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遊戯王EXA - elysion cross anothers -

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PROLOGUE EDITION Volume.1
  PE01-JP003《宇宙規模の戦い(デッキ的な意味で)》

  ―――このターンで、終わらせる!

 おー、蓮の勝利宣言だ。

「無理です。凍夜先輩にそう言った転生者は絶対に闇に飲まれていきました! 今のセリフ、まさに死亡フラグです!」
「……あー、あんた夜神だっけ? エリュシオンだっけ?」
「夜神です! 何でわざわざこいつと名前を間違えるんですか!」
「一つ勘違いしてるようだけど、私達は転生者じゃないわよ」
「……え!?」

 ……やっぱりか。こいつら、私達のことを転生者だと本気で勘違いしてる。

「ゆみな、この"自称"夜神と遊んでて。私はこっちの外人さんとやるから」
「誰が自称ですか!」

 そう言って、私の腕に巻きつけられていた漆黒の鎖(デュエルアンカー)をゆみなに手《・》()()()

「「……はい!?」」

 ……え、なんでそんなに驚いてるのよ?

「うそ……デュエルアンカーが、こうも簡単に……!?」

 ああ、これ外れちゃいけない代物だったのね?

「……あの、先輩?」
「おい、デュエルしてろよ」
「押し付けられた!?」

 さて、これでゆみなの方も、直にデュエルを開始するでしょう。

「さ、デュエルアンカーを私につけなさい。こっちも始めるんでしょ?」

 そう言って、私は"エリュシオン"と呼ばれた少女と対峙した。
 アッシュブロンドのきれいな髪を腰辺りまで延ばした少女。彼女の返答は、しかし不可解なものだった。

「命は投げ捨てるものじゃない」
「……は?」

 出ました、遊戯王名物"会話のドッジボール"! てか、闇のゲームやる人は言っちゃいけない言葉でしょう……。

「前世で私の妹が教えてくれた言葉です。闇のゲームなんて、始めからするつもりなんてありません」
「……その英断に感謝するわ。私も遊戯王なんかにに命を賭けるつもりなんてないもの」

 ……前世、ねえ?
 ということは、やっぱり彼女も転生者ってことよね。

「一応、名前を聞いておきましょうか? 私は天河(あまかわ) 沙耶(さや)、向こうでは現役の大学生よ」
「……アイシア。アイシア=エリュシオンです!」

 私の名前に一瞬動揺を見せ……たのか? 一瞬でよくわからなかったけど。彼女は何もなかったかのようにデュエルディスクを構えた。
 じゃ、こっちも準備しよう。

「「決闘展装(Duel-Transer)起動(Action)!」」

 あ、ゆみなと声被った。

 私を中心に、金色の粒子が渦を巻いて形を成す。創られたのは、浮遊する2枚の水晶板。1枚は私の右側に鉛直に、スクリーンとなって。もう1枚は私の正面に水平に。


―――― Turn.0 Are you ready? ――――

1st/Saya Amakawa
◇LP/4000 HAND/5
◇set card/mo-0,ma-0

2nd/Aisia Elysion
◇LP/4000 HAND/5
◇set card/mo-0,ma-0


 ……って、思いっきり机じゃない! 何これプレイマットなの!?

「……何と言うか、デュエルディスク? としては、珍しい形ですね」
「でしょうね。私も意味わかんないもの」

 というか、これデュエルディスクじゃないわよね? 蓮のデュエルを見る限りでは、互換性はあるみたいだけど……って、

「うわ、何あれ!?」

 私の視界に入ったものは、蓮の足元に無数に群がる黒い何か。うじゃうじゃしてて、何と言うか、見てるだけでSAN値が……!

  ―――どうして何も言わずに《増殖するG》発動してんの!?

 ああ、あれ"G"か! 通りで気持ち悪いわけだ! いくらソリッドビジョンだからって、あれはリアルすぎでしょ!?

