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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第13話 条件と対立と






事件は唐突に起こった。いや....事件というわけではないな。
まぁとにかく、俺達...あぁTwitterで呟く前に俺の質問に答えてくれよ
スマホなんの媒体でツイートしてるか知らないけどTwitterにいるんだからメッセージ送られてることくらい気づいてるだろ?、μ‘sにとって大事な一大イベントが開催されることとなった。

その知らせを聞いたのは新作のPVを投稿して4日後。部室には俺、穂乃果、海未、ことり、凛の6人がいた。
俺は中心の長机で勉強し、穂乃果はお茶を飲み、海未とことりはとりとめのない会話をし、凛はパソコンで女の子の服を販売するサイトを見て「いいな〜」と呟いていた。

で、問題に一息ついたところにいきなりバンッ!!ってドアが開いたんだ

みんな驚いて振り向いたそこには息を切らしちょっぴり汗をかいた花陽が
いたんだ。走ってきたのかもしれない。てか、花陽が廊下を走ってるって時点でみんなびっくりしていた。
だって..花陽だぜ?俺の中ではμ‘sの天使1位2位を争うような彼女がここまで取り乱すんだぜ?これは何かあるなと思ったわけですよ。

「花陽ちゃんどうしたの?とりあえず、落ち着いて」

穂乃果が呑気にお茶を飲みながら花陽を落ち着かせる。普段なら落ち着く花陽だけど今日はいつもと違ってそんなことはなかった。

そして、花陽が口を開いた







「タ.........タスケテェッ!!!!!!!!」



第一声がタスケテェッ......意味がわからなかった。



「タ...タスケテェッ?」


すぐに穂乃果が復唱する。

「じ、じゃなくて.....えと....た、大変!!大変ですぅっ!!!














「で、何があったんだ?大変なのはわかった。だけどなにが大変なのか教えてくれ」

すると花陽は俺に近づいてくる。まて....天使が俺に近づくと理性が無くなるって!アカン!まじで天使花陽様!

「ラブライブです!ラブライブが開催されることなりました!!」

めっちゃ近距離で告げられた『ラブライブ』

なんか前にサイトで見たような....見なかったような?

「ラブライブ.......ってなに?」

穂乃果はいつもの如く知らなかった。みんなも知らないって顔をしているから穂乃果が知らなくて当然か.....

「ん?大くん今失礼なこと思わなかった?」

穂乃果がジト目で俺のことを見る。

「ちょっと待って。海未といい穂乃果といい、なんで俺の心読んでくるの?」

ちょっぴり怖くなってきましたよ?

「そんなことはどうでもいいのです!見てください!」

まさか花陽にスルーされるとは夢にも思わなかった。

花陽は俺から離れ、パソコンに向かってアイドルのサイトを開いた。
あ、凛が追い出された.....

「スクールアイドルの甲子園それがラブライブです!エントリーしたグループの中からスクールアイドル上位20位までがライブに出場No.1を決める大会です!噂には聞いていましたけどついに始まるなんて〜」

パソコンと向かい合って1人生き生きと喋りまくる花陽。またキャラ変わってるぞ、可愛いから許すけど!

ってか!俺もみんなも花陽の周りに集まってパソコン見てるから知らなかったけど、後ろに真姫も椅子に座って話聞いてるし!いつ来たんだよあいつは....

「スクールアイドルは全国的にも人気ですし」

「盛り上がること間違いなしにゃ〜♪」

「今のアイドルランキング上位20組となると....1位のA-RISEは当然出場として2位、3位は....まさに夢のイベントチケット発売日はいつでしょうか♪初日特典はなんなのでしょう♪」

花陽は自分の世界に入ってしまい戻ってきそうにない。

「って花陽ちゃん、見に行くつもり?」

「っ!当たり前です!これはアイドル界の一大イベントなんですよ!!見逃せません( ・`ω・´)キリッ」

穂乃果の発言により花陽はさらにヒートアップし、穂乃果に攻め寄る。
あの穂乃果を苦笑いさせるとは.....
さすが『アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです』っと言っただけあるな
すっげぇ燃えてやがる

「花陽ってアイドルの事になるとキャラ変わるわよね〜」

「凛はこっちのかよちんも好きだよ〜」

花陽と同級生の2人は『花陽のこれはいつものこと』みたいに話す。

「なんだ〜、穂乃果はてっきりラブライブ出場に向けて頑張ろうって言うのかと思っちゃった」

ズササササササササッ!!!!!!

