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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第七十六話 出発その六

「飲むとなったらね」
「それこそなの」
「そんなこともするんだ」
「それで絡んだりとかは」
「するから、もう鯨飲なんだ」
 文字通りだった、去年僕が見たものは。
「お酒の池があっても飲み干しそうだよ」
「酒池?」
「若しそれが本当にあってもね」
「女子軽音楽部だけで」
「それが出来そうな位に飲むよ、まあ他の部活も凄いけれどね」
「男女共になのね」
「無茶苦茶に飲むから」
 僕はこう美沙さんに話した。
「勿論バスケ部もだし」
「だから余計になのね」
「二日酔いは朝風呂で解消出来るけど」
 実際合宿中はかなり入る人が多い。
「急性アルコール中毒とか」
「ううん、そこまで飲めるかしら」
「雰囲気でいくこともあるから」
「注意ね」
「さもないと大変だから」
 僕はまた言った。
「急性アルコール中毒になったら」
「大体わかったわ、とにかく飲んでもなのね」
「飲み過ぎないことよ」
「それじゃあね」
 そうした話をしながらだった、僕達はバスケ部の集合地まで行った。そこではもう結構な数の部員達が集まっている。皆それぞれ鞄だのリュックだのを手にしたり背負っている。
 その皆がだ、僕と美沙さんに言って来た。
「二人で来たのかよ」
「うん、八条荘だからね」
 同じ場所に住んでいるからとだ、僕は答えた。
「それでなんだ」
「そこで色々妄想させてくれないんだな」
「そんなおかしなことはね」
 僕は笑って言う同じ二年生の仲間に真剣な顔で返した。
「ないよ」
「そうなんだな」
「うん、別にね」
「面白くないな」
「というかそうした噂をされるのはね」
 僕はむっとした顔になって彼に返した。
「誰でも好きじゃないよね」
「それはそうだな」
「というか確かに美沙さんとは同じ場所に住んでて」
 僕は彼にさらに話した。
「仲もいいけれど」
「そうしたことはないから」
「というか同じ場所に住んでたらそういう関係になるんだったら」
「御前の場合はな」
「二十四人だよ」
 八条荘の入居者の娘達はだ、僕は管理人だ。
「二十四人全員となんて」
「そうしたゲームだよな、そのまま」
「だからね」
「ないか」
「そうだよ」
「それもそうか、いや」
 ここで彼は納得しかけたけれどすぐにこんなことを言い返して来た。
「御前の親父さんだとな」
「親父?」
「ああ、御前の親父さんだと普通だろ」
「親父は親父だよ」
 僕は今度はむっとした顔で返した。
「僕は僕だよ」
「そうか」
「あの親父はまた特別だから」
 そうしたことにかけてはだ。 
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