μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜
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第14話 和解
「ふ〜ん、そんなことがあったんやね。」
「すいません....つい、カッとなってしまって」
「ええんよ、きっとえりちも核心を突かれて悔しかったんやろ」
「悔しい?..それはどうしてですか?」
「大地に言われたことが悔しいのではないのですか?」
絢瀬会長と揉め事を起こしてから俺と海未は神社にやってきた。
もしかするとまだ部室で矢澤先輩に勉強を教えているかも..と思ったけどバイトがあると言って俺のすぐ後に退出したらしい
ということで絢瀬会長と仲の良い東條副会長に話を聞くことにした。
「それはあなた達が見つける答えや。」
「そうですか...それでは1つ。どうして絢瀬会長にあそこまで言えるんですか?人を惹きつけられないとか...俺と違ってあの人は素人なはず...なのに--「えりちはね昔、バレエやってたんよ」
「「えっ?」」
あの絢瀬会長が?バレエやっていたなんて....
でももしそれがほんとだとするとあの言葉の数々を納得できる
『何も知らないくせに!!』
最後に残した絢瀬会長の悲痛な声が俺に容赦なく突き刺さる
「生徒会長はどれくらいすごいのでしょうか?」
「ん〜ちょっと待っててな」
東條副会長は俺たちを残して神社の奥に消えてしまった。
しばらくして戻ってきた東條副会長の手には....パソコン?
「副会長..それは?」
「まぁ見てみ?えりちがあれだけ言える根拠を」
俺と海未は2人寄り添ってパソコンを眺める
「その...大地?近づきすぎませんか....?///」
「え?だってそーでもしねぇと見れねぇだろ?」
「いやですが....///」
「俺とくっつくのがそんなに恥ずかしいのか?照れるなよ、ほら」
「きゃっ!///ちょっと大地!!」
恥ずかしがる海未を俺に密着させる様に肩を引き寄せる
うん...傍から見ればカップルですね!海未が恋人.....悪くないな、うん
「ええな〜、まるでカップルみたいや」
「ちょっ///希先輩やめてください!///」
「ちょ暴れるな!いいからおとなしく見ていろ」
やっとのことで海未を落ち着かせ、画面に視線を向ける
そこには小学低学年くらいの絢瀬会長が映っていた
〜☆〜
「.......うっ.......っ...うっ......」
私は家に帰ってからも涙が止まることはなかった。
おかけで枕はかなり涙で濡れていた。
『てめぇはここで何してんだよ!!』
あんなに必死に私の事を言われたのは久しぶりだった。いやもしかすると初めてだったのかもしれない。
私に文句を言う人なんて数多い。両手で数え切れないくらい
でもあんなに真っ直ぐに私に文句を言ってきてた人は初めてだった
だから私も大人げなく言い返してしまった。
嬉しかった。でもそれよりも....悲しかった
え?悲しかった.......?
ふと自分の感情に疑問を思った
私は正論を述べただけ。間違ったことは言っていないはず....
じゃあなぜ....?あんなに激怒した彼を見て悲しかったの?
多分これも違う気がする......
『絢瀬会長は最近笑ったことありますか?』
『よっしゃっ!絢瀬会長のお誘い大成功だ!!』
あの時の彼の笑顔が.....私のせいで消えてしまったから?
これもちょっと違う気がする......
この答えはまだ出そうにない....
少し喉が渇いた....
今は夜11時過ぎた頃。私は真っ暗の中、キッチンへ向かった。
あ.....電気つけなきゃ
「ふんふんふんふ〜ふふん〜♪」
喉を潤した後、妹の亜里沙の部屋から鼻歌が聞こえてきた。
まだ寝てなかったのね....亜里沙は受験生なんだから勉強終わったらすぐ寝ないといけないのに何してるんだろう...
しかも亜里沙の歌っているこの曲は確か....
