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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第15話 勉強会

「母さん」

「なに?どうしたの?」

帰宅後料理をしている母さんの元へ駆け寄る。
匂いからして多分今日の夕飯は肉じゃがだ。

「俺、明日からテスト終わるまで帰らないから」

「え?何よ急に....あ!わかった!もしかしてかのj--「違うから断じて違うから!」

「ふふっ。そうよね、大地に彼女なんて...ふふっ」

母さんは悟ったようにクスクスと笑っている。その顔を殴りたいと思った

「まぁ..いないけど、それ言われると傷つくよな」

「でも..彼女の1人や2人いてもいいんじゃない?せっかく女子高に通ってるわけだし」

「んなこと言われてもねぇ...つか、彼女2人いたら大問題だろ〜が」

俺は頭をポリポリと掻きながらふと、μ‘sの顔を思い浮かべる。

彼女か.....
あいつらみんな可愛いから彼氏いてもおかしくない。もしかするといるのかもしれないな。明日聞いてみようかな。

「って!!話ズレたぞ!穂乃果の家で勉強会してくるから帰らないからよろしく......1人にさせちゃうけど....ごめんな」

「いいのよそんなこと。でもちゃんと穂乃果ちゃんと楽しくイチャイチャしてくるのよ?」

「だから違うって!海未もことりもいるから!」


要件を伝えてそそくさ部屋に戻ろうとする






「そっか.....穂乃果ちゃんは昔から勉強苦手だったからね.....」



ぽつりと母さんが呟いたことを聞き逃さなかった

「は??母さん、昔からってどういうことだ?」

「え?なんのこと?」

母さんは何事もなかったように料理を再開する。
聞き間違いか?いや、そんなことはないと思うけど....
触れて欲しくないみたいなのでスルーしておいた。







(大地......記憶ってのはね、思い出して良いのと思い出していけないものがあるのよ........)











〜☆〜




「つーかいいのかよ....」

「何がですか?」

授業が終わって俺達は一旦自宅に戻り、昨日まとめておいた荷物を手にして穂乃果の家に集まった。
女の子の家にいる遊びに行く。
これはまだいい。だがよ.....女の子の家に泊まりに行くってどうなの?
合法であれば許されるの?曲がりなりにも俺は男ですよ?

もちろん欲情する気はないけど.......だからといって...ねぇ?

「穂乃果の御両親は.....許可したのか?」

「大地.......」

何故かジト目で俺を見る海未

「あなた...穂乃果に何かするつもりなのですか?」

「なっ!?んなわけねぇだろ!何故俺が穂乃果に欲情しなきゃならねぇんだよ」

やめてよそんな目で見られたら悲しいじゃないか

「目的は勉強だろ?それ以外なにあるってんだよ」

俺はスタスタと穂むらののれんをくぐる

「あ!大地、待ってください」

俺の後を追いかける海未は「あ!ことり、遅いですよ」とやってきたことりに声をかける

「ごめんね〜何の服を着ようか悩んでて〜」

「そうなんですか〜。私も迷ったんですよね、大地に見てもらうので、ちょっと頑張ってみました」

「うんうん!似合うよ海未ちゃん」

「あ、ありがとうございます///」

「お〜い、何してんだ〜。早くこ〜い」

服の話できゃいきゃい盛り上がってるところ悪いけど時間がないので2人を催促して中に入らせる





「すいませ〜ん、笹倉ですが誰かいませんか?」

しばらくして「は〜い」と奥から声がしてやってきたのは穂乃果母ではなく、穂乃果によく似た少女だった。
メガネをつけて歩くその姿を見て、「あ、こいつ頭いいかも」と思った。
見るからにして中学生......穂乃果の妹さん?


「え?」

穂乃果の妹さんは俺を見てきょとんとした顔をした。

「あ、こんにちはら穂乃果のクラスメートの笹倉大地です。後ろの2人は...言わなくても大丈夫かな?」

「こんにちは〜雪穂ちゃん」

「お久しぶりです雪穂ちゃん」

「ことり先輩、海未先輩お久しぶりです.........ちょっと待っててくださいね」

挨拶した後若干の間が空いて少女.....雪穂ちゃんは奥へ消えていった

「お姉ちゃ〜ん!!海未先輩とことり先輩と彼氏さん来たよ〜!!」

「ブッ!!!」

「えぇっ!!!!」

なんでぇ!?なんでそうなったの!!彼女の中で俺はそういう風にインプットされたの!?