直後花陽は部室の隅へ後ずさりしていった

「ふ、ふぇぇぇぇぇぇぇっ!!!そ、そ、そんなわたし達が出場なんて恐れ多いです!」

控えめな花陽ここで登場(しかし明らかにテンション高めである)

「キャラ変わりすぎ」

「凛はこっちのかよちんも好きにゃー♪」

ぶれねぇよな....あんたら

「でも、私達もスクールアイドルやってるんだもん!目指してみるのも悪くないかも♪」

「って!目指さなきゃダメでしょ!!」

「おお!穂乃果が珍しくツッコミしたぞ!」

「大くん?さっきから穂乃果の扱い酷くない?」

「な〜に、そんなことないってこれも俺からの愛情表現だよ♪」

「え?///そ、そう....///」

だからそこで赤くなるなっての

「そうは言っても現実は厳しいわよ?」

「確かに真姫の言うとおりです。確か先週見たときはとても大会に出られるような順位では......あ!穂乃果!ことり!見てください!」

パソコンに向かった海未は手招きして穂乃果とことりを手招きする。

「ん〜?どんな感じ?」
俺もついでに覗き込む。

「おお!すごいよ!すごいよ海未ちゃん!」

「ほんとだ!順位が上がってる!」

「えっ!?嘘っ!?」

珍しく真姫も興味を持ったのか席を立ってやってくる。


「どれどれ〜?」

前回は順位は3桁だった。それが今は2桁.....95位までのぼりつめた。

「急上昇ピックアップスクールアイドルにも選ばれているよ!」

7人になったμ'sの動画のコメント欄にも好意のあるコメントばかりだ!

『7人になったんですね!いつも楽しく見ています!』

『μ‘sのダンスや歌を見ると元気が湧いてきます!』

『新しく入った赤い髪の女の子かわいいです!』

『撮影しているの男性の方ですよね?マネージャーですか?羨ましいです』

『こんなに可愛い少女たちに囲まれているとか.....』

とかとか......なんか明らかに俺のこと言ってるよな?
まぁ..μ‘sのサイトに集合写真として俺も何故か写ってるからな.....


「うわぁ〜!凛たちもしかして人気者?」

凛は目をキラキラさせて興奮する。真姫は相変わらず無表情だけど髪をくるくるいじっている。なんとなくだけど真姫は照れ隠しするときによくくるくるしてるよな.....癖か?

