしれない相手に、
力を編むため硬直状態に陥るのは完全な自殺行為と言っていい。
 しかも折角編み上げた自在法も相手の能力によっては無効化、
或いは操られてこちらに弾き返されるという事態に陥ってしまう。
 故にDIOとの戦闘以降では “炎の自在法” は
全くといって良いほど使っていなかった。 
 最近の「鍛錬」の内容も、身体能力の向上と剣技の練磨或いは新技能の開発という
贄殿遮那(カタナ)” 主体の訓練法で、炎を用いる鍛錬は “封絶” くらいしか行っていない。 
 炎術の練度(れんど)が鈍っているのは明らかだった。 
 そして、いま、目の前にいるこの男は、
その事実、“自分の 「弱点」 に気がついている”
 もし自分の近接戦闘、その主武器である “贄殿遮那” を封じる手段を
ヤツが持っているとしたら、状況は極めて分が悪いと断じられた。
 シャナは怒りで燃え上がりながらも頭の隅で冷静にそう分析し、
警戒心をより強く研ぎ澄ました。
 しかしせっかく鎮まりかけた少女の内なる炎に、
フリアグネの次の言葉が余計な油を注ぐ。
「まったくもってガッカリだよ。君は生粋の 「刀 剣 使 い(ブレイダー)」 だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
凡庸で有り触れた相手、今まで飽きるほど 「討滅」 した。
愚直に前から突っ込むしか能のない、品位も礼節も欠片も持たない粗暴なる者が相手では、
戦意の高揚も戦果の充実も生まれようがない。
実に矮小(わいしょう)な、“取るに足らない存在” だよ? 君は」
 そう言って斜に構え、割れた硝子の側面のような視線でシャナを見下ろす。
「ッッ!!」
「全く、私の 「同胞」 には君と殆ど容姿は変わらないが、
途轍もない炎の自在法の 「遣い手」 がいるよ。
焔儀だけならこの私すらも遙かに凌駕する、
『最強の自在法士』
紅世の王、その真名 “(いただき)(くら)” 」
「……ッッ!!」
 フリアグネの口から出た、全く予想だにせぬ者の名。
 その事に、胸元のアラストールが絶句する。
 上のシャナには、最早その「名」は届かない。
「有名だからその存在くらいは知っているだろう?
君も少しは彼女を見習ったらどうかな?
あ、君はここで討滅されてしまうからもうその機会は永遠に訪れないか?
これは失礼、フフフフフフフ……」
 嫌味な程満面の笑顔で、嬉しそうに口元を長衣で覆うフリアグネに対し、
「ぐ……!! うぅ……うううぅぅ……!!」
生まれて初めて血に塗れた獲物を目の前にした
獣のような唸り声がシャナの口から漏れた。
 しかし少女のその様子に、心中の驚愕のため今度はアラストールが気づかない。
(“頂の座” だとッッ!? 現世(うつしょ)ではフレイムヘイズと双璧を成す巨大組織
仮面舞踏会(バルマスケ)】の 『大 御 巫(おおみかんなぎ)!!』
バカな!! 既にそのような者まで配下に誣いているというのか!? 彼の者は!?)
「うっ、ぐ……うっうっうっ……ウゥ~~~~~~~!!」
 少女は感情に心を焼かれまいと必死に憎しみを抑えようとしたが、
漏れる吐息と声までは抑えようがなかった。 
 身体の奥底からドス黒いナニカが湧き上がり、早鐘を打つ鼓動と共に
炉解した鋼のような灼熱の血液が全身を隈無く駆け巡る。
 心の内で熱く激しく渦巻く感情に気が遠くなりかけた。
 奮熱(ふんねつ)する怒りで頭がどうにかなりそうだった。
 自分の能力に対する侮辱は、同時に契約者であるアラストールに対する侮辱でもある。
 自分自身に対する揶揄や中傷だったら幾らでも耐えられた、
しかしこの世で最も尊敬し敬愛する、己の存在の全てを捧げた
アラストールへの侮辱だけは絶対に赦せない。
 侮辱する者も、付け入る隙を与えた自分自身も。 
 そんなシャナの様子を、完全にその怒りが不可逆になった事を
フリアグネは満足気に確認すると、再び彼女を無視してアラストールの方に向き直った。
「さて、と。お待たせしたかな? アラストール?
それでは君の下らない質問に答えて差し上げよう」
“下らない” という部分を殊更に強調して、
フリアグネは慇懃無礼を絵に描いたような仕草でアラストールを睨め付けた。
「私がアノ方に忠誠を誓った理由……それは “私がアノ方に邂逅したからだ”
 俯いて怒りに震えるシャナとはなるべく視線を合わせないように、
瞳を閉じて横に向き直りそしてその両腕を組むと、
フリアグネはアラストールにそう言い放った。
「実に単純な理由だがそれが全てだ。
何よりアノ方の世界を覆い尽くすような巨大な存在は、
その「復活」前からひしひしと感じていた。「君」もそうだろう?」
 意図的に少女の存在を無視し、得意気に言葉を紡ぐフリアグネ。
「……」
 シャナの震える左足が、無意識に一歩前に出た。
 フリアグネはDIOに劣らぬ邪悪な笑みを浮かべると、
妖しく煌めくパールグレーの瞳でサディスティックに一瞥した。
「その 『(きざし)』 が夢の中に現れた事も在ったか。
夢の中のアノ方は神々しき麗絶な竜神の御姿(みすがた)をしておられたが、
実際に相対したその御姿は較べモノにならなかった。
同じくアノ方に御逢いした君なら、その意味が解るだろう? アラストール?」
「むう……」
 アラストールは此処から大海を挟んだ遙か遠く、
北米の地で垣間見たDIOの姿を想い起こした。
 確かに、その全身が黄金に煌めくかのような、
絢爛たる永遠が顕在したかの如き男の姿に、
討滅の使命感以外の感情が芽生えなかったと言えばソレは嘘になる。
 沈黙するアラストールを誇らしげに一瞥した見つめたフリアグネは、
そのまま微かに高揚した声で言葉を続ける。
「私を始めとする紅世の徒の多くは、
アノ方が永き眠りから「復活」するとほぼ同時に、
すぐ御許(みもと)へと馳せ参じた。
それをしなかったのは、アノ方の存在を感じ取れない無能な(ともがら)
愚かなフレイムヘイズだけだ」
 フリアグネはそう言って何もない空間を、