私はノックもせず、亜里沙の部屋に入る
「亜里沙」
「ん?あ、お姉ちゃん」
「貸して」
私は亜里沙からイヤホンを片耳借りて彼女たちの曲を聴く。
これからのSomeday......最近ネットにアップされた新曲
いつ見てもダンスも歌も素人同然だった。
これが人気あるなんて私は理解できない
彼女たちのどこがいいの?どこに惹かれるの?
「お姉ちゃんは...どうしてμ‘sのことが嫌いなの?」
「え?」
唐突の妹からの質問
「だって全然なってないもの。これでスクールアイドルなんて馬鹿げているわ」
「私ね...μ‘sを見ていると胸がカ〜って熱くなるの。一生懸命でめいいっぱい楽しそうで」
亜里沙....どうして彼女たちのことをそんなに..?
再度彼女たちのダンスを見る。
何度見ても同じだった。
でも....少し、楽しそうだね....
「お姉ちゃんに比べると確かにそうだけど...でも、すごく元気をもらえるんだ!明日も明後日もこれからも頑張ろうって!」
「............ぁ」
この時、私は彼女たち.....μ‘sの魅力に既に気づいていたのかもしれない
『俺は彼女たちのダンスに魅了された!歌に魅了された!前に進んでいく彼女たちに魅了された!』
彼の言っていることが...ほんのちょっとだけ理解できた、ような気がする
〜☆〜
翌朝、俺はいつもよりかなり早めの登校をして生徒会室で1人座って人を待っていた。
どうしても....言わなくてはいけないことがあるから
そして謝りたかったから
きっと彼女はここに来るだろうと予測して来るまで待ち続けた
どれくらい待っていただろうか
時計はようやく7時半を過ぎた。そろそろ来る生徒もちらほらいるかもしれない。長居はこれ以上できない
と、思った時に彼女は生徒会室にやってきた。
「あ.......あなたは」
「おはようございます、絢瀬会長」
「.....おはよう...笹倉くん」
昨日の今日でやっぱり気まずいものがある
でもここはしっかりけじめをつけなくてはな!俺は立ち上がって深々と頭を下げる
「絢瀬会長!昨日は出過ぎたことを言ってすいませんでした!」
「え?.....あ」
俺は途中から土下座に切り替える。こっちに来てから2回目でしかもまた女の子に土下座している。でもそんなことを気にしている場合ではない、今回は間違いなく俺が悪いから
「ちょ、ちょっと!土下座しないでよ...頭を上げて」
「生徒会長が許してくれるまで俺は頭を上げません。むしろ踏んでもらっても構いません!てか踏んでください!」
「え?」
「...あれ?」
今...俺は何を言った?踏んでくださいって言ったのか。いやそれは無い。俺はMでもマゾでもない。どちらかというとSだ。その俺が絢瀬会長に踏んでくださいだと?........いいかもしれない
結論。俺は年上が相手だとMになる
「笹倉くん.....変態。でも、まず頭をあげて?」
「は...はい」
絢瀬会長の顔は若干引き気味の苦笑いだった
恥ずかし〜っ!!/////////
「昨日の事はもう気にしてない...って言ったら嘘になるけど、そこまで気にしてないわ。私こそムキになってごめんなさい」
「いや....生徒会長が謝ることでは......あ、いや。俺には謝らなくていいです。生徒会長の素晴らしいビンタで目が覚めましたから。」
「じゃあ私は誰に謝ればいいのよ」
困り顔で絢瀬会長は言葉を紡ぐ
「俺は彼女たちに....μ‘sのメンバーに謝って欲しいです。特にあの場にいた海未に」
困り顔から少し真面目な顔に戻る。あれだけ言ってもやっぱり彼女たちを認めてないのか...