「あ、そういえば...」

と、真姫が思い出したといった表情で話始める

「人気が上がったからなのね....」

「は?なにが?」

「いや...昨日、帰ろうとしたら中学生に『写真お願いします』って言われて.....」

「「「「「「「ええええええっ!!」」」」」」」

「真姫ちゃん!まさかの出待ち!!!」

「ずるいよ!穂乃果は1度もないのに〜!!」

「そういうこともあります!アイドルというのは残酷な格差社会でもありますから!」

俺は黙って手を上げる


「どうしたんです?大地」

俺は嫌な汗を流しながら花陽並の小さな声で話す。




「俺も........今日の朝......出待ち.....されました」




「「「「「「................へっ?」」」」」」

みんなも目を丸く見開いて俺に注目する








『ふぁぁ...ねみぃ...マジで模試大丈夫かな〜』


『あ、あの!!』

『うん?え?あの....君達は?』

『あの....私達はμ‘sのファンなんですけど....』

『あ、あぁ...あいつらに用か?』

『い、いえ!用があるのは笹倉大地さんに..なんです』

『え?俺?』

『はい!笹倉さん、μ‘sのマネージャーやってるんですよね!公式サイトに集合写真があって初めて見ました。』

『そ、そう』

『それで笹倉さんかっこいいな〜と思って.....1枚写真.....いいですか?』

『え?あぁ...いいよ』









「---ってことなんだけど、あれ?」

話し終わって気づいたけどさっきと違って温度が急降下した気がする。
特に穂乃果、海未、ことり、花陽の周りにはドス黒いオーラが漂っていた。

「海未ちゃん...ガムテープと麻縄ある?」

「はい、ちょうどバックに入ってますよ」

「ことりちゃん、μ‘sの今までの衣装ある?」

「あるよ〜♪大地くんに着せ替えするためにとっておいたんだぁ〜♪」

「花陽ちゃん、希先輩からビデオカメラ借りてきて」

「わかりました〜♪」





「....真姫..凛...後で俺の亡骸拾っておいてくれ」

「オコトワリシマスッ」

「嫌だにゃ」






俺に味方なんてどこにもいなかったみたいだ......
まさか花陽まであんなオーラを出せるなんてな.........
てか、海未はなぜバッグに麻縄とガムテープ入れてるんだよ...










約20分にわたる壮大な弁解を経て、なんとか亀甲縛りや着せ替えをされずに済んだ。








バンッ!!!!!!!!


花陽と同じく思い切りドアを開けて登場したのは1年s......3年生の矢澤先輩。

「みんな聞きなさい!重大ニュースよ!!」

で、思いっきりドアを閉め、思いっきり机に手をつく

いちいち行動がうるさい先輩だな.....

「重大ニュース?」

「ふっふっふっ。聞いて驚くんじゃないわよ。今年の夏、遂に開かれることになったのよ!スクールアイドルの祭典!!」

「.....ラブライブ....ですか?」

「...........え?なに?みんな知ってるの?」

「残念だったな矢澤先輩。ついさっきμ‘sの天使がテンションあげて話してくれましたよ?」

「天使?」

「ふぇっ!?」

おっといかんいかん俺の心の中の花陽の名称を口にしてしまった。



「で、出場するならするでいいけど...それって学校の許可貰わないとダメなんだろ?」

俺はこの雰囲気を打破すべく、話題を変える
後ろで睨んでくる3人が怖いのでね

「はい、エントリーの条件にちゃんと学校の許可をとることって書いてあります」

「んじゃ......とりあえず生徒会に.....」

生徒会と口にした途端みんな「うう〜ん」と唸る。そりゃそうですよな

「じゃあ....理事長に許可貰えばいいんじゃない?ことりちゃんのお母さんだし」





〜☆〜


と、穂乃果の提案により俺たちは理事長室前なう!!

「学校のの許可?認められないわぁ!」

「凛ちゃん...そんなことやったら生徒会長に怒られちゃうよ〜」

後ろで凛が絢瀬会長の真似をしている。
めっちゃ似ていた。100点満点だ...満点だからって何もしないけど


「でも今回は成功すれば間違いなく生徒を集められると思うんだけどね」


「まぁとにかく理事長に言ってみましょう。中には入るのは私と穂乃果とことり...それから大地」

「はぁ?なんでいつも俺なんだよ」

「いいじゃんか〜大くんも行こうよ〜」

「俺より後ろのパイセン連れていけよ〜」

「あんた...なんで私をバカにするのよ〜!!」

矢澤先輩は部室の中で叫ぶ

「にこ先輩うるさい。ちょっと黙ってて」

「ちょっと真姫ちゃん!」

真姫はドアを閉めて矢澤先輩を部室に閉じ込めた


「いいからお前ら3人で行ってこいよ」
俺は拒否をして壁に寄りかかる

「大地くん〜.....ねぇ.....おねがぁい♡」

「わかりました、お供します」

「ふふ、ありがとう」

ことりにおねがいされたので素直に理事長室に入ることにした。


「なんで穂乃果がお願いした時は聞いてくれなかったのにことりちゃんの時だけ素直なのかな....ブツブツ」

「は?」

「なんでもない!じゃあ...開けるよ」

穂乃果はドアをノックした。暫くして「はい、どうぞ」と声がしたので中へ入ろうとした。

そしたら先にドアが開き、中から東條副会長と絢瀬会長が現れた

え?なんで2人が?