纏った長衣ごと愛おしそうに両腕で掻き抱く。
 頬には人間のように赤みが差し、瞳はあくまで澄んでいた。
「アノ御方の存在は……あまりにも……あまりにも……ッ!
大きく、深く、そしてお美しい……
その御姿を前にしてその御力を試そうなどとは微塵も想わなかった……
アノ方の絶対的な存在の前では……この私の存在など塵芥にも等しい……
“フレイムヘイズ狩り” の自負など跡形も無く消し飛んだ……
そして気がつけば……私は自分の宝具をアノ方に献上していた……
そしてアノ方はそれをお受け取り下された……!
それだけで私のこの心は……これ以上ない至福で満たされたよ……ッ!
あんなに素晴らしい気持ちに包まれたのは……!
666年前にマリアンヌを生み出して以来初めてだった……ッ!」
 端麗な口唇から紡ぎ出されるフリアグネの言葉は、
か細い呟きのような淡い声調でアラストールに聞かせるというより
自分自身に言い聴かせているようだった。 
 そして純白の長衣を愛しそうに抱きしめながら、
赤子のような笑みをその耽美的美貌に広げる。
「遂に、王足る誇りすらも失ったか? “狩人” フリアグネ」
 敵とはいえ、同胞の変わり果てた姿に
落胆を押し隠せない口調で告げられるアラストールの言葉に、
フリアグネは夢から覚めたように長衣から顔を起こすと、
再び愚者を見下ろす歪んだ笑みで応える。
「誇り?」
 細めた流し目でアラストールを見たフリアグネは、
そのまま数秒言葉と動きを止める。
 そし、て。
「クッ、ハハハハハハハハハハハハハハ!!
アァァァァァァァァハハハハハハハハハハハハハ!!」
 いきなり子供のような、無邪気で開けっぴろげな声をあげて笑い始めた。
「何が可笑しいッッ!!」
 怒髪天を突くようなシャナの喚声で空間がビリビリと震える。
「イヤイヤ、失礼。まさかそんな低次元な応答が返ってくるとは
想わなかったのでね。つい」
 口元を長衣の裾で覆いながらフリアグネは
小馬鹿にするような流し目をシャナに送って来た。
 相当に精神がHigh(ハイ)になっているのか、
口元から小さな舌先まで出している。
「……!!」
 底無しに湧き上がってくる怒りに頭が沸騰するのを覚えた。
「しかし、アラストール? 君はまだそんな次元の話をしていたのか?
全くもって最早救いがたい。その老いた精神の鈍重さ加減には
嫌悪を通り越して哀れみすら湧いてくるよ。
紅世の最果てに小屋でも(こしら)えて、隠居していた方が良いんじゃないのかい?」
 心底呆れ返ったという表情で言い捨てられる露骨な侮蔑の言葉に、
シャナの奥歯がバリバリッと音を立てた。
 フリアグネはそんな少女の様子など意に介さず、
理解の悪い受講生を啓蒙(けいもう)する教授のように指先を立てた。
「いいかね? 誇りや使命などというそんな偏狭なヒロイズムは、
アノ方の絶対的な存在の前では全く無意味だ。
アノ方の前で全ての言葉は意味をなくす。
善や悪などという些末な概念など最初(はな)から超越しているのだよ!
アノ方は!」
 そう言ってフリアグネは大仰に両腕を広げてみせる。
「そして愚かなフレイムヘイズ風情には解るまい!
アノ方に存在を認められ永久(とわ)仕えることの出来るこの至上の悦びが!
今なら解る! そしてはっきりと実感出来るッ!
私はアノ方に逢う為に! 数千年も時の中を彷徨(さまよ)ってきたのだ!!」
 フリアグネは最早完全に、自分の紡ぐ言葉に自身で陶酔していた。
 カルト宗教の煽 動 者(アジテーター)特有の症状、催 淫(ヒュプノシス)現象である。
 その端正な口唇から出る言葉は、宛ら死霊の取り憑いた弦楽器が
狂って勝手に動き出したかのような、異様で不気味な調律と韻を掻き奏でていた。
「そしてアノ方は!! 
この使命を完遂した暁にはこの地での 『都喰らい』 を御赦し下された!!
これで私の永年の “悲願” もようやく成就出来るというわけだ!!」
「!!」
「!!」
『都喰らい』
 その言葉にシャナとアラストールが同時に絶句する。
 そんな二人の様子など無視して、
フリアグネは狂った調律の狂騒を奏で続ける。
「クククククククククク! 全くもって最高だッ!
実に実に実に素晴らしいッ!
アノ方に出逢ってから私という存在の 『運命』 は、その全てが完璧に回転している!!
ハハハハハハハハハハ!! 「神」だ!!
アノ方は正しく現世(うつしょ)紅世(ぐぜ)とを統覇するべくして生まれた
「神」なのだよ!!
フハハハハハハハハハハハハハハハ!!
クハハハハハハハハハハハハハハハ!!
アアアァァァーーーーーーハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
「貴様……」
 最早身も心も完全なるDIOの下僕へと堕ちたフリアグネに、
流石に怒りを滲ませた契約者に対し、
「アラストール……ッッ!!」
懇願するようにシャナは叫んだ。
「も……う……! 無駄……よ……!!
アノ男の……!! 奴隷に……!! 成り……下がった……!
ヤツに……!! もう……! これ以上……!
何……言っても……! 通じ……ない……!!」
 怒りで、言葉が切れ切れにしか出てこない。
 でももう、これ以上聞いているのは堪えられなかった。
 もう何も聞きたくない!
 アノ男に関する言葉も。
 そしてその(おぞ)ましき従属奴隷の声も。
 全身を生き物のように這い回り、胎動と脈動とを繰り返す溢れ出る憎しみに
気が狂いそうだった。
 そう……
 戦わないと気が狂う!
 討滅しないと気が狂う!!
 目の前のこの男を!
 そしてアノ男に纏わる全ての存在を!!
「クハハハハハハハハハハハハ!! このマヌケめッッ!!
貴様はその 「奴隷」 に惨たらしく殺されるのだよ!!
卑しい王の討滅の 「道具」 がッッ!!」
 フリアグネはまるでDIO自身が取り憑いたかのような
邪悪な風貌でサディスティックに嗤うと、
その瞳にも仕える主と同じ邪悪の光を宿らせて叫んだ。 



