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μ's+αの叶える物語〜どんなときもずっと〜

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第12話 センターと絵里

「なんで撮影しなきゃいけないんだ?」

「ごめんね〜、生徒会で部活動を紹介するビデオを制作することになってて各部の取材をしているところなん」





と、いうことでμ‘sの諸君は取材をうけている。

何故凛がカメラを回しているのか不明だけど
こういう時って普通生徒会がやるもんじゃないの?

「それじゃ穂乃果先輩、いきますよ〜」

「えぇっ!?」

急にカメラを向けられて穂乃果は若干ぎこちない笑顔をカメラに向ける

「それじゃあ決めポーズ」

「え?え〜と...こう?」

決めポーズと言われてウルト〇マンの必殺技のポーズをする穂乃果の頭はどうかしている

「はいおっけー」


「それでいいんかい!!」

あまりの適当さに思わず凛の頭をチョップしてしまう

「大地先輩いたいにゃ〜」

「あぁ..すまん、つい」


「話を戻すね、最近スクールアイドルは流行ってるし、μ'sとしては悪い話やないと思うけど?」

「ふ〜ん...まぁいいんじゃないですか?」

俺はどうでもよさそうにベンチにゴロンと寝転んで適当に返事する

「それじゃ海未先輩やっちゃいましょ〜」

「ええっ!?なんで私なんですか!急にカメラ向けないでください!失礼ですよ!」

「おおっ!その恥じらう姿も可愛いにゃ〜ナイスナイスですよ〜」

「海未〜お前も大人しく取材受けてろ〜、めんどくせぇからちゃっちゃと終わらせてくれー」

俺は欠伸をして寝る大勢に入る。最近模試のために勉強漬けしてるから眠たいんだよ。

「大地!あなた関係ないという態度とらないでください!ちょっと!凛、カメラ向けないでください!私は受けないですよ!」

「はは、ははは...」

穂乃果はずっとウルト〇マンポーズで走り回り、海未はカメラから顔を背けて、ことりはずっと苦笑い。凛はカメラを持って海未を撮影し、東條副会長はマイクを持ったままニコニコ微笑む。そして俺は眠る。


なにこのカオスは....