「あれ?あなたたち、お揃いでどうしたん?」

「い、いえ...理事長にお話があって」

「あ、絢瀬会長......」

「タイミング悪っ」

後ろで矢澤先輩が呟く

「何のようですか?」

絢瀬会長は凛とした声で、だけど棘のある声で俺達に圧力をかける

「理事長に話があってきました」

真姫が穂乃果の前に出て、絢瀬会長に正面から睨みつける

「各部の理事長への申請は生徒会を通す決まりよ」

真姫に臆せず、堂々と絢瀬会長は話す

「し、申請とはいってないわ!」

「真姫ちゃん落ち着いて、先輩だよ」

穂乃果がそれを宥めて事態を収集する。
ああ見えて穂乃果は先輩後輩に関してしっかりしているな...
初めて知った....

「絢瀬会長」

そこに俺は割り込み絢瀬会長の前に立つ。

「俺は理事長に話があって来ただけです。理事長と話しをするのはダメなんですか?」

出来るだけ絢瀬会長の逆鱗に触れないようにやんわりと言った

「........」

コンッコンッ

絢瀬会長の後ろには理事長が微笑んでドアをノックしていた
入っていいわよって意味なのだろうか

俺は絢瀬会長と東條副会長の横を通り過ぎ、理事長室に入る。
続いて穂乃果と海未、ことり。
そしてなぜか絢瀬会長と東條副会長も。

「理事長、彼女達の話に私達も同伴してもよろしいでしょうか?」

嘘だろ.....それじゃあ生徒会をスルーしてきた意味が無いじゃないか

「いいわよ」











「へぇ〜ラブライブね〜」

「はい、ネットで全国的に中継されることになっています」

ラブライブについてのプリントを理事長に渡し、説明をはじめる
俺らの説明で理事長を納得させないと出場することができない
なんとかして納得させなくては

「もし出場できれば学校の名前をみんなに知ってもらうことが出来ると思うの!」

ことりだけ敬語を使わず、母と会話するような喋り方をする。
それについて理事長は全然気にも留めていないようだ。

「俺達はこれからラブライブ出場に向けて、学校存続に向けて活動していくつもりです」

「私は反対です」

「え?」

反対したのは理事長ではなく絢瀬会長

「理事長は学校のために学校生活を犠牲にするようなことをすべきではないとおっしゃいました。であれば--「そうね〜....でもいいんじゃないかしら?エントリーするくらいなら」

え?なんだって?エントリーするくらいならいいのか?

「ほんとですか!?」

「えぇ、いいわよ」

「やった〜っ!」

絢瀬会長を置いて俺達は喜ぶ。絶対理事長からも許可を貰えないと思っていたのに、ここまで簡単に許可をもらえたとなると....ことりの母だから?それって贔屓だよね...いやいや、理事長に限ってそれはない。
じゃあ何故?
まぁ許可を貰えたなのであーだこーだ言うつもりはないけど。

「ちょ、ちょっと待ってください!どうして彼女たちの肩を持つんです!」

やはりというか...当たり前というか、絢瀬会長は納得せず反論を試みた。

「別にそんなつもりはないけど」

「なら、生徒会も学校を存続させるために活動させてください」

「それはダメ」

即答だった。あまりにも間髪入れずに理事長は否定したためどうしてダメなのか気になってしまった。

「い、意味がわかりません」

「そう?簡単なことよ?」

理事長は表情を崩さず答える。俺達と生徒会の違いってなんだ?

「あ、あの失礼ですが理事長。質問よろしいですか?」

「どうぞ」

「じゃあ.....先ほどラブライブ出場に関して許可を頂きました。感謝します。ですが、今の絢瀬会長の生徒会の活動を制限するのは何故ですか?俺からすると生徒会も活動させてもよろしいのではないかと思っています。」

「ちょ、ちょっと大くん」

「大丈夫だよ、穂乃果」

別に絢瀬会長の肩を持つつもりはない。今はまだ....だけどあまりにも不公平な気がしてならなかったのだ。

「そうねぇ〜.......その質問には応じられないかな」

「そ、そうですか...すいませんでした」

俺は謝って身を引く。

「いいのよ。」

無言で俺を見ていた絢瀬会長は仏頂面で「失礼します」と言って理事長室から去っていった。

「えりち....」

それを心配そうに眺める東條副会長。

「では俺達も--「でもエントリーするのは構わないけど条件があります」

去ろうとして理事長に呼び止められる。
条件?なんなんだ?優勝してこいとか?そんな無謀なことは流石にないと思う。

「勉強が疎かになってはいけません。次の期末試験で1人でも赤点を採るようなことがあったらラブライブへのエントリーは許可しません。いいですね?」

なんだそんなことか....音乃木坂のレベルなら大したことないな

「わかりました。みんな大丈夫だよな?.......あれ?」


後ろを振り向くと穂乃果、凛、矢澤先輩は床に突っ伏していた。

あれ?赤点.....採らないよね?大丈夫だよね?