【2】

「上等、よッッ!! 」
 フリアグネの悪意の叫びを開戦の火蓋と決定したシャナの右手が黒衣の内側に伸びる。
 戦慄の美を流す大太刀 “贄殿遮那” を抜き放つ為に。
 その刹那。


 ズズズゥゥゥゥゥゥゥゥンンンンッッッッ!!!!


 激しい爆裂音が真下から、屋上全体に向かって鳴り響いた。
 ついで巨大な何かが障害物に激突して爆砕したような重低音が轟き、
破壊の余波が足元からビリビリと伝わり靴の裏が揺れる。
(!!)
 シャナは反射的に、自分の足下を見つめた。
 その「原因」が誰なのかは考える迄もなかった。
“アイツ” だ。
「あ……」
 少女の口元から想わず漏れた、怒りや憎しみとは対極の感情が篭もった声。
 アイツもいま、戦っている。
 自分と同じように。
 同じ場所で。同じ相手と。
“自分と一緒に戦っている”
 ただそれだけの当たり前の事実に、
心で渦巻く幾重にも絡み合った負の感情にも勝る想いを抱いたシャナは、
一瞬安堵の表情を無防備に浮かべ口元にも笑みが刻まれる。
「……」
 しかしその様子を老獪に見据えていたフリアグネは、
すぐさまに冷徹な言葉を少女に浴びせた。
 シャナに味方するものは、例え 「音」 でさえも赦さないという
主譲りのドス黒い精神の残虐さで。
「おやおや?  「下」 は随分派手にやっているようだな?
どうやら私は居る場所を間違えたようだ。
早々にこのくだらないフレイムヘイズを片づけて
マリアンヌを迎えに行ってやらねばね……」
 フリアグネはそこで一端言葉を句切り、さらに周到にも一拍置いて
その美形を兇悪に変貌させて言い放つ。
 精神的に限界が近い今の少女には、何よりも残酷な言葉を。
「“白金の流星を鮮血の落日に染め上げる為に”
その 「首」 を手土産に持ち帰れば、アノ方もお歓びになられる」
 そう言ってフリアグネは心底愉しそうにクスクスと嗤った。
 狂った光の宿るパールグレー流し目で、シャナの一番純粋な部分を陵辱するかのように。
「!!!! 」
 そのフリアグネの言葉が終わるよりも速く、
シャナの心の裡で理性の「(タガ)」が数十本まとめて弾け飛んだ。
 精神の最後の主柱が音を立てて崩れ落ちた影響で、
シャナの心の中で渦巻いていた様々な負の感情と共に
それとは別に湧き上がっていた「対極の感情」とが混ざり合い、
正と負が煮え滾り心の局が無明の渾沌と化す。
「ッッッッ!!?? 」
 

