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アンジュリーゼ物語

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第3話 ドラゴンの正体

 
前書き
ノーマであることが発覚し、軍事施設アルゼナルに送られた皇女・アンジュリーゼ。
皇女に戻れぬことを嘆き、死ぬことを考えるも、サラマンディーネの助言により前向きになりヴィルキスを覚醒させる。 

 
前回のドラゴン大襲撃により、アルゼナルはかなり滅茶苦茶になっていた。
そういう訳で、復旧作業や負傷者の手当てが行われている。

アンジュリーゼは、伝説の機体・ヴィルキスを覚醒させたことにより、アルゼナル内でかなり話題になっていた。

そしてヒルダ達と対面。
ヒルダ「あんたが乗ったあの機体、ヴィルキスというのか。」
ロザリー「信じられねえな。イタ姫様があんなことをするなんて。」
アンジュリーゼ「私が元皇女だからと言ったらどうしますか?」
ヒルダ「皇女だからか。そうだ、いいところに案内してやるよ。あたいとロザリー、クリスについていきな。」
クリス「ゾーラお姉さまの仇だけど、今だけは許してあげる…。」
アンジュリーゼは、ヒルダとロザリー、クリスについていき、ゾーラの部屋の中を見る。
ゾーラの部屋は、非常に豪華なものだった。
風呂までついているのだ。
アンジュリーゼ「信じられません、アルゼナルにそんな部屋があるなんて。」
ヒルダ「どうだ、驚いたか。」
ロザリー「ヒルダが買い取ったんだってよ。」
クリス「ゾーラ…。」
アンジュリーゼは久々に優雅な生活を送ろうと、ベッドに近づく。
ヒルダ「そのベッドに勝手に寝転がるなよ。」
アンジュリーゼ「はい。」
ヒルダ「でも今回は特別だ。今晩はこの部屋で寝ていいぞ。」
アンジュリーゼ「はい。」
そして夜になった。
アンジュリーゼは、粗末な食事を口にした後、ゾーラの部屋に行った。
そしてそこで、ミスルギ皇国にいた時と同じように優雅な生活を送った。
この部屋を自分のキャッシュで買い取れればいいのに…。アンジュリーゼはそう思っていた。

そして翌日。
ヒルダが部屋に来た。
ヒルダ「この部屋から出ろ、イタ姫。」
アンジュリーゼ「はい。」
アンジュリーゼはゾーラの部屋から出て、食堂で朝食を摂った。

そして自分の部屋に戻り、ドラゴンと戦うことはもう本当にないのかと考える。
そんな中、アルゼナル所内にて1匹のスクーナー級ドラゴンが侵入しているとの情報が入る。
アルゼナルの隊員は武器を持ち、ドラゴンを始末しようと考える。
アンジュリーゼ「(逃げなさい…、ドラゴン。)」
しかしアンジュリーゼは武器を持ち、ドラゴンが自分の世界に戻ってくれることを願う。
ドラゴンは必死で逃げ、地上に出て空を飛んで、鳴き声で『永遠語り』を唄う。
その歌を聞いたアンジュリーゼは、その歌を唄っているドラゴンはきっと只物じゃないと認識する。
ドラゴンは地上に降り、アンジュリーゼと対面する。
アンジュリーゼ「貴方、悪いドラゴンではありませんね。」
ドラゴン「クオー。」
ロザリーやヒルダが駆け寄ってきた。
ロザリー「何やってんだ、イタ姫。早くそのドラゴンを殺せよ!」
しかしアンジュリーゼはドラゴンと顔を向け合ったままだ。
そしてドラゴンは、人へと姿を変えた。
その人とは、アルゼナル第一中隊の隊員であるヴィヴィアンであった。
ヒルダ「マジかよ…。ヴィヴィアンがドラゴンだなんて…。」
ヴィヴィアン「そこでクイズです、人間なのにドラゴンなのは、誰でしょうか。」
アンジュリーゼ「ヴィヴィアンです。」
ヴィヴィアン「正解。」