でも...絢瀬会長にも認められない理由がある、その理由を知っているからこそ絢瀬会長の心情を理解できてしまった。
これは良かったことかもしれない。
「東條副会長から昨日聞きました。絢瀬会長は昔バレエをやっていたことを...」
「っ!!そ、そう....そうなのね。希もまったく....」
「どんなに頑張っても結果を残せず挫折した....昨日の生徒会長の言ったことが理解できました。」
「私も...あなたが言ったことは理解できた、つもり」
「そうですか...それじゃあ少し昔話聞いてもらえませんか?」
「昔話?」
俺は席につき、絢瀬会長も自分の席につく。
「昔昔、あるところに1人の青年がいました--」
〜☆〜
「それじゃあ明日までに部活どこに入るか紙に書いて俺に提出しろよ」
「「「「は〜いっ」」」」
中学校に入学して1週間が経ち、中学生は部活に入部というイベントが待ち構えていた。
青年は小学生の時からダンスをやっていて、丁度中学校にダンス部があったのでそこに入ることを既に決めていた。
でも1人で入部するのもなんとなく嫌だったので未だに決めていない友達5人を誘った。みんなダンス経験者ではなかったから渋々入部してくれた。
初めて先輩のダンスを見た。
大半の先輩は経験者らしく当然先輩方のダンスはキレがあってかっこよかった。それに比べて中学で初めてダンスをした先輩方は少しぎこちなさというか....ズレていたりとミスが目立った。
それでも......楽しく踊って歌って笑顔を見せている先輩方が凄く眩しいものに見えた。
他の1年生はどう思ったのかなんてわかんない。俺は....この先輩方とダンスがしたい!
完全に先輩方のダンスの虜になっていた。
そんな先輩方の最後の大会は地区予選で破れた。
どうしてあんなにも輝いている先輩方が負けなきゃいけないんだ
先輩の目には涙があった。でも後悔しているようには見えなかった
自分達はやり切った!やれたんだ!
そんな風に訴えていた。
俺達はダンスを『楽しんだ』
部活動を必死に取り組むのも部活動ではある。それはとても大事なことだ。だけど、真剣に取り組む中に『楽しい』と思ってやる部活動に意味があるんだと俺はずっと頭に入れて3年間踊り続けようと決意した。
1年生の夏休み前、1人の少女が転校してきた
少女は俺達ダンス部と共に夏休みを一緒に行動した。
少女のおかげで俺達の雰囲気がガラリと変わった
少女は夏休みが終わってすぐ転校してしまった。
『また会えるよ』と、約束して...俺は少女と別れた
3年生になった。
先輩方の意思を受け継いで俺達は今同じ場所に立っている。先輩がいてくれたからこそ頑張ってこれたんだ。あの楽しげに踊る先輩を見て.....
結果は地区予選を優勝。
先輩方を超えて俺達は突き進んだ。
県大会も俺達は『楽しむ』ことを信念に、向かっていった
県大会も......勝ち抜いた。優勝候補の学校を差し押さえ、俺達は全国の切符を手にした。
ここまできたら...全国の人に俺達のダンスを見て欲しい。そんな目標をたてて、ラストの1ヶ月悔いが残らないように........
全国大会は初戦で負け、俺達のダンスは終わった.....
俺のダンス人生はここで幕を閉じた
俺達は涙は流さなかった....
最後まで笑顔を忘れずに....舞台を去った。
〜☆〜
「.........」
絢瀬会長は最後まで親身になってずっと聴いていた。多分その青年は誰のことか、わかっているだろう。
「その青年は....悔しくはなかったの?」
「そうですね...勿論悔しいに決まってるじゃないですか。でも彼らは自分達が今本当にしたいこと、やりたいことを突き通してきただけです。」
「したいこと....やりたいこと....」
「今のあなたに足りないのはきっとそれなんだと思います」
絢瀬会長は言葉に詰まっていた。
「私の....足りないもの.....ごめんなさい、まだ...」
「絢瀬会長、大丈夫ですよ」
俺は満面の笑みで絢瀬会長を見つめてこう言った
「まだまだ時間は十分にあります。ゆっくり答えを探し出してください。それでも無理な時は、俺を頼ってください!自分に嘘ついたって得なんてしませんよ」
「そう.....あなたがそこまで言うならそうさせてもらうわ。その時は頼んだわよ?『大地』くん」
「あ...呼び方.....。ドーンと!俺に任せてくださいよ!『絵里』先輩」
この瞬間俺は絢瀬会長...いや絵里先輩の味方になれると思った。真面目すぎるこの先輩を救いたい.....俺が今できることは
絵里先輩を....これから先ずっと笑ってもらえるためには
何があるだろうか....