「海未先輩ちゃんと取材受けてくださいよ〜。取材に協力してくれたらお礼にカメラ貸してくれるんですよ」

「そしたら、PVとか撮れるやろ?」

「PV?」

「PVだと?」

俺は起き上がり東條副会長を見る

「それ、本当ですか?」

「もちろん」

「ねぇ大くん、PVって何?」

「穂乃果PVも知らないのですか?」

「穂乃果ちゃん、PVって3人のライブの動画しかないでしょ?」

「今μ'sは7人だからそろそろ新しいPV撮りたいとおもったんだにゃー」

「あ〜あれね。結局あの動画は誰が撮ったんだろうね」

「そう..ですね。私も新しい曲をやった方がいいとは思ってました」

「その話からすると海未はもう歌詞考えたのか?」

「え?まぁ...ですが曲名が良いものが出てこなくて」

「まぁとにかくμ'sの紹介動画を撮ってくれたら好きに使ってもええよ」

東條副会長が最後にまとめて穂乃果、ことり、海未、凛は部室へ向かった。俺もその後に続こうとする

「あれ?大地君も行っちゃうの?」

「へ?行っちゃダメっすか?」

「ウチをここに置いてくつもりだったん?」

「え?いや...そんなつもりは」

この人は一体何が言いたいんだろう。思わず言葉に詰まってしまう。
東條副会長はというと黙って俺を見ている。なんていうか.....気恥ずかしい

「や、やっぱりいきません」

「そ♪それでええ♪少しお話しようや」

「は..はぁ」

話がしたいなら最初からそう言え、という思いを抑えてベンチに座る。
丁度日差しが木の陰で遮られているので涼しい。

「なんか東條副会長すごくやりづらいです」

「ん〜?少なくともそれはウチのせいではないで?」

「なんでそう言えるんですか。どこからどう見ても副会長が--」

「そんなことないで?カードがウチにそう告げるんや」

そう言って東條副会長は胸元からタロットカードを取り出す。俺はタロットカードよりもその大きな2つの果実に目がいってしまったのは絶対に秘密である。

「あぁ...そうですか。もうそれでいいです」

目を逸らして呆れた声で返答する。眠たいんだ...早く寝かせてくれ

「で?何の用ですか?」

「ん〜?なぁ大地くん、えりちのこと好き?」

「は、はぁ?一体なにをいきなり」

「ごめんごめん言い方間違えた。えりちのことどう思う?」

「対して意味変わってないように聞こえますが。えりちって生徒会長でいいんですよね?」

「うん」

どう...って言われてもね。言い方悪いが俺たちからすると天敵。でも副会長はそんなことを聞きたいのではない気がする。
やっぱり返答に戸惑ってしまう。俺の返答を待たずに副会長は話を続ける。

「えりちはな、真面目すぎるんよ。いい意味でも悪い意味でも。だから誰かが寄り添って支えてあげる必要があるのよ....」

「....続けてください」

「あの子だけじゃどうしようもできない事が起こった場合、えりちは自分で自分を傷つけて追い詰めてしまう。今まではウチがえりちを止めてきた。でもえりちを本当の意味で救うことができるのはウチやない。君なんよ?笹倉大地くん」

「俺が....?」

「そうや、だからえりちを敵視しないでちゃんと見てあげて」

「......なんで俺なんですか?」

「さぁ?なんでやろ〜ね♪」

東條副会長は変わらず淡々と話す。だけどそこには温もり、絢瀬会長への優しさが込められていた。
きっと...長い間生徒会長のことを見守ってきたんだ。だからこそ、そんなことを思って感じて言葉にするんだ。

「俺は絢瀬会長に...何ができますか?」

俺は東條副会長のお願いを受け入れたいと思った。確かに俺は絢瀬会長を敵視していた。自分の感情でそして生徒会長としての権限で俺達に圧力をかけてくる生徒会長を....
でも俺は今の話を聞いても尚、絢瀬会長を敵視することができるような悪人になった覚えはない。

「そうやね〜ほな、大地くんには-----」





〜☆〜



「確かに希から補助員として生徒会の仕事を手伝ってもらうと聞いていましが....それがあなた?」

「はい、よろしくお願いします」

俺は不機嫌そうな絢瀬会長に深々とお辞儀をする。一応礼儀だしな。


『ウチは部活紹介のためのビデオ撮影で忙しいから生徒会の手伝いをしてくれへん?』

と、いうことで現在は絢瀬会長と俺の2人きりの作業をすることになった。予想通りというか...予想以上に気まずい雰囲気はあるが

「まぁ、いいわ。人手が足りなくて困っていたのも事実だし」

「俺はまず何からしたらいいっすか?」

絢瀬会長に席に座りなさいと指示され、絢瀬会長の隣に座る。

「じゃあまず、来月行われるオープンキャンパスに向けての資料作成やってもらおうかしら」

「了解っす」

渡されたのは山積みされた資料。え?これ1人でやるつもりだったの?

「この案と照らし合わせて、間違いがないかどうか確認していって。それが終わったらそれぞれの部活紹介の内容確認とそれから---」

正直早く終わるもんだと思っていたけど、これは想像以上に時間かかりそうだ。









黙々と作業を続けて1時間。少し集中力の切れかかってきた俺に対し、絢瀬会長は余裕の態度で作業を続けている。これが生徒会というものなのだろうか。もし俺が生徒会入ってたら1日ですぐ辞めてたよ。

俺が驚いて絢瀬会長を見ていたためか、視線に気づいた彼女は俺の方を見る。

「なに?間違えた?」

「え?いえそうではなく、なんか絢瀬会長すげぇな〜と思いまして」

ここはボケる必要はないので素直に感想を述べることにした。もし海未や矢澤先輩が相手だったらボケていじりまくるけど。

「すごい?そんなことないわよ....当たり前のことをやっているだけ」

「そう...ですか」

すぐに視線を紙に戻し、作業を始める。東條副会長の言った通りかなり真面目な方のようだ

その表情は真剣さの他にも苛立ちといった感情も見受けられる。

ふと、思った


「絢瀬会長は最近笑ったことありますか?」

「え?なによいきなり。そうね.....笑ってないかも」

「そう....ですか」

俺がこっちに来てから何度か絢瀬会長を見かけたことがある。講堂のステージや生徒会室だけでなく廊下や食堂でも。
でも俺の記憶に間違いなければ1度たりとも彼女の笑っている顔を見たことがない。