「……沙耶ちゃん」
「……ええ、わかってるわ」

 ―――そして私達は、考えるのをやめた。


「「デュエル!!」」


Turn.1 Player/Saya Amakawa
 1st/Saya Amakawa
  LP/4000 HAND/5→6
 2nd/Aisia Elysion
  LP/4000 HAND/5


「先攻は私みたいね。ドロー!」

 山札からカードをドローする。一度手札にそれを加え、そこからどう動くのかを考える。

「……よし。手札から《フォトン・スラッシャー》を()()召喚するわ!」

 沈黙を破り、私の場に蒼い光剣を手にした戦士が現れる。……やっぱりこれ、某モビルスーツよね……。

 フォトン・スラッシャー
 ☆4 ATK/2100

「……っ、特殊召喚!?」
「そうよ。《フォトン・スラッシャー》は自分の場にモンスターがいない時に手札から特殊召喚できるわ。その代わり、こいつ自身は通常召喚できないんだけど」
「レベル4以下のモンスターが特殊召喚されたとき、手札の《TG ワーウルフ》の効果を発動します!」
「なっ……!?」

 剣士の出陣と同時に、相手の場には後足で直立する狼が現れた。機械化した左腕を構え、私の場にいる剣士を威嚇する。

 TG ワーウルフ
 ☆3 ATK/1200

 TG(テックジーナス)。破壊されたターンのエンドフェイズに同名以外の同シリーズのカードをデッキから手札に加える効果を共有するモンスター群。この優秀な性質のため、最近では様々なデッキにTGギミックが組み込まれている。

「……仕方ないわね」

 だからって、私が動きを止める道理は無い。
 手札から1枚のカードを手に取り、水晶板の上……既に置かれたカードの右隣に配置した。

「私はまだ通常召喚をしてないわ。《セイクリッド・カウスト》を召喚!」

 私の場に描かれる、射手座の紋章。天より遣わされたのは、聖鎧を纏った半人半馬の弓兵。

 セイクリッド・カウスト
 ☆4 ATK/1800

「レベル4が、2体……!」
「そうね。じゃあ、手札から永続魔法《セイクリッドの星痕》を発動しておくわ」

 私の足下に、星騎士(セイクリッド)のシンボルといえる紋様が浮かび上がった。淡い光を放ち、私に星の加護を与えて……あれ、この表現はいいの? これに加護があるのかわからないんだけど。

「《セイクリッドの星痕》がフィールド上に存在する限り、私は"セイクリッド"と名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚される度にデッキから1枚ドローすることができる」
「ドロー効果持ちの永続魔法!?」
「まあ、1ターンにドローできるのは"星痕"1枚につき1回だけなんだけどね」

 ……まあ、表現の件は別にいいわ。今は後回し。今は、他にやるべきことがあるんだから!

「私の言った意味、わかるわね?」
「―――っ!」
()()()レベル4《フォトン・スラッシャー》《セイクリッド・カウスト》の2体をオーバーレイ!」


 (われ)(きざ)みしは(せい)なる(つるぎ)()しき(むくろ)への(さば)きの(ひかり)

 役目(やくめ)()えし聖鎧(せいがい)よ、遺志(いし)(いだ)きて再臨(さいりん)せよ!

    ☆4×☆4=★4

 エクシーズ召喚(しょうかん)邁進(まいしん)せよ、白銀(しろがね)騎馬(きば)


「《セイクリッド・オメガ》、光臨(こうりん)!」


 聖騎士達が2つの光となって、天へと続く道となる。遥か星の空から光の騎馬が駆けつけ、私の場に降り立った。

 セイクリッド・オメガ
 ★4/2 ATK/2400

 そして、足下の紋様から光が強く発せられる……!

「この瞬間、《セイクリッドの星痕》の効果発動。デッキから1枚ドローさせてもらうわ!」

 そう言って、デッキの一番上のカードを自分の手札に加え……あー、ここでこれを引くのか……。

「……ま、今は別にいっか。リバースカードを2枚セット。私のターンは、これで終了よ」


―――― Turn.1 End Phase ――――

1st/Saya Amakawa
◇LP/4000 HAND/2
◇《セイクリッド・オメガ》ATK/2400
◇《セイクリッドの星痕》 CONTINUOUS
◇set card/mo-0,ma-2

2nd/Aisia Elysion
◇LP/4000 HAND/4
◇《TG ワーウルフ》ATK/1200
◇set card/mo-0,ma-0


「私のターン、ド『―――――――』………え?」

 アイシアの声が、突然の轟音に遮られた。

 ……雷だ。それも、特大の。

 それはあまりにも近くに落ちて、それはあまりにも衝撃的で。
 私は思わず、音のした方向を向いて()()()()

「―――っ!?」

 それは、間違いなく、人が見てはいけないもの。
 表現することすらもおぞましい、その物体。焼け焦げた肉の臭いと、原型を保っているが故に理解してしまうその現実。
 そう、一言で言うならば……。

「……じょうずにやけましたー」

 あまりにも惨すぎて、せめて表面上だけでもネタに走らないと精神がやってられないレベル……!


