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第六幕その四
全力で進みます、それを見てです。
カルロスは仰天してです、こう言いました。
「あれだけとんでもない動きや速さだと」
「ちょっと、だよね」
王子がカルロスの横に来て言ってきました。
「いや、ちょっと以上にだね」
「はい、追いつけないです」
「そうだよね」
「人間の身体では」
「アスレチックは本来人間の身体に合わせて作られてるけれどね」
「彼女達はね」
「身体が違いますから」
その構造がです。
「僕達よりも動きがよくて」
「それだけにね」
「僕達より速く動けるんですね」
「ああしてね」
「一番目指してたんですけれど」
「一番になるだけが楽しみじゃないよ」
微笑んで、です。王子はカルロスに言いました。
「それだけじゃね」
「そうですか」
「そう、競技自体をすることをね」
「楽しむこともですか」
「楽しみ方だよ」
「一番になるだけじゃなくて」
「スポーツは勝つだけじゃないね」
こうも言った王子でした。
「そうだね」
「はい、言われてみれば」
「スポーツマンシップを守って」
このことは絶対です。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「怪我をしないようにしてね」
このことについても言う王子でした。
「身体を動かして進んでいくことを楽しむ」
「それもいいんですね」
「王様がそうなんだ」
他ならぬリンキティンク王がというのです。
「あの人は一番には興味がなくて」
「楽しむこと自体がですね」
「そう、それ自体がね」
まさにというのです。
「楽しむ人だから」
「そうしたこともですか」
「楽しみ方だよ」
まさにというのです。
「本当にね」
「そうなんですね、じゃあ僕も」
「一番を取ることもいいけれど」
それと共にというのです。
「楽しもうね」
「わかりました」
「そうした風にね」
こう言ってです、王子自身もです。
にこにことして進んでいます、一つ一つ進みながら。
そうしてです、皆ででした。
アスレチックを楽しみました、一番はといいますと。
「あたしだったわね」
「思いきり跳ねたから」
「どうにもならなかったわ」
ガラスの猫とエリカが今度は喜びで跳ねているつぎはぎ娘に言います。
「本当にボールみたいに動いて」
「それも自分からね」
「そうして動かれるとよ」
「辛かったわ」
「こうしたことが出来るのがね」
つぎはぎ娘の言葉です。
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