『ねぇみんな...そんな勉強ばかりしないで少しは楽しもうよ...。ほら、新しくゲーセン出来ただろ?あそこに------』

『うるせぇな。そんなことやってる暇あったら参考書開いて勉強してろよ。遊びに時間費やしたくねぇんだよ』

『お前はいいよなー勉強できてさ。この前の定期考査学年トップなんだろ?』

『いや...そんなことは...俺だってちゃんと勉強して----』

『うっせんだよ!こっちは必死に上の大学目指して勉強してんだ!お前みたいに学年トップクラスで俺は満足してねぇんだよ』



前の学校の出来事がふと思い出してしまい、頭を横に振る。

「絢瀬会長!」

「な、なによ」

いきなり大きな声で呼ばれて彼女はビクッとしてこっちを再度見る。

「今度俺と遊びに行きませんか?」

「え?あなた何を言ってるの?」

「だって最近笑えてないんですよね。だったらダメですよ、俺面白い店とか飯の上手い店知ってますからいきましょうよ」

俺の急な提案に絢瀬会長は...





「ぷっ.....あは....あははは」

少し笑ってくれた

「あ、やっと笑ってくれましたね。」

「だってあなた.....いきなりそんなこと言うから....」

「こうでもしないと絢瀬会長笑ってくれそうもなかったでしょうし」

「ふふっ....そうね。」

絢瀬会長の笑っている顔をすごく可愛かった。
いつもはキリッとしていて大人の女性って印象あるけど。笑うと少女のようなあどけなさが残る。

「で、どうですか?」

「ん〜そうねぇ。まぁオープンキャンパス終わってからならいいわよ」

「よっしゃっ!絢瀬会長のお誘い大成功だ!!」

俺は大袈裟にガッツポーズをしてみせる。

「なによそれ。でもあなたはいいの?」

「なにがですか?」

すぐに絢瀬会長はいつもの真剣な表情に戻る。あぁ...もったいない。
絢瀬会長の笑顔をもう少し満喫したかった

「私はあの子達を認めてないのよ?そこにはあなただって含まれている」

あの子達....μ‘sのみんなを指しているのだろう

「どんなに想いがあったって、どんなにやる気があったって、結果が伴わなければ意味が無いわ。前にも言ったけど思いつきで行動して欲しくないの。」

何度も聞かされた絢瀬会長の言葉。

「じゃあ絢瀬会長はどうすればいいと思ってますか?」

「えっ?」

「廃校.....どうすれば止まると思ってますか?」

「わ、私は.....」

どうやら俺の言ったことを難しく考えてしまったらしい。

「あーじゃあ言い方を変えます。絢瀬会長は廃校を阻止するために.....何がしたいですか?」

「なに......が?」

まるで分からないといった表情で俺のことを凝視する。
まだ...見つけられないのか
前に聞いた『叔母さんの母校を守りたい』と言う会長の思い。

それ自体が悪いことではない。俺の母さんも音乃木坂出身だから生徒会長の気持ちがわからないというわけでもない。でも絢瀬会長は自分のやりたいことがそこにはない。
多分それがわかれば自然と行動できるはずなのに......

「もし....絢瀬会長が今の質問に答えることができたら俺はあなたの味方になって支えます」

「味方?」

「あれ?忘れちゃいました?初めに言いましたよね?『俺はあなたの味方にだってなれます』とね」


絢瀬会長は思い出したのか俺のことをじっと見つめて溜息をこぼす。

「...そう...でも必要ないわ。私は自分の手で廃校を阻止するから」

「そうですか....そりゃ残念です」

会話は終わってからもずっと2人は作業を続けた。


すべてが終わったのは5時半を過ぎてからだった。



〜☆〜



部室へ向かうと何やら騒がしい。何を話しているんだろうと思い、こっそり耳を澄ます。


「じゃあいいんじゃないかな?無くても」

「「「「「「ええっ!!!!?」」」」」」

「ちょっと穂乃果!無くてもってどういうことですか?」

「うん、リーダー無しでも全然平気だと思うよ?」

リーダー?俺がいない間にどういった会話してたんだ?
それにリーダー無しというのは一体........