そして夜、アンジュリーゼ達は浴場に行き、ジルと湯舟につかった。
ジル「ヴィヴィアンがドラゴンであることを暴くなんて、大した皇女だな。」
アンジュリーゼ「そうですね…。それと、教えてほしいことがあるのです。ノーマは何故生まれてくるのか、何故あなたがヴィルキスについてしっているのか。」
ジル「わかった。では昔話をしてやろう。」
アンジュリーゼ「はい。」
ジル「
人間は、平和だの平等だのと呟いておりながら、戦争の歴史を繰り返してきました。
そんな人類に見切りをつけた神様は、人類をマナという魔法が使えるように改造しました。
あとは世界の安寧を見守るだけ…のはずですが、生まれてくるのです。
神様がどんなに遺伝子を操作しても、マナの使えない古い遺伝子を持った突然変異が。
突然変異の発生は人々を恐怖させました。
しかし神様はその突然変異を利用しようと、突然変異は世界のシステムを破壊する存在と言う情報を人々に植え付けました。
そして今に至ったのです。
しかしその間、マナの使えない古い人類の生き残りである古の民は、自分達の居場所を取り戻すべく何度も神様に挑戦しました。
長きにわたる戦いの末、彼らは神様の兵器・ヴィルキスを奪うことに成功したのです。
しかしそのヴィルキスは彼らには操縦できませんでした。
虫けら達が使えないようにプロテクトがかかっていたからです。
そして、ガリア帝国の皇女であるアレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツは、10歳の時にノーマであることが発覚し、このアルゼナルに送られました。

アンジュリーゼ「そのアレクトラは、10歳の時に病死したと聞きましたが。」
ジル「
それは嘘だ。
皇女を誰もノーマと思いたくないからな。
アレクトラは、普通のメイルライダーとしてドラゴンを殺し続ける日々を送っていました。
そして、神の領域に踏み込むことになります。
古の民達は、アウローラでヴィルキスを運び、アルゼナルにやってきました。
アルゼナルの隊員の中に、ヴィルキスを操縦できる者はいないか、彼らはそう尋ねてきました。
私は、元皇女なのでヴィルキスが操縦できるのではと答えました。

アンジュリーゼ「今、私と言いませんでしたか?」
ジル「
口が滑ったか…。アレクトラとは私のことだ。
私は、付けていた指輪によってヴィルキスを動かすことに成功します。
そして古の民達と共に、神様に戦いを挑みました。
3日3晩にわたる戦いの末、私たちは惨敗しました。
私は指輪を右腕ごと吹っ飛ばされました。
生き残った古の民達は、神様には歯が立たないと考え、ヴィルキスをアルゼナルの秘密の格納庫に封印しました。

アンジュリーゼ「古の民は、今も存在するのですか?」
ジル「もう絶滅したと聞いたが。1,2人くらい生き残っているかもしれんぞ。」
アンジュリーゼ「会ってみたいものですね。」

そしてアンジュリーゼは湯舟から出て、金色の長い髪をサリアに洗ってもらった後、浴場から出た。

翌日、「戦死して巨大な窪みに放られているドラゴン達」の火葬が地上で行われた。
火葬されるドラゴン達を見つめるアルゼナル隊員。
アンジュリーゼ「ドラゴン達よ、安らかに…。」
アンジュリーゼは、燃え盛る炎の中から、人の死体をも発見する。
そうしたのは彼女だけではない、ヒルダもロザリーも、サリアも同じ光景を目にしたのだ。
ヒルダ「嘘だろ…。なんで人の死体が…。」
クリス「アルゼナルの隊員なんじゃないの?」
ジャスミン「ドラゴン以外を窪みに放った覚えは無いよ。」
アンジュリーゼ「アレクトラさん、これはどういうことなのですか?」
アレクトラ「よくある話だろ、バケモノの正体が人間だったという話が。」
アンジュリーゼ「ドラゴンに変身した人間がいるなんて…。アルゼナルの隊員達、知らず知らずの間に人殺しを行い続けて来たんですね…。」
ロザリー「とんでもないことをさせられちまったな…!」
サリア「何のためにドラゴンに変身したのかしら。」
アンジュリーゼ「私はドラゴンを1匹も殺していません。もし殺していたら、人殺しを行っていましたね。ヴィルキスを、人殺しの兵器として扱わないよう平和の為に役立てていきたいです。」 
 

 
後書き
・次回予告
人間の艦隊が、アルゼナルの強襲を始めた。
殺されるアルゼナル隊員、アンジュリーゼの前に突如立ちふさがる謎の男。 
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