八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十五話 英語でもその一
第七十五話 英語でも
僕は親父と別れてから部活に出た、その部活が終わってだ。
皆とお昼御飯のお弁当を食べて休憩時間の間学校の中を散策しているとだ、たまたま乗馬部の練習場の横を通り過ぎた。
するとだ、そこでジョーンさんの声がしてきた。
「あら、美和さん」
「ジョーンさん?」
「はい、そうですわ」
返事と共にだ、上は黒の乗馬服とズボン、下は白の乗馬ズボンと黒のブーツといった格好のジョーンさんが前から来て僕に言って来た。
「どうされましたの?」
「うん、たまたまね」
「通られたのですか」
「そうなんだ」
「わかりましたわ」
ジョーンさんは僕の言葉に微笑んで頷いた。
「そういうことですのね」
「そうなんだ、ただ」
「ただ?何ですの?」
「乗馬部も夏休み練習忙しいのかな」
「馬は生きものですので」
「その世話がだね」
僕も言われて思い出した、八条荘の厩舎もいつも世話をしている。
「欠かせないんだね」
「そうですね」
「そうだね、馬はね」
「繊細な生きものですし」
「特に心がだよね」
「繊細で心優しい生きものですの」
ジョーンさんは微笑んで僕にこうも話してくれた。
「足元にものが落ちていればよける位の」
「そうした生きものだよね」
「はい、ですから」
「世話は欠かせないんだね」
「乗馬部皆で世話をしていますの」
「そうなんだね」
「それで今日はです」
あらためてといった感じでだ、僕に言って来た。
「わたくしが当番でして」
「そういえば朝の時いなかったかな」
「朝はいましたわ」
朝御飯の時はというのだ。
「けれどですね」
「登板でお世話しているんだ」
「そうしてますの」
「やっぱり大変だよね、馬の世話は」
「いえ、普通ですわ」
「ジョーンさんにとっては」
「そうですの」
ごく当然といった返事だった。
「牧場で生まれ育っていましたから」
「牧場でずっと一緒だったから」
「ここでもですわ」
「普通のことなんだね」
「牧場ではいつも馬や牛、羊達と一緒でしたので」
「羊もなんだ」
「羊がです」
この生きものがというのだった。
「一番多かったですわ」
「羊なんだね」
「ニュージーランドの牧場は、ですの」
「羊をよく食べるし」
「羊毛も取りますし」
これもというのだ。
「昔は毎年バリカンで刈っていましたの」
「あれっ、今もじゃないんだ」
「今は服を着せまして」
「服?」
「着せて脱がした時に一気に羊毛が取れる服がありますの」
「そんな服があるんだ」
「はい、今は」
僕に微笑んで話してくれた。
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