 その瞬間(とき)
 シャナの(なか)で。
 ナニカが弾けた。


 シャナ自身ですら自覚の無い、しかし少女の裡で静かにその覚醒の刻を
待ち侘びながら胎動していた、決定的なナニカが。
 脳裏の中、その頭蓋の深奥で一瞬の閃光の後、
紅い光暈(こううん)が網膜全てを充たし
そしてソレは己が全存在を輝きながらも包み込む。
 次の刹那、 シャナの 「灼眼」 に変異が起こった。  
 真紅の双眸に宿る、いつもの燃え上がるように鮮烈な色彩は完全に消え去り、
代わりに熔解した灼紅の鋼を瞬時に凝結したかのような、
まるで暗黒の重力場を想起させる超高密度な色彩へと変容する。
 虹彩に宿る紅蓮の光は完全に消え去り、
否、変異した瞳の発する引力によって光は全て外部に脱出出来ずに
まとめて瞳孔に吸い込まれ、一片の光の存在すらも赦さない無限の虚無へと変貌した。
トランス(逸 脱)状態 ”
 今のシャナの状態を言葉で現すのならその一言に尽きた。
 その己の急激なる「変貌」に、その張本人であるシャナだけが気づいていない。
 しかしそれは当然の事象と云えた。
“シャナ自身ですら今まで知ることの無い力” だったのだから。 
 今だ嘗て無いほどの凄まじい正と負の感情に心身を灼かれ、
その他様々な要素が複雑に折り重なって半ば偶発的に覚醒し(めざめ)た 『能力』 なのだから。
「……ッッ!!」
 シャナの、未だ嘗て視たコトの無い程の壮絶な変貌振りに、
誰よりも彼女を良く知るアラストールまでもが驚愕の余り言葉を失う。
 シャナ自身が知り得ない能力(チカラ)の本質を、
一心同体であるアラストールもまた知りようがない。
 戦いの場を突如直撃した 【特異点】 とでもいうべき
無常の不確定要素により戦局は、
最早誰も予測だにしえない昏迷の事態へと陥った。


 ヤ・キ・ツ・ク・ス!!!!!]