「わかった〜!!てか雪穂〜、大くんは彼氏さんじゃないよ〜」

よかった...穂乃果は否定してくれた
ここで肯定したら後ろの黒い2人になにされるか....

ほら....なんか海未は麻縄取り出してるし...それ常備してるの?
ことりはことりで....なにかブツブツ言ってるけど.......
病気なのかな?

「3人とも、お姉ちゃんの部屋にどうぞ。えと、笹倉さん。ダメな姉ですけど、これからも仲良くしてやってください。」

だから丁寧に頭下げて言わなくてもいいから。
そりゃ穂乃果の彼氏....嫌ってわけじゃないけどさ、物事には順序ってものがあるわけですよ

「俺は...彼氏じゃないよ?間違えないでね」

「そ、そうですか......」

明らかに納得していないようだった。

「ほら、行こうぜ海未、ことり」

現実に連れ戻して穂乃果の部屋に向かう。








「お邪魔しや〜す」

「「お邪魔しま〜す」」

穂乃果の部屋にぞろぞろと入り、荷物を隅に寄せて一息つく

「みんな待ってたよ〜。よし!さっそく--「勉強です」

「酷いよ海未ちゃん!穂乃果まだ何も言ってないよ」

「穂乃果のことですからお菓子を食べようとか言うつもりだったのでしょう」

「それは....そうだけど...」

「むしゃむしゃ....おお!このポテチうめぇ。ほれ、穂乃果口開けろ」

そんな2人を放置して俺は買ってきたポテチを食う。ガーリックバターレモンとか言う謎の味。恐る恐るではあったが普通にうまかった

「え?あ、あ〜ん...///」

口を開けて待機する穂乃果の口の中にポテチを放り込む。

「ほんとだ〜おいしい〜」

「ほ〜の〜か〜」

「穂乃果ちゃんいいな〜」

穂乃果へのあ〜んが羨ましかったのか海未とことりは穂乃果に詰め寄る。

「お前ら....あ〜んごときで....てか、海未勉強は?」

「はっ!そうでした!」










「というわけでここでさっき説明した公式を使うんだよ。わかったかバカ穂乃果」

「うう〜..わかったけどバカバカ言わないでよ〜」

あの後もしっかり2人にあ〜んしてやった。いちいち顔真っ赤にするなよ〜やっててこっちも恥ずかしいじゃないか

で、現在7時前。穂乃果の家に来てから3時間ちょっと勉強に専念した。というよりは専念させた。穂乃果マンガ読み始めたり勉強する気なかったからな....だから勉強しなかったら油性マジックで顔に落書きするという罰を準備して勉強させた。

「穂乃果、大地の説明わかりやすいですよ。しっかり聞いて勉強すれば赤点なんて絶対無くなりますよ」

「そうだよ穂乃果ちゃん。あとちょっと!がんばれ〜」

「うへぇ....難しいよ〜。ね〜大くん〜ここは〜?」

「ここは.......準備された式を展開して、後は----」



「なるほど〜さすが大くん!穂乃果の頭に優しい解説ありがとう♪」

「はいはい....」



「穂乃果〜ごはんよ〜!みんなも下りてきてらっしゃ〜い」

一段落したところに穂乃果母が声をかける。
「わ〜い!みんな行こ」と、勉強から開放された穂乃果は一目散に部屋を出ていった。

置いていかれた俺達はため息をついて教科書を閉じる。

「ありがとうございます大地。さすがです、とてもわかりやすかったです」

「大地やっぱり頭いいね〜私なんて何年勉強やってもきっと敵わないよ〜」

「んなことないって。海未もことりも余計なこと覚えすぎなんだよ。でも2人とも頭の回転速いから大丈夫だと思うよ」

「やっぱり大地は進学ですか?」

海未は不安げに質問してくる。

「親には行けって言われてるけど.....俺は行きたくないかな〜」

「そうなの?大地くんは絶対行きたいって言うかと思ってた」

「そりゃ行ければ将来の道がいっぱい出来るよ?でもな〜そこ行って何かしたいわけでもないんだよね。まだ決めかねないかな」

「そうですか.....」

「ことりちゃん〜海未ちゃん〜大くん〜早く〜!」

下から穂乃果が叫んでいるので3人は重い腰を上げて食卓へ向かった。







「うお〜美味そうな匂いだ〜」

階段を降りてすぐにスパイシーな匂いが漂っていた。今晩はカレーだ!
ぐぅぅぅぅっ

腹が鳴った。そういえば最近カレー食べてないな〜
と思いながら席に着く。

と、

「........」

俺の後ろに誰か立っていることを感じた。

「君が........笹倉大地だな?」

声が低いことから男性だということだけはわかった。恐らく穂乃果父?
恐る恐る振り返る
腕組みをして仁王立ち。さらには険しい表情。うん、明らかに歓迎されてない感じだな。

