八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

「子供の頃からよく食べてるし」
「鮭とか烏賊とか」
「雲丹、それにほたて貝ね」
「そっちもいいね」
「ええ、けれど瀬戸内もいいじゃない」
「牡蠣があるから」
「新鮮な牡蠣が幾らでも食べられるって」
　思うだけで涎が出る、美沙さんの言葉はそうした感じだった。
「最高でしょ」
「じゃあ夜はね」
「楽しみにしてるわ、牡蠣とお刺身で飲むわ」
「お酒も凄く出るからね」
　広島の地酒がとだ、僕は美沙さんにこのことも話した。
「海でバーベキューもするし」
「そこでも牡蠣とか焼くの」
「あとお魚もね」　
　お肉以外にもだ。
「焼くから」
「海で焼くのもいいわね」
「実際にかなり美味しいから」
　それでとだ、僕は話した。
「期待していてね」
「それじゃあね」
「ただね」
「ただ？」
「飲み過ぎには注意してね」
「くれぐれもなのね」
「この合宿の時はね」
　それこそなのだ。
「皆飲むから」
「あたしもっていうのね」
「美沙さんもお酒好きだしね」
「大好きよ」
　これが美沙さんの返事だった。
「自分で言うのも何だけれどね」
「それならね」
「うん、余計によね」
「お酒はね」
　それこそとだ、僕は美沙さんに話した。
「幾らでも飲めるけれど」
「飲み過ぎにはね」
「注意してね、特にね」
「特にって？」
「軽音楽部の娘達がね」
「ああ、あそこね」
「今回同じ時期に合宿だけれど」　
　僕はその軽音楽部、女子の方のことを思い出しながら美沙さんに話した。うちの学園の軽音楽部は男女で分かれているのだ。
「去年もそうだったけれど」
「飲むのね」
「壮絶な位にね」
「そんなになの」
「ウワバミみたいになんだ」
「ウワバミって」
「本当にそうなんだ」　
　冗談抜きにとだ、僕は美沙さんに話した。
「一升瓶ラッパ飲みとかする娘いるから」
「一升瓶をって」
「その現場見たから、しかもね」　
　僕はさらに話した。
「女の子だけになったら浴衣で胡座かいてそれするらしいから」
「それおっさんじゃない」
「まあそうだね」　
　僕も否定しなかった。
「そうした飲み方だよね」
「はしたないわね」
「普段はそうじゃない娘だけれど」　
　それでもなのだ、その軽音楽部の娘は。