「「「きゃああああああああああああああ!!?」」」


 公園に、少女たちの悲鳴が響き渡った。

「先輩! 凍夜先輩!!」

 ゆみなと戦闘をしていたはずの夜神が彼の名を呼び続ける。
 ……そう、水咲凍夜。この名状し難い、焼けた肉塊。かつて人だったはずのそれは、しかし今の雷嵐によってその生命活動を切断された。

「……ゆみな」
「なん、ですか……?」
「そいつ……夜神の鎖を外しておきなさい。そいつの精神はもうデュエル出来ないわよ」
「はい、わかりました……」

 ゆみなにそう指示し、私はアイシアに向き直る。

「ごめんごめん、今はあんたのターンだったわね」
「切り替え早っ!? ……というか、え、続けるの!?」
Exactry.(その通りよ。)さあ、カードをドローしなさい?」
「……うん。私のターン、ドロー!」


Turn.2 Player/Aisia Elysion
 1st/Saya Amakawa
  LP/4000 HAND/2
 2nd/Aisia Elysion
  LP/4000 HAND/4→5


 さて、私のセットしたカードは召喚反応型一掃罠《激流葬》と対全体破壊迎撃罠《スターライト・ロード》の2枚。手札には《エフェクト・ヴェーラー》……は、さすがにいないんだけど。今回は結構まともなラインナップになったわ。

「手札から、《神秘の代行者アース》を召喚!」

 ……来ましたわー。これで相手のデッキは【TG代行】で確定と見ていいでしょうね。
 相手のフィールドに姿を現したのは、銀髪の……うん、性別わからないから"男の娘"でいいや。

 神秘の代行者アース
 ☆2T ATK/1000

「《神秘の代行者アース》が召喚されたとき、デッキから……」
「はい、ちょっと待った。その効果に対して《激流葬》をチェーン発動!」
「えっ!?」

 何処からともなく、想像を絶する大津波が私達を襲う。そういえばさっき蓮が《大嵐》使ってたけど、これもあれと同じくらい迫力あるわね。

「自分のモンスターごと破壊するなんて……!」

 そう、《激流葬》はフィールド上のモンスターを全て破壊するカード。それは、自分のモンスターであっても。故に、津波の去った後には何も残らない……

「……何を勘違いしているのかしら?」

 ………否。

「そんな、どうして……!?」


 セイクリッド・オメガ
 ★4/1 ATK/2400


 そこには、星鎧の騎馬だけが依然として存在していた。

神星なる聖域の大防壁(コンシュテリア・シェイル)。《セイクリッド・オメガ》は、エクシーズ素材を1つ取り除くことで、自分フィールド上にいる"セイクリッド"を魔法と(トラップ)からエンドフェイズまで護る効果を持っているわ」

 これがセイクリッドの強みの1つ。
 "オメガ"がいる限り、相手の場にセットされたカードはほとんど意味をなさない。私のモンスターはその効果を受けないんだから。
 ……いや、いくらなんでも言い過ぎか。カウンター罠は後出しで防げないし、"オメガ"の効果にチェーンされても防げない。それでもまあ、ある程度の抑止力になってくれることに変わりはないけどね。

「あ、破壊された"アース"の効果は普通に有効よ。 デッキから"代行者"を加えなさい」
「……っ!? わ、わかりました、デッキから《創造の代行者ヴィーナス》を手札に加えます!」

 そして、相手の手が止まる。

「(このターンはもう動けない……。だったら、せめて……!)」

 次の手に迷っていたのだろうか、長考の末に彼女は1枚のカードを手に取った。

「手札から《強欲で謙虚な壺》を発動します!」
「……なぁ!?」
「デッキの上から3枚を相手に公開して、その内の1枚を手札に加えます!」

 アイシアの前に浮かび上がる3枚のカード。そのカードが、同時に表になった。

「なん……だと………!?」

 ……これは、酷い。
 それは、アイシアにとってはいい意味で、私にとっては悪い意味で。
 開示された三枚の未来(カード)は、全てが私に絶望を見せた。

 1枚目は【代行天使】の切り札とも言えるモンスター《マスター・ヒュペリオン》。墓地の"代行者"を除外することで手札から特殊召喚することができる、2700打点の最上級モンスター。
 強さの理由は、その効果にある。1ターンに1度、墓地の天使族を除外することで、相手フィールド上のカードを1枚破壊する。言うなれば、それは"天使族版《ダーク・アームド・ドラゴン》"。「相手を制圧したと思ったら逆に制圧されていたというか鬼なった」なんて笑えない事態が当たり前のように襲ってくる。