「はい....初めまして。穂乃果...穂乃果さんのクラスメートの笹倉大地と言います。」

「.......」

やっばい!気まずい!気まず過ぎる!なんとかして場を和ませたいけど、頼れる海未やことりは雪穂ちゃんと会話してて使えない。穂乃果は皿を並べていて忙しい。となると.....

「穂乃果の...彼氏か?」

「ち、違います!俺はただのクラスメートです!そりゃ穂乃果さんは可愛いですよ。明るくて真っ直ぐな子で....俺には出来ない事をやろうとする、いい子です。あまり考えずに行動してみんなに迷惑かけて....でも一緒にいて飽きないです。俺なんかが彼氏とか勿体無いですよ。穂乃果さんにはもっと相応しい相手を見つけることができますよ」

気がつけばめちゃくちゃ恥ずかしいことを口走った気がする。あたりは静まり返り、ことりと海未は微妙な顔をして、雪穂ちゃんは「やっぱり」と呟いてうんうんと頷いている。カレーを運んできた穂乃果母ら「あらま〜あらま〜」と微笑み、穂乃果父は無表情でこっちを見ている。当の本人は...

「......//////」

口をパクパクさせている。

穂乃果の顔を見た途端俺も恥ずかしくなり顔を背けてしまった。

やっべぇ..なにこの状況。

「ふっ.....」

穂乃果父が...笑った気がした





「相変わらずだな。笹倉くん、そんなに畏まらなくていい。これからもうちの穂乃果をよろしく頼む。」


「え?...あ、はい!これからもよろしくお願いします」

まさか、穂乃果父から頭を下げてくるとは考えられなかった。思わず後に続いて頭を下げる。

「さぁ!夕飯よ。みんな座って座って」




「「「「「いただきますっ!」」」」」



...............?


相変わらず.....?






〜☆〜






「ふぅ〜...美味かった」

こんなに大人数で談笑しながらの夕飯は初めてで、とても楽しかった

学校の出来事や勉強のこと、穂乃果たちの昔の話とか聞けただけで勉強会に参加してよかったと思った。


「ごちそうさまでした。とても美味かったです」

「お粗末様です。食器はそのままで大丈夫よ」

「いえ、これくらいはやります。というかやらせてください」

「ふふっ、そう。ならお願いしようかしら」

「雪穂〜お茶〜」

「もうお姉ちゃんも笹倉さん見習ってよね。...はい」

「ありがと〜」

穂乃果はリビングのソファに寝転んだ。

「穂乃果、食べてすぐ横になると牛になりますよ」

「穂乃果ちゃ〜ん、勉強するんでしょ〜起きて〜」

ゴロゴロする穂乃果に2人は呆れる。
テレビをつけてくだらないお笑い番組をみてわはははと笑いだしている。

「おらバカ穂乃果〜勉強やれよ〜」

「いやぁ〜もう勉強したくないよ〜」

「穂乃果ちゃんラブライブ出場するんでしょ〜」

「それでも〜勉強したくないよ〜」

ヤダヤダと駄々こねる穂乃果をことりと海未が連行し、俺は穂乃果母と一緒に食器洗いを始めた






「手伝いますよ。」

食器洗いをしている穂乃果母に声をかけて洗剤で磨かれた食器を水ですすいでいく。

「あらま、もしかしてお婿さん修行?」

「違いますよ。ただお泊りさせていただくってわけにもいかないですので」

「そんなこと気にしなくていいのよ〜海未ちゃんもことりちゃんもこうしていつも泊まりに来るから。」

「ですが...まだ付き合いの浅い俺にとってこれくらいは当たり前ですよ」

「そう、じゃあそっちお願いするわね」

「了解っす」




手早く食器洗いをする俺を見て穂乃果母は目を丸くする

「大地くん手馴れているのね....家でも家事とかしているの?」

「そうですね...家には母と俺しかいないので、負担かけさせたくないと思ってやってます」

「ふふ..そうなのね、意外と親孝行な方ね」

「まぁ.....そうですね。あ、そっちもやっちゃいますよ」

「ありがとう。.....ところで美紗子さ.......お母さんは元気?」

「え?まぁ...ピンピンはしてますよ。といっても大人しい親なんですけどね」

一瞬母さんの名前が聞こえたのは気のせいだろうか.....

