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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第七十七話 江田島その八

「今年も飲むぜ」
「飲み過ぎには注意だね」
「去年は一日一升空けてたな」
「一升?」
「いや、二升だったか」
「うん、君それだけ飲んでたよ」
 僕は彼に突っ込みを入れた。
「確かにね」
「そうだったな、相当飲んでたからな」
「美味しいって言ってね」
「お風呂入って飲んでな」
「またお風呂に入ってたね」
「お酒抜いてな」
 そしてと言う彼だった。
「朝はすっきりしてな」
「また飲んでたよね、君は」
「じゃあ今年もな」
「そうして飲むんだね」
「とことんまで飲むさ」
 本当に楽しみの顔で言う彼だった。
「じゃあまずは部活だな」
「これからね」
「走って練習してな」
「汗かこうね」
「まずはな」
 こうした話をしてだった、そのうえで。
 僕達は荷物を置いてジャージに着替えてだ、それから。
 外に出てだ、早速だった。
 準備体操の後でランニングに入った、コースは江田島自体だ。
 海が見えるけれど山の中の道を走る、このことについて。
 一年生達がだ、こんなことを話していた。
「何かな」
「ああ、不思議だよな」
「海すぐそこでな」
「山の中走るとかな」
「しかもすぐ向こうに港見えるな」
「本土の方もな」
「ああ、ここはね」
 僕はその一年生達に話した。
「こうした場所なんだよ」
「海の中にあってもですか」
「山を走ってですか」
「それですぐそこに本土も見える」
「そうした場所なんですね」
「他の場所にはないね」
 まさにとだ、僕は彼等に話した。
「そうした景色も楽しめるんだ」
「こうしてですか」
「今みたいに」
「面白い場所だよ」
 僕は微笑んで話した。
「この江田島は」
「ですね、こうして海をすぐそこに見ながら山の中走ってますから」
「こんな場所そうそうないですよ」
「関西にもです」
「ちょっとないですね」
「島でこうした場所っていうのは」
「ちょっとないです」
 一年の子達も言う。
「そのせいか空気奇麗ですし」
「潮風の匂いも山の草木の匂いもして」
「匂いだけで不思議な場所です」
「他にはないですね」
「うん、確かに不思議な場所だよ」 
 一年の子達の言葉にだ、僕も頷いた。
「ここはね」
「これが江田島なんですね」
「海軍の島なんですね」
「海軍が兵学校を置くまでは」
 その時までの江田島についてもだ、僕は言及した。走っていて僕自身その潮風と山の香りのう二つを感じて心地よかった。
「瀬戸内の他の島と同じだったんだろうね」
「こうして海のすぐ傍に山があっても」
「そうだったんですね」
「それが海軍が来てですか」
「変わったんですね」
「そうだと思うよ、この島は」
 僕はさらに言った。 
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