 2枚目。これも【天使族】のエースモンスターの一角《大天使クリスティア》。"ボチニヤミサンタイ"と双璧を成す禁呪"ボチテンシヨンタイ"を生み出した元凶。その呪詛の通り、墓地に天使が4体丁度ならば手札から特殊召喚できる。さらに、墓地の天使族を回収するおまけつきだ。
 問題なのはその効果。"このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚する事はできない。"出されたその時点から、戦略よりも先に対抗策を考えなければならなくなる。最悪の場合、デッキ次第では、召喚されたその時点で敗北が確定する。私のデッキなんかは特に。

 そして3枚目、《朱光の宣告者》。手札のこのカードと天使族を墓地に送ることで、効果モンスターの効果を無効にする。いわば"()()()()《天罰》"。発動された場所が手札だろうと墓地だろうと、それが効果モンスターならばこいつは容赦なく否定する。
 このカードが1枚見えた今、私は計3体の宣告者に怯えることを強いられる。もしこの選択で、《朱光の宣告者》が選ばれなかった場合、残りの2体…その内の片方は、ほぼ間違いなく手札に眠っているだろう。
 残り2体は天使族。先程《神秘の代行者アース》で加えられたカードもまた天使族。
 私の場にいる《セイクリッド・オメガ》でも、宣告者の裁きは逃れることが許されない。それは、効果の使用を封じられたと同義―――!

 しかして、アイシアは未来(カード)を決めた。

「……《大天使クリスティア》を手札に加えます!」

 未来は、現在(このターン)の延長線。たとえ望まなくとも、私のターンは訪れる。

「カードを1枚セットして、エンドフェイズ時に《TG ワーウルフ》の効果を発動。デッキから《TG ストライカー》を加えて、私のターンは終了です!」


―――― Turn.2 End Phase ――――

1st/Saya Amakawa
◇LP/4000 HAND/2
◇《セイクリッド・オメガ》ATK/2400
◇《セイクリッドの星痕》 CONTINUOUS
◇set card/mo-0,ma-1

2nd/Aisia Elysion
◇LP/4000 HAND/5
◇set card/mo-0,ma-1


 アニメとかだったら、ここで起死回生の一手でも引けるはず!

「私のターン、ドロー!」

 ……ですよねー。そんな都合よく《サイクロン》なんて引きませんよね。さて、どうしようか。
 相手の手札は5枚、内3枚は既に判明している。最悪の場合は、残り2枚の中に《朱光の宣告者》が存在する場合……でしょうね。
 改めて、手札を確認する。……あれ、これ終わったんじゃ?

「手札から《セイクリッド・レオニス》を召喚するわ」

 私の場に刻まれる、獅子座の紋章。現れたのは、蒼い爪とたてがみを持った百獣の王。

 セイクリッド・レオニス
 ☆3 ATK/1000

「続けて、《セイクリッド・シェラタン》を()()召喚!」

 続けざまに紋章が刻まれていく。牡羊座の紋章から、小さな戦士が飛び出した。

 セイクリッド・シェラタン
 ☆3 ATK/ 700

「……え、ええ!? 特殊召喚じゃないの!?」
「ん? ……ああ、"レオニス"の持つ効果。フィールド上にいる間、"セイクリッド"の召喚権を1回増やすのよ」

 1回と2回。差はたった1でも回数は倍になっている。以前は《二重召喚》なんて入れてたくらいだ、【セイクリッド】では必須と言い切ってもいい。

「そして《セイクリッド・シェラタン》の効果発動。ほとんどそっちの"アース"と同じ効果。《セイクリッド・ハワー》を手札に加えるわ。……さて、と」

 "シェラタン"の攻撃力が700、"レオニス"の攻撃力が1000。そして、"オメガ"の攻撃力は2400。
 総ダメージ……4100。これが全部通れば一撃なんだけど……。

