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第六幕その三

 皆で食べてからです、少し時間を置いて。
 それからじっくりと準備体操をしました、それからでした。
 皆でアスレチックをします、皆ズボンなので軽やかに動きます。その中で特に速く動く人はといいますと。
 つぎはぎ娘、それにガラスの猫とエリカです。カルロスは彼等の後ろに必死につきながら尋ねたのでした。
「そこまで速く動けるのは」
「そう、綿の身体だからよ」
「猫を甘く見ないことよ」
「そういうことよ」
 こうそれぞれカルロスに答えます。
「綿が入っていて関節もないからね」
「猫はもう何処でも行けるのよ」
「身体も小さいしね」
「そんなのだったらね」
 それこそと言うカルロスでした。
「僕が敵う筈がないよ」
「いやいや、カルロスもよ」 
 ガラスの猫がカルロスに言います。
「かなりじゃない」
「一番を目指してるのに」
「それは無理よ」
「君達がいるからだね」
「走るだけなら馬に負けるけれど」
 木挽の馬にです。
「こうした障害物系ならね」
「猫のものだっていうのね」
「そうよ」
 こうカルロスに言うのでした。
「見た通りね」
「ううん、猫は確かに色々な場所を行けるからね」
「そう、お髭さえあればね」
 エリカは進みながらです、自分のお髭を誇らしげに見せています。
「猫は何処にも行けるのよ」
「お髭でその場所を察知してだね」
「そう、お髭が大丈夫って感じたところはよ」
「何処でも行けるんだったね」
「しかもこの身のこなしよ」
 実に軽やかに進んでいます、エリカもガラスの猫も。
「それこそよ」
「何処にでもだね」
「行けるのよ」
「ううん、つぎはぎ娘と君達には」
 馬は関節が動かずしかも馬の身体なので進むのに苦労しています、何とかジョージや神宝達についてきている感じです。
「僕も負けるよ」
「カルロスは五人の中で一番運動神経いいわよね」 
 つぎはぎ娘が聞いてきました。
「そうよね」
「うん、そうだよ」
「けれどあたしの身体は綿の身体でね」
「関節もないから」
「軽くて柔らかいから」
 これ以上はないまでにです。
「こうしてどんどん進めるのよ」
「そうなんだね」
「しかも疲れないから」
「そのことも大きいね」
「悪いけれど一番は貰うわよ」
「あら、一番は私よ」
「私のものよ」
 ガラスの猫とエリカも言ってきます。
「つぎはぎ娘には負けないわよ」
「このお髭にかけて一番になるわ」
「そうはいかないから」
 こう言ってです、つぎはぎ娘は。
 自分の身体を鞠みたいにです、ぽんぽんと飛ばして。
 そのうえで進んでいきます、すると。
 それを見たガラスの猫もです、全力で駆けはじめました。そのガラスの猫の横にいたエリカもなのでした。 
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