 シャナは純粋に、ただソレだけを想った。
 通常の彼女の灼眼を闘志と使命に燃ゆる修羅の瞳と(たと)えるならば、
今のシャナの灼眼は破壊と滅亡を司る羅刹の瞳。
(楽には……滅さない……! おまえの犯したその「罪」……ッ!
私が灼熱の劫火で断罪するッッ!! )
 何よりも強くそう心に誓い、硬質な色彩を浮かべる無明の存在を宿した)
その 【(しん)灼眼(しゃくがん)】 で、シャナはフリアグネを真正面から貫く。 
(“アイツ” には!! 指一本触れさせないッッ!!
おまえなんかに絶対にッッ!! )
「……ッ!」
 無明の双眸と化したシャナの全身から発せられる、
まるでその存在自体が圧搾されるような凄まじいプレッシャーに
フリアグネは背筋に寒気を覚えながらも
「ほう?  なかなからしい表情になったじゃないか?
少しは楽しめそう、かな? 」
そう言って小さな口笛を奏で、純白の長衣を翻した。
(チッ……少し煽り過ぎたか……憤怒が回帰し過ぎて意識の円環を突き破り
ソレが精神の未知の部分を覚醒させて少し 「冷めた」 ようだ。
“アノ方 ” から聞かされていた性格とは大分違うな。
こんなに激情家だとは想わなかった)
 心の中でそう呟き、しかしフリアグネはその老練な頭脳ですぐに
戦闘の手順を修正する。
(フッ……まぁ良い。予定と少々違っても “やる事は変わらない”
少しくらい力が向上(あが)ろうと私は “フレイムヘイズ相手なら絶対に負けない”
そうだろう? 私のマリアンヌ? )
 心の中で、何よりも優しく燐子の恋人に問いかけると
いきなりその視線を矢を番えた弦のようにキリリッと引き締め
長衣を真一文字に大きく翻した。 
 純白が滑らかに空間を撫でると同時に、
シャナの周囲を取り巻いて数十もの薄白い炎が広い屋上に次々と湧き上がった。
「!!」
 どうやらフリアグネの纏っている長衣には、
「召喚」 或いは 「空間転移」 の自在法が既に編み込まれていたらしい。
 揺らめく白い陽炎の内側から、武装した無数の等身大フィギュアが次々と姿を現した。
 どれもシャナの2頭身以上の長身で全て少女型。
 ペット樹脂の上にクロームでメッキされた滑らかな身体のラインに、
目立たない形で関節が仕込まれている。
 着ている「服装」は古今東西種々折々で、ストリート・ファッションからセーラー服、
アーミールック、ゴスロリ、デカダン調のドレス、
更にブランド物のスーツや無意味に露出の多い武闘着、
加えて浴衣や晴れ着等々、作り手である主の倒錯した
センスを象徴したかのような滅裂振りだった。
 ソレら、まさしく頽廃の趣味の産物が可愛らしく描かれた笑顔のまま、
スチールの関節を軋ませながら、シャナに向かって詰め寄ってくる。
「フッ……!」
 己の自在法が正確に起動した事を確認すると、
フリアグネは軽やかに背後へと大きく跳躍し、
純白の長衣を優雅に気流に靡かせながら屋上最奥に設置された
給水塔の上へと着地した。
「クククククククク…………どうだい? お嬢さん?
私の可愛い下僕(しもべ)達は? ご期待に添えたかな? 」
 得意気なフリアグネの声が、その武装フィギュア達の遙か向こう側からかかる。
「良い趣味してるわ……ッ! 虫酸が走るくらいにね……! 」
 吐き捨てるシャナにフリアグネは、
「つれない感想だねぇ。せっかく記念すべき今日という日に備えて、
手によりをかけたというのに」
 そう言って給水塔の縁に右足をダラリと下げ左膝を抱えて座り込み、
純白の長衣の裾を頭上の封絶から発せられる気流に靡かせる。
「まぁ、良い。開戦の宣告にしては少々物足りないが、
さぁ!!!  始めようかッッ!! 」
 フリアグネは再びDIOと重なるサディスティックな微笑を浮かべると、
今度は長衣の裾を鋭く斜めに翻した。
 その合図と同時に武装フィギュア達の盲目の瞳が白く発光し、
サーベルやレイピア、スティールウィップやライトスピア、
ジャベリン、クロスボーガン等女性でも扱える軽量の、
しかし殺傷能力は充分の武器を携えた人形達が
シャナへの包囲網を徐々に狭めていく。
 表面をクロームで覆われたフィギュアの群は、
開かない口からそれぞれ同じ機械合成音のような声を、
全く同調のトーンで口走りながらシャナに詰め寄ってきた。 
「行かせない……」
「ご主人様を……」
「キズつけるものは……」
「誰一人……」
「どこにも……」
「ここから……」
「行かせない……」
「フレイム……」
「ヘイズ……」
「炎髪……」
「灼眼……」
「討滅の……」
「討滅の……道具……」
 金属の軋む耳障りな音が、シャナの苛立った神経をささくれ立たせ
その苛立ちが更に己の使命感と破壊欲とを刺激してより激しく燃え上がらせる。
 ようやく、訪れた、約束の時。
 フレイムヘイズの使命を果たす事に胸が高揚した。
 同時に目の前に存在する全てを、粉々に破壊してしまいたかった。
 そう、なにもかも。
 恐らくは、自分自身すらも。
 そんな矛盾した心象を併せ持ちながらも、戸惑いは微塵も感じられなかった。
 頭の中は限りなく透明に澄み切っていた。
 草原を翔る清らかな涼風と、廃墟で吹き荒れる破滅の乱風とが同時に混在していた。
『世界の果て』
 心象の在り様を一言で云うなら、その表現こそが適当。
 少女は顔を俯かせたたまま、口中を軋らせ黒い熱の籠もった声で呟く。
「冗談じゃ……ないわ……! どこにも……行かない……ッッ!!」
 そう言いながら細く可憐な手の先を、黒衣の内側に入れる。
 再び出てきた()には、件の妖刀 “贄殿遮那” ではなく
煌々と光る存在の灯火 『トーチ』 の塊が乗せられていた。
 決して、フリアグネの挑発に乗ったわけではない。
 だが、今の自分には “炎” が必要だった。
 自分の心象の有り様を余す事なく顕現させる事の出来る、
紅蓮の “炎” が。
「例え……一匹でも……この私が……おまえ達を放って……
素通りすると……想う……!?」
 言葉の終わりとほぼ同時に、掌の上のトーチが激しく渦巻く紅蓮の炎へと変貌する。
 炎は自在法の練度が鈍っている為、彼女の制御を離れて気流に靡き
黒衣の肩口をチリチリと焦がす。
 シャナはそんな事など意に介さず、黙ってこれから発動させるべき
『炎の自在法』 を精神の中で丹念に編み始めた。
 確かに自在法の「練度」は鈍っていた。
 しかし、“そんな事はどうでも良かった”
 先程から自分の内部から絶え間なく沸き上がる、