嫌な予感がひしひしと3人から伝わってきた。















「申し訳ありません」

「ません」

どうやら穂乃果は数学、凛は英語...矢澤先輩は....
「先輩、教科書逆さまですが...」

「そ、そそんなことないわよ!にこは全教科80点は余裕で取れるんだから!」

「絶対嘘ですね......」

矢澤先輩は古典が苦手らしい。

「小学校の頃から知ってはいましたが....」

「穂乃果ちゃん、4×7?」

「.......25?」




これはもうダメな感じだった。


「頼むよ...穂乃果、凛、矢澤先輩。これで赤点採ってラブライブ出場できなかったらめちゃくちゃ恥ずかしいぞ....」

もう...呆れるしかなかった


「落ち込んでいても仕方ありません!穂乃果には私とことり。凛には花陽と真姫がついて、弱点の底上げをしていきます。」

「じゃあにこ先輩には?」

「それは--「にこっちはウチが担当するわ」

「え?」

そこで登場したのは東條副会長。

「だ、大丈夫なんですか?」

「副会長...いいんですか?あんなちんちくりんの先輩の為に...」

「笹倉大地!なにがちんちくりんの先輩よ!それににこは大丈夫なの!教えてもらなくたってへい--」

ガシィッ!!!!モミモミモミモミ.....


「ひゃうううううううっ!!!!」

いきなり東條副会長は矢澤先輩の絶壁の胸を揉みしだき始めた。
矢澤先輩の甘い叫び声が響く。
あ..まずい。鼻の奥から何か温かいものが垂れてきた気がする。

「これ以上嘘つくとWASHIWASHIするで?」

「ひぃ....ご、ごめんなさい、教えてください」

WASHIWASHIって......アカンやろそれは...しかも男子のいるここで
でも俺にとってはご褒美だからむしろもっとやってあげてください。
というかするとか言っときながらすでにやってるよね?

俺は鼻を押さえてそう思った。

「はい、よろしい」


「で、大地くんはなにをするの?」

「え?あ〜」

ことりに指摘されて気がついた。そう言えば俺は?誰にも教えなくていいの?それはそれでいいんだよ

「あ〜そうですね...なら大地には全体の勉強をみるってことでいいですか?前の学校.....開〇高校でしたよね?」

「あれ?俺言ったかな?まぁいいやそれはそうだけど...」

直後真姫の目がキランと光ったのは気の所為だろう。

「よし!これで準備できたね!明日から頑張ろー!」

「おー!!」

「今日からです」




これでラブライブ出場...本当に大丈夫なのか?
心底不安である。








「も、もうダメにゃ〜。これが毎日続くの〜?」

「当たり前でしょ!」

「う〜ん。あ!白いご飯にゃ!!」

「ええっ!!!どこ!どこっ!!」


凛は開始10分で飽きてしまいだらけだした。
てか、白いご飯で引っかかる花陽も花陽だけど......

「凛、私がそんな手引っかかると思う?」



一方


「.....ことりちゃん...」

「なに?後一問だよ!頑張って!」

「おやすみなさい(。´-д-)。o○Zzz」

「ふぁっ!穂乃果ちゃん!穂乃果ちゃ〜〜ん!!」

「まったく...ことり、私これから部活なのであとをお願いします」

「うん!わかった!ねぇ穂乃果ちゃん起きて〜起きて〜」

「(-_-)zzzグ〜」





そしてもう一方


「ちょっと希離して、わかった。この問題わかったから〜」

「じゃあ...この問題の答えは?」

「え....えっと......に、にっこにっこに〜♪」

「......ふふっ、覚悟や」

「やめて...やめて希...それはだめ〜」










俺と海未は同時にため息をついてしまった。



俺は周りを無視してテスト勉強をする。模試の勉強もやりたいところだけど、普段のテストもきっちりやっておかないと後で酷い目にあうからね

でもはっきり言って音乃木坂のテスト範囲狭い。
前の学校の6割くらいなんじゃないのか?
応用も入るから難易度的にはそこそこなのだろう....