「穂乃果が.....スクールアイドルやっているそうね」

急な話題転換に言葉を失う。先ほどの陽気な声と違って真面目な話を繰り広げるような声色になっていた

「.....はい。廃校を止めるために結成しました。穂乃果が中心になって現在は7人で活動しています」

「そう.....きっと穂乃果の事だからすぐに辞めるだろうと思っていたけど、今回は本気みたいだね」

「はい......」

「大地くんは....マネージャーだったわよね?穂乃果から聞いているわ」

「そうです。俺は彼女たちが大好きです、一生懸命でひた向きに頑張る彼女たちが。穂乃果がアイドルを始めていなかったら多分こんな有意義な高校生活は送れていないですよ。だから感謝しています」

「ありがとうね。穂乃果のことよろしく頼むわね。未来のお婿さん♪」

「だから違いますって」

この人はそこまで俺を婿にしたいのかよ...てか、穂乃果の意思は聞かないのですか?











「あ、そうそう。大地くん大地くん」

「なんでしょうか」

食器洗いが終わり、穂乃果の様子を見に行こうと階段をのぼりかけたところで穂乃果母に声をかけられた

「ちょっとお風呂のボディソープが切れちゃってて、洗面所の下に詰め替え用のがあるから詰め替えてもらえる?」

「お安い御用ですよ。やっておきます」




風呂場は何故か電気がついていた。この時なぜ俺はノックという常識的なことを忘れていたのだろうか
この時の俺を一発殴りたかった


ガチャッ


「...............え?」




「...................あれ?」


そこにいたのは青みのかかったロングヘアが特徴の園田海未がいた。
正確には”下着姿”の園田海未がいた。




「な...........な.......///」


「ご、ごめん!いるなんて思わなくて...だから...だから!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「だから誤解だーーーーーーー!!!!」



一週間の間に2回もビンタされるとは思わなかった
てか、穂乃果に勉強教えているんじゃなかったのか?













「すいませんでした.....」

結局穂乃果の部屋に連れていかれ、パジャマ姿の海未と制服姿の穂乃果とことりに説教をされていた。
でも不可抗力とはいえ....いいもの見れたな〜

「大地.....反省しているのですか?」

「え?はい!反省してますよ」

「じゃあなんでいいもの見れたな〜とか思ってるのかな?大地くぅん♪」

珍しくことりの顔は笑っていなかった.....
やばい、ガチギレしている

「だ、だって....海未は穂乃果と一緒にいるもんだと思って......」

「お風呂に入っちゃダメだと言いたいのですか?」

「そうは言ってねぇ!待て!それ以上は来ないで!頼む!やめてー!」


後ろで穂乃果が手を縛っているので逃げることができず、海未とことりに油性マジックで落書きされてしまった....
本当は俺が穂乃果に使うつもりだったのに。
持ってきて失敗だった



















〜☆〜


あれからも毎日しっかり勉強をやった。穂むらの手伝いをしたり雪穂ちゃんに勉強教えたりと忙しかったりしたけど楽しい4日間だった。


そして、テストが行われた。

俺としてはかなり簡単でテスト中に寝てしまうほど時間が余ってしまった。前の学校だとかなりギリギリだったのにね。








テスト返却日




穂乃果と凛、矢澤先輩以外は全員そろって部室にいた。

「大地....テストどうでした?」

「おっと?そりゃ俺のことをバカにしてるのか?」

「そんなことはありませんが...」

「しょうがねぇな、自慢じゃないが...ほれ、俺のテストだ」

バッグから返却されたテストを長机に置く。

「大地先輩すごい....全教科100点です」

花陽は自分の事のように喜んでいた。

「あなたは......人は見かけによらずとはこの事なんですね」

「海未....俺は見た目からして秀才だぞ?なめんな」

「ナニソレイミワカンナイ...先輩は変態なだけでしょ?海未先輩の下着姿見たくらいだし」

「まて!真姫、どうしてそのことを知っているんだ」

「あ、それは私が教えました♪」

元凶はことりだった.....あとでご褒美与えなくてはな(勿論罰と言う名の)