得体の知れない(くら)い力。
 心の深奥から滲み出てて、神経を介して全細胞を駆け巡り
やがて雨露のように冷たく全身へと染み渡る。
 その冷たく硬質で、しかし何よりも危険で甘やかなカオスの感覚が
シャナの心の中の弱みを一切残さず全て吹き飛ばした。
 同時に屋上全域に響き渡る、凛々しく猛々しい鬨の声。
「虱ッ潰しよッッ!!  どけなんていわないッッ!!
おまえ達を一匹残らず焼き尽くしてッ!! 私はアイツを討滅するッッ!! 」
 勇ましきその喊声と同時に20を超える武装フィギュアが
一斉にシャナへと襲い掛かり、更に十体以上が空中に飛び上がり
頭上から共に襲い掛かってきた。
「せりゃあああああああああああああああああッッッッ!!!! 」
 シャナはまず跳躍のエネルギーを使い切り自由落下へと陥った武装フィギュアに、
右の掌から火炎の連弾を撃ち放った。
 己の内で炎の砲弾を瞬時に量産し次々に射出するシャナの躰は、
まるで戦闘機に搭載された機銃ように微細な振動を繰り返す。 
 射撃の精密性は無きに等しいがまるで暴風のような炎弾の狂瀾に、
重力に縛られた空中で自由が利かないフィギュア達はまさに炎の篭に囚われた
雛鳥も同然だった。 
 鉄製の刺が付いた鉄球を持ったブレザー、セラミックのメスを構えたナース服、
カスタムされたスタンガンを持ったゴスロリ等が次々に手と顔面、
ついでに胸と武器を撃ち抜かれ瞬く間にグロテスクなジャンクへと変わる。
「うりゃああああああああああああああああああああああ!!!!」
 すぐさまにシャナは視線を前方に移すと、
交差した左の掌で同じように炎弾の嵐を一斉乱射し
チャイナ服やランジェリー姿の殺 戮 機 械(キリング・マシーン)を蜂の巣にして爆散させた。
 まるで炎髪の撒く深紅の背後に、
無数の機銃と副砲、そして爆弾を搭載した重戦闘機のシルエットが
視えるかのような壮絶さだった。
 武装フィギュアの斬り込み部隊を(あまね)く炎弾の乱舞で即座に壊滅させたシャナは、 
その虚無の視線で解れた包囲の外で二の足を踏む後方支援部隊、
更にその奧、給水塔の上で優雅に座っているフリアグネを鋭く貫く。
(おまえ? さっき言ったわよね?  “私の焔儀が見たいと” )
 硬質な無明の色彩と化した双眸が、一際重く狩人を(すが)める。
(みたい、の……?)
 シャナは仇敵へ言い聞かせるように、小さく呟く。
「そんなに見たけりゃ()せてあげるわッッ!! 」
 そして激高したシャナは、手の中のトーチを全て紅蓮の炎に換えた。
(おまえは一つ、大きな勘違いをしている……ッ!
私は炎の 「自在法」 が 「苦手」 なわけじゃない……!)
 やがて右手に宿った炎が火勢を弱め、その減った分の炎が左手へと移る。
(“贄殿遮那” で斬り倒した方が手っ取り早いから使わないだけよッッ!!)
 開いた両手で炎を腰の位置に構えた少女は、
心の中でフリアグネにそう叫んだ。
「はあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 猛りと共にシャナの両脇に広げられた手に宿る二つの炎が、
一切の過程を省いて瞬時に変容する。
 右手に、波濤が渦巻く業火の炎。
 左手に、静謐に揺らめく浄化の炎。
 シャナはその二つの炎の塊が宿った掌を、
固定されたリズムと軌道で何度も何度も眼前で撃ち合わせる。
 静と動の火花が、何度も何度も弾けて交錯した。 
 そして混ざり合った属性の違う炎は、
やがてシャナの目の前で巨大な深紅の球となり
宝玉のような神聖さで煌めきながら宙に浮く。
(恐悦の歓喜に(むせ)()けッッ!! おまえが!!
フレイムヘイズ炎髪灼眼最大最強焔儀最初の討滅者だッッ!! )
 渦巻く紅蓮の炎が心の内で顕現したかのような、魂の慟哭。
 シャナの誓い。
 紅く輝く炎の球は、砕けた戦刃のように凶暴な火走りの余波で空間を灼きながらも、
自身は静かに発動の(トキ)を待つ。
(思い、知らせてやる……ッ!)
 シャナの両手に宿った二つの炎は、その密度を薄めつつも尚も激しく
互いに炎の球へと撃ち付けられ、その身を軋ませながら融合し、膨張していく。
(“フレイムヘイズ” をナメるとどうなるかッッ!! 私をナメるとどうなるか!!
それにッッ!!)
 シャナの脳裏に、一人の人間の姿が浮かんだ。
(モタモタなんてしてられないッッ!!)
 ほんの僅か二日前、少女の心中に宿ったまだ小さい、
しかし他の何よりも強い輝きを放つその存在の篝火が、
少女を、シャナを、己が黒い炎に呑み込まれるのをギリギリで踏み留まらせていた。
「“アイツ” が下で待ってるのよッッ!! 」
 己の決意を叫ぶと同時に、右と左、属性の違う炎が互いに混ざり合い
極限まで引き絞られた炎の球は眼前でまるで生き物のように蠢き、そして胎動する。
 シャナは焔儀発動の構えを緩やかな動きで執りながら、
閃烈な無明の瞳で前方を射抜いた。
 炎弾を警戒して寄ってこれないフィギュア達ではなく、
その奧にいる人形達の主、殺戮の “狩人” フリアグネを。
「くらえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッッ!!!!」
 勇ましき駆け声と同時に、シャナは両腕を撚りながら目の前で素早く交差し、
直角に折り曲げられた左肘に顔を埋めるようにして隙間から覗く視線は標的、
フリアグネからやや降ろす。
 そして交差された腕の指先には、
いつの間にか密教徒が結ぶ「印」のような、
不可思議な形が結ばれていた。
 その動作と呼応するように、今は無明の煌熱をその身に宿す
カーディナル・レッドの灼眼が初めてキラメキながら何よりも強く輝いた。
 その輝きに同 調(シンクロ)して、炎気を極限まで超圧縮して凝結された
高密度の真紅の球は、周囲に火花と放電とを撒き散らしながら
徐々にその身を巨大な 『北 欧 高 十 字 架(ケルティック・ハイクロス)』 の(カタチ)に変容させていく。
 其の、シャナが執った 「術式」 は。
 地上にまだ歴史が存在しない悠久の遙か太古より紅世に伝わる、
フレイムヘイズ専用戦闘焔儀大系の中の一つ。
 遍く幾千もの炎を集束して高め、そして爆発的な威力で()り出す為に
アラストールを始めとする紅世の王達と、優れたフレイムヘイズ達に()って
幾重にも渡る淘汰と研磨、進化と深化の相剋の果てに創り出された、
究極の綜合汎用型焔術自在法。