と、俺の隣に真姫が座り始めた。俺の事チラチラ見てるな〜とは思ってたけど

「あ..あの..大地先輩」

「ん〜?なんだ〜」

真姫はもじもじしながら俺に問題を見せにくる。
教えて欲しいのならそれなりの態度ってものがあるだろうに

「ん〜?」

「えっと.....この問題難しいのよ...」

「ふ〜ん...それで?」

「え?だ、だから....その......」

真っ赤になり過ぎて噴火しそうな勢いだ。でもこれを譲ったらこれからも舐めた態度で接せられる。ここでしっかり白黒つけなくてはな。

「教えて欲しいのならちゃんと言いな〜?」

「.......ここの問題...教えて...ください」

蚊の羽音のような小さな声でしかもちゃんと敬語で言うことができた。

「はいよくできました。」

俺は褒美に頭を撫でてやる

「ゔぇえっ!!ちょちょっと!///」

「なんだよ...ほら教えてやるから」

そういえば真姫は医学部目指しているんだっけ?彼女が見せる問題はテスト範囲ではあるがかなりハイレベルな内容だった。さすがの俺も1年前の内容なので少し考え込む。

そしてすぐに思い出した

「あぁ..そっかそっか思い出した」







(む〜.....大くんと真姫ちゃん密着し過ぎだよ。頭を撫でてもらうのは穂乃果だけなのに....む〜)




穂乃果が大地と真姫のやり取りを見て嫉妬しているのは知る由も無かった













テスト勉強を始めて2時間が経過した頃。
俺は飽きた。俺の勉強スタイルは短時間集中型。1時間バリバリやって10分休憩を繰り返すスタイルである。でも今日は2時間ぶっ続けでやっていたため流石に集中力が切れてしまった。というか、ずっと真姫に勉強を教えていたので俺の勉強はさっぱり手付かずだけど....


「んじゃあ俺はもう帰るよ。」

勉強道具をバックに適当に押し込み、立ち上がる

「えぇ?もう帰っちゃうの?」

「あぁ、集中力無くなったんだよ。あとは家に帰ってやるよ」

「えぇ〜!じゃあ穂乃果も帰る〜」

「お前家に帰っても絶対やらねぇだろ」

こいつが家で勉強する姿想像できん!!

「んじゃあお疲れ〜」












「んぁ?なんだ海未か....」

「あ、大地...今から帰るんですか?」

「まぁな...やる気無くなったし家帰って寝るかな」

昇降口で出会ったのは部活帰りの海未。

「え....えっと....大地...」

「ん?なんだ?」

「一緒に...帰っても..いいですか?///」




『一緒に....寝ても....いいですか?///』

ふぉっ!!落ち着け落ち着け落ち着け!!
俺は何を聞き間違いしている!海未に限ってそんなことは決してない!
深呼吸だ!す〜は〜....す〜は〜.....よし。


ツー

あ、また鼻血出てきた
鼻を押さえながら答える

「い、いいよ。一緒に帰ろうか」

「いいのですか!やった〜!!」

珍しく海未は顔を真っ赤にして嬉しそうに笑う







校門前に来た時によく耳にする曲が聞こえた。これは....μ‘sの《START:DASH!!》??

音のする方には金髪の中学生が門に寄りかかって音楽プレイヤーを片手にリズムを取りながらくちずさんでいた。音楽プレイヤーに映っている動画はネットにアップされていないシーンが殆どだった。なぜこの子が持っているんだろうと気になった。多分海未もそうだろう

てか...