「で、真姫はどうだったの?」

「....満点とれませんでした」

俺のテストを見せて、俯く

全部90点台ではあるがケアレスミスが多いようだ

「勿体ねぇな..医学部目指してるなら細かいところキチンとしないとダメなんじゃないか?」

「こ、今回はたまたまよ!次は絶対しないわ!」



「やっぱり2人の次元は違いますね」

「ほんとですね」

海未と花陽はブツブツと言っているが残念ながら聞こえてます。


ガチャッ




ドアと共に一斉に振り向く。

「やったよ!凛赤点じゃなかったにゃー!!!」

「にっこにっこにー♪赤点回避なんて余裕よ〜」


凛はピースサインでテストを見せびらかし、矢澤先輩は例のネタをしながらテストを持ってきた。
ほんと寒くなるからやめてほしいな....

そして.......


「.......」

「穂乃果...?」

「穂乃果ちゃん...」

無言の穂乃果に海未とことりが心配して駆け寄る

まさか.....赤点だったのか?

ごくりと息を呑んで穂乃果から結果を聞く

「どうだったんだ?穂乃果」

「.....どうしよう....大くん、海未ちゃん、ことりちゃん」

穂乃果は手をプルプルさせてテストを広げる




点数は...............









「.......どうしよう........満点.....とっちゃった」








堂々の3桁だった









「「「「「「極端過ぎっ!!!!!!」」」」」」









〜☆〜





赤点全員回避!ということで、報告しに行くために理事長室前にやってきた。あとはこのままラブライブ出場に向けてがんばるのみ!!

大くんにも頭ナデナデしてもらったし元気100倍!!


コンコン



あれ?返事がないよ

「理事長いないんじゃねぇの?」

大くんは不審そうに再度ノックをする

コンコン





「そんな!説明してください!!」

突如室内から聞こえたのは理事長の声ではなく、生徒会長の悲痛な声だった。なにがあったんだろう..

穂乃果は恐る恐るドアを少し開けて室内を確認した


「ごめんなさい。でも、これはもう決定事項なの












音乃木坂学院は来年度より生徒募集をやめ、廃校とします」




え?嘘だよね?なにかの聞き間違いだよね?
だって廃校を止めるために私達はこれまで頑張ってきたんだよ?
これが....その結果なの?

穂乃果は思わず理事長室に入ってしまった

「あ、こら穂乃果!」

大くんの制止する声をろくに聞かず理事長を問い詰める

「今の話!本当ですか!?」

「ちょっと!あなたたち!何を勝手に--「今の話本当ですか!?」

「高坂さん!」

生徒会長にも止められるけどそれどころではない。
だって廃校になっちゃうんだよ!嫌だよそんなの!
みんなもそうでしょ?海未ちゃん、ことりちゃん、花陽ちゃん、凛ちゃん、真姫ちゃん、にこ先輩、大くん.....みんな...嫌だよね?

「本当よ...」

理事長は簡潔に、そしてきっぱりと言い放った

「お母さん、そんな話全然聞いてないよ!!