紅 堂 伽 藍 拾 弐 魔 殿 極 絶 無 限 神 苑 熾 祇(ゾディアック・アビスティア・アヴソリュート・エクストリーム)




 その 「領域」 の一体系、 『流式(ムーヴ)』 に拠って結合された反属性同士の炎は、
シャナの目の前でさらに激しく高ぶる。
「“紅 蓮 珀 式 封 滅 焔 儀(アーク・クリムゾン・ブレイズ)ッッ!!” 」
 己が執行する焔儀の「御名」を猛々しく叫んだシャナは、
八字立ちで指の印を振り解きながら交差した両の(かいな)(ひね)りを加えて、
鳳凰の羽ばたきのように勢いよく押し拡げ全身から深紅の火の粉を撒くと。





炎 劾 華 葬 楓 絶 架(レイジング・クロス・ヴォーテックス)!!!!!!』




 絶叫した。 
 ソノ、術式発動の叫声と共に閃光とスパークとに揺らめく火の粉を
花片のように飛ばしていた灼熱の炎架は、
即座にドギュッッ!! という爆発的な加速音を立てて
白い封絶に覆われた空間を駆け巡った。



 グァジュウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥッッッッッ!!!!!


 
 狂嵐の焦熱地獄。
 唸りを上げて武装フィギュア達に迫る灼熱の炎架はまるで錯乱した兇天使のように、
縦横無尽に踊り狂い誰の予測も付かないランダムな軌道で
高熱の巻き起こす余波と共に空間を処狭しと暴れ廻った。
 樹脂の灼ける音。
 鉄の焦げる匂い。
 焔儀創造の際、同時に内部に編み込まれていた無数の “操作系自在式” によって、
空間に紅い精密な幾何学模様の軌跡を描く 『炎 の 高 十 字 架(フレイミング・ハイクロス)』 は、
防御も回避も視認すらも出来ないフィギュア達に情け容赦なく激突してその身を轢断(れきだん)し、
そしてバラバラになった残骸を蒸散させていく。
 まるで、シャナの内なる精神の火勢を代弁するが如く。 
 気が付けば、70体以上いた筈の武装燐子フィギュアは残り僅か数体、
内無傷なものはたったの3体のみ。
 残りは必殺の大太刀 “贄殿遮那” を温存したままの怒れるフレイムヘイズ、
“炎髪灼眼の討ち手” その凄絶なる焔儀によって全て跡形もなく焼き尽くされた。 
 術の反動、そして射出の勢いで宙に舞い上がっていたシャナは
その身を中空で反転させ軽やかにコンクリートの上へ着地する。
 目の前の視界、白い火花を放つ燐子達の最早残骸とも呼べぬ
存在の残滓がそこかしこに散乱した、見る者によっては阿鼻叫喚の地獄絵図を
想起させるような惨々たる光景を少女は真紅の煌めきをなくした
無明の双眸で見つめていた。
 今し方発動した輪舞型の操作系自在式は、
あくまで目の前の視界を明瞭にするため高架に編み込んだモノ。
 幾ら武装しているとはいえ燐子如きが例え何百体集まろうと、
「今の」シャナの眼中には端からいないも同然だった。
 そのシャナの傍らに、術者の命令を忠実に果たした紅蓮の炎架が
主を護る守 護 者(ガーディアン)のように舞い降りる。
 シャナはその一切の光を宿さない無明の双眸で、
給水塔の上、笑顔のまま拍手をしているフリアグネを冷酷に見据えると
人間の関節可動域を完全に無視して複雑に絡められた
自在式発動印が結ばれた右手を肩口へと掲げる。
 そして咎人を断罪する執行官のような峻厳足る動作で
勢いよく印を振り解きながら真下へと振り下ろした。
 その動作に合わせ内部に編み込まれた突貫型の操作系自在式が発動し、
炎架中心部に埋め込まれた灼熱の紅玉がより強く発光する。
「ッッッけぇぇぇぇ!!!!」
 シャナの叫びが終わる前に深紅の炎架は迫撃砲が発射されたかのような
爆裂音を轟かせながら超加速し、笑みを浮かべて拍手を続ける
フリアグネに向かい一部の狂いもない正確な命中精度で襲い掛かった。
(灰に! なれ!!)
 空間に紅蓮の軌跡を残す火炎の疾走を見送りながらシャナは強く心の声で、
灰燼(はい)になれええええぇぇぇぇッッ!! 狩人フリアグネエエエエェェェェッッ!! 」 
そして現実の声でそう叫ぶと、自分が認める二人の血統の男と同じように
右手を逆水平に構え標的を、フリアグネを貫くように差した。