誰かに似ているな...金髪.....金髪

ふと浮かんだ予想を隅に置いて、俺は近づく

「君っ」

「えっ?あ!貴方達はμ'sの園田海未さんとマネージャーの笹倉大地さんですか!?」

いきなりの出来事に海未は言葉が出ず、やっとのことで出たのが

「ち、ちがいます!」

だった。俺はチョップをかまし「嘘つけ。ちゃんと答えろ」と俺の背中に隠れている海未を引っ張り出す

「はい....私が...園田海未....です」

「やっぱり!私μ'sの大ファンなんです!!握手してもらっていいですか?」

「え..は、はい。いいですよ」

海未は頬を染めながらも中学生と握手する

「笹倉さんもいいですか?」

「もちろん」

この子はなんていうか...もし彼女が妹なら守ってあげたくなるタイプだな
俺には兄弟がいないからちょっとだけ欲しいと思ってしまった

「で、君はどうしてここに?」

「はい!お姉ちゃんを待ってたんです!」

お姉ちゃん......まさか...



「亜里沙〜!」

「あ!お姉ちゃん!」

《亜里沙》と呼ぶ声の持ち主は........


「やっぱり....あなたでしたか」

「.......生徒会長」


我らの生徒会長、絢瀬絵里だった。






〜☆〜





話がしたいということで絢瀬会長に連れられ、俺と海未は近場の公園にやってきた。ベンチに座ると、絢瀬会長は亜里沙ちゃんにお金を渡して自販機に向かわせた。

しばらくして亜里沙ちゃんは俺に『味噌汁』、海未に『おでん』と書かれた。缶を渡してきた。
あそこの自販機に何を売ってるんだ?と少々気になってしまった。
亜里沙ちゃんが何故これをチョイスしたのかも気になるけど

「亜里沙、これは飲み物じゃないわ。別の買ってきて頂戴」

「え?味噌汁とおでんは飲み物じゃない?ハラショー!わかった!」

『ハラショー』という普段聞き慣れない言葉を言ってまた自販機に向かった。
ハラショーって確かロシア語で意味は『すばらしい』だったかな?


「ごめんなさい、向こうの暮らしが長かったからまだ日本に慣れていないところがあって」

「向こう....といいますと、ロシア..ですか?」

「そうよ、祖母がロシア人なの」




一拍間が空いて海未が口を開く

「前から穂乃果達と話していたんです。誰が撮影してネットにアップしてくれたんだろうって。でも、生徒会長だったなんて...」


海未は敵であろう絢瀬会長に感謝している。今まで絢瀬会長に邪魔されていい気分ではなかったはずなのに、いざ蓋を開けてみると....
海未はすごく嬉しいのだろう。本当はわたし達のこと認めてくれたんだな...と


その絢瀬会長は何を思ったのだろうか。ずっと無表情で話を聞いている

「あの動画が無ければ、私達は今、こうしていなかったと思うんです。あれがあったから見てくれる人が増えたし....だから--「やめて」

海未の感謝の言葉に対して絢瀬会長の『やめて』の一言
その一言には恥ずかしさから来るものではないということは一目瞭然だった。

「別にあなたたちのためにやったわけじゃないから。」

「え?」

なに?

「むしろ逆。あなた達のダンスや歌がいかに人を惹きつけられないものか、活動を続けても意味が無いか知ってもらおうと思っただけ。」


なにを.....なにを言ってんだ?この人は...


「だから、今のこの状況は想定外。無くなるどころか人数が増えるなんて......でも、私は認めない」

絢瀬会長の、言葉には棘があるのいつものことだ。だからこそ、今の俺に頭に血を上らせるのには十分だった。

だめだ.....今ここで切れたってなんにも---

もう限界だった

「人に見せられるものになっているとは思えない、そんな状態で学校の名前を背負って活動して欲しくないの。これ以上は邪魔しないで。廃校は私達生徒会がなんとかするから。だから--「るせぇよ」