〜☆〜
「あれぇ?そんなところでどうした?」
「あ....希先輩」
朝、絢瀬会長に話があったので生徒会室を訪れた。
ノックをしようとドアに近づくと
「----------」
「-----------」
どうして大地が生徒会長と2人で話をしているんでしょうか
モンモンと嫌な事を考えてしまいます。
昨日は彼は謝りに行くと言っていました。今やっていることがそれなのでしょう。でも......
『......俺は絢瀬会長のことが好きなんです。付き合って欲しいです』
『昨日は私の事を散々言ったくせに何よ!』
『それは!あなたのことを大事に思っているからです!!絢瀬会長...絵里の事が1番大事だからですよ!』
『そんな.....私は....私は』
ギュッ
『もうそんなに自分を苦しめないでください。俺がずっとついていますから!』
『大地くん!』
ブンブン!いけません!そんなことはありえません!大地に限ってそんなことは!
「海未ちゃん!どないしたの?」
「ひゃうっ!!な..なんでもありません///」
「順番があるんやないの?」
「え?」
「ショックを受けたんやろ?えりちの踊りに」
図星でした。あの生徒会長が昔バレエをやっていたとは.....
だからあんなにも言えるんだと納得してしまいました。
だから私は.....生徒会長に.....
「自分たちが今までやってきたものは何だったのだろうって思いました。悔しいですけど生徒会長がああ言いたくなる理由もわかりました。」
「だから謝ろうと思ったん?」
「いいえ!ダンスを教わろうと思いました。きっと大地も...そう思っているんじゃないかと思います」
「ふふっ.....」
「もし、今のみんなが先輩の半分でも踊れるようになったら本当の意味で人を惹きつけられるのにって!」
希先輩は、何もかもお見通しといった表情で見ていました。
「ウチがにらんだ通りや、あなたたちならそう言うと思ってた。」
「希先輩......」
「でも、それなら先にやることがあるんとちゃう?試験まで...あと5日よ?」
最後に先輩はそれだけを残してどこかへ行ってしまいました。
試験まで....あと5日。
これを乗り越える必要があります。
なんとかしなくてはなりません.......。
〜☆〜
「なぁ...これは一体どういうことだ?海未」
絵里先輩と別れて教室に戻ると、穂乃果が目に隈をつくりながら必死に勉強していた。傍には海未がガミガミと勉強を教え、ことりは海未を落ち着かせようと必死になっている。
「あぁ大地、今日からテストまでの時間は空いていますか?」
「空いてる......はずだけど、何で?」
まさか!デートのお誘い---
「なっ!//////そんなわけありません!!勉強合宿です!穂乃果の家でテストまでみっちり勉強するのです!当然大地も来てもらわなければ困ります」
「おいこら!今スルーしようか迷ったけど人の心を読むな!で?俺も参加?嫌だね〜」
俺は自分の席に荷物を置いて海未の用件を拒否した
だって俺は1人で勉強したいんだい!
すると3人の女の子はこぞって俺の前に集まり、穂乃果は笑顔で胸に手を置き、ことりは目をウルウルさせて胸に手を置き、海未は顔を真っ赤にして胸に手を置き.......え?...え?ま....まさか.....
「大地くん.......おねがぁい♡♡♡」
「大くん..........おねがぁい♡♡♡」
「大地...........おねがぁい♡♡♡」
直後、俺の鼻から赤い液体が吹き出し、意識が飛んでいった。
ことりの必殺技を.....穂乃果と海未を使いこなせるなんて.....
感無量......
「と、いう事で....来てくれますね?大地」
「はいはいわかったわかった....つまり俺は海未とことりにも教えろってことなんだろ?最初からそう言えばいいのに.....」
ということで......地獄の5日間の穂乃果宅で勉強合宿が行われることになった.....
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