←To Be Continued……






炎 劾 華 葬 楓 絶 架(レイジング・クロス・ヴォーテックス)
流式者名-空条 シャナ
破壊力-A スピード-B 射程距離-B
持続力-A 精密動作性-B 成長性-C
能力-業炎と浄炎。異なる二つの属性の炎を自在式によって結合させ、
   相乗効果によって増大した存在の力を高架型に変容させて
   相手に撃ち込む炎の戦闘自在法。
   高架に様々な自在式を編み込むことによって、
   その軌道や属性を複雑に変化させる事が出来る剛柔一体の焔絶儀。
   弱点は発動までの所要時間が長い事と、存在の力の消耗が大きいこと。


















『後書き』


はいどうもこんにちは。
後の展開を見ればお解りの通り、「原作の」フリアグネはホントもう
ブッ○したくなるくらい『弱い』のでほぼ「別人」に仕立てております。
(貞本版「エヴァ」のようなモノです)
だって「フレイムヘイズ殺し()」と銘打っておきながら
(オマエが考えたんだろう・・・・('A`))
「近接戦闘」に『対策』してなかったとか
もうナメてんのかとしか言い様がありません
(「相手が剣しか使ってこないのは誤算だった」ってうるせえよ!(゚Д゚#))
事実その後も「武装」しているフレイムヘイズは出てくるわけで
(司祭っぽい〇○Aもドロップキックかましてましたし)
「炎しか使ってこないヤツ」の方が珍しく
この稚拙さと杜撰さで一体どこが「設定魔」なんだか
非常に理解に苦しむ所です。
(まさか自分で言いだしたンじゃないだろうな・・・・('A`))
このように完全名前負けしている(最早ギャグ)
「フレイムヘイズ殺し」という設定の尻拭いを、
なんでワタシがヤんなきゃいけないんだと
愚痴の一つも零したくなるのですが
(よくジョジョは原作と変えないと言ってますガ、
正確には既に作品として「完成」されているので
変える必要がないのです)
ちゃんとしないとストーリーが「破綻」するのでソコは真面目に考えました。

だから「アズュール」に頼りきった戦闘スタイルではなく
智略、戦略、心理戦を得意とするタイプ。
当然あらゆる状況を想定しているのでそのスベテに対応できる
オールマイティー型。
虚実()い交ぜて相手を翻弄するので
近接戦も遠隔戦(焔儀主体)も出来る。
「フレイムヘイズ殺し」と仇名されるのは、
その「能力」ではなく相手の「怒り」や「憎しみ」を利用するから。
“戦う前から”既に「決着」はついているというコトを(むね)とする。
「フレイムヘイズ殺し」と銘打つなら、
最低コレ位は考えてキャラを設定して欲しいモノです。
「炎が効かないからフレイムヘイズ殺し~♪」ってコレじゃ
幼稚園児が考えた設定でしょう。ソレで負けても「当たり前だ!」
としか言い様がありません(それでも負けたヤツが雑魚過ぎる・・・・('A`))
そして後の結果は言わずもがな、クロロVSヒソカではありませんが、
「切り札」を温存したままフリアグネが勝利します。
入念な「事前準備」を重ね、幾つもの「布石」を打って、
相手を「攪乱(かくらん)」すれば『強敵』相手でも
ほぼ無傷で勝ててしまうのです。
(完全に100%「勝つ」というのはこういうコト)
まぁこの時点のシャナは「原作の呪い」が解けてないので
こんなモンというのもありますが、
フリアグネが完全に「別人」、元のヤツよりも桁違いに『強い』
というのを印象付けるためこうしました。
作品として描く以上、幾らキャラが可愛いからといって
(作者がロ○コ○だからといって)
相手を「弱く」するのは絶対やってはいけない行為です。
少なくとも読者はそんなモノ面白いともなんとも想いません。
あくまで「基本」は「作者<<<読者」
最低でも「作者≦読者」でなければイケません。
読者は「楽しむ」ために作品を読むのであり、
「作者の自己満足や性的な嗜好」など別にみたくないのです。
まぁワタシとしましては作者も描くのを楽しみ、
読者はもっと楽しむというのが理想形だと想うのですが、
ソレを体現出来るのは荒木先生のような人だけかもしれません。
まぁ先は長いですがお互い楽しみながらゆっくりでも進んでいきましょう。
いつかは望みの場所に辿り着けるでしょう。
「進んでいる」わけですから。
ソレでは。ノシ











 
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