「え?」

「...だ、大地?」

立ち上がった絢瀬会長の背中に向けて俺は言葉を発する。その言葉には明らかにいつもと違う『なにか』が含まれていた。

「うるせぇっつてんだよ!」


俺の怒声が木霊し、公園で遊んでいた小学生達が俺に注目をする。

「さっきから聞いていればなんだ?ダンスは人に見せられるものではない?誰も惹きつけられないだと?てめぇ何様のつもりなんだよ!!!」

抑えきれなかった。おとなげないと思う。それでも彼女達を否定したコイツが許せなかった。

「彼女達がどんな想いで頑張ってきたのか!どれだけ努力してきたのか知らないくせに上からペラペラペラペラモノ言ってんじゃねぇよ!」

「ええわからないわ。興味がないもの。それに何?努力?努力したからって結果が伴わなければ意味が無いの。だからそれを認めろって無理な話よ」

彼女は至って冷静だった。それが俺の怒りをさらに掻き立てる

「結果だぁ?結果ならあるさ。てめぇだってアイドルのサイトくらい見てんだろ?」

「さぁ.....さっきも言ったでしょ。興味がないって」

「ふざけてんじゃねぇよ!じゃあてめぇは何なんだよ。彼女達の行動を事あるごとに否定して!しかもそこには自分の感情しかねぇ、さらには生徒会長としての権力でコイツらに圧力かけて行動を制限して!てめぇはここで何してんだよ!!」

「っ!!」

「大地!それ以上はもうやめてください」

海未が俺を止めに入るも理性がぶっとんだ俺には何も聞こえない

「それに!今のアンタよりは彼女達の方がまともにやってるよ!」

「なんですって?」

さすがの絢瀬会長も淡々とした口調に苛立ちを覚えた。

「それはどういうことよ」

「言葉通りだよ、確かにてめぇの言う通り彼女達のダンスも歌も下手くそだ。俺も指導しててよく思うよ。そこは認める...だがな!だからといっててめぇが口出すことじゃないんだよ!彼女達はちゃんと自分たちでやりたいことを見つけてそれを成し遂げようと頑張ってるんだよ!俺は彼女達のダンスに魅了された!歌に魅了された!前に進んでいく彼女達に魅了された!!だからそれを頭っから否定するてめぇを許さない」


「........」

「でけぇ口叩いてばかりのてめぇのどこに彼女達を否定する要素が--」





「うるさいわねっ!!!!!!!」



絢瀬会長の悲痛な叫びと共に









パンッッッッッ!!!!!!






破裂音が聞こえた





自分の頬を絢瀬会長に叩かれたと気づいたのは絢瀬会長が涙を零しながら俺のことを見ている時だった。



「私は.......あなたにそんなことを言われたくない!あなたに.....私がどんな気持ちでやってきたのか何も知らないくせに!!」





.......やってしまった.....と、後悔した。



俺は初めてμ'sのライブを見たとき....こいつらなら出来る!
希望を感じたんだ。彼女達の想いはきっと伝わる

だから真っ向から希望を潰しに来る絢瀬会長が許せなかった。
もしかすると彼女も応援はしているのかもしれない、と淡い願いを持っていたにも関わらず...

彼女を泣かせてしまった




ちょうど絢瀬会長の後ろから亜里沙ちゃんが心配そうに様子を見ている

「亜里沙...もう帰るわよ。」

「あ....お姉ちゃん」

亜里沙ちゃんを置いて絢瀬会長はスタスタと先に帰ってしまう。
涙を拭っている様子は背中を向けていても理解してしまった


亜里沙ちゃんは俺達のところに行こうか絢瀬会長を追いかけようか迷った末に俺らの方に来て缶を渡してきた

俺と海未の手には『おしるこ』と書かれていた。

「大地さん...大丈夫ですか?」


「あぁ....俺なんかより..お姉ちゃんのところに行ってあげな」

俺はできるだけ笑顔を作り、頭を撫でてあげる

「うん!私はμ'sも笹倉さんも応援しています!」

そう言い残して絢瀬会長を追いかけていった







「大地.......」

俺を心配して海未は隣にやってくる

「海未...ごめんな...女の子を泣かせちまった....イケメン失格だな」

「もう..こんな時までやめてください」

「はは....そうでもしないと...でも.....言い過ぎたよ」

「確かに大地は言い過ぎました。でも、あれが本音であるのなら嬉しいです。ありがとうございます。」


「お礼なんて.....。明日謝らなきゃな」

「そうですね」

俺と海未は並んで公園から出る。夕暮れに染まりかけた公園にはまだ小学生達が遊んでいた。




「なぁ海未」

「なんでしょうか?」

「これから寄りたいところあるけど付き合ってくれるか?」



「...はい、お供します」
 
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