ことりちゃんも思わず声を荒らげて理事長室に入る。

「お願いします!もう少しだけ待ってください!あと一週間、いやあと2日でなんとかしますから!」

「穂乃果!!」

大くんがいきなり声を荒らげて名前を呼ばれる思わずビクッとなってしまった。

声の持ち主の顔は至って冷静だった。
大くんはゆっくり理事長室に入る。

「大地くん.....」

何故か生徒会長は大くんを見ると同時に声のトーンが上がった

「こんにちは、絵里先輩、理事長も....こんにちは」

「こんにちは」

「まず1つ、確認してもいいですか?」

「どうぞ...」

大くんは私の前にやってきて、理事長と正面から向き合って話始める

「その廃校についてなんですが、もう...猶予が無いまま確定したのですか?」

「猶予はありますよ。」

真剣な眼差しを見た理事長はにこりと微笑んでそう返答した。

「廃校はオープンキャンパスの結果が悪かったらという話よ」

「オープンキャンパス...というのは今月末に控えたアレですか?」

今日は7月2日....夏休み前に行われる中学生に音乃木坂学院の説明する行事があるのだ。

「見学に来た中学生にアンケートをとって、結果が悪かったら廃校にする。そう絢瀬さんに言っていたの」

「そうなんだ.....」

穂乃果は思わずほっと胸を撫で下ろした。

「安心するのはまだ早いわよ」

生徒会長が私を見てきっぱり言う。

「オープンキャンパスは3週間後の日曜日、そこで本決まりってことよ」

「そ、そんな〜どうしよう」

「なぁ穂乃果」

「なに?大くん」

「どうするもなにも....決まってるだろ?俺達のやることは」

大くんは真剣な顔、だけどそこには『お前たちにはアイドルという素晴らしいモノがあるじゃないか』と言っているようなそんな表情が含まれていた

「そうだね......理事長、私達アイドル研究部はオープンキャンパスの時にライブをしたいと思います。いいですか?」

「ふふっ....良いわよ」

「やった〜!」

「穂乃果!じゃあそれに向けて練習ですね!」

「理事長なんで!なら私達生徒会も独立して活動します。よろしいですね」

絵里先輩のゴリ押しに理事長は苦笑いしながら「止めても無駄のようね」と言って許可をだした。


「待ってください。絵里先輩」

退出しようとした絵里先輩に大くんは声をかける

「な、なにかしら」

「理事長も少しいいですか?」

理事長も話を振られると思っていなかったのだろう。少し驚いた顔をして返事をする

「俺が生徒会の補助員として彼女達の手伝いをしてもいいですか?」



「「「「「えっ????」」」」」
この場にいる大くん以外の5人は驚きの発言に対して目を丸くしてしまった。大くんは一体何を考えているんだろ

「それは構わないけど、どうしてかしら」

理事長の質問に答えず、今度は絵里先輩の方を見て話す

「絵里先輩、お願いがあります」

「な、なに?」



「あなたの実力を信じて頼みます。3週間の間、μ'sのコーチとして、ご指導お願いしたいです」

「「「「「ええええっ!?」」」」」

え?どうして?どうして絵里先輩が?

ことりも驚いていた。海未ちゃんは驚かず、嬉しそうな顔をしている

「ど、どうして私がμ'sのコーチをしなきゃいけないのよ。大体、生徒会の方はどうするつもりなの?」

「だからこそ、俺が補助員になったんですよ。勿論、絵里先輩がコーチをしてくれるのであれば...ですが」


話についていけず、穂乃果は話を止める

「待って大くん?どうして絵里先輩が?」

「あぁ...そうか、穂乃果とことりは知らないんだったな。彼女....絵里先輩は昔バレエやってたんだよ」

「へぇ〜、そうなんだ.....でもなんでそれを大くんは知ってるの?」
そこが疑問だった。何故大くんはそんな過去を知っているのか
すこしだけ心がモヤモヤした

「わけありでね....あ、この事は海未も知ってるから」

どうしてそこに海未ちゃんが出てくるの?ますます訳がわからないよ〜

「でも...いいの?私がコーチなんて」

「大丈夫です。絵里先輩の気持ちは察しているつもりです。だからこそ、知って欲しいんです、μ'sのみんなと関わって欲しいんです。きっと....この前の答えが見つかりますから.....」

大くんは優しい顔でそう告げる。その顔は穂乃果にすら見せたことのない柔らかい感じの笑顔だった















私の知らないところで大くんと絵里先輩は親密な関係になっている
そんな感じがした








「....わかったわ。μ‘sのコーチ、引き受けます。μ‘sの行動は理解できないけど、人気があるのは確かな様だし。引き受けましょう」

絵里先輩は海未ちゃんを見て引き受けると告げた。
海未ちゃんは心底嬉しそうな顔をして頷いた。

「でも、やるからには私が許せる水準まで頑張ってもらうわよ。」


でも、穂乃果も嬉しかった。大くんが言ってることは本当だし、ダンスが上手い人に教えてもらえる。これ以上ないって程に嬉しかった








ドアの隙間からは4つの目が覗いていた

「.....嫌な予感しかしないわ....」

「.....ふふっ、星が動き出したみたいやね」

声の持ち主は3年生のにこ先輩と希先輩だった。
 
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