「そう簡単に行くわけないわよね……バトルフェイズ!」

 私の従える星騎士達が、一斉に攻撃に構えをとった。

「《セイクリッド・オメガ》でダイレクトアタック!」

 第一撃、騎馬が天空へと駆け昇る。そして、対峙する彼女へと急降下した。

天駆ける星騎の邁進(コンシュテリア・ファウレン)!!」

 それは、降り注ぐ星の如く。それは、駆け抜ける光の如く。眩い光を放ちながら、彗星が少女を轢き飛ばした。

「きゃああああ!!」

 Aisia LP/4000-2400=1600

「続けて、《セイクリッド・レオニス》で………」

 そこまで言って、私は言葉を失った。

 そこに在ったのは、闇を従えし魔物。……否、もはやそれは、闇そのものであった。

  恐ろしくも荘厳な、"悲劇(Tragedy)"の具現。


「……《トラゴエディア》……!」


 トラゴエディア ☆10
 DEF/?→2400

「このカードのことも知ってるんだ……。じゃあ、説明はいらないね」
『……幻想(エリュシオン)の魔女よ、何故我を解き放った』
「その呼び方はやめて」

 ……ん?

「……私も、まさか貴方の力を借りることになるなんて、思ってなかったんだよ」
『……成る程。これはまた、厄介な相手を……』

 ……やばい。私、多分精霊見えてない。アイシアが見てて痛い。

『"セイクリッド"、未だ生存していたとは……』
「え、知ってるの?」
『ああ。かつて我を封印した、忌々しいまでに愚かな奴等だ……!』
「(ああ、そういえばそんな話だったっけ……)」

 ……アイシアが顔をそむけた。

『……まあいい。あの時の雪辱、ここで晴らさせてもらおう!』
「……ねえ、続けていい?」
「『あ、どうぞ」』

 ……とはいえ、今の私には2400の壁を越えられない。

「メインフェイズ2に入るわ」

 さて、とりあえずはランク3を呼び出すんだけど……。

「……あれ?」

 エクストラデッキを確認して、私は重大な事実に気がついた。

「(……ナンバーズが消えてる)」

 召喚しようとしていたモンスター《No.17 リバイス・ドラゴン》が、エクストラデッキから消えてしまっていた。
 それだけではない。ファンデッキキラーの筆頭《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》や、ランク5の火力担当《No.61 ヴォルカザウルス》までもが私のデッキから消失していた。
 ……恐らくは、世界の修正力(笑)とでもいったやつだろう。この世界でも"No.(ナンバーズ)"は物語のカギを握っているらしいわね。思わぬところで有益な情報が手に入……って、そうじゃないわよ!

「……さて、どっちを出すか」

 私のエクストラデッキに入ってるランク3エクシーズは残り3体。除外されているモンスターがいない以上、《虚空海竜リヴァイエール》は論外。とすると……。

「……よし、決めた。レベル3《セイクリッド・レオニス》と《セイクリッド・シェラタン》をオーバーレイ!」

 (われ)(きざ)みしは(せい)なる(つるぎ)(まよ)えし死者(ししゃ)への(すく)いの(ほむら)

 その()宿(やど)りし劫火(ごうか)(とも)に、(あだ)なす(すべ)てに断罪(だんざい)を!

    ☆3×☆3=★3

 エクシーズ召喚(しょうかん)()(はら)え、深紅(しんく)爆炎(ばくえん)


「《発条機雷ゼンマイン》、光臨!」

 …………。

 ………。

 ……。

「……あれ?」

 出てこない。

 Aisia LP/1600÷2=800

 相手の場で公開された、1枚のリバースカード。

「そのエクシーズモンスターの召喚時、リバースカード発動!」

 ……間違いない。あれは、名実ともに最強のカウンター(トラップ)―――!


「《神の宣告》……だと………!?」


 色を失った《発条機雷ゼンマイン》のカードが、音もなく砕け散った。

 召喚権は既に使った。このターン、私はもう動けない……!

「ターンエンド……!」


―――― Turn.3 End Phase ――――

1st/Saya Amakawa
◇LP/4000 HAND/1
◇《セイクリッド・オメガ》ATK/2400
◇《セイクリッドの星痕》 CONTINUOUS
◇set card/mo-0,ma-1

2nd/Aisia Elysion
◇LP/ 800 HAND/4
◇《トラゴエディア》DEF/2400
◇set card/mo-0,ma-0


    to be continued... 
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