「みんなそれで練習してきて、歌も歌ってきたわけだし」

「しかし....」

「そうよ!リーダー無しのグループなんて聞いたことないわよ!」

「だいたい、センターはどうするの?」

「それなんだけど、穂乃果考えたんだ!みんなが歌うってどうかな?」

「みんな?それってどういうことかにゃ?」

「家でアイドルの動画とか見て思ったんだ。なんかね、みんなで順番に歌えたら素敵だな〜って。そんな曲創れないかな〜って。」

「順番に?」

穂乃果の提案に海未、矢澤先輩、凛、花陽と反応を返している

「無理.....かな〜?」

「まぁ歌は作れなくはないけど....」

「そういう曲。無くはないわね」

「ことりちゃん、ダンスはそういうのどうかな?」

「ううん、今の7人なら出来ると思うよ♪」

「じゃあそれが1番いいよ!みんなで歌って、みんなで踊って、みんなでセンター!!」

「私、賛成」

「好きにすれば?」

「凛もソロで歌うんだ〜!」

「わ、私も!?」

「やるのは大変そうですけどね」

「仕方ないわね....ただし、にこのパートはカッコ良くしなさいよ」

「了解しました〜♪」

「よぉーし!そうと決まればさっそく練習しよう!時間短いけどやろう!」

穂乃果が出てくるようなのでドアから離れておく。

バンッ!!

穂乃果は俺に気づかず階段を上っていった。



俺は君たちの様子を見てると励まされるよ。ほんとに
なんていうか......言葉にできないけど...ほんとすごいよ


「あ、大地先輩」

次に出てきた花陽に声をかけられる

「おう、お疲れ様。これから練習?」

「はい、そうです」

「あ〜笹倉大地!あんた今までどこに行ってたのよ!!あんたがいなくて私達大変だったんだからね!」

「はいはいわかりましたから1年生の矢澤先輩は静かにしててください。俺のしんみりムードぶち壊しですよ」

「だれが1年生よ!ていうかなに?しんみりムードって」

「大地...あなたまさか聞いていたのですか?」


「まぁな...」

ぞろぞろとやってきたので俺も一緒に屋上に向かった。

「じゃあ大地先輩は穂乃果先輩の話を聞いてどう思ったんですかにゃ?」

「そうだな......」

どう思ったかなんてそんなの決まってる

「リーダー.....もういるじゃねえか」

その発言に海未とことりはくすりと笑う

「大地はよく見てますよね。....リーダーは決まってます」

みんなもうわかってんじゃん。リーダーが誰かなんてさ

「不本意だけど」

「なんにも捕われないで1番やりたいこと、1番面白そうなことに怯まず向かっていく....」

「それってアイツにしか持ってないものなんじゃないのか?」

「そうね...にこも悔しいけど穂乃果には勝てないわ」

「にこ先輩も素直じゃないにゃ〜」

「う、うるさいわね!」



穂乃果は...お前はそのまま真っ直ぐ突き進め。俺達の手では届かないところに連れていってくれよ。









『これからのSomeday』






μ‘sが創り出した2曲目






俺は彼女たちの想いを借りたカメラに収めた。









〜☆〜




「何を言ったの?」

μ‘sの新しいPVを見て一層険しい表情になるのが自分でもわかる

「ウチは思ったことを素直に言っただけや〜。《誰かさん》と違うて」

「.........くっ」

あまりの苛立ちに歯を食い縛る

「もう...認めるしかないんやない?」


『じゃあ絢瀬会長はどうすればいいと思ってますか?』

『絢瀬会長は廃校を阻止するために.....何がしたいですか?』


「えりちが力を貸してあげればあの子らはもっと--「なら希が力を貸してあげれば?」

どうして?どうしてみんなはこんなにもμ‘sのことを気にするの?希も....
そんなにもμ'sの歌やダンスがすごいの?
私にはわからない...理解できない

「ウチやない.....カードが言ってるの。あの子達に必要なのはえりちや」

希はいつものタロットカードをめくり、1枚のカードを見せる。

『THE STAR』



本当の自分が望むもの、それが